第一回戦【学校】SS

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dangerousss3

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第一回戦【学校】SS

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「えっと…紅茶を1600℃にする!?」
「そう、ティーカップに入れた紅茶を1600℃にするの!」
「成程…訳の分からない能力ね」

ザ・キングオブトワイライト第一回戦の二日前
四つ目興信所の所有するパネルバンの中で
山田、兎賀笈澄診、兎賀笈穢璃の三人はパイプ椅子にすわり
アウトドア用の折りたたみ机を囲い一回戦の対戦相手の
分析と対策の為の作戦会議を行っており
今は澄診が魔人能力「フォーアイズ アナライズ」によって知った
対戦相手である不動大尊の魔人能力についての説明を行っていた

「しかし…訳の分からない魔人能力ってのは経験則的に…」
「それほど厄介」
「そうそう、そなんだよねー」

山田と澄診は腕を組みうーんと唸り
穢璃は小さくため息をついた

「ま、とりあえず澄診ちゃん、もうちょっと詳しく能力の説明してくれない?」
「おっけー、そんじゃ説明するよ、まず能力範囲は半径100m!」
「結構広いな」
「そして紅茶を1600℃にするっていう部分についてなんだけど
まず紅茶はカップに入ってる奴にしか使えない
そして紅茶の温度は1600℃よりも高い温度にも低い温度にもできない」

「ねえちょっといい?その能力についてなんだけど…」

説明を続けようとする澄診に対して穢璃が質問する

「紅茶を1600℃にするなんて言うけどそんな事したら
紅茶が蒸発しちゃうんじゃないかしら…」

「そーいえばそーだよね」

穢璃の言葉とそれに追従する山田に対して澄診は
わざとらしく目を瞑り僅かに笑みを浮かべながら首を振った

そしておもむろにティーポットとティーカップを取り出す

「ところがドッコイ!この能力によって1600℃になった紅茶はカップに入った状態である限り
なんとずっと『紅茶である状態』を維持し続けるという特徴があるの!
1600℃だけど液体!1600℃だけど紅茶の香り!1600℃だけど紅茶の味!」

そう言いながら澄診はティーカップに紅茶を注ぎ
穢璃と山田に紅茶の入ったティーカップを渡す

「なるほどなー、ところでカップの方はそんな高温で
なんかこう溶けたり割れたりしないの?」

山田は受け取ったティーカップを指でコンッコンッと弾きながら質問をする

「カップの方も能力を使って紅茶が入ってる限りは
その紅茶の熱によって割れたり溶けたりとかはしないみたい
ついでに言うとカップから紅茶がこぼれたりしても
3秒間の間は紅茶もカップもこの特性を保つようねー」

「つまり相手が紅茶をひっくり返して来たら
液体状のままの1600℃の紅茶が飛んでくるって訳か」

山田はカップを前後左右にくるくると動かしながらカップの中を見つめる

「でもって能力は一度発動させると紅茶がカップの中に入ってない状態になったり
射程範囲の外に出るかしない限り本人の意思とも関係無しに解除されない
逆にカップから出たり射程外にでると解除される訳ね!
そして解除されると一瞬で紅茶は能力を使用する前の温度に戻るの」

「ところで気になったんだけど能力を使った紅茶は
その温度を周りの空気とかに伝えたりするの?」

紅茶を飲みほした穢璃が質問をする

「えっとその辺は良く分かんないんだけど…つまり能力的に特別に
熱を遮ったりはしない訳だから空気とかにも熱は伝わるはず、多分間違いないね!」

「なるほどね…もしかしたら相手は可燃物の近くに
紅茶のカップを置いて発火トラップとして使うかもしれないわね」

「発火トラップか…ふんふんまあ相手の特殊能力については
ひとまずはそんな所で良いかな…」

山田は空のカップを机に置いた
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第一回戦当日、試合場の学校の五階にて
山田は濃紺の服を身にまといショットガンを構えていた

試合開始と同時に山田は能力によって不動の位置を確認しながら階段を駆け降りる。
四階、三階、二階…そして一階と二階の間の踊り場に来たところで山田は
一度足を止める。不動は先程から玄関で何かをしているようだ。


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「んじゃ次は試合会場について見てみるか」

山田はそう言いながら運営から貰った見取り図を机の上に広げる

「大会の運営から貰った見取り図によると校舎の構造はかなり単純だな
五階建ての東西にのびた長方形型で、二階から四階は南側と北側にそれぞれ教室があって、
五階には家庭科室とかそういう特殊な教室が同じように並んでて一階は南側の殆どが玄関
あとは北側に保健室、職員室、用務員室、校長室、応接室が並んでるってところだな
外への普通の出入り口は一階の玄関のみ、階段は東側、西側、そして中央の3つと…」

