燃えていた。
何もかもが燃えて、真っ赤な炎が全てを包んでいた。
「た、助けてくれぇ! 死にたくねえ、俺はまだ───!」
「腕! 俺の腕ぇ! なんで勝手に、動くんじゃねえ!」
「嫌だ、嫌だ! 死にたくない、死にたくない!」
「こんなことになるなんて聞いてねえぞ! おい、若様はどうし───!?」
轟く悲鳴、怒号、断末魔。
慌てふためく人影が、炎に照らされて影絵のように踊っている。
そんな滑稽な地獄絵図を見つめて、
乱藤四郎は何をすることもできず、ただ己と同じ銘を持つ短刀を握りしめるばかりであった。
(どういうことだ、他の陣営に嗅ぎつけられた? しかしライダーからは何の連絡もない)
このような事態に陥った場合、真っ先に疑うべきは他のサーヴァントによる襲撃である。少なくとも官憲の仕業にしては直接的に過ぎる。この街で聖杯戦争外の軍事活動が行われていたという情報もない。
そう、それこそ最有力の可能性ではあるのだが、それにしてはライダーからの連絡が一切ない。
既にやられた、ということではないだろう。藤四郎の手には未だ令呪が輝いており、サーヴァントが脱落したならばこの光も消え失せる。感知できていない、というのは更にあり得ない。ライダーはほぼ無制限に近い分身能力を有し、例え余所に出向こうとも本拠地に一体くらいは分身を残しておくはずだからだ。
つまるところ、この状況は明らかにおかしい。
そして、この場合最も疑うべきなのは───
「よォ乱、まだ生き残ってたみてェだな!」
空から舞い降りてくる、影と声。
炎に映える巨躯。ド派手な羽毛のジャケットと奇抜なデザインのサングラス。
見間違えるはずもない。藤四郎が従えるサーヴァント、ライダー・
ドンキホーテ・ドフラミンゴがそこにいた。
「……ライダー。今まで何してたの」
「フフフ、そう邪険にするなよ。なァ乱、別にテメェの不利益になるようなことしてたわけじゃねェんだ。一蓮托生の仲ならもうちょい柔らかくなれや」
「冗談。どこまで信用できるか」
「おうおう怖いなァ。だが、フフフッ!」
何がおかしいのか、ライダーはずっと笑いを堪えるように語りかけてきて。
何かがおかしい。そう藤四郎が直感するよりも早く。
「不利益になるようなことはしてねェ。なんせ今からするんだからな」
「ッ! 令呪を───」
「遅ェ」
───ぶつり、と耳に届く鈍い音。
───視界の端を鮮血が舞う。
「ぎ、ゃああああああああああああああああああ!!?」
半ばから切断された右腕を抱いて、藤四郎は絶叫と共に蹲った。
それを見下ろすドフラミンゴは、変わらず嘲笑を浮かべたままで。
「つーことで令呪は貰ったぜ。ま、テメェはそうやって丸まってるのがお似合いさ乱。なんせ今までずっとそればっかだったんだからな。
女々しいのは見た目だけじゃねェってか!? 最期まで笑わせてくれる腰抜け野郎だったぜ、テメェはよ!」
「……なんで」
「あァ?」
地に蹲ったまま立ち上がれず、しかしその眼光だけは意思を絶やさずに、藤四郎がドフラミンゴを睨み上げる。
「なんで、ここまでする必要があった。お前らしくないじゃないかライダー」
「おいおい、まさかここのボンクラ共の心配か? この期に及んで他人の心配たァお人よしも極まれり……」
「違う」
そこで初めて、藤四郎は笑った。
ドフラミンゴの足元へへばり付いて、けれどその視線は大上段から見下ろすかのように。
「見限るにしてもここまで派手にやる必要はないって言ってるんだよボクは。慎重派だったお前らしくもない、戦略的にも価値のない行動だ。
つまり、お前は自発的にこの状況を作ったんじゃなく、必要に迫られてやらかしたんだろう? こうしなきゃ生き残れないから、捨てざるを得なかったんだろう?」
「……」
「何が天夜叉だ、笑わせる! お前は尻尾巻いて逃げ出すだけの負け犬だ! あれだけ見下していたランサーにでも一杯喰わされたか、馬鹿が極まってるのはお前のほうじゃないか!」
「ま、そこらで黙っときな」
ドフラミンゴの足が翻り、藤四郎の顎を強かに打ち付けた。少年の小さな体は後方へもんどりうって、芸術的なまでに回転して地面に叩きつけられる。
「テメェの論理にケチつける気ならいくらでもできるんだがな。生憎おれはそこまでヒマじゃねェんだ」
実のところ、ドフラミンゴがこの本拠地を放棄する理由は至って単純だ。
まず第一に、最悪四騎ものサーヴァントに目をつけられているということ。
第二に、そもそも常人を使った人海戦術に限界が見えてきたということ。
元の原因を紐解けば、確かにドフラミンゴがランサーに一杯食わされたという評価も、あながち間違ってはいない。
それは事実だ。けれど。
「だがまァ、その糞生意気な態度は買ってやるよ。仮にも主従関係だったよしみで楽に死なせてやろうって思ってたんだがな」
ドフラミンゴの笑みが、亀裂を刻んだかのように深まる。そこに親愛に類する感情など微塵も含まれていない。
「今暫く生きててもらわなきゃ困るからなァ。テメェにはこいつらの相手をしてもらおうか」
瞬間、天から降り注いだ糸が藤四郎に残った片腕と両足を貫き、総身が地面に固定された。
悲鳴を上げる余裕もなかった。霞む視界に捉えたのは、ドフラミンゴの手に合わせるように湧いて出る、何匹もの屍食鬼。
藤四郎の顔色が、如実に変化した。
「ライダー、お前は……!」
「おっと、だから怖い顔すんじゃねェよ。けど、まあ」
全て見透かしているような彼の顔は、夜闇に赤く照らされて。
「その悪たれ顔も見収めとなると、ちょっとは寂しいかもなァ」
「……!」
そのまま天高く飛び上がり、哄笑する天夜叉の姿はあっと言う間に見えなくなった。
後には黒服たちの怒号と、燃え盛る炎と、藤四郎と屍食鬼だけが残されて。
「くそ、畜生───ッ!!}
小柄な少年の総身は、いくつもの屍食鬼覆われて、一瞬で埋もれ見えなくなってしまった。
………。
……。
…。
────────────────────────。
▼ ▼ ▼
「つーわけでよ、おれと再契約を結ぼうか市長さんよ」
「……」
夜の闇すら知らぬと言わんばかりの不夜を誇る市役所の一室にて。
向かい合う男たちがいた。如何にも堅気ではない男と、品行方正を体現したかのような堅気そのものの男だった。
アウトローの極みのようなその男は、自身で切り離したのであろう誰かの片腕をひらひらと弄び、これ見よがしに対面の男に見せつけている。それを前に、鎌倉市長「
浅野學峯」は余裕を持った態度で見つめていた。
少なくとも外面を取り繕えるだけの余裕が、今の彼にはあった。苦痛と殺意入り混じる鬼気迫る表情でも、それらを超越し激情が混じり合った結果としての無表情でもない。何か思案するかのような、先の展開に計算を働かせるかのような余裕が、彼の表情には滲んでいた。
「それは手土産といったところかな。令呪、それも三画もとは。しかし君に移植の技術があるとは初耳だね」
「おおっと、それは言わないお約束だぜ市長さんよ。曲がりなりにも"頭"になるには相応の知性ってのが必要になるんだ。表も裏も関係なくな。お前なら分かるだろう?」
かつて、ドフラミンゴはオペオペの実による不老化手術を目論んだことがある。
オペオペの実───すなわち"手術"に特化した悪魔の実は、実の能力以上に当人の医療知識が物を言う特異な実である。
オペオペの実究極の力、極限まで圧縮された医療知識の下に行われる「能力者の命と引き換えの不老化手術」を敢行するために、ドフラミンゴはオペオペの実能力者「トラファルガー・ロー」に徹底的な教育を施した。そこには当然、医療の知識も含まれる。
故にドフラミンゴは相応の知識というものを所有していた。少なくとも、令呪の譲渡に必要な心霊手術程度、造作もなく行える程度には。
「手前勝手ながら、テメェの働きっぷりを見せてもらったぜ。行政どころか警察消防インフラに至るまで、数時間足らずで支配できるとはな。その地位に就いたのは引いたサーヴァントの恩恵かと勘繰っちゃいたが、とんだ誤解……どころか、相当見くびってたようだぜ」
