PSP版の発売からはや3年の時を迎えようかとしているこの時期に、実はゲーム中で表示される魔法威力の数値と、実際の内部数値には誤差があるという事実が判明したわけだが、数値の違う魔法の数は多くないことから想像するに、これはただ単に開発初期の変更を忘れたまま発売されてしまっただけなのではないかと思う。特に致命的な問題でもないし、ゲームの進行には影響はないとは思うが、それでも一応、今回判明した内部数値と、画面上で表示されている魔法威力の数値とでは、どちらが戦闘中に参照されているのか、簡単に検証してみることにした。
まずは魔法のダメージ計算式(仮定)をおさらいする。
計算1:術者の魔法威力×魔法の威力値=総合攻撃力
計算2:総合攻撃力÷敵魔法防御力=A
計算3:A×月齢修正×敵防御相性=基準ダメージ(小数点切捨て)
実際には導き出された基準ダメージ値(予想ダメージ値)に乱数が加わるものと思われるが、このあたりについてはよくわからない。
さてこうして改めて計算式を見てみると、総合攻撃力の計算が乗算であるため、魔法の威力が10や20も違うとなると、実際のところ相当な差が出てしまうのではないか、ということに気付かされる。というわけで、今回は「表示されている数値」と「内部数値」の差も見ながら、ダメージ計算の考察をしていきたい。
まずはどの魔法を使うかについて。誤差のある魔法すべてを使ってみて検証するのがベターなのだが、それは膨大な時間を必要とするので、手持ちのデータですぐ間に合わすことのできたザンとザンマのふたつを使って、検証してみることにした。このふたつの魔法はいずれも威力に誤差があり、ダメージが実質月齢に影響しないレイが使えるという点がミソだ。実験体は色々迷ったが比較的出現しやすいと思われる悪魔、悪霊ポルターガイストと、妖獣カトブレパスを狙うことにした。
さて実際に検証作業に入る前に、例のごとく予想ダメージ値をまずは導き出しておく必要がある。まずはレイの総合攻撃力から。レイの魔法威力「64」に対し、各魔法の威力をかけた計算結果を下の表にまとめた。
こうして実際に計算した数値を見ると、その差に改めて驚く。ザンマは1000以上もの差が出てしまった。これぞまさしく乗算式の恐ろしさ。
さて双方の値の総合攻撃力を計算したところで、今度はこの総合攻撃力をターゲットとなる悪魔の魔法防御で割って、防御相性で修正したうえでの、予想ダメージ値を求める。検証で得られた実際のダメージ値の平均と、この予想ダメージ値とを比べた場合、実際のダメージ値に近い予想ダメージ値の方が、戦闘で参照されている魔法威力の数値であるというわけだ。
なお、悪霊ポルターガイストにはザンを、妖獣カトブレパスにはザンマを使うことにする。
――つまり、内部数値が参照されているならポルターガイストにはザンで平均246ダメージが与えられるはずだし、カトブレパスにはザンマで平均100ダメージが出るはず、というわけだ。予想されるダメージ値に結構な差が生まれているため、比較的わかりやすいだろうとは思う。
まずはザンの数値から。とりあえず悪霊ポルターガイストを捜しに矢来区の地下水道をうろつくも、こういうときに限ってなかなか出てこない!しかし出現数は多いため、一度出てくれれば、結構な数が稼げるのだが…。
が、20分ほどやってみたところで諦めた。途中で同時に違う悪魔からも採取しておけばよかったのではということに気付いたが、時すでに遅し。面倒だったので適当なところでやめた。以下は、悪霊ポルターガイストに24回ザンを食らわせてみたときの実際のダメージ値である。
・ザンの威力が43なら321(画面表示)
・ザンの威力が33なら246(内部数値)
236、229、227、268、262
285、226、290、269、223
247、283、291、252、258
270、285、268、273、275
228、239、281、247
これはもう一目瞭然といったところか。実際の平均値と、内部数値から求められた予想ダメージ値はかなり近い結果となった。これだけでもう決定的かと思われるが、念のため引き続きザンマの検証といく。
ザンマは妖獣カトブレパスを相手にデータを取っていく。カトブレパスを選んだ理由は、HPが高めなので魔法に数発耐えれることと(つまり、一度の戦闘で何度も数値を取れる)、出現率もポルターガイストよりはでやすいだろうとの判断からだ。実際、カトブレパスはザンマに4~5発耐えてくれたので、楽々100回分のデータを取らせてもらった。出現率も上々で、意外と短時間で済んだのも運がいい。以下は結果である。
・ザンマの威力が91なら129(画面表示)
・ザンマの威力が71なら100(内部数値)
99、93、93、102、120
116、114、115、97、95
110、100、103、117、92
109、105、92、92、114
96、96、113、108、94
104、111、114、97、104
100、118、95、99、113
104、107、103、119、113
111、97、118、93、116
99、104、93、96、102
111、104、113、102、117
116、117、96、100、92
104、117、112、105、110
109、92、116、115、115
100、118、116、113、119
105、102、110、95、113
92、104、95、91、106
103、105、115、94、103
104、99、101、99、92
106、103、94、108、116
ザンマの検証もザン同様、内部数値をもとにした予想ダメージ値にきわめて近い平均値となった。
今回の検証で、しられざるデビルサマナーの謎(といってはおおげさか?しかし誰も気付かなかった)がひとつ解けた。同時に、魔法ダメージの計算式もだいたいあっているという確認もできたのではないかと思う。なぜこのようなことになったのかは、我々には知る術もないが、「どうせ見えやしねえんだから直さなくてもいいだろ」などという短絡的な考えのもとに、放っておかれることとなった数値ではないと、信じたいところではある。
もしかしたらまだ誰も知らないようなすごい秘密が、あのUMDなりCD-ROMには隠されているのかもしれない。…いや、いるだろう。しかしそれは、いずれ解析されるであろうとも期待したい。以上、報告するものである。