怒りの錬金術士 ◆KuKioJYHKM
彼女は天才である。
彼女が所属する錬金術士学科は、他の学科より編入時により高い能力が求められる。
故に最初は他の学科でおのれを鍛え、実力を磨いてから転入するのが一般的なパターンだ。
だが彼女は、入学と同時にその学科へと編入された。
もう一度言おう。彼女は天才である。
彼女が所属する錬金術士学科は、他の学科より編入時により高い能力が求められる。
故に最初は他の学科でおのれを鍛え、実力を磨いてから転入するのが一般的なパターンだ。
だが彼女は、入学と同時にその学科へと編入された。
もう一度言おう。彼女は天才である。
◇ ◇ ◇
アリアハン城下町、道具屋の店内。ここに一人の少女の姿があった。
その背格好からは幼い子どものように見えるが、実際には彼女はそれなりの年齢を重ねている。
彼女は成人してもほとんど身長が伸びない、「クラッズ」という種族なのである。
その背格好からは幼い子どものように見えるが、実際には彼女はそれなりの年齢を重ねている。
彼女は成人してもほとんど身長が伸びない、「クラッズ」という種族なのである。
「まったく、冗談じゃないのです!」
カウンターの前に置かれた店員用の椅子に座り、彼女はしかめっ面で叫ぶ。
「人類最後の一人だなんて、誰がなりたいもんですか! いや、厳密には私は人類じゃありませんけど……。
こまけえことはいいんです!
私には将来を誓い合った、愛するダーリンがいるのですよ? 一人だけ生き残ったって、何の意味もありません!
見てなさい、わけのわからない怪物体め! 絶対にあなたをけちょんけちょんにしてやります!
天才を怒らせるとどうなるか、た~っぷりと思い知らせてやるのです!」
こまけえことはいいんです!
私には将来を誓い合った、愛するダーリンがいるのですよ? 一人だけ生き残ったって、何の意味もありません!
見てなさい、わけのわからない怪物体め! 絶対にあなたをけちょんけちょんにしてやります!
天才を怒らせるとどうなるか、た~っぷりと思い知らせてやるのです!」
幼い顔立ちに、彼女は黒い笑みを浮かべる。
「さて、ひとしきり叫んでストレスを発散したところで、荷物のチェックといきますか。
あんな奴に渡された道具に頼るのは癪ですが、やっぱり私たち錬金術士は道具を扱うのが本業ですからね」
あんな奴に渡された道具に頼るのは癪ですが、やっぱり私たち錬金術士は道具を扱うのが本業ですからね」
誰に言うでもなく説明すると、彼女は自分に支給されたデイパックをあさり始める。
最初に出てきたのは、真っ赤な刀身の短刀。見た目通り、火の力が込められているらしい。
非力な彼女にとっては、使いやすい分伝説の剣など支給されるよりもよっぽど当たりと言えるだろう。
ただ、「サラマンダー」という名前が今ひとつ気に入らないが。
最初に出てきたのは、真っ赤な刀身の短刀。見た目通り、火の力が込められているらしい。
非力な彼女にとっては、使いやすい分伝説の剣など支給されるよりもよっぽど当たりと言えるだろう。
ただ、「サラマンダー」という名前が今ひとつ気に入らないが。
「何だか、縁起の悪そうな名前ですねえ……。殺そうとしても誰も殺せないみたいな……。
まあ私は積極的に殺すつもりはありませんから、別にいいですけどね。
さて、次……。おお、これは!」
まあ私は積極的に殺すつもりはありませんから、別にいいですけどね。
さて、次……。おお、これは!」
第二の支給品を取り出した彼女の顔に、感嘆の色が宿る。
彼女の手につかまれていたのは、純白のウェディングドレスだった。
これはぜひとも大切に保管して持って帰り、ダーリンとの結婚式に……などと考えていた彼女だが、調べてみるとこのドレスはかなり丈夫な布でできているらしい。
少なくとも、今着ている制服よりはよっぽど防具として有用である。
彼女の手につかまれていたのは、純白のウェディングドレスだった。
これはぜひとも大切に保管して持って帰り、ダーリンとの結婚式に……などと考えていた彼女だが、調べてみるとこのドレスはかなり丈夫な布でできているらしい。
少なくとも、今着ている制服よりはよっぽど防具として有用である。
「ここで死んでは結婚式も何もありませんし……。着ておきますか。
なるべく汚さないようにしたいですねえ」
