―――第三試合決着前

C3ステーション・サーバールーム。

「第三試合ともなると、やっぱ盛り上がってくるねえ――うん」

さきほど行われた第三試合の様子を映したVTRを見ながら、鷹岡集一郎は満足げに微笑んだ。
思えば、第二試合では色々と不本意なトラブルもあった――

刈谷の壮絶な塩試合や、荒川くもりによるVRルールの破壊、
“スパンキング”翔VS露出卿の全面画像処理、
国際暗黒相撲協会の予想以上の介入、
そして自身が全裸になったあげく殺される始末――

「――あれ?」

一瞬違和感を覚えるが、しかしそれもすぐに霧消する。
そりゃあそうだ、自分が死んでいたら今これを見ている自分がいないわけだから。

「……そういえば、美樹ちゃん随分と遅いねえ」

そして、鷹岡は先程とは異なる違和感に行き着く。
普段ならば、この時間には秘書である進藤美樹もここに訪れて、妹のソラに差し出す為の試合記録を預かりに来る頃合なのだが――

「秘書室でうたた寝でもしてるかな?ここのところ激務続きだったしね――」

VTRを収めたディスクを手にした鷹岡が、サーバールームを後にする。
彼らしく気まぐれに仏心を出して、第三試合の映像を届けようと向かった先で
彼が予想もしていない、最大のトラブルが待ち受けているとも知らず。


秘書室の扉を開けた鷹岡が見たものは――
C3ステーション社長秘書・進藤美樹が、殺されている姿だった。
最終更新:2017年11月18日 19:43