「砂羽〜〜っ!!!俺が悪かった〜〜!!」
ゴメスイマセンデシタにも似た堂々たる土下座を見せる刈谷融介。こりゃもう逃げきれんわと悟った彼は潔く謝る作戦に出たのだ。
「許す!!だって大好きだもん!!」
ごめんな。実は作者が童貞だから恋愛や女性の描写は苦手なんだ。砂羽はちょっと可愛げのあるところも判明したし、多分こんな感じなんじゃないかな。はぁ〜セックスセックス。
「俺も好きだァーーーっ!結婚してくれ〜〜!!」
「はい!やったぁ〜〜!!嬉しいなぁ!イェーイ!」
「俺もめっちゃ嬉しい……こんな素敵なことがあっていいのか?結婚式はハワイでやろう……」
二人は手を取りアハハウフフと踊り出した。これは作者も予定していなかったゴメスペシャルハッピーエンディングであり、別に辻褄の合う話を考えていなかった訳ではない。本当です。オデ、ウソ、ツカナイ。
ともあれ人生のターニングポイントというのは結構その場のノリとかタイミングとかで決まるものである。今がその時だったのだ。うんうん。
「おめでとう!」
「おめでとう!」
「おめでとう!」
「めでたいなぁ!」
「おめでとさん!」
「クックックワァクッ!(ペンギン)」
みんなも祝福しているぞ。よかったね!
(ゴ・メ・ス)
「やっとノーマルの人間だ!わかってんじゃねーか鷹岡ァ!!」
牢獄のゴメス、喜びの舞。彼のなめかましくも美しいゴメストリップは看守たちの嘔吐を誘った。
「うぷっ……なあゴメス、お前どうすんの?あの情緒不安定クソ金持ち野郎に勝てんのか?マジ現実でぶっ殺してくれよ」
「ちょ、殺意スゲーなアゴ。どうしたんだよ」
「俺は金持ちが嫌いなの!!なんであいつらは俺にカネをくれないんだ!?理不尽だ!つーかゴメスお前マジで前回貸したカネは返せ」
「うす」
顎の長い看守、彼のあまりの剣幕にはさしものゴメスもビビった。氷帝の樺地みたいな返事になっている。
「地形は山だろ?最初からゴメスパロボ出してよぉ〜、ドカンと派手にやっちまおうじゃねえか。な、スカッとさせてくれよ。お前の監視って実は凄いストレス源なんだ、知ってたか?」
「そんなこと言わないでくれ。アゴ、俺たちマブダチだろ?俺がタモリでお前がイグアナ!」
「タモリとイグアナはマブダチじゃないだろ!あとお前が似てる芸能人はタモリじゃなくてパッション屋良。そして俺は福士蒼汰」
「なんだと?おい俺の筋肉!やるのかい?やらないのかい?どっちなんだい!!」
筋肉に語りかけるゴメス。露出亜男の肉体美はパーフェクトだ。
「なかやまきんに君じゃねーか」
「口答えすんなアントニオ猪木!!」
「いい国作ろう!」
ゴメスの拳がアゴの顎にクリーンヒット、奇声をあげて吹っ飛ぶ。
クラクラしている彼に、横からそっと何かが添えられた。
「おお、痛そうですね。大丈夫ですか?患部にこの十万円をあてて安静にしてください」
しあわせムードいっぱいの刈谷融介だ!古典的かねもち所作を前に、アゴはパンチ以上にクラクラである。
「ゲヘヘ!ありがとうございやす!!」
「おいアゴ。さっきと言ってることが違うじゃねーか」
「そ、そんなことねーよ。刈谷さんは人品も確かな素晴らしいお人だってさっきから言ってんだろうが」
「おお看守さん、どうしてそんなに冷や汗をおかきになっているのですか?この十万円で拭いてください」
またも現金。アゴはひったくるようにそれを受け取る。刈谷はその隙をついてサクッと鍵を奪い、牢の鍵を開けた。
「おいおい、いいのかよこんなことして」
「いいんだよ。お前は仮釈放だ。なんか洗脳とかで本人の意思がうんぬんってやつ」
「いや、流石に対応が早過ぎるだろ」
「なんのために金があると思ってんだ、握らせて割り込みするためだろうが」
「マジかよ最高だな。で、なんでお前がわざわざ来てんだ?」
質問するゴメス。
「ゴメス、いや、ゴメッさん。俺はマジでお前に相談したいことがあるんだ」
とても深刻な顔だ。いきなり順風満帆になった彼に一体どんな悩みがあるというのか?
「——チンコ勃たねぇんだ、俺。どうすればいいのかな?」
病院に行ったほうがいいんじゃないかな。その言葉をグッとこらえ、なんか面白そうだから刈谷についていくゴメスだった。
(ゴ・メ・ス)
「ヒィーッ!!」
桜屋敷家に現れた闖入者!ゴメスと刈谷だ。
「なあ刈谷、どうしてこんなとこ来たんだよ」
「ゴメッさんの三回戦に出て来たマヌケの話をしに来たんだよ。あの……ダーク相撲おばさんみたいな人のアレ」
「ああ、あの……アレか。あのおばさんな」
「いろいろ手伝うからよ、マジ俺のチンコどうにかしてくれよな。露出亜の秘薬とかないの?」
「あるけどお前が使ったらキンタマがおっぱいになる」
「さ、気持ちを切り替えていこうぜ」
可愛川ナズナは困り果てていた。愛しのお嬢様に近づく男たちは全員ぶっ殺したいところだが、彼女は一介のボディーガード。主人の客に失礼なことはできないのだ。そして話の内容が意味不明すぎる。
「要件ってのは相撲だ、相撲。桜屋敷家ってのは桜の御紋がついてる組織の総元締めなんだよ。当然、相撲協会もこの家の下部組織みたいな感じなワケ。
つまりこいつらがノホホンと敵をほったらかしにしてっから、このゴメスくんみたいな被害者が生まれるのです!うう……かわいそうだと思いませんか?現代社会の