第3ラウンドSS・特急列車SSその2

「俺の対戦相手が三回連続でクソレズカップルかつ能力もなんか似ているぞ鷹岡ぁ!」

三回戦のカードが決まった直後、ゴメスは激怒した。
同性愛者にとって異性の同性愛は猛毒なのである。
ホモはレジの、レズはホモのセックスアピールを7見ると常人の数倍のダメージを受ける。
ゴメスや露出卿はロシュアにいた頃に耐える術を学習していたが、(一回戦でゴメづくスを使わなかったのもその為)
それでも完全無効できるわけでではない。キモイもんはキモイんじゃいとゴメスはまくしたてる。

「ゴメス君、私が君に厳しいのは君がまだ己の罪を受け止めてないからだ」
「はぁ?」
「先の二戦、そして今回の対戦相手、それらは全て私が君の為に用意してあげたものだよ。
すっげー忙しい私が君の電話に出てあげているのも私が君の反省に期待しているからだ。
そんな訳だからいい加減罪と向き合居たまえ」

罪と言われてゴメスの頭に真っ先に浮かぶのは15年前の事件。ゴメスが今もなお刑務所にいる原因であるあの事件。

「あの事件の事ならもう尋問も全部終わってるだろーが。その結果が無期懲役だ」
「違う。君は警察の尋問に何一つ真実を言っておらず、ゴメスゴメスと意味不明の言葉で返答しただけだ。
結果、事件の詳細が判明するまで保護という形で15年が経過した。能力の規模がでかすぎるから厳しく管理されててがね」
「俺、そういう事になってたんだ・・・」

自分の扱いについて今更驚くゴメス。

「おい鷹岡!その辺もっと詳しく三行で!」

ツーツーツー

「切れやがった。チッ。オイアゴ~、鷹岡の話マジなのか!?」

近くにいる年配のアゴがしゃくれた看守に問いただす。

「マジ」
「マジだったら早く言えよ!」
「言ったよ。でも、お前事件関係の事すぐ忘れるじゃん」
「・・・マジか」
「マジだってば、ちょっと待ってろ。アレ持ってくるから」

アゴの長い看守が席を立ち、数分経つと一冊の単語カードを持って戻って来た。

「これ、お前がずっと前に書いていたやつだ。三日坊主で辞めてしまったけどな」
「見せろ」

ゴメスは震える手で単語カードをめくる。

『俺の名はゴメス』『俺は強い』『俺の使う魔人能力はゴメスパロボ』『俺はロシュアのメキシコ生まれ』
『かつて俺はゲイだった』『俺はムショに入った経緯を上手く話せない』『何故暴れたのかどうしてそこにいたのか説明できない』
『語ろうとするといつも以上にゴメゴメしてしまう』『さらに俺はあの事件について考えた事を一晩で忘れてしまう』
『そんな俺を見てアゴはいつも笑ってやがるからこれ読んだら忘れる前に殴っておけ』


「ゴメスマッシュ(生身)!」
「なくよウグイス!」

ゴメスのパンチを浴び奇声を上げふっとぶアゴ看守。

「アゴ、なんだとこれ。俺のキャラブレブレじゃなええか・・・」
「こっちはお前のパンチのせいで視界がブレブレなんだが」
「知るか馬鹿。そんな訳で金くれ。カード持ってるだろ?全部よこせ!」
「どういう流れでそうなるんだよ」
「バーロー。現金無いと特急乗れないし弁当も買えないだろが」
「そんなんしなくても、お前の場合ゴメスパロボに野っていけば一瞬で終わるだと」

その通り。今回の戦場の特急電車はどう考えてtもゴメスパロボが入れる広さはない。
なので乗ったまま内部に転移すれば試合開始と同時に電車は横転。
もし走行中だったえら被害はさらに倍率ドン。
対戦相手のミルカ・シュガーポット他一名は肉体強度は普通の魔人なのでこの時点で勝利はほぼ間違いないだろう。

「それじゃ意味ねえんだよ。・・・そっか、鷹岡は俺がこう動く事を期待してたのか」
「何一人で納得してんだ」
「いいからお前は金だせ。後、勝負に必要なモンがあるからちょっと買ってこい。俺は召喚で忙しいから」

結局スパロボ召喚するのかしないのかどっちやねん。そう思いながらアゴの看守は若い看守に後を任せて
ゴメスに頼まれたものを買いに行った。



(ゴ・メ・ス)



「・・・どうすればいいのかな」
「・・・さあ」

ミルカとヨモギ(上手く変換できない)、二人はユリキュアなので三回戦も一緒に参戦していた。
戦術が行き当たりばったりに見えて割と頭脳派で事前準備をキッチリする彼女達は開幕ゴメスパロボで電車横転という
展開も当然予測済みでそれの対策も用意していたのだが・・・・。

「特急券買って来たぞ!」

スタート地点が駅のホーム!

「乗り遅れるとリングアウトだから早めに乗ろうぜ!」

ゴメスパロボいねえ!

「飲み物紅茶でよかったか?」

なんかフレンドリーで旅行気分のゴメス!

