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LIFE A LIFE

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匿名ユーザー

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LIFE A LIFE ◆yMsVbZ1/Ak


望みはただ一つ、静かに生きたかっただけ。
質素な生活でいい、何の危険も無い普通の人生を歩みたかっただけ。

だが、そのちっぽけな願いは叶うことは無かった。
それは皮肉にも、彼女の両親の手によって砕かれたのだ。

彼女の父親は伝説の勇者だった。
そして、彼女はその伝説の勇者の子孫として人々に持ち上げられた。
彼女の母親も手塩にかけて彼女を育てた。

大魔王を討伐しに行った男の子供。
たったそれだけの理由で勇者だと持ち上げられ。
背負いたくも無い人々の希望を背負って、魔王討伐へと旅立つことを強いられ。

逃げればよかったかもしれない。
だが、「魔王を倒すことから逃げた勇者」に人々はどういう視線を送るだろうか?
そんな環境で穏やかに暮らすことなんて出来やしない。
人に見つかるのを拒み続け、ひそびそと暮らすしか出来ない生活なんて真っ平御免だった。
だから、「魔王を倒すこと」から逃げられなかった。

魔王さえ倒せば平穏な生活ができる。
そう信じて、ひたすらに魔王討伐を目指した。
仲間の手を借り、人々のいうことを信じ、人形のように魔王討伐を目指した。
大魔王が現れても、自分達の世界を去ることになっても、ただひたすらに平穏な生活を追い求め続けた。

父親を恨んだ。
自分に余計な力を与えるだけ与えて、勝手に死んでいった父親を恨んだ。
自分の目の前で息を引き取ったときも悲しむことはなかった。
ただ一言だけ、死に行く父親の耳元で囁いてやったのだ。
「ざまあみろ、クソオヤジ」と。

大魔王を倒し、結果的に平穏な生活を手に入れることが出来た。
勇者と祭り上げられ、人々から持ち上げられるのは好きではない。
ただ、一人でひっそりと暮らしたかったからあの日を境に勇者であることを辞めた。

そして、人里知れない場所でひっそりと暮らしていた。



……筈だった。



何故だろうか?
魔王どころか大魔王も倒した、人々の願いは叶えたはずだ。
静かに暮らしたい、たったそれだけの願いも許されないのか?



ならば。
許されないのなら勝ち取るまで。

ここで問題だ。
首輪を解除し、次元をも操る機械に立ち向かい、破壊する。
この地にいる全ての人間を抹殺して生き残る。

……どちらが容易なのかは考えるまでも無い。

元の世界に戻れないとしても、誰にも邪魔をされずひっそりと暮らせる人生が約束されるなら。
この手に乗るしかない。あの機械が何を考えているかは分からないが、乗るしかない。
人々の願いをかなえる道化として動き続けた彼女に躊躇いが存在するはずも無かった。

ゆっくりと、彼女の足は動き出す。
この地の全てを、狩るために。



「……参ったね」
ピチピチのタイツに身を包んだナイスバディの女性、ダイナマは頭を抱える。
自分達が嘗て壊したはずのノアの再来。そして命じられた殺し合い。
すぐにでも刃向かってやりたいところだが、首元で鈍く光る首輪がそれをジャマする。
「とりあえずははんたとアクセルと合流……だね。
 あたい一人でどうにかなる相手じゃないのは十分過ぎるほど分かってる」
まずは首輪を何とかする。
それを考えると機械に強い彼女の仲間、アクセルとの合流を最優先すべきだ。
それから、ノアに対抗するための知識を持つはんたとの合流。
あとはノアを締め上げるだけ。それだけの話だ。
「さて……おや?」
何はともあれ、生き残らねばならない。
気に食わないがノアから配られた武器を使う必要がある。
その武器を確認しようとしたとき、一人の少女の姿が目に映る。
咄嗟に戦闘態勢へと入る、武器は無いが仕方が無い。
「……驚かせてすみません、あたしは殺し合いには乗っていないので安心してください」
ダイナマは構えを解かない。青年のありとあらゆる行動に反応できるよう構えている。
「あたしに秘策があるんです、協力してくれませんか?」
その言葉にダイナマの眉が動く。
この怪しい青年があのノアに立ち向かう秘策を持っているなど、信じられなかったのだ。
警戒をさら強め、戦闘態勢のまま少女を見つめる。
「これ、見てもらえますか?」
彼女は、デイパックからおもむろに「ある物」を突きつけた。
目の前の人間を絶対に殺せる自信があった。決定的な戦力になる「ある物」を引いたからだ。