「世辞で喜ぶ趣味はないし、謙遜するほどの器も生憎持ち合わせていないのでね。単刀直入に行こうか」
「おう。おれもそのつもりだぜ市長さん……いや、"マスター"さんよ」
互いに友愛の欠片もない握手が交わされ、その手から眩い光が迸った。
主従契約の更新。浅野は赤い輝きを取り戻した自らの手を、まじまじと見つめた。
「まずは一画。そして君のそれを合せると四画か。失った分を差し引いても相当の優位を得たということになるな」
「そしておれたちの戦略上、表に出ない限り令呪を無駄に消費する事態には陥りにくい。フフフッ、なんとも笑える話じゃねェか!」
二人は笑う。表情筋だけを動かして、目は全く笑わないまま。
最凶の教育者と、最悪の天夜叉。単純戦闘力に因らない影響力の高さで言うならば、残存参加者内では間違いなく群を抜いた二人であった。
▼ ▼ ▼
「終わり、ましたか……」
元の静けさを取り戻した源平池のほとりにて、力なく膝をつく女が一人。
豪奢な白いドレスは土に塗れ、その美貌は脂汗と吐血に汚れ、凄惨たる様相に血の気さえ引いた死人が如き肌を晒す。
今の今まで
『幸福』に反魂香を以て対抗し続けた、それは
辰宮百合香であった。本体とは異なり、しかし月への媒介となる核を抑え込み続けた女だ。
此処で行われしは《神降ろし》。『幸福』が自らの存在を以て呼び出そうとする神格を、その儀式諸共反転させ続けたのが彼女だ。
本体の消失によって辛くも最悪の事態は免れたが、仮にこれが成功していたらどうなっていたことか。呼び出される神格の正体さえ、彼女には片鱗を掴むことすらできない。
"楔"とはよく言ったものである。これが解き放たれてしまえば、あとは裏に繋ぎとめられた何某かが目覚めるのみであると、けれど幸福の妖精は消滅し遺恨の類は一切が消え失せた。
「そのはず、なのですがね」
だが、しかし───"その程度"で、あの
壇狩摩がわざわざ必須事項としてセイバーにその旨を伝えるだろうか。
神格召喚、廃神顕現……確かにそれらは脅威であるし、タタリ狩りを生業とする神祇省鬼面衆としては見過ごせない事態ではあるだろう。
だがしかし、言ってしまえばそれまでだ。少なくとも八幡宮の楔と同列に列挙されていた第一盧生などとは比べものにならない。
夢界の理を現世に持ち込む意思の魔人、そしてその下に付き従わせられる第八等の廃神たち。それらの脅威と、今回の事態は釣り合っていたか?
廃神としてのランクを鑑みれば、管公や崇徳院といった怨霊でさえも五等か六等が精々。確かにあの『幸福』は人類種にとっては天敵とさえ言える存在ではあったが、サーヴァントとして矮化している以上は八等に相当する神威は発揮できないはず。
「ああ。ですが結局のところ、わたくしにできるのはここまでですか」
百合香はそっと微笑む。その笑みは文字通り百合の花が如く、清廉さと儚さを兼ね備えた美しさがあった。
「無粋ではありますが、受け入れましょう。それこそが、きっと───」
「苦悶を零せ───『妄想心音(ザバーニーヤ)』」
かふっ、
振り向いた百合香の口から、鮮血と共に零れる声。命の源たる心臓を握りつぶされて、百合香は茎から手折られた花の如く、嫋やかに地に倒れ伏した。
その視線の先にあるのは、ただ無音の闇。
その向こうに溶け込むように、黒い影が一つ、あった。
「……面妖な女よ」
彼はずっと戦場を監視していた。屍食鬼の少女を囮に使い、誰よりも速く誰よりも的確に、天球結界が貼られるより以前の戦場を把握していたのだ。
午前の廃校にて姿を目撃したセイバーも、ランサーに連れ立たれた新たなセイバーも、数多の黒服たちと共に張り込むライダーも、彼は全てを見ていた。
幸福のキャスターの討滅を願い、有事の際には自らも突貫する準備を整え、時が来たならば"最も厄介であろう人物"を暗殺するために、じっと息を潜めていた。
そして遂にはハサンにとって理想通りに展開が運び───彼はかねてより画策していた要注意人物の暗殺に手をかけた。
ならばこの状況、この面子において最も殺しておくべき人物とは、誰か。
戦力的に正面からでは絶対に打倒不可能なセイバー二騎───違う。
無防備な背中を晒す幼子のマスター三人組───違う。
現地民を使い人海戦術を駆使する智謀のライダー───違う。
そのどれもが強敵か、あるいは美味しいカモではあるだろう。しかし、しかし……機会次第ではまた倒せる可能性があるそやつらとは違い、この女だけはここで殺しておかなければならなかった。
辰宮百合香。反魂の香を垂れ流す毒花の女。
ハサンがそこまで彼女を危険視する理由は至って簡単だ。天球結界が張られるよりも前、つまり初めて彼女を発見した当初、ハサンは彼女に対して"一切の敵意・殺意を抱くことがなかった"。しかも、それに対する自覚まで存在しなかったのだから恐ろしい。
彼が初めてその事実に気付いたのは、結界が解除され地に座り込む百合香を見つけた時だった。何某かの闘いで力を使い果たし、精神操作の余力さえ失くしてようやく、ハサンは彼女を敵と認識することができたのだ。
このまま見逃して、少しでも余力を取り戻したら……考えるだに恐ろしかった。この機会を逃してしまえば、ハサンは彼女を倒すどころか敵として認識することすら永遠に叶わないだろう。
故に彼は一切の出し惜しみなく、マスター相手に宝具さえ解放して事に臨んだ。そして今、その結果が目の前にある。
「己が死に際しても笑みを崩さぬか。気狂いか、もしや白痴か? いずれにせよ、貴様の命運は此処に尽きた」
即死である。心臓を失って生きていられる人間などいない。例え魔術師であったとしても、霊核とも言える心臓を潰されたならば、蘇生には大魔術級の術法と専用の陣地が不可欠になる域だ。不意打ちのそれに対処できる道理などない。
故に最早脅威に足るものはなしと、踵を返そうとして───
「───いいえ、いいえ。我が命尽きようとも、それは命運の終わりではないのですよ、暗殺者殿」
突如として、ハサンの思考が百合の濃密な香りで占められた。
視界が霞む、思考が鈍る。価値観行動方針感情の好悪……その全てが無意識レベルで改変され、本来の意思とは裏腹の動作を強制される。
「ぐ、ぅ、お……!」
「ええ、ええ。ある程度予期はしていましたとも。狩摩殿にとって必要な内は死なずに済むということは、逆を言えば役割を果たせば後は用済みであるということ。
討伐を為した時より……ええ、殺される覚悟はしておりました。しかし」
己の意に反して硬直する体に全力で抵抗するハサンを、百合香は倒れたままで見上げる。震える手を伸ばし、彼の足に触れると、そのまま何かを強く念じるように。
「しかし、このような終わりなどわたくしは認めません。故に命じましょう、アサシン。"聖杯を求める者らを皆殺しにした後、自害なさい"」
「ぬぐ、ぅお、おぉ……! 味な、真似をォ……!」
「……"行きなさい"」
その命令と同時、ハサンは百合香の認識すら遥か超えた隠行を以て、その場を離脱した。その様を見届けることもなく、百合香は力なく手を地に落とし、荒い息と共に大量の喀血をまき散らした。
「これは、そう長くは持ちませんね……」
邯鄲法が一つ、盾法の活を最大稼働して心臓の修復に努めているが、まるで追いついていない。単純な物理破壊もそうだが、呪術的な破壊が為されているため治癒が極端に遅いのだ。元々盾法の素質は低い百合香である。先延ばしにしているだけで、数分以内の死を免れることはできないであろうと予測できた。
そのことについて、恐怖のようなものは特にない。
惜しいとは思うが、大して執着するような命でもない。
故にこの結末自体は、役目を果たした以上はさして悪いものではないのだが。
「───百合香嬢!」
「……ああ。セイバー殿、ですか」
既に視力を失った体が抱き起される。
肩を抱かれて、けれどそこにあるであろう掌の暖かさすら最早感じない。