「何かの罠なのかなあ・・・」
「スキだらけすぎて怖くて手が出せません」

ミルカは改めてゴメスの外見を確認する。
片手にスーツケースを一つずつ持ち、背中にはリュックサック、そしてちゃんと服を着ている。
家族旅行に行くオッサンそのものだが、これまでがこあれまでなので違和感しかない。
ミルカが想定していたゴメス像は今頃笑いながらスカッドミサイル撃っているというイメージ。

「早くこいよ~」
「どうしよ」
「どうしましょう」
「勝ち星はそっちにやるかはよこい」
「「オイおっさん、今なんつった!!」」

口から大量のヨダレを流しながらにじりよるユリキュア。勝利に飢えた女豹。

「お主その言葉に偽りはないな、ああーん?」
「おうよ!オッサンの人生相談に乗ってくれたらこの試合の勝ち星はクソレズ三号のものでいいぜ」
「言質とったどぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!」
「二勝目ゲットですー!」

シタタンシタタンと喜びの舞を踊るミルカとヨモギ(上手く変換できない)。

「お前らー、喜ぶのはいいが、勝利は相談と交換条件だぞ」
「い、一応聞くけど、罠じゃないわよね?」

「俺様本気だったらもう試合終了してるんだが?」
「デスヨネ」

ゴメスパロボと影のペット達、両者の戦力にそこまでの絶望的な差は無いが、
この戦場だとKO狙いでも場外狙いでも実体を伴うゴメスパロボが有利。
罠の可能性を警戒しつつ、ゴマスの気が変わらない内にホイホイのっかちゃうユリキュアだった。





(ゴ・メ・ス)

「わー、お相撲さんだ」
「二回戦を思い出しますね」

地方巡業の途中という設定だろうか、電車の中は力士で一杯だった。先頭に和服の女性がいるが、おかみさんだろうか。

「力士、か」
「ゴメスさん、どうしたの?」
「あーいや、力士も俺と同じハダカの戦士だと思ってな。んじゃ人生相談するから座ろうぜ」

特急券の指定番号の席に三人が座る。

「ミルカさん、力士さん達が鼻息荒くしてこっちみていて、何か怖いです」
「私達美少女だからねー。で、おじさんの人生相談って何よ?この世界一のエンタ~~~~テイナーに何でも聞いてね!」


ドヤ顔でポーズを決めるミルカ。ゴメスがゴメスらしくないのもあって気分はすっかりラジオDJだ。

「俺さコミュ障で思った事も自由に言えないこんな世の中じゃゴメスンなんだわ」
「へぇ~、でも普通に会話できてるじゃない」
「昔の事件の事になるといつもよりゴメゴメするらしいんだよな」
「ゴメン、何言ってるかわからない」
「じゃあ実際にやってみるか。俺がゴエス役でお前が尋問役、そっちの胸のある方の仔が記録係役で」

そういう訳で疑似尋問が始まった。

「えー容疑者、まず名前は?」
「ゴメスだぜ!姓はゴメス名はゴメス!」
「うわ、いきなり私の知ってるゴメスになった!んじゃあ、ゴメス、君は何故あんな事件を起こしたのだ?」
「俺がゴメスだからだ!ゴメスとは荒くれ!ゴメスが暴れるのにそれ以上の説明はいらねえ!」
「全く答えになってなーい!次!日本に来た目的は?日本で暴れる意味はあったの?」
「良くぞ聞いてくれた、ゴポイントあげよう!」
「そういう、世界二位みたいなのはいいから日本で暴れた理由は?」
「日本は・・・ゴメスなんだよ!俺って超ゴメスだしゴメスとゴメスが引き合うつーか」
「ええーい、これで尋問をしゅーりょーしまーす!」

尋問が終わるとゴメスは深く頭を下げながら申し訳なさそうに呟く。

「その・・・ゴメスミマセンデシタ」
「勝ち星が惜しくなってふざけていた訳じゃないのよね?」
「ああ」
「一回戦で見たオジサンと二回戦のオジサンと今のオジサンと尋問の時のオジサン、どれが本当なの?」
「一回戦は相手がロシュア人だったから多少イキッてたと思う。尋問の時の俺は自分でもおかしいのを感じている。
今の俺は自分を見失ってる、だから、多分二回戦の俺が本来の俺・・・なのか?」

自信なさげに言うゴメス。何だか本格的に人生に困ったオジサンと化していた。

「どうしようかしらねえ。ヨモギ(何故か変換できない)は何かアイデアある?」
「あ、あの…、ミルカさんの能力でゴメスさんを真面目に尋問に答える様にすればいいんじゃ」
「それな!」

ミルカの魔人能力『公共伝播』発動!
ゴメスの思考をミルカの望む方に修正する!それと同時にミルカのゴメスの思考の影響を受ける!

