第一回戦修羅界 月読茎五
名前 |
性別 |
魔人能力 |
月読茎五 |
男性 |
倍にして返してやるぜ…! |
曼珠沙華深奈 |
女性 |
パラサイトフォース |
ロダン |
男性 |
アペリティフ |
採用する幕間SS
なし
本文
闘いの音が聞こえる。
闘争者のための、戦い続ける者の地獄。
――修羅界。
無限に広がる荒野のような世界で、戦士たちは闘いの先に何を見るのか。
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「……ケッ、地獄っつっても現世と大して変わりねーな」
戦い続ける亡者たちを見ながら、月読茎五はひとり呟く。
物心ついた時から喧嘩三昧の日々を過ごしてきた彼にとっては、
このような闘いの光景も日常的であった。
(俺も一歩間違えばコイツらの仲間入りってわけかよ、クソが)
邪魔な亡者をぶちのめしつつ、対戦者を探して歩き続ける。
…歩くこと数分、前方の亡者の群れから爆発が起こる。
暴走バイクのような音と、爆発物の音!
そこから姿を現すは、紫色の巨大なタイヤのような乗り物に乗った少女!
「…あーっはっはっはっはー!地獄のトラブルメーカー!シンナちゃん参上!」
紫色のタイヤは一瞬に消え、この修羅界とは不似合いな死装束の少女は
変身ヒーローのような大仰なポーズを決めて続けた。
「アンタが対戦者ね!このアタシがギッタギタにしてあげるわっ☆(ビシィ」
「……わかった。てめェ俺をナメてんだな?オイ。ガキでも容赦しねーぞ?あァ?(ビキッビキ」
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「ふぅむ、彼らが今回の対戦相手か」
二人から少し離れたところから様子を伺うもう一人の対戦者、ロダン。
「あそこに飛び込むのは少々危険だな。少し様子を伺わせていただこう。
…闘いは、エレガントに進めなくてはな」
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「オラァァァァ!待ちやがれェェェェ!」
独楽のような形態に変身し、逃げながら光弾を放つシンナ。
光弾のダメージは致命的なものではないため、この修羅界では即座に回復してしまう。
それを知ってか知らずか、ダメージ無視で突っ込んでくるケイゴ。
「ベー!待てって言われて待つ奴はいませんよーだ!」
[とは言えこのままじゃ埒があかんわい、やはり【グラトニー】でないと止めはさせんのう]
「なァにゴチャゴチャやってやがる…!追いついたぜ…!」
「げ!コイツさっきより速くなってない!?」
「オラァッ!」
ケイゴの飛び蹴りがヒットする!
装甲が一部砕け翔ぶが、即座に修復!
「ちっ、厄介なヨロイだぜ…」
「くーっ、ヤバイかも!…しょうがないっ!」
次の瞬間、シンナの装甲が激しい光と共に弾け、
そして透明のローブのような服に変化!
[ヒヒッ…やっておしまい、シンナよ…!]
「うん、行くよっ!」
「ハッ、観念して鎧を解きやがったか!好都合だ…ぜ…?」
ケイゴがここぞとばかりに右拳を繰り出すが、その拳は虚しく空を切る!
シンナの姿がぼやける。分身?いや、そうではない!
「てめー、何しやが…った…!」
「ざーんねん、はっずれー☆じゃあねー!」
そのまますたこらさっさと駆けていくシンナ。
ケイゴは後を追おうとするが、足がもつれてしまう!
「く、クソが…ッ!」
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「さーて、じゃあ、とどめと行きますか」
[ヒャッハー!やっちまいなァ!]
黒い四足獣のような姿となったシンナは遠く離れたケイゴに狙いを定め、
謎のエネルギーをその頭部らしき部位にチャージし始めた!
「これで、終わりっ!」
[ヒャッッッハァァァァーーーーーー!]
青いエネルギー体がビームとなってケイゴに放たれる!
着弾、そして火柱が上がる!
「…やった?」
[まだひとり残ってるぜ、油断するんじゃねー!ヒャッハー!]
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「…危ないところだったな」
エネルギー弾直撃の瞬間、ケイゴはロダンに救われていた。
「て…てめー、なんのつもりだ…!」
「すまんな。プライドを傷つけてしまったのなら謝ろう。
…だが、あの少女は私ひとりでは倒せそうにないのでね。こちらもなりふりかまってはいられんのだ」
「俺を利用しようってのかよ…気に入らねーな」
「あの様な装甲はエレガントな闘争には不要だとも考える」
「ケッ、そこは気が合うみてーだな」
シンナから少し離れたところで様子を伺う。
体のしびれも治まってきたようだ。
「…で?何か策があんのかヨ」
「ああ。…ちょっと失礼するぞ。『アペリティフ』!」
「!?」
突然、ロダンがボディブローを放つ!
ケイゴの右上から3番目のアバラが音を立てて砕け折れる!
「ガっは…!てめェやりやがったな…!ぶっ殺す…!」
「ま、待て待て!今のは私の能力で…!」
「うるせー!オラァー!」
「ひでぶ!」
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「…とまあ、君の格闘家としてのリミッターを外させてもらった」
「言われてみればなんだか体が軽くなった気がすンな」
「そのパワーで殴られた私の身にもなってくれたまえ…」
「いいじゃねェか。軽い怪我ならすぐ治るんだからよ」
二人の戦士は物陰から少女の様子を伺いながら近づく。
少女は現在、涅槃仏のような姿で動く様子はない。
「では、行こうか」
「ああ、ぶっ潰してやるぜ…」
左右に散開し、同時に攻撃を仕掛ける!
だが、少女であろう物体はびくともしない!
「ざーんねん。この姿なら外からの攻撃は通用しないのよーん」
「このガキ…!どこまでも舐めやがって…!クソが!」
イライラしながらガンガンとシンナを蹴り続けるケイゴ。
「やはり君はエレガントじゃないな…」
「ふふん、最後に勝てばいいのよ!」
「だが、『我々』の勝ちだ」
「またまたぁ。強がり言っちゃって」
やれやれ、というジェスチャーをしながらロダンが続ける。
「我々はこれから君を『殴り続ける』。これがどういう事かわかるかな?
君がその形態でいるのもタイムリミットがあるだろう。どうやら攻撃手段も無いようだしな。
幸い、腕が折れてもすぐに治るようだしな…」
「という訳だ、ガキ。テメーが防御を解いた瞬間、ぶっ殺してやるよ」
「え、ちょ、ちょっと」
「もう一度言おう」
「『テメーが死ぬまで殴り続ける』」
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…7分後。
【スロウスフォース】が解ける直前にギブアップしたシンナを尻目に対峙する二人の戦士。
「さて、では闘おうか」
「おう、望むところだぜ」
「…フフ」
「何がおかしいんだよ」
「いや、つまらんことさ。地獄も捨てたものではないと思ってな」
「…テメーも、結構なバトルマニアだな」
「褒め言葉として受け取っておこう」
「俺の才能を開花させないほうがよかったかもな」
「全力の相手と闘うのが礼儀というものさ。それに、勝てる気はしないが負けるつもりもない」
「言ってくれるぜ。じゃあ、死ぬまで殴り合おうぜ…!」
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闘いの音が聞こえる。
闘争者のための、戦い続ける者の地獄。
――修羅界。
無限に広がる荒野のような世界で、戦士たちは闘いの先に何を見るのか。
「すまねェな。俺は帰らなきゃいけねーんだ」
「ああ、行って来い。私はもうしばし地獄の猛者と拳で語らおう」
何時間殴り合ったか――
そこに残るのは月読茎五だった。
最終更新:2012年06月07日 00:17