少女に意識を集中していたダイナマは少女が突きつけた「ある物」を見た。
視界に写し込み、じっくりとそれを「覗き込んだ」のだ。

夢見るルビー。
この世の何よりも美しく、見るもの全てを惹きつける。
その美しさに魅入られ、ルビーで出来たエルフの姿を見てしまえば最後。
その視覚から入る美しさを体が処理できなくなり、ありとあらゆる感覚が麻痺する秘宝。

勿論、ダイナマも中のエルフを見てしまった。
一気に自分の何かが吸い取られるような感覚に襲われた後、指一本すら動かすことが出来なくなってしまった。
流離の賞金首と一対一をした彼女を一瞬で動けなくさせるほど、ルビーは強力だった。

「……教えてあげますよ、あたしの秘策を。
 貴方を殺せる策をねェッ!!」

動けないダイナマを嘗め回すように見る少女。
傍に落ちていたデイパックを奪い去り、早速中身を漁る。
そこから一本の刀のような剣が出てくる、それを見て少女は怪しい笑みを浮かべる。

「この剣で一息に斬ってあげればすぐ死ねますよね。
 でも、返り血を浴びるといろいろ面倒なんです。だから――」

そして少女はゆっくりとダイナマへと迫る。
駆け抜けるように、風のように言葉を耳元で囁く。

「突き落としてあげますよ、動けない自分の体を恨みながら死んでいってください」

言葉の後すぐに少女はダイナマを突き飛ばした。
戦闘態勢のまま固まった彼女が塔から一直線に落ちていく。

落ちていく様は見ないことにした。誰がどこで見ているかは分からないからだ。
遥か下の物音にも動じず、彼女はその場へと鎮座する。
流石に同じ手段が何度も通用するとは思えないが、あと何回かはこれで人を殺すことが出来るだろう。
夢見るルビーを知る仲間達が来た場合は……その時に考えよう。
労力を抑え、なおかつ迅速に残り人数を減らす。それだけだ。

この場所から生き残り、自分の生活を手に入れるために手をクロに染める覚悟は出来た。

後は、「や」るだけ。

【D-3 ナジミの塔、頂上  一日目 日中】
【ミレニア(女勇者)@DRAGON QUEST3】
[状態]:健康。
[装備]:腹切りソード@METAL MAX RETURNS、夢見るルビー@DRAGON QUEST3
[道具]:支給品一式*2、不明支給品0~4(ダイナマの分を保有)
[思考]
基本:どんな手段を使ってでも生き残る。
1:出来る限り参加者を減らす。
2:とりあえずは同じ手段でやってみる。
※参戦時期はロトになった後です。



空を飛んでいるような気分だった。

(情けないね……アタシもヤキが回ったね)

地面が迫っている感覚はなんとなく分かる。
落ちていくまでの感覚。それは時間で言えば短いが本人の意識で言えばとてつもなく長いようにも思える。

(はんた、アクセル、あんた達は生きなよ。こっちに来たらシバき回すからな)

これが走馬灯というものなのだろうか。今まで経験してきたことを次々に思い出していく。

(ああ、そういうこともあったな。戦車売ってるクソジジイに殴りかかったこととかあったっけ)

短い人生だったかもしれないが、それなりに満足してきたつもりだ。

(ウルフ、天国で決着を付けようじゃないの。だから……暖かく迎えt)










グシャッ。










【ダイナマ(ソルジャー)@METAL MAX RETURNS 死亡】

【参加可能者 残り14人+α】


018:安全牌を見極めろ/そもそもそんなものが存在する確率は? 投下順 020:赤い彗星の如し
017:怒りの錬金術士 時系列順 020:赤い彗星の如し
初登場! ミレニア 039:地獄少女



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