「……致命傷だ。最期に言い残すことはあるか、百合香嬢」
「わた、くしは……」
苦悶に満ちた声が聞こえる。
本当ならば状況の仔細を聞きたいであろうに。傷の深さを悟って遺言に譲るとは、騎士の矜持か人道であるのか。
どこまでも真面目な人だ。
だからこそ、自分の死にはお誂え向きなのだろう。
「……アサシンです。呪術的に心臓を直接破壊する宝具を持つ……それ以上は……」
「……そうか。情報に感謝する。しかし君は」
「ええ、最期にやり残したことが、一つだけ」
百合香は感覚すら当の昔に消えた腕を持ち上げ、そこにあるはずの輝きに命じた。
「令呪を以て命じます……アーチャー、全ての真実を暴き立てなさい……その先に何が待ち受けようと、心折れることなく」
壊れかかった耳に、何かが落ちる音が聞こえた。
腕の力が失われたか。とうとう死期も近いらしい。
「……生憎ですが、わたくし自身に思い残すことなど何もないのですよ……それほど、価値のある人生ではなかったので……」
「だが、それでも君は希望を残した。数多の人々にとっての希望だ。それは公人としての責務であったかもしれない。けれどそれすら価値はないと、君は思っているのか」
セイバーの声が、掠れ気味に聞こえる。
安易な同情ではなく、それは確かな事実として。
ああ、確かに。それはその通りなのだろうけど。
そして、そんなことを言ってくれる人が最期に傍にいるということ自体、相当に恵まれているのだろうけど。
「───……」
それでも、その全てに価値を感じることができない自分というものが、今になって少しだけ恨めしいと思った。
そして、意識は浮かばぬ無明の闇へ。
"心"を失った人間が、人として生きられる道理がないのと同じように。辰宮百合香は静かに息を引き取った。
▼ ▼ ▼
最近、わたしは学校が好きだ。
そう言うと変だって言われそう。
でも、考えてみてほしい。学校って凄いんだよ?
物理実験室は変な機械でいっぱい。
音楽室。綺麗な楽器と怖い肖像画。
放送室。学校中がステージ。
なんでもあって、まるで一つの国みたい!
こんな変なたてもの、他にはない!
中でもわたしが好きなのは……
「おっはよーぅ! みんなー!」
「うお!? いきなり脅かすな!」
バシーン! と勢いよく扉を開けて、元気にあいさつ。
教室にはもういつものメンバーが揃っていて、テーブルの上には美味しそうなカレーがほかほか湯気を上げているのです。
「おはようゆきちゃん。今日はいつもより早いのね」
「えへへー、今朝はちょっぴりがんばったんだー。もっとほめてほめてー」
「いや、言うほど頑張れてないだろゆき」
「ですね。いつもより早いとは言っても結局一番最後ですし」
「ひどい!?」
とまあこんな感じで、毎朝恒例のやり取りしてるのが我ら「学園生活部」の栄えある部員一同なのです。
おしとやかに笑ってるのは「りーさん」。やさしくって頭が良くて、みんなの頼れるお姉さん。
ショベル片手に座ってるのは「くるみちゃん」。八重歯がチャーミングポイントの女の子。明るくていつも元気で、とてもかっこいい! でもその座り方はちょっと女の子らしくないと思う。
すました顔で頷いてるのは「みーくん」。学園生活部では最年少。わたしやくるみちゃんよりずっと大人びててクールなんだけど、でも本当は凄く可愛い子なんだよ!
「はいはい、漫才はそこまでにして、冷めないうちに食べちゃいましょうか」
「わぁ~~~~カレーだぁ! 美味しそうだねりーさん!」
「そこ、犬みたいにがっつかない」
「……いや、話が進まないんで落ち着きましょう」
というわけで。
「みんな、手を合わせて」
「「「「いただきまーす!」」」」
とまあ、わたしたちの日常はこんな感じです。
学園生活部とは!
心得一条、学園での合宿生活によって授業だけでは触れられない学園の様々な設備に親しむと共に……
……えっと、つまり学校で寝泊まりしようっていう部活です。
だけどね、これがすっごく楽しいの!
りーさんもくるみちゃんもみーくんも皆大好きで、もうそれだけで人生満足しちゃう!
でもね、最近また良いことがあったんだよ。
なんと、学園生活部に「体験入部」した人たちがいるのです!
「おお、よく参られたな由紀殿。今ちょうど茶請けの菓子などを出していたところでして、良かった由紀殿もご一緒にいかがですかな?」
「え、いいの? わぁい! アサシンさんはやっぱり優しいなぁ……えへへー」
ということで紹介します! 体験入部第一号のアサシンさんです!
全身黒尽くめでドクロのお面を被ってるから、ちょっと怖い感じがするけど……でも本当はとっても親切でとっても優しい、気配り上手な良い人なんだー。
最初はみんなにも怖がられてたけど、でもすぐに打ち解けちゃったあたり、やっぱりアサシンさんは良い人だよぉ、って。そんなこともあったなぁ。
「こんにちはー!」
バシーン! と、朝と同じく勢いよく扉を開ける。
そこにいたのはなんと四人。アサシンさんも合わせると五人! す、すごいよ。学園生活部が一気に倍以上に増えちゃってるんだよ!? なんか感慨深いよねぇ。
「こんにちは、ゆきさん。授業のほうはどうでしたか?」
落ち着いた様子で聞いてくるのはアイちゃん。なんとみーくんさえ下回る学園生活部最年少! まだ12歳で、初等部からこっちに通ってきてるんだって。まだ小さいのにすごいなぁ。
「うーん、ちょっと分かんないとこばっかで眠くなっちゃって……」
「むぅ、居眠りとは感心しませんね」
「う、ごめんね……」
「でも、ちょっと分かるかも。こんなにあったかいとお昼寝したくなっちゃうよね」
助け舟を出してくれたのは
すばるちゃん。引っ込み思案で大人しい、何気に今まで学園生活部にはいなかったタイプの子です。部のマスコット役を取られそうでちょっと心配です。
「そこらへんにしとけ。確か今日は入部の手続きとかあって色々やるんだろ? 早くしないと昼休み終わっちまうぞ」
「そうね。でも肝心の先生が来ないことには……」
と、そんなことを言ってくるのはセイバーさんとアーチャーさん。二人はアイちゃんとすばるちゃんの保護者みたいな人で、心配だから一緒に入ったんだって。
でも本当は二人ともわたしより年下なんだよ。セイバーさんはみーくんと同い年で、アーチャーさんはなんと中等部! うーん、世の中は広いねー。
「それじゃあ、わたしがめぐねえ呼んでこよっか」
「いいんですか?」
「いいのいいの! わたしもめぐねえに会いたかったし!」
そのままばびゅーん!と部屋を出て全力疾走。明るい廊下を駆けていきます。
お昼休みで廊下は人でいっぱい。でも学園生活部のわたしにはこのくらい朝飯前、すいすいと縫うようにすり抜けていきます。
「あ」
と、廊下の向こうに見慣れた顔を発見しました。
紫のウェーブヘアーを白いリボンでまとめた、同じ生徒にも見えるような人。
わたしたち学園生活部の顧問で、今わたしが探してた人。つまり。
「めぐねえーっ! 探したよーっ!」
「ひゃあ! って、ゆきちゃん。もう、めぐねえじゃなくて佐倉先生でしょ?」
なんて、こんなやり取りもいつもの風景です。えへへと笑ってごまかすと、めぐねえは「仕方ないんだから」といったふうにしています。
この人はめぐねえ。国語の先生をしてる実はすごい人で、学園生活部の顧問でもある人なのです。
いつも優しくにこにこ笑顔で、でも叱る時は厳しく叱ってくれる、生徒想いのとってもいい先生なんですよ。
「それよりめぐねえ、今日はみんなと話し合う日だよ」
「分かっています。だからこうして部室に向かってたんだから」
「あ、そっかー」
と、そのままわたしたちは二人並んで歩いているのでした。
開いた窓から流れてくるそよ風が気持ち良くて、明るい陽射しはぽかぽかあったかい。
いい小春日和です! あ、ちなみに小春日和って言葉は春には使えないんだって。こないだめぐねえに教えてもらったんだー。
「ねえ、ゆきちゃん」
「ん? なあに、めぐねえ」
「ゆきちゃん、最近変わったわね」
んー?
