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男女反転18話

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datui

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悪魔(デモン)


「のび代ちゃーん、どこにいるのー?」

 丸を2つ重ねたみたいな体型の頭にリボンをつけた青い猫型ロボット、ドラえもん(♀)は学校の校庭で自分の親友を探して歩いていた。

「わたしがいないと、のび代ちゃんはだめだからなあ」

 どこか暢気な様子で親友を探し回る彼女の視界に人影が見えた。
 校門の辺りに立っている女性。長い黒髪に袖辺りにフリルのついた黒い服。
 後姿だがその体は華奢と言うほど細くはなく、かといって大柄と言うわけではないが適度に筋肉がついているように見えた。
 もしかしたらのび代を見かけたかもしれない。そう思ったドラえもん(♀)は女性の下へてとてとと走っていった。

「すいませーん」
「……何?」

 女性はドラえもんの声にゆっくりと振り向いた。その端正な顔には表情を感じることができず、目も薄暗い無気力なものに見えた。
 ドラえもんは少しひるんだが、友達のことを思いなんとか自分を奮い立たせ、女性に自己紹介を始める。

「わたし、ドラえもんです。22世紀から来た猫型ロボットなの」
「……ロボッ、ト……」

 女性は『ロボット』の単語にわずかに反応し、ドラえもんを見た。
 ドラえもんは自分について説明しようと思ったが、どうしても親友を捜したい気持ちが優った。説明は後でもいいか、と。

「メガネをかけた女の子を見ませんでした? のび代ちゃんっていう小学生の子供なんですけど」

 そういった瞬間、女性の顔に初めて表情が浮かんだ。

「……子供……!」

 目は開き、口が少し開く。
 ドラえもんはそれを『驚き』と解して、のび代を見かけたのでは、と思った。

「のび代ちゃんを知ってるの!? お願い、どこにいったのかを教えて! わたし、早くあの子の」



 ドラえもんは『あの子のところに言って助けなきゃあげないの』と言おうとした。
 だが、それは叶わなかった。


 言おうとした直前、女性が素早く足を動かし、一気に間合いを詰めたかと思うと
瞬時にドラえもんへと拳を繰り出し――



 次の瞬間、轟音と共にドラえもんの背中から拳と共に体内の部品が勢いよく吹き飛んだからだった。



 ドラえもんの痛覚は、わずか一瞬だけだった。


【ドラえもん(♀)@ドラえもん   死亡】


 *****

 ドラえもんの不運はたった一つだけ。
 もしも彼女が女性の表情をちゃんと見抜けていたなら、逃げるくらいはできたかもしれない。

 『驚き』ではなく、『怒り』という表情に。



 彼女は機械人形が突き刺さったままの腕をそのまま振り、その勢いで機械人形を腕から抜いた。
 抜けた機械人形の残骸は校庭のど真ん中に更に部品を飛び散らせてそのまま転がった。

「?」

 彼女はここで疑問に思った。
 彼女が知っている従来の機械人形、自動人形(オートマータ)は銀色の擬似血液で動いている。
 いつもならばこれほど拳で体を貫けばそれが噴出したりするはずだ。それに、あのいかにも機械と言った感じの部品も自動人形の特徴にそぐわない。

「ああ、そうか……そういうことね。フーがまるで血液みたいな擬似血液を持った自動人形を作れてたわけだし。
 自動人形共も、そういう研究をしててもおかしくないか。ロボット、なんて……自動人形は自動人形でしかないってのにふざけた連中だわ」