「そしてこっからがポイントだけど、試合開始地点が
俺は五階西側階段前で相手は一階の東側会談前になっている
俺としては校庭に出て待ちの戦法に出るのが確実なんだろうけど…」

「これじゃ邪魔される可能性高いかもねー」

「まあ待ちの戦法そこまで得意じゃないしこっちは相手の位置が分かるんだ
もしかしたらうまい事相手をすり抜けて校庭に出れるかも知れない。
そもそも相手に気付かれずに近づいて一発でお終いにしてやるのもいいしな」
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山田は不動の動きを眺め、こちらを見ていないであろうタイミングを見計らい
ゆっくり壁から顔を出す。

不動が下駄箱の陰になりこちらを視認できない状態であることを確認すると
山田は音を立てないように慎重に下駄箱へと近づいて行く

(相手に気付かれずにコイツをぶち込んでやれば終りなんだ…やるぞ!)

山田は固唾をのみ込み自分が持つショットガンを見つめた



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「次は武器!」

そう言いながら澄診は木箱の蓋を外す

「メインアームはショットガンが良いと思うの!シャッガーン!!屋内での戦闘がメインで尚且つ
相手はボクシングのフットワークを生かした戦い方をしてくると思うし!」

「ふんふんなるほどね具体的にはどんなシャッガンにすんの?」

「じゃじゃーん!オオツキM14BSG!」

そう言いながら澄診は木箱から一丁の銃を取りだした

「ほっほう、PSP(ぽぽセキュリティサービス)で正式採用されてるブルパップ式のセミオートショットガンだね」

「そう、素早い相手を狙いやすい散弾、しかもセミオートで連射可能だから隙も小さい
加えてブルパップ式で携帯しやすく取り回しが効く!」

「俺はショットガンってもっとこう一発凄いがズドンって感じのが好きなんだけど
まあ、今回の相手に対してはこいう奴の方が向いてるか」
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(音を立てるなあ…呼吸もゆっくり慎重に…)

ギシッ

「あっ」

山田が不動との間に下駄箱一つを挟んだ位置まで移動したその時
すのこが軋む音が鳴り山田は思わず声を上げてしまった。

その音は山田の足元のすのこの物ではない、不動の足元のすのこが軋む音であった
しかし山田は自分が歩を進めた時と同じタイミングで軋む音が鳴り響いた事に
よって思わず声を上げてしまったのだ

「おっと!対戦相手の山田さんスか?こんな近くに来ていたとは全く気付きませんしたよ!」

「いやあ、本当はもう少しバレ無いように近づいて一発で勝たせて貰うつもりだったんだけどねー!」

山田はそう言いながらショットガンを下駄箱の向こう側の不動がいる方向に向け
引き金を連続で引く!

『ズガスズガガシャズガスンッ!』

ショットガンの連続発砲音がこだまする!
しかし12ゲージバックショットでは下駄箱を貫通するには至らない
ただ悪戯に騒音と下駄箱の破片をそこらにまき散らすだけに終わった!

(あ、やっぱ流石に無理か、しかし今なんかちょっと変な音したな)

「凄い音ッスね、もしかして銃を持ってるんスか?本気ッスねお兄さん、
まあこうやって下駄箱越しに話するのも何なんで今からそっちに行かせて貰いまスね!」

「そう、俺は銃を持ってる!イイっしょ?あと別に俺としては
このまま下駄箱越しに会話を続…うゎチッ!なんだ!?」

突如山田の背後から強烈な熱気が浴びせられる
なんと背後の下駄箱がいつの間にか燃えているのだ!

そう、この発火現象は不動の能力『ネッツ・エクスパンド』によるものである
不動は事前に複数の下駄箱の中に紅茶入りのティーカップを入れ更にその中に
新聞紙の切れ端を入れる事により能力を発動して直ぐに下駄箱が発火しやすい状況を作りだし、
山田の背後の下駄箱に入った全ての紅茶に対して能力を使う事によって
下駄箱を発火させ炎に包んだのだ!

(なんてこった、防火服を着ていなければ火だるまだったね)


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「じゃあ次は装備について決めよう!色々良さそうなのを選んだよ!
まず相手の能力に対抗する為の耐熱服!じゃじゃーん!!」

嬉しそうに声を張り上げながら澄診は木箱の中から二つの衣服を取りだす。
片方は濃紺の防火服であり、もう片方は銀色の耐熱防護服だ

「こっちの方は所謂消防服みたいな感じの防火服、直接1600℃の
紅茶を浴びたりしたら流石に燃えたり溶けたりするだろうけど
ちょっとやそっとの炎くらいじゃ燃えない上に動きやすい素材で出来てるの!
今までも発火能力を持つ賞金首を殺す時に使った事あるよね!」