「そっかなぁ」
「ええ、とっても。明るくて、楽しそうで」
「そりゃあ毎日楽しいですから。明るくもなるってもんですよ、ふふん」
そう、毎日がとても楽しい。
学園生活部のみんなといるのが楽しい。新しい人たちと知り合えたのも楽しい。何気なく過ごす日常が、とても眩しくて愛おしい!
そして、何より。
「それにめぐねえもいるし」
「え?」
「ううん、なんでも」
はにかんで顔を伏せ、えへへと笑う。
めぐねえやみんなと一緒にいられるというだけのこの日常が、まるで夢みたいだなんて。
そんなこと、流石のわたしでもちょっと恥ずかしいのです。
「あのね、めぐねえ。わたしとっても幸せだよ」
「……」
「たまにね、夜眠る時に怖い夢を見ちゃったりするんだけど。でも、不安なのはそれくらいだし。朝起きたらみんながいるから、いくらでも我慢できるもんね!」
「……ん…」
「だからね、めぐねえ。めぐねえたちがいるなら、わたしは……」
「ごめんね、ごめんねぇ……」
「……めぐねえ?」
あれ、なんで泣いてるの?
どうしたの、何か悲しいことでもあった?
わたしもめぐねえもみんなも、何も悪いことなんてないのに……
「泣かないで、めぐねえ。わたしたち、こんなに幸せなのに。泣くことなんかないよ」
「うん、うん……! 幸せだった。楽しかった! だから、ごめん。ごめんなさい……ゆきちゃん、ごめんね……!」
どうしていいのか分からなくておろおろする。めぐねえ、なんで泣いてるの?
悲しいよ。大好きな人が悲しんでるのを見るのは、とっても悲しいよ。なんで、めぐねえの悲しみは、なに?
「この夢はとても幸せだけど、でも、私はもういなくなっちゃうから……!」
「え……?」
「ごめんね、先に死んじゃって、もう会えなくなって……!」
「めぐねえ、何言って……」
そうして、
めぐねえはがくりと、不自然に立ちあがって。
「大好きだよ……ゆき、ちゃん……」
「あ───……」
そのまま、どこかへ引っ張られるように。
突然、消えて、なくなって。
沈黙。
静寂。
ぽつり、と。わたしは一人だけ残されて。
『斯くして演者は舞台袖へ。観客は一人取り残されるのみ』
「あえ、え……?」
いつの間にか、わたしの隣に男の人がいました。
白くて、黒い男の人。白いスーツを着て、肌はとても黒くて。どこか外国の、遠い国の人?
へたれこんだわたしを見下ろして。ねえ、あなた、誰?
『選べ』
「え?」
『選ぶがいい。丈倉由紀、夢想の申し子よ。この街に顕象されるより以前に悦楽の夢に沈んだ人の子よ。君には選ぶ義務がある』
男の人はそう言って、腕を払って。
いつの間にか、わたしの周りの風景が様変わりしていた。
綺麗な白い廊下はボロボロに荒れ果てて。
ぽかぽかの陽気は暗い曇り空になって。
あれだけいた生徒たちは、もう一人もいない。
『選べ。何も残されてはいないが全てが本物たる現実への帰還か。あるいは全てが与えられるが何もかもが幻でしかない夢に留まるか。
君だけが選べる。選ばなければ、君は先には進めない』
「わたし、が……」
男の人の言っていることは、正直よく分からない。
今わたしがどうなっているのか、めぐねえがどうなったのかも分からない。
男の人は、お面みたいな笑いを、顔に張り付けて。
「わたしは……」
わたしは───
「わたしが、選ぶのは……」
………。
……。
…。
────────────────────────。
「解かねば……この縛り、解除せねば我々に未来はない……!」
夜を駆ける影が一つ。それは目にも止まらぬ速さで、しかし隠し切れぬ焦燥を滲ませて跳躍する。
失態だ、失態だ! 事態を解決するつもりが、新たな不利益を呼び込んでしまった!
聖杯求める者の皆殺し、そのこと自体は構わない。元よりこの身は暗殺の徒、いずれは己ら以外の全てを殺さねばならぬのだから。
しかし無差別に殺戮へと駆動する制御の利かない肉体と、恐らくは己のマスターさえも手にかけんとするその衝動は認められない!
この縛、早々に解かねば自滅するが自明の理。術者の死亡と共にその効能は薄れるだろうが、しかしいつまで続くものか。
身を隠さねばならない。人目に触れず誰からの干渉もなく、故に誰をも殺すことのない無明へと。一時この身を沈めねばならない。
そのはずであったが。
「──────ッ!?」
突如迫りくる四条の銀光を叩き落とし、ハサンは周囲を警戒する。
右、左と見回して、次いで仰ぎ見た頭上より降りかかるは、黒衣と髑髏の白い面。
───全く同じ二人ではあった。
───けれど出自を全く異なるものとした二人でもあった。
垂直に襲い来る槍の穂先を辛くも捌き、着地するその影と対峙する。
長大かつ近代的な槍を構える影に対し、ハサンは懐より多量のダークを取り出す。
ここに至るまで気配を感知できなかったということは、相手は自分と同じアサシンか。意匠すら酷似しているが、歴代ハサンのいずれかではあるまい。もっと近代の、暗殺ではなく直接戦闘に特化した部類の反英霊だろう。
アサシンの厄介さは、他ならぬアサシン自身が熟知している。殺気を垂れ流す今の自分を捕捉するは容易であり、ならばこそ討滅できる今こそ好機と踏んだか。理解できる、仮に自分が同じ立場なら確実に同じことをするはずだ。
いずれにせよ、この身を縛る強制命令がある以上、戦いは不可避であり。
踏み込む足と同時に、ハサンは強く思うのだ。
(ユキ殿、どうか起きておられよ───!)
