(1、2ターン目回想)
「ね、ねえこれって······」
「ああ、このままでは鬼姫とクリスティアは確実にこちらに来る」
戦場に到着した式と啓子、しかし部長連側には特待生を倒せるような人材は居らず、二人の親しい友人である言葉と
カグメXしか居なかった。さらに悪いことに生徒会側には特待生を倒せるような怪物、
モナ・クリスピーナや矢ノ目六花が出場していた。
「そうね。なら······クリスちゃんと鬼姫ちゃんのところに突っ込むわよ。聖子ちゃんにはわるいけれどこれで気を引くことくらいはできると思う。言葉ちゃんやカグメちゃんのところにあの二人を向かわせる訳にはいかないもの」
手は、体は震えていないだろうか、きっと式には恐怖を感じていることも見破られているのだろう。言葉ちゃんはいつか蘇生できるかもしれないと言ってくれたけど、だから死ぬのが怖くなるわけではない。蘇生はいくらでもしてきたのに死ぬのはいつだって怖かった。それでもきっと言葉やカグメが死ぬよりはましだった。
「わかった」
式は啓子を一瞥し答えた。本当は啓子にだって死ぬような目には会ってほしくはなかった。それでもここで啓子を止めることは啓子の勇気を汚す行いに思えた。であればあとは自分が啓子を守るだけだ。死ぬのは怖いが蘇生後の自分だって今までとはそこまで変わらないと思う。少なくとも今まではそうだった。蘇生できなくたってここで行かねば言葉やカグメや啓子が死んでしまう。今ならまだ誰かが追撃してくれる可能性すらあるのだ。勝算は薄いが0では無かった。
そして、激突へ至る。
「皆さんごめんなさい! 神を降ろす対価をいただくわ!」
「クリスティア、悪いがここで倒されてもらう」
「あら、本当によろしいのですか? 私は強いわよ。正当防衛してしまうかも」
それでも引き付けられるだけで仕事を果たしたと思えた。正当防衛されるだけだとしても、それでもその時間の分言葉やカグメが生き延びられる。もしかしたら蘇生すらしてもらえるかもしれない。それで十分だった。だから。
「······来たりて宿りし私の神よ、加護を」
「行け、鉄弾球」
神が降ろされ拳を振り抜く動きから鉄弾が放たれる。それは全て当たった、だが。
「ふふ、痛いですわね······傷害事件ですわ」
「さて、サイコロを振るとしますかねぇ〜♪」
「······」
全員倒れず。啓子は能力を使った後で動けない、絶体絶命だった。
最終更新:2018年08月19日 10:11