そう言いながら濃紺の服を前に突き出す

「でもってこっちの方は高温耐熱防護服、溶鉱炉の周りの作業とか高温の蒸気が
噴き出すような場所で着る為の防護服、4000℃までの熱に耐えれるらしいよ
ただ、結構重くって動き辛いし視界も若干狭くなってしまうのね、これが
といっても淀輝ちゃんなら能力で相手その物は見えるからそこまで視界のハンデはないかもね」

今度は銀色の服を前に突き出す。

「じゃあ、消防服の方にする」

山田は即答した

「やっぱ動きやすい方が好きだし、そっちの物々しい奴は上からモジュラーベストとか
着けれないだろ?何より消防服の方は何度か使った事もあるしね」

「んじゃあ服はこれに決定ね!あ、そうそう服は防火性でもモジュラーベストは
いつも通りのを使う訳だから調子こいて弾薬とかに引火とかしないように気を付けてねー」

澄診はそう言いながら二つの服を一度木箱に直し新たな木箱を取りだした
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(この下駄箱は木製か、なんかクリーム色の塗料がなんか妙に綺麗に
塗られてるからなんかもっと金属かなんかで出来てるのかと思ったよ、くそう)
「しかし防火服を着ていなければ火だる…うぉっ!?」

山田が背後の炎に気を取られているうちに不動は下駄箱を回り込み
そのヘビー級の肉体に似つかわしくない華麗で俊敏なステップにより
山田に急接近!山田に対して左ストレートを放つ!

山田は真正面から胸部に拳を受け、後ろへ吹っ飛ぶ!
しかし吹っ飛びながらも右手のショットガンを横へと放り
モジュラーベストから拳銃を引きぬき構える

そして発砲!発砲!そして発砲!!


しかし不動の素早いサイドステップにより三発の弾丸は外れ空を切る

山田は受け身を取り体勢を立て直しながら
今度は先ほどよりも正確に狙いを付けて不動めがけて残りの銃弾を放つ!


1発目。
不動の頭を狙った一撃必殺の.50口径マグナム弾!
不動は持ち前の動体視力により銃口の先を読み
姿勢を低くし回避!

2発目!
不動の胴体目がけて銃弾が飛ぶ!
不動はそのまま上体を大きく左に逸らし銃弾を回避!

3発目!!
腹部を狙った銃撃!
不動は身体全体を左に動かし回避!
銃弾は不動が腰に付けていた護身用スタンガンに命中し
スタンガンが破損!

4発目、最後の銃弾!!!
再び不動の胴体を狙った銃撃!
不動の左には下駄箱がありこれ以上の移動は不可
そして先程の移動の勢いにより右側への咄嗟の移動は難しい
仮にかわせたとしてもその先には燃え盛る下駄箱があり
勢い余って激突すれば火達磨となる!
万事休すか!?

しかし不動は突如左腕を大きく振る!

『カ゛キュゥンッ!!』

「ツッ!」

銃弾は不動の左腕に命中!
しかし.50口径弾は不動に強い衝撃を与え
皮膚の表面をえぐったものの、強靭なで豪速な筋肉に
激しくぶつかった事により弾かれてしまった!

「くそっ!」

山田は拳銃を捨てて右に飛び込み前転しつつ
先程放り投げたショットガンを回収し立ち上がり
不動の位置を確認しながら間に下駄箱を挟むように移動する

すると山田の背後の下駄箱が発火炎上
そして山田の視界に映る不動の赤いシルエットは
下駄箱を回り込もうとしている

(悪いが同じ手は食わないよっと!)

山田はショットガンを構え後ろに下がり距離を取る
不動が下駄箱から顔を出す、そしてその瞬間に引き金を引く!

『ズダズダン!』

乾いた発砲音が鳴り響く!

しかし不動は山田の姿を確認すると一瞬で身を引っ込め
散弾は下駄箱や玄関のガラスに当たるだけに終わった

(くっ、もう少し早く撃っていれば当てれたのに)

そして不動は今度は猛スピードで反対側に回り込もうとする
山田もそれに応じて反対側を向きショットガンを構え距離を取る!

そして下駄箱の端にかかったところで山田はショットガンを発砲する!

スダズダズダンッ!