ぶつかり合う刃と刃の衝突に、しかし彼は殺意ではなく、ただ主の帰還をこそ望むのだった。
………。
……。
…。
────────────────────────。
「わたしは、ここにいます」
『……』
「わたしたちは、ここにいます。それでいいんです。きっと、それだけで」
立ち上がり真っ直ぐに男を見つめる由紀の隣には、いつの間にか
佐倉慈の姿があった。
先ほどまでの嘆きに暮れる彼女ではない。純粋に日々を謳歌する偽物の彼女が、そこにはいた。
何を言う暇もなく、二人は手と手を取り合うと、廊下の向こうへと消えていった。
丈倉由紀は、現実を直視する最後のチャンスを拒絶して、もう一度夢の世界に浸るのだ。
彼女は狂っていたわけではない。
自暴自棄になったわけでもない。
欲に目がくらんだわけでもない。
理性を働かせ、よく考え、深く思考し、それでも彼女は身を滅ぼす道を選んだ。
丈倉由紀は悪人ではない。
先の展望すらできぬ愚者でもない。
ただ、弱かっただけだ。
一人では生きられないほどに、か弱い一人の人間だったというだけだ。
世界が歪み、暗転し、意識が夢から現実へと浮上する。
その感覚の中で、男はただ、静かに呟いて。
『果て無きものなど』
『尊くあるものなど』
『すべて、すべて』
『あらゆるものは意味を持たない』
『───例えば』
……………………。
夢だということはわかってる。
夢でも構わない。
みんなのいない世界なんて夢ほどの価値もない。
夢を夢と気付くまでわたしは夢に浸り。
夢を夢と気付いたらわたしはまた夢に還る。
それを馬鹿みたいに繰り返す。
いつか夢の世界の虚しさに耐えきれなくなったら、現実に戻る日が来るのかもしれない。
でも、それまでは。
現実の虚しさに耐えきれない今はまだ。
夢の世界に溺れていたい。
みんな、ごめんね。
みんなのことは忘れないから。
この夢の世界でみんなと一緒に過ごすから。
だからわたしの我儘を許してください。
………。
……。
…。
────────────────────────。
夜闇が占める漆黒の木陰で。
一人眠る少女がいた。少女は、安らかで幸せそうな寝顔をして、穏やかな寝息を立てている。
温かみのある光景ではあった。けれど、内実を鑑みれば残酷な光景でもあった。
退廃の夢へと人を沈める病原は既に討伐されたというのに。それでも少女は夢に浸る。
耐えきれない"現在"を拒絶するかのように。有限の過去を無限に再生するかのように。
そして夢を求める少女の意思に呼応して、夢への適応が加速するのだ。
夢へ、永遠の眠りへ。
少女はひたすら沈んでいく。
現実へ戻る"いつか"など、当の昔に失われている。
『例えば』
『肉体が死ねば何の意味も、ない』
虚空には、嘲笑の声だけが響いている。
▼ ▼ ▼
そして、諦める者がいるのと同じく、諦めない者もまた此処には在った。
「散れよ貴様ら。墓から這い出た者が囀るな」
「──────ッ!?」
声と同時、藤四郎に群がろうとしていた屍の群れたちが、その脅威も嘘であるかのように一瞬にして灰と消えた。
凄まじい熱が、藤四郎の背中を襲った。あまりの衝撃に思わず目を閉じて、しかし次に来るべき苦痛の何もかもが来ないことに訝しみ視線をあげると、そこには新たな影が立っていた。
赤い、女だった。
火事に燃え盛る炎よりも尚赤く、苛烈な内面が滲み出ているかのような女だった。
紫煙を口から燻らせて、何物をも睥睨して止まぬ不遜の目をして。
それはあのライダーと同じ、高みから人を見下す類のものであった。
ライダーと同じく、下を顧みぬ傲岸なる者の視線であった。
「問おうか小僧。貴様は戦士か、それとも否か」
「……ボクは、」
「貴様の有り様など見れば分かる。サーヴァントを失い、居場所さえ失い、だがそれでも剣を手放さぬ姿勢。結構ではないか。
この程度の苦境で嘆くような軟弱者だったならば、捨て置き私も潔く消えていたのだがね。貴様は劣等だが、その中ではまだまともな部類ではあるらしい」
……何だと言うのだ、こいつは。
その言葉で、彼女がマスターを失ったサーヴァントであることは察せられた。にも関わらず、この尊大どころの話ではないでかい態度は何なんだろうか。まるでプライドが肥大化して人の形をしているかのようだ。ライダーとは違った意味で、まともな性格をしていない。
あちらが小物だとすれば、こちらは現実を見ない馬鹿。
そうであるはずなのに、藤四郎には選択の余地などなくて。
「ボクは、戦う」
「……」
「言われなくてもそうするさ。嘆きも悔やみもしない、ただ勝つことだけを目指す。そして聖杯を、この手に……」
いち兄を生き返らせる。
それだけを誓い、戦ってみせよう。そのためだけにボクは生きよう。
その意思を瞳に宿して、赤い女を一心に睨みつけて。
「……及第だ」
瞬間、手足を貫いていた糸が焼却された。
寸分の狂いもなく糸だけを焼き尽くした炎。全身を襲う衝撃に咽込み、しかし気概で負けてはならぬと必死に立ちあがる。
立ち上がって尚ボクよりもずっと背の高い女は、見下す視線で笑っていた。
「貴様を仮の主として認めてやろう。どの道あの売女よりはマシだ。全く、最期に下らん令呪まで残して逝くとは、つくづく救えん女だよ。そして」
「ぐ、うああああああああああああ!?」
「その傷、塞がねば命に係わるのでな。要らぬ節介だが焼いておいた。これで当面、死ぬことはなかろうよ」
切断された右腕の断面を、炎が焼いていた。苦痛に耐えきれず悲鳴を上げる。歯を食いしばり大量の汗と涙があふれ出て、幾ばくかの拷問を味わった果てに見遣れば、そこには出血の余地もないほどに炭化した傷口があった。
血は止まった。あとは藤四郎の体力と気力が勝つか、その勝負にかかっている。
「さあ、立ち上がったらならば敵を示せよ。貴様の執念、その程を見せるがいい」
「……敵なら、いる」
「ほう?」
思い起こすは先の情景、自分を裏切ったライダーの姿。
藤四郎は今まで伏して己がサーヴァントのもたらす恩恵に縋ってきたか───いいや違う。
彼は彼なりに努力し、勝利のために行動してきた。己がサーヴァントの行動を、少なくともどこで何をしているのかという情報だけは逐一仕入れていた。
午後の段階で、ライダーは何処かへ交渉へと赴いた。
夜の段階で、ライダーは黒服たちを伴ってランサーのマスターを連れ出した。
黒服が受け取ったという、鎌倉市長からの直通通信。連絡が途絶えた八幡宮への出向組。飛び去っていった方向。
再契約相手が八幡宮にいたとは考えづらい。そうであるならばそもそもランサーのマスターなどという特大の厄ネタを連れていく意味がないし、いずれ始末する黒服を無駄に分散させる必要もないからだ。
となれば、現状可能性が高いのは……
「敵の名前はライダー、ドンキホーテ・ドフラミンゴ。奴は今、鎌倉市役所にいるかもしれない」
………。
……。
…。
────────────────────────。
▼ ▼ ▼
林の小さな片隅で、これまた小さな墓守がショベルを振っている。
小さな少女、必死に穴を掘る。大きなショベルを力いっぱい使い、土に刃を刻み込み、テコの原理で引っぺがして籠に入れる。
ごりごりごり、どさどさどさ。
小さな墓守、穴を掘る。
腰のあたりまで掘り込まれた地の底で、アイはふうと息を吐いた。腰を伸ばして西の空を見る。視線の先の月はその輝きを露わにして、びゅうと鳴る風も大分冷たい。
アイは意を決したように穴から飛び出し、傍らに置かれた何かを掴む。それはアイよりずっと大きく、何かよく分からないごちゃごちゃとしたもの。アイはそれを力づくかつ丁寧に、今まで掘っていた穴の中に入れた。
どさり、と重い音。
その全身がきちんと穴に入ったことを確認すると、今度は掘り返した土をざくざくと穴の中に入れ始めた。ショベルが目まぐるしく回転し、そのうち穴の中にあったものは、土に埋もれて見えなくなってしまった。