「え、あれ?ちょ、ちょっと待って、何よコレ」

ミルカが覗いたゴメスの脳内、そこには・・・、
『事件の事を聞かれたら全部ゴメスで返せ』『その事に違和感を感じさせない程度にゴメスを普段から増量』という思考が
がっしりとこびりついていた。

「こんなのって、まるで・・・」

そう、ぉれはミルカの能力の支配下となった人間の脳内と同じ状況。
ゴメスは既に、誰かの洗脳を受けていた!!

「ゴメスさん・・あなたは洗脳を」
「それ以上尋問ごっこを続ける必要はないわ」

和服の女性がミルカの耳元で声をかける。

「うわあびっくりしたなあもう・・・ひっ!」

振り返ったミルカは腰を抜かす。

「どすこい」「どすこい」「どすこい」「どすこい」「どすこい」

いつの間にか力士達全員が席を立ち、三人をぐるりと囲んでいた。

「さっさと勝負してればこんな事しなくてすんだんだけどねえ。貴方たち三人とも私達の手で退場してもらうわ。
余計な事を知られる前にね」
「余計な事ってなんだよババア?俺の過去関係か?」
「教えるわけないでしょ、でも一つだけなら」


(ゴ・メ・ス)


「私達はバーチャル世界の住民じゃなくて、とある悪の組織のメンバーなの。
現実世界の人間がこっちで暮らしている理由は三つあるわ。
一つは警察の目を欺く為。こんな所に組織の支部があるとは誰も思わないでしょうからねえ。
二つ目はコストカットの為。ここなら税金がかからないのよ。ウチは大きな組織だから割と重要よ。
そして三つ目、ゴメス、あんたが余計な事を思い出しそうになる前に現世に戻す為よ。
今日私達は世間に存在が明るみになるリスクを背負ってまでここでこうしているのは全てあなたの為なの、
十五年前、裸で働ける職場を求めてメキシコを飛び出した貴方はその日の内に私達の組織に捕まった。
能力は高くても世界を知らない子供だったから捕獲も洗脳も簡単だったらしいわ。
洗脳を受けた貴方は組織の鉄砲玉として表世界のあらゆる相撲関係施設を破壊した。
目的をカモフラージュする為に関係ない施設も破壊させたらしいわ。
そして最後、二本の国技館を狙った所で貴方はは逮捕された。
洗脳のおかげで今迄は背後に私達の組織がある事は気付かれなかったけれど、
鷹岡のせいで少しずつ貴方は本来の意志を取り戻しつつあった。
そこで、バーチャル支部にいる私達に命令が下されたのよ。
真実が明るみになりそうならその前に勝負に介入して何もわからぬままにしろってね。
私が言えるのはこれだけよ」

ゴメス、ミルカ、ヨモギ(何故か変換できない)、力士達、全員の目が点になる。

「どうしたの、皆キョトンとして」
「つ、つまり、俺は15年前どっかの悪の組織に洗脳されて破壊活動してたんだな?」
「なっ!何故それを知ってるの!?」
「今!あんたが!全部!勝手に!いった!」
「ミルカさんの言う通りです。はい」
「おかみさんって何で幹部になれたんでゴワス?」「強いけどアホだからバーチャル支部に左遷されたでゴワス」

おかみさんは糸の切れた人形の様にその場に崩れ落ちた。

「おのれ世界一のエンターテイナー、ミルカ・シュガーポットめ!よくぞ洗脳の秘密を暴いてくれたな!」
「そっちが勝手に自爆しただけだけど私の手形になるならそういう事にしてあげる!えっへん流石私!」
「こうなったらせめて私達の手でお前らを消してくれる!もう全世界に放送されて手遅れだけどうっぷん晴らしよー!」

おかみさんの号令の下、力士達が前傾姿勢に移行する。

「いまえたち!このなかにはいれ!」

ごめすがすーつけーすをひらき、ふたりをなかにいれてしめる・

「そのみはむげんのごめすでできていたー!」

しあいまえにほぼぜんぶえいしょうしていた、ごめすぱろぼしょうかんのじゅもん。
さいごのぶぶんをとなえおえるとごめすのからだがひかりにつつまれ、でんしゃにげきしんがはしった!!








CAST
ごめすぱろぼ:のざわまさこのまねがうまいげいにん
かんしゅたち;じょうきのげいにん

「ばんぐみのとちゅうですが、おしらせです。きゅうにぱそこんがおおもくなって、
へんかんきのうがつかいものに、ひらがなしかだせなくなりました」

ろしゅつきょう:でーもんかっか
なずな:いしだあきら
みるか:はやしばらめぐみ
よもぎ:かないみか

「これいじょうかくことがぶつりてきにむりなので、ほうそうはここまでとします。
さくしゃは、あたまのなかではできているといいわけしてしますが」

おかみさん:なかだじょうじ
とあるそしきのわるいすもとりぐんだん:らさーるいしい

「おとしたっていいじゃない、にんげんだもの。ごめすさくしゃ」

ごめす;ごめす・・・いや、こやすたけひと!

「そんなわけでこれは、じきゃらはいぼくSSなのであった」


GK注:このSSの執筆者のキャラクター「ゴメス」
最終更新:2017年11月12日 02:51