聖槍院 九鈴幕間その3

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dangerousss3

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トラック野郎・等々力縁寛

妻も子も新黒死病で死に、職も我が家も失った。自分には何もない。
そして中年男性は、彼を社会的存在たらしめている最後の砦――衣服を破り捨てた。
「新黒死病に対抗して――チンコこすろう!」
極限大露出! しかしその怒張に手が添えられるよりも速く、制御を失ったトラックが轢殺!
制御を失った? いや、奪われたのだ。
少し離れたトラックヤードから事故現場を見守るひとりの魔人の能力によって!

彼の名は等々力縁寛(とどろき・ぺりかん)。能力はトラックを遠隔操作する『とらっく!とらっく!とらっく!』。
トラックに関するあらゆるミッションをこなすエージェントにして、全中男ハンターS級ライセンス保持者である。
縁寛は『我、奇襲ニ成功セリ』を意味する暗号通信で手短に任務完了を報告した後、背後の物陰に向けて声をかける。
「――コソコソ隠れてねぇで、出て来ねーか? ア?」
声に応じ、仕立ての良いスーツ姿の着衣中年男性が現れた。

「さすがは等々力縁寛さんですね。私の名は中無羅漢三郎。ひとつお手合わせ願えませんか」
「ハッ! トラックヤードで俺に挑むとは馬鹿な奴だ! 大量のトラックに轢き潰されて死ギャー!」
等々力はトラックに轢かれた。
「え? 俺のトラック……、あれ?」
さすがに魔人なんともないが、等々力には何が起こったか解らない。
等々力を轢いたトラックはひとりの黒子によって運転されていたが、それは誰にも見えないのだ。
認識不能の黒子を召喚して使役する『黒子がいるダンディー』、それが中無羅漢の能力だ。

「なるほど見事なタフネスです」
中無羅漢の身体が宙に浮き、一階建て事務所の屋根に着地する。
黒子が運んだのだ。
等々力はトラックを激突させて事務所を破壊することもできたが、しなかった。
不可解な能力によるトラック制御奪取を恐れたのだ。
そしてそれ以上に、事務所を破壊した場合の修理費を恐れた。
中無羅漢は続ける。
「しかし対応力に欠け、能力運用可能な地形も限られている。大会に招待できる実力はないようですね」
そして中無羅漢は忽然と消え失せた。
黒子の持つ黒い布がその姿を隠したのだ。

「糞がッ! なんなんだよ畜生ッ!」
等々力は4tトラックを殴りつけ横転させた。
それでもトラックが大破しない程度に加減しているのは、彼の高いコスト意識によるものか。
「『大会』だと? やってやろうじゃねぇか! 俺が優勝して奴に吠え面かかせてやる!」