「誰か埋めたのか」
すぐ隣で声がした。振り返らずとも誰か分かる。アイは視線を動かすことなく、声だけで返事をした。
「はい。私とセイバーさんが出会った、あの女の人です」
「……そうか」
「殺して、とあの人は言いました。人であろうとして、けれど人ではなくなってしまったあの人。姿さえも異形に変わってしまって。自分の意思すらも見失って。
だから、私は……」
「お前は間違っちゃいないよ。それが奴の最後の願いだった。なら、お前は間違えちゃいない」
「はい……」
すばるたちと出会った後、アイはすばるに頼み込んでドライブシャフトの力を使ってもらった。あの杖には認識阻害の機能が搭載されているから、隠れて近づくにはうってつけだと思ったのだ。すばる以外には使えない力だから彼女は当然同行してもらい、
キーアも一人放っておくわけにはいかないので来てもらい、結局は三人揃ってあの場所まで戻ってきたのだ。
蓮とランサーがいるはずの場所へ。異形へ変わってしまった少女のいた場所へ。
結果として、そこにはもう誰もおらず骨折り損になってしまったけど。ぱりんと結界が解けてから、すぐ近くで悲鳴が聞こえたアイはすぐさま駆け出し、その現場まで急行した。
そこにあったのは、アイより少し年上の少女を襲おうとする、見覚えのある異形の姿で。
アイは彼女の最後の願いを、心の中で反芻した。
『逃げて、殺して、逃げて、殺して、お願い、わた、し、を、殺し、て、もう終わり、にして……』
自らの死を願うほどに自罰的な彼女が、果たして他者を傷つけるなんてことを許容するだろうか。
そう考えた瞬間には、既にアイはショベルを大きく振りかぶって。
勢いよく振り下ろされたショベルの刃は、異形を縦に真っ二つにしていた。
「ところで、念話も寄越さないでセイバーさんはどこ行ってたんですか。パスが切れてなかったから万が一ってことはないと思ってましたけど、それでも心配なものは心配なんですよ」
「いい加減埒が明かなくてな、『幸福』の本体を叩こうと思ったんだよ。ああそれと、俺以外のセイバーに会ったんだけどさ」
「それ多分キーアさんのサーヴァントですね。キーアさんならすばるさんと一緒に向こうにいますよ」
「OK、何でお前まで一緒にいるんだとかは言わないでおくわ。話が早くて助かる」
そう言うと、二人は並んでぞろぞろ歩きだした。藪を一つか二つ越えたあたりに、その少女らはいた。
すばる、金髪の少女と何かを話している。騎士のセイバーの言う通り、何故かここにいた。彼女はこちらに気付くと、少しバツが悪そうに頭を下げた。軽く手を上げて応える。事によっては後で少し言い含めておく必要があるかとも思っていたが、この様子なら別にいらないようだ。
すばるに向き合って何か話す少女。金髪の、アイと同じく日本人ではない。彼女があのセイバーのマスターなのだろうか。すばるに次いでこちらに気付くと、にこりと微笑んで会釈してきた。完璧な所作と角度であった。なるほど、あの騎士とはお似合いだなと心の中だけで思った。
「おかえりアイちゃん。そしてセイバーさんも」
「はい、ただいま帰りました。すばるさんもキーアさんも、大事はないみたいですね」
「ええ。ありがとうアイ。それと初めまして。みんなから話は聞いています」
「ああ、よろしく。で、それはいいんだけどさ」
手を差し伸べるキーアに応えつつ、蓮は不可思議なものでも見るかのような目で、"それ"を見ていた。
ふと視線を横にずらせば、すばるの右手に輝くのは令呪の赤い光。サーヴァントを失った彼女からは無くなったはずのそれが、今は煌々と輝いて。
ああつまり、これは───
「悪いが説明してくれ。"こいつ"は、なんだ?」
蓮の視線の先。そこには、どこかの学校の制服を着た中学生くらいの少女が、呆けた表情で座り込んでいるのだった。
▼ ▼ ▼
今や彼女を縛るものは何もなかった。
守るべきマスターも、救うべき誰かもいなくなった。
友奈は自由だった。
使命も、勇気も、正義も、勇者の力も何もかも。友奈がやらなければいけないことは一つだってなかった。
全てが失われた。
ただ、自由だけがあった。
最期に残されたものがそれだった。
戦う意味も、信じた理想も、守ろうと誓った誰かもいなくなった友奈に残された、最後の砦が自由だった。
救いたいと願ったマスターは、最初から友奈のことなど見てもいなかった。
願いを託されたと思っていた少女に、本当にかけられていたのは呪いだった。
みんなの笑顔を守りたいと言いながら大勢の笑顔を奪った。
信じた理想は他ならぬ自分の手で完膚無きまでに踏み躙った。
唯一の頼りだった勇者の力は、自分を見限ったかのように消え失せた。
その果てに、自分を殺しに来た被害者すら、目の前で壊れて死んだ。
あの子はもういない。
友奈の罪を裁いてくれる人はもういない。
殺されることによる贖罪の機会すら、友奈は永遠に失ってしまった。
友奈には、何もないという自由しかなかった。
寒々しいまでに広く何もない世界が、目の前に広がっていた。
「……はは」
友奈は声を上げて笑った。虚ろな目で、口だけを動かして笑った。
頭上では、絶望的に白い月光が輝いていた。
友奈は哂っていた。ずっとずっと哂っていた。
そうでもしなければ、気が狂いそうだった。
【キャスター(『幸福』)@地獄堂霊界通信 消滅】
【佐倉慈@がっこうぐらし! 再殺】
【辰宮百合香@相州戦神館學園八命陣 死亡】
【如月@艦隊これくしょん(アニメ) 再殺】
【結城友奈@結城友奈は勇者である
ランサーとしての霊基喪失。
ロストマンとして霊基再臨】
『B-3/鶴岡八幡宮/一日目・夜』
【すばる@放課後のプレアデス】
[令呪] 三画
[状態] 深い悲しみ
[装備] ドライブシャフト
[道具] 折り紙の星
[所持金] 子どものお小遣い程度。
[思考・状況]
基本行動方針: 聖杯戦争から脱出し、みんなと“彼”のところへ帰る……そのつもりだった。
0:……
[備考]
C-2/廃校の校庭で起こった戦闘をほとんど確認できていません。
D-2/廃植物園の存在を確認しました。
ドライブシャフトによる変身衣装が黒に変化しました。
ランサー(結城友奈)と再契約しました。
【ロストマン(結城友奈)@結城友奈は勇者である】
[状態]魔力消費(超々極大・枯渇寸前)、疲労(極大)、精神疲労(超々極大)、精神崩壊寸前、神性消失、霊基変動。
[装備]
[道具]
[所持金]
[思考・状況]
基本行動方針:……。
1:……。
[備考]
神性消失に伴いサーヴァントとしての戦闘力の一切を失い、また霊基が変動しました。
クラススキル、固有スキル、宝具を消失した代わりに「無力の殻:A」のスキルを取得しました。現在サーヴァントとしての気配を発していません。現在のステータスは以下の通りです。
筋力:E(常人並み) 耐久:E(常人並み) 敏捷:E(常人並み) 魔力:- 幸運:- 宝具:-
すばると再契約しました。
【
アイ・アスティン@神さまのいない日曜日】
[令呪] 三画
[状態] 疲労(中)、右手にちょっとした内出血
[装備] 銀製ショベル
[道具] 現代服(収納済み)
[所持金] 寂しい(他主従から奪った分はほとんど使用済み)
[思考・状況]
基本行動方針:脱出の方法を探りつつ、できれば他の人たちも助けたい。
1:"みんな"を助けたかった。多分、そういうことなんだと思う。
2:ゆきの捜索をしたいところだが……
3:生き残り、絶対に夢を叶える。 例え誰を埋めようと。
4:ゆきを"救い"たい。彼女を欺瞞に包まれたかつての自分のようにはしない。
5:ゆき、すばる、キーアとは仲良くしたい。アーチャー(
東郷美森)とは、仲良くなれたのだろうか……?