なるべく汚さないようにしたいですねえ」
色気も何もない仕草で制服を脱ぎ捨てると、彼女は真っ白なドレスを身にまとう。
「さて、次は……。む、けっこう大きいですねえ」
腕に力をみなぎらせ、彼女は三つ目の支給品を引っ張り上げる。
出てきたのは、彼女の頭ほどの大きさはありそうな奇妙な物体だった。
出てきたのは、彼女の頭ほどの大きさはありそうな奇妙な物体だった。
「むむ! これは知的好奇心をくすぐられますねえ」
彼女はその物体をまじまじと見つめる。するとその時。
「おや? あなたは……。新しいご主人様ですか?」
「うわ! 喋ったのです!」
「うわ! 喋ったのです!」
謎の物体から発せられた声に、彼女は思わずのけぞる。
「驚かせてしまったようですね、申し訳ありません。私は、錬金釜のカマエルという者です」
「れんきんがま?」
「ええ、錬金釜というのはですね……」
「れんきんがま?」
「ええ、錬金釜というのはですね……」
興味津々といった風の彼女に対し、カマエルは自らについての説明を始める。
彼曰く、錬金釜とはある特定のアイテムを複数入れることによってそれらを合成し、新たなアイテムを生み出す道具らしい。
彼曰く、錬金釜とはある特定のアイテムを複数入れることによってそれらを合成し、新たなアイテムを生み出す道具らしい。
「素晴らしい……。私の知らない錬金術の秘宝というわけですね!?
まあ私はあなたに頼らなくてもアイテム合成ぐらいはできますが、私の知らない未知のアイテムも合成できるというのは非常に魅力的です!
いいでしょう、カマエルさん。私があなたの新しい主人になります。
二人で錬金術の道を極め、あのボケナスをぎゃふんと言わせられるアイテムを生み出すのです!」
まあ私はあなたに頼らなくてもアイテム合成ぐらいはできますが、私の知らない未知のアイテムも合成できるというのは非常に魅力的です!
いいでしょう、カマエルさん。私があなたの新しい主人になります。
二人で錬金術の道を極め、あのボケナスをぎゃふんと言わせられるアイテムを生み出すのです!」
目を輝かせ、陶酔の表情を浮かべながら彼女は言い放つ。
「おお、何という心強いお言葉! このカマエル、喜んでついていきます!
そういえば、まだご主人様のお名前を聞いておりませんでした。
よろしければ、教えていただけませんでしょうか」
「もちろんいいですよ?
私の名前はフランシーヌ・グローリアス・ヴィクトリア・ルドルフ2世です。
長いので、フランと呼んでください」
「わかりました。フラン様、これからよろしくお願いします!」
「こちらこそよろしく!」
そういえば、まだご主人様のお名前を聞いておりませんでした。
よろしければ、教えていただけませんでしょうか」
「もちろんいいですよ?
私の名前はフランシーヌ・グローリアス・ヴィクトリア・ルドルフ2世です。
長いので、フランと呼んでください」
「わかりました。フラン様、これからよろしくお願いします!」
「こちらこそよろしく!」
こうして錬金の道を行く二人(?)は、バトルロワイアルの中で第一歩を踏み出したのであった。
【一日目・日中/D-3 アリアハン城下町・道具屋店内】
【フラン(クラッズ・錬金術士・女)@剣と魔法と学園モノ。】
【状態】天才
【装備】サラマンダー@ドラゴンクエストⅨ、ウェディングドレス@ドラゴンクエストⅨ
【道具】支給品一式、カマエル@ドラゴンクエストⅨ
【思考】
基本:主催者を打倒し、ダーリンの待つ学園へ帰る。
1:主催をブッ倒せるような、強力なアイテムを作り出す。
【フラン(クラッズ・錬金術士・女)@剣と魔法と学園モノ。】
【状態】天才
【装備】サラマンダー@ドラゴンクエストⅨ、ウェディングドレス@ドラゴンクエストⅨ
【道具】支給品一式、カマエル@ドラゴンクエストⅨ
【思考】
基本:主催者を打倒し、ダーリンの待つ学園へ帰る。
1:主催をブッ倒せるような、強力なアイテムを作り出す。
【参加可能者 残り16人+α】
016:破壊神を破壊した男 | 投下順 | 018:安全牌を見極めろ/そもそもそんなものが存在する確率は? |
016:破壊神を破壊した男 | 時系列順 | 019:LIFE A LIFE |
初登場! | フラン | 043:血も涙も、故郷(ここ)で乾いてゆけ |