 彼女は感情が篭っていないような、淡白な口調でそう独り言を呟き勝手に納得したようだった。

「初めてすぐに子供を狙う奴もいるとはね。……いえ、自動人形は前からそんなのばかり、か。……全部破壊してやるわ」

 彼女は歩き出す。自らが破壊したのが、自分の仇敵とは全く違うと気付かずに。


「あの2人も自動人形なんでしょ?……そして、その裏にはあんたがいる」


 彼女の目には、ただ1人の男しか見えていない。
 いや、男と言えるのだろうか。なぜなら、彼女にとってその相手は。


「必ずあんたに辿り着く。そして、ゾナハ病の治療法を聞き出して、そして」


 誰よりも会いたく。誰よりも憎く。


「必ず殺してやるわ」


 彼女は闇夜を見上げて叫んだ。
 仇敵の名を。
 届くかなんて関係ない。ただ叫びたかった。

 死んで言った多くの『しろがね』のために。
 自分の四肢となり、自分に力を与えてくれる仲間の為に。





「フランシーヌ!!」



 彼女、加藤鳴海の声が轟いた。





 *****


 さてさて。何かがくるっと逆転してしまった舞台へようこそ。
 演目は『殺し合い』。数々の役者が踊り、歌う演目でございます。皆様、お楽しみくだされば何よりです。

 さて、ここで1人の演者を見つめてみましょう。
 彼女の名は加藤鳴海。
 元々は拳法が得意で奇特な病にかかっているいたって普通の一般人でしかありませんでした。
 ですが、ある少女と青年との出会いをきっかけに、紆余曲折悲喜交々阿鼻叫喚山あり谷ありな出来事を経て、
人形破壊者『しろがね』として自動人形と戦う身となりました。
 そんな彼女はある決戦に立ち会いました。サハラにおける最終決戦。敵の首領フランシーヌ人形からゾナハ病の治療法を聞き出すべく、
そして倒すべく、しろがね達と自動人形たちの集団『真夜中のサーカス』の決戦が繰り広げられたのです。
 1人、又1人と倒れていくものたち。どちらも次々に数が減り、彼女もまた瀕死の身となり四肢が砕けるという事態にもなりました。
 しかし、仲間の奮闘により彼女は人形の手足と共に蘇り、敵の幹部を下しついに首領、フランシーヌ人形の元に辿り着いたのです。
 ところが、ここで信じられない真実が待っていました。そのフランシーヌ人形は、偽者だったのです。
 本物はとっくのとうにそこを去り、遠い地で果てていたのです。
 真実を知った彼女は慟哭しました。そりゃそうでしょう。それまでの仲間の死が、全て無駄になってしまったのです。
 のちにある青年は言います。『その時、彼女は死んだのだ』と。
 サハラを生き残った彼女にある人物から情報が寄せられました。『日本にフランシーヌ人形の生まれ変わりがいる』と。
 生まれ変わりと言うのは少し事情がありますが、そこは割愛させていただきましょう。
 一度死んだ彼女は、その空虚な、そして憎悪を抱えた心のまま、日本へ行きフランシーヌに瓜二つの青年に、まさに襲い掛かろうとしました。
 その瞬間、彼女はこの舞台へ呼び寄せられたのです。


 彼女は考えました。『自分はフランシーヌに捕まったのだ』と。
 彼女は考えました。『ゲームを楽しむ志向のある自動人形は殺し合いと言うゲームに自分を叩き込んだのだ』と。
 彼女は考えました。『説明の場には人間に見えるのが多くいたが、奴らは人間そっくりな固体もいる。恐らく半数以上は自動人形だろう』と。
 彼女は考えました。『だが全てそうとは思えない。説明の場で見かけた少女の涙と鳴き声は本物だった』
 彼女は考えました。『だから、人間と少しでも差異があったり、人間にはできないことをやっているような奴がいたら自動人形と判断し殲滅しよう』と。
 彼女は考えました。『そうして人間を守り、自動人形を完全に殲滅し終えたら協力して主催の二人を倒し、フランシーヌを確保しよう』と。


 そこにあの子供を捜す人形がやってきてしまったのです。彼女はその人形が子供の血を求めて探し回っていると勘違いしたのです。
 自動人形は人間の血を吸わないと活動を維持できないのですから。


 こうして、『悪魔』は歩き出しました。
 はてさて、次に会う相手は誰でしょうか?
 妖怪の少女? 人間離れした跳躍力を持った少女? はたまた魔法を扱う少年?
 どれも彼女にとっては『自動人形』でしかないでしょう。
 子供の笑顔を守りたい、ただそれだけの悪魔は歩き続けます。

 彼女がどうなるか……それはまた次の機会にして、ひとまずの幕を下ろしましょう。
 今度は別の演者に目を向けるとしましょう。

 その演者は――


【D-6 釜石小中学校・校門 /一日目・深夜】
【加藤鳴海(♀)@からくりサーカス】
[状態]:健康、四肢機械化、しろがね
[装備]:サン・ジョルジュの剣<左腕収納>、スレイプニイルの車輪脚<左足>、マンバの腕<右腕>、ペンタゴナ・ノッカーの足<右足>
[所持品]:支給品一式×2、不明支給品1~3<鳴海>、不明支給品1~3<ドラえもん>
[思考]基本:主催を倒しフランシーヌ人形を確保する。
1:自動人形を全部破壊して人間達と協力する。
2:人間と違うと判断したら自動人形と判断する。
3:子供を助ける。
※サハラ決戦後、砂浜でエレオノールに襲い掛かった直後の参戦です。
※会場内の参加者は半数以上が自動人形だと思っています。

※D-6釜石小中学校校庭にドラえもん(♀)の腹を貫通された残骸が放置されています。

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