[備考]
キーア&セイバー(
アーサー・ペンドラゴン)と邂逅しました。
【セイバー(
藤井蓮)@Dies Irae】
[状態] 右半身を中心に諧謔による身体破壊(大・修復中)、疲労(大)、魔力消費(中)、全身にダメージ
[装備] 戦雷の聖剣
[道具] なし
[所持金] マスターに同じく
[思考・状況]
基本行動方針:アイを"救う"。世界を救う化け物になど、させない。
1:聖杯を手にする以外で世界を脱する方法があるなら探りたい。
2:悪戯に殺す趣味はないが、襲ってくるなら容赦はしない。
3:ゆきの使役するアサシンを強く警戒。
4:市街地と海岸で起きた爆発にはなるべく近寄らない。
5:ヤクザ連中とその元締めのサーヴァントへの対処。ランサーは……?
[備考]
バーサーカー(
アンガ・ファンダージ)、バーサーカー(式岸軋騎)を確認しました。
すばる&アーチャー(東郷美森)、キーア&セイバー(アーサー・ペンドラゴン)とコンタクトを取りました。
アサシン(ハサン・サッバーハ)と一時交戦しました。その正体についてはある程度の予測はついてますが確信には至っていません。
C-3とD-1で起きた破壊音を遠方より確認しました。
ライダー(ドンキホーテ・ドフラミンゴ)を無差別殺人を繰り返すヤクザと関係があると推測しています。
ライダー(
ゲッツ・フォン・ベルリッヒンゲン)及びアサシン(
アカメ)と交戦しました。
ランサー(結城友奈)の変質を確認しました。
【キーア@赫炎のインガノック-What a beautiful people-】
[令呪]三画
[状態]健康、決意
[装備]なし
[道具]なし
[所持金]子供のお小遣い程度
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯戦争からの脱出。
0:……えっと?
1:もう迷わない。止まることもしない。
[備考]
【セイバー(アーサー・ペンドラゴン)@Fate/Prototype 蒼銀のフラグメンツ】
[状態]魔力消費(大)、全身にダメージ、七孔からの墳血(修復済み)、疲労(大)
[装備]風王結界
[道具]なし
[所持金]なし
[思考・状況]
基本行動方針:キーアを聖杯戦争より脱出させる。
1:キャスターの言を信じ成すべきことを成す。
2:赤髪のアーチャー(エレオノーレ)には最大限の警戒。
[備考]
衛宮士郎、アサシン(アカメ)を確認。その能力を大凡知りました。
キャスター(壇狩摩)から何かを聞きました。
傾城反魂香にはかかっていません。
『D-3/ホテル周辺/一日目・夜』
【
イリヤスフィール・フォン・アインツベルン@Fate/stay night】
[令呪]二画、魔力消費(中)、疲労(中)
[状態]健康、盲目
[装備]
[道具]
[所持金]黄金律により纏まった金額を所持
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯を手にし、失った未来(さき)を取り戻す。
0:こいつらは……?
1:ある程度はアーチャーの好きにやらせる。
[備考]
両目に刻まれた傷により視力を失っています。肉体ではなく心的な問題が根強いため、治癒魔術の類を用いても現状での治療は難しいです。
【
ギルガメッシュ@Fate/Prototype】
[状態]健康
[装備]
[道具]現代風の装い
[所持金]黄金律により纏まった金額を所持
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯戦争を勝ち抜き、自分こそが最強の英霊であることを示す。
0:?????
1:全ては下らぬ座興である。
2:自らが戦うに値する英霊を探す。
3:時が来たならば戦艦の主へと決闘を挑む。
4:人ならぬ獣に興味はないが、再び見えることがあれば王の責務として討伐する。
[備考]
叢、乱藤四郎がマスターであると認識しました。
如月の姿を捕捉しました。
バーサーカー(
ウォルフガング・シュライバー)を確認しました。
【
アティ・クストス@赫炎のインガノック- what a beautiful people -】
[令呪] 三画
[状態] 健康、正体不明の記憶(進度:極小)
[装備] なし
[道具] なし
[所持金] アーチャーにより纏まった金額を所持
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯に託す願いはある。けれどそれを聖杯に望む気はない。
0:何が……
1:自分にできることをしたい。
[備考]
鎌倉市街の報道をいくらか知りました。
ライダー(
アストルフォ)陣営と同盟を結びました。
アーチャー(ストラウス)の持ち込んだ資料の一部に目を通しました。それに伴い思い出せない記憶が脳裏に浮かびつつあります。が、そのままでは完全に思い出すのは困難を極めるでしょう。
【アーチャー(
ローズレッド・ストラウス)@ヴァンパイア十字界】
[状態] 健康。
[装備] 魔力で造られた黒剣
[道具] なし
[所持金] 纏まった金額を所持
[思考・状況]
基本行動方針:マスターを守護し、導く。
0:?????
1:最善の道を歩む。
2:赤の砲撃手(エレオノーレ)、少女のサーヴァント(『幸福』)には最大限の警戒。
3:全てに片がついた後、戦艦の主の元へ赴き……?
[備考]
鎌倉市中央図書館の書庫にあった資料(主に歴史関連)を大凡把握しました。
鎌倉市街の電子通信網を支配する何者かの存在に気付きました。
如月の情報を得ました。
笹目ヤヤ&ライダー(アストルフォ)と同盟を結びました。
廃校の校庭にある死体(
直樹美紀)を確認しました。
B-1,D-1,D-3で行われた破壊行為を認識しました。
『幸福』を確認しました。
廃校の資料室に安置されていた資料を紐解きました。
確認済みのサーヴァント:
ランサー(
No.101 S・H・Ark Knight)、アーチャー(東郷美森)
真名を把握したサーヴァント:
アーチャー(エレオノーレ)、ライダー(マキナ)、ライダー(アストルフォ)、アサシン(
スカルマン)
【笹目ヤヤ@ハナヤマタ】
[令呪]三画
[状態]魔力消費(中)、忘我、精神疲労(大)
[装備]
[道具]
[所持金]大分あるが、考えなしに散在できるほどではない。
[思考・状況]
基本行動方針:生きて元の場所に帰る。
0:……
1:聖杯獲得以外に帰る手段を模索してみたい。アーチャーが良いアイデアあるって言ってたけど……?