しかし今度は不動は下駄箱の端まで来たところで
ピタリと動きを止め姿を全く現わさなかった

(なっ、フェイント!?もしかして相手はさっきの俺の反応の早さで
俺が相手の位置を探知する能力者だって事に気付いたの…かな…?
そういえば結構コイツ頭が良いとか状況判断が得意って聞いてたし…)


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「それじゃ次は相手のプロフィールとか能力以外の事について
穢璃さん、お願いしても良いですか?」

「わかりました」

穢璃はそう答えると膝上に置いたノートPCを見つめながら
対戦相手のプロフィール等穢璃が調べた情報について話し始めた

「不動大尊、延暦寺高校3年4組、出席番号29番、ボクシング部部長、正義感が強く
成績も優秀で聡明で的確な判断力を持ち合わせ同級生や他の部員達からも慕われ
人望が厚く、ボクシングの腕前もかなりの物で魔人である為、公式の試合には出られないが
その実力はヘビー級世界チャンピオンに匹敵する程のものと言われてる
それと何故か常に護身用のスタンガンを持ち歩いている。」

「筋肉最高!みたいな外見しながら結構完璧人間みたいな奴なんですね」

「魔人である事もあってか今まであまり大会とかには出る事は少なかったみたい
だからあまり大した情報は得られなかったわ、ごめんなさい」

「まあ、魔人の参加できるスポーツ大会って大抵生死をかけた血みどろデスマッチ!!
みたいな感じのばっかだからこういう真面目っぽい子はやらないんだろうねー」

「とんでもないですよ穢璃さん!これだけの情報があれば充分ですよ!後は
俺が自分の力でこの情報を名一杯生かして相手を倒して見せます!!」
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(…少なくとも今の銃撃でこちらの大まかな能力がバレたのは確実かな…)

山田はショットガンを構えたまま不動の動きを警戒する。
不動は素早く左右に動くが下駄箱からその身を出さずに山田を揺さぶっている

(能力が分かったとしてもこっちがショットガンを持ってる以上
迂闊に攻めてはこれないといった様子だな、しかし熱いな)

山田の背後では今も下駄箱がもうもうと燃えており
その火はすのこにも燃え移り、徐々に大きくなり山田の背中を
ジリジリと焼いていく

(向こうは高温の紅茶を生み出す魔人能力者だし、もしかしたら
高温に対して耐性とか持ってるかもしれない…だったら
このまま相手の出方を待つのはジリ貧、こっちから攻めるしかないか…!)

山田はモジュラーベストに吊り下げたスモークグレネードを
二個手に取りピンを抜き左右に投げた

(煙幕手榴弾投擲~!)

スモークグレネードの煙幕がもうもうと広がり下駄箱の
およそ半分を煙に包んでゆく

これに対して不動は一目散に煙幕の外に出て比較的煙幕の影響を受けていない
東側の方へと走り、端から二列目の下駄箱に見を隠しながら様子を伺おうとする

相手がこちらの位置を把握する能力を使う以上
下手に煙幕の中に居ると一方的に攻撃を喰らう可能性があるからだ

そして不動は様子を伺う為に一度足を止め背中のリュックから
水筒とティーカップを取り出し水筒の中の紅茶をティーカップに注ぐ。
山田が接近してきた場合紅茶に能力を使い1600℃にして浴びせかける為だ

しかし突如、轟音が鳴り響き不動の足に激痛が走る!

「ぐぁっっ!?」

一体彼の身に何が起こったか!?
なんと、山田のショットガンの弾が彼の足を貫いたのだ!


山田は煙幕の中で不動が後退するのを確認すると素早く
ショットガンのマガジンをサボテッドスラグ弾(一粒弾)の入った
マガジンに替え、不動に姿を見られないように自分も東側に移動
不動から下駄箱3つ分挟んだ距離まで近づくとそこで
下駄箱越しに不動を狙い銃を連射したのだ

散弾の貫通こそ防げたとしても所詮は木製の下駄箱
サボテッドスラグ弾は下駄箱を破壊しながら貫通
一発目のスラグ弾は2つ下駄箱を貫いた時点で勢いを失ったが
二発目のスラグ弾は一発目が破壊した穴をそのまま通過し
勢いを失わずに不動と山田の間にあった最後の下駄箱を貫通し
そのまま不動の足に命中、更に三発目四発目も
殆ど同じコースを飛び不動の足をズタズタにしたのだ!

「最初にテキトーに下駄箱越しに散弾を撃ったのが幸いしたみたいだねえ
君は下駄箱で俺の銃を防ぐ事が出来ると思いこんじゃったんじゃないかな」

下駄箱を間に挟んだ状態で山田は不動に話しかける

「くっ…全くもって恥ずかしい限りッスね…」

両足合わせてスラグ弾を四発も受けた不動は既に立つのがやっとの状態であり
先程手にしていたティーカップも中の紅茶は全て零してしまっている
そこに山田が飛び出しショットガンを発射する

『ズガガガンッ!』

発射されたのは今度は散弾!
三発分の散弾が不動の両腕と足を穴だらけにする。

「それじゃこれでお終いにするよ」

そして山田はもはや身動きを全く取れなくなった不動めがけて
飛びかかり彼の首をナイフで切りつける。

山田の胸に背徳感と充実感、そして快感が満ち溢れる

人を殺したという確かな感覚が。








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