2:できる限り人は殺したくないからサーヴァント狙いで……でもそれって人殺しとどう違うんだろう。
3:戦艦が妙に怖いから近寄りたくない。
4:アーチャー(エレオノーレ)に恐怖。
5:あの娘は……
[備考]
鎌倉市街に来訪したアマチュアバンドのドラム担当という身分をそっくり奪い取っています。
D-3のホテルに宿泊しています。
ライダーの性別を誤認しています。
アーチャー(エレオノーレ)と交戦しました。真名は知りません
ランサー(No.101 S・H・Ark Knight)を確認しました。真名は知りません
如月をマスターだと認識しました。
アーチャー(ローズレッド・ストラウス)と同盟を結びました。
【ライダー(アストルフォ)@Fate/Apocrypha】
[状態]魔力消費(中)
[装備]宝具一式
[道具]
[所持金]マスターに依拠
[思考・状況]
基本行動方針:マスターを護る。
0:───変わらないね、君は。
1:基本的にはマスターの言うことを聞く。本戦も始まったことだし、尚更。
[備考]
アーチャー(エレオノーレ)と交戦しました。真名は知りません
ランサー(No.101 S・H・Ark Knight)を確認しました。真名を把握しました。
アーチャー(ローズレッド・ストラウス)と同盟を結びました。
アーチャー(ストラウス)の持ち込んだ資料の一部に目を通しました。
【B-4/元村組焼け跡/一日目 夜】
【乱藤四郎@刀剣乱舞】
[令呪]0画
[状態]右腕欠損、大量失血、疲労(大)、精神疲労(大)、思考速度低下、令呪全喪失、右腕断面を焼灼止血
[装備]短刀『乱藤四郎』@刀剣乱舞
[道具]なし
[所持金]燃えた
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯の力で、いち兄を蘇らせる
0:……僕は、戦う。
1:ライダー(ドンキホーテ・ドフラミンゴ)を殺す。
2:魂喰いを進んで命じるつもりはないが、襲ってくる相手と聖杯戦争の関係者には容赦しない。
3:ランサーを利用して聖杯戦争を有利に進める……けれど、彼女の姿に思うところもある。
[備考]
ライダー(ドンキホーテ・ドフラミンゴ)との主従契約を破棄されました。
現在はアーチャー(
エレオノーレ・フォン・ヴィッテンブルグ)と契約しています。
【アーチャー(エレオノーレ・フォン・ヴィッテンブルグ)@Dies irae】
[状態]魔力消費(中)、令呪『真実を暴き立てよ』
[装備]軍式サーベル
[道具]なし
[所持金]なし
[思考・状況]
基本行動方針:終わりにする。
0:――それが真実か。
1:黒円卓の誉れ高き騎士として、この聖杯戦争に亀裂を刻み込む。
2:戦うに値しない弱者を淘汰する。
3:セイバー(アーサー・ペンドラゴン)とアーチャー(ストラウス)は次に会った時、殺す
[備考]
ライダー(アストルフォ)、ランサー(No.101 S・H・Ark Knight)、アーチャー(ローズレッド・ストラウス)と交戦しました。
No.101 S・H・Ark Knight、ローズレッド・ストラウスの真名を把握しました。
バーサーカー(
玖渚友)から『聖杯戦争の真実』について聞きました。真偽の程は後の話に準拠します。
乱藤四郎と契約しました。
【C-2/鎌倉市役所/一日目 夜】
【浅野學峯@暗殺教室】
[令呪]4画
[状態]魔力消費(極大)、疲労(極大)、執念
[装備]防災服
[道具] 送迎車
[所持金]豊富
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯戦争に勝利する。
1:私は勝利する。
2:辰宮百合香への接触は一時保留。
3:引き続き市長としての権限を使いマスターを追い詰める。
4:ランサー(結城友奈)への疑問。
5:『幸福』への激しい憤り。
[備考]
※傾城反魂香に嵌っています。百合香を聖杯戦争のマスターであり競争相手と認識していますが彼女を害する行動には出られません。
ランサー(結城友奈)及び佐倉慈の詳細な情報を取得。ただし真名は含まない。
ライダー(ドンキホーテ・ドフラミンゴ)と主従契約を結びました。
【ライダー(ドンキホーテ・ドフラミンゴ)@ONE PIECE】
[状態]健康
[装備]
[道具]
[所持金]総資産はかなりのもの
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯を獲得する。
0:元村組はよく燃えますねェ!
1:ランサーと屍食鬼を利用して聖杯戦争を有利に進める。が、ランサーはもう用済みだ。
2:軍艦のアーチャーに強い危惧。
[備考]
浅野學峯とコネクションを持ちました。
元村組地下で屍食鬼を使った実験をしています。
鎌倉市内に複数の影騎糸を放っています。
ランサー(結城友奈)にも影騎糸を一体つけていました。しかしその影騎糸は現在消滅したため、急遽新たな個体をランサーの元に派遣しています。
上記より
如月&ランサー(アークナイト)、及びアサシン(スカルマン)の情報を取得しています。
乱藤四郎は死んだと思っています。
※影騎糸(ブラックナイト)について
ライダー(ドンキホーテ・ドフラミンゴ)の宝具『傀儡悪魔の苦瓜(イトイトの実)』によって生み出された分身です。
ドフラミンゴと同一の外見・人格を有しサーヴァントとして認識されますが、個々の持つ能力はオリジナルと比べて劣化しています。
本体とパスが繋がっているため、本体分身間ではほぼ無制限に念話が可能。生成にかかる魔力消費もそれほど多くないため量産も可能。
『A-3/六国見山周辺/一日目・夜』
【アサシン(ハサン・サッバーハ)@Fate/stay night】
[状態] 魔力消費(中)、焦燥、傾城反魂香の影響下(現在の影響:大)、疲労(中)、精神疲労(中)
[装備]
[道具] ダーク
[所持金] なし
[思考・状況]
基本行動方針:由紀を守りつつ優勝を狙う。状況が収まり次第迎えに行きたい。
0:アサシン(スカルマン)に対処。
1:由紀を目覚めさせる手段の模索。『幸福』のサーヴァントは倒されたはずだが……
2:アサシン(アカメ)に対して羨望と嫉妬
3:セイバー(藤井蓮)とアーチャー(東郷美森)はいずれ殺す。しかし今は……
[備考]
※B-1で起こった麦野たちによる大規模破壊と戦闘の一部始終を目撃しました。
※セイバー(藤井蓮)、バーサーカー(アンガ・ファンダージ)、バーサーカー(式岸軋騎)の戦闘場面を目撃しました。アーチャー(東郷美森)は視認できませんでしたが、戦闘に参加していたことは察しています。
※傾城反魂香によりある程度思考に誘導が掛かっています。しかし術者の死亡により時間経過で徐々に影響は無くなっていきます。
【アサシン(スカルマン)@スカルマン】
[状態] 疲労(小)
[装備]
[道具]
[所持金]マスターに依拠
[思考・状況]
基本行動方針:マスターに従い、敵を討つ。
1:アサシン(ハサン・サッバーハ)に対処
[備考]
※現在叢とは別行動を取っています。
※ランサー(結城友奈)、アーチャー(ストラウス)を確認。
【叢@閃乱カグラ SHINOVI VERSUS -少女達の証明-】
[令呪]三画
[状態]魔力消費(小)、迷い? 視界の端で黒い秒針が廻っている。
[装備]包丁、槍(破損)、秘伝忍法書、般若の面
[道具]死塾月閃女学館の制服、丈倉由紀
[所持金]極端に少ない
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯を手にし黒影様を蘇らせる。
0:私は……?
1:アサシン同士の戦闘を見守り、随時マスターとして援護する。
2:眠り続ける幼子(由紀)を利用する手段を考える。
[備考]
現在アサシン(スカルマン)とは別行動を取っています。
イリヤの姿を確認しました。マスターであると認識しています。
アーチャー(ギルガメッシュ)を確認しました。
現在丈倉由紀を確保しています。マスターだと気付いてますが、処遇は不明です。
【
丈槍由紀@がっこうぐらし!】
[令呪] 三画
[状態] 昏睡、叢に抱えられてる、衰弱進行(大・進行速度が加速)
[装備] なし
[道具] なし
[所持金] なし
[思考・状況]
基本行動方針: わたしたちは、ここに――
0:……めぐねえ?
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[備考]
※サーヴァント同士の戦闘、及びそれに付随する戦闘音等を正しく理解していない可能性が高いです。
※『
幸福という名の怪物』に囚われました。病原は除かれましたが今もなお起きる気配はありません。
※叢に拿捕されました。
最終更新:2019年06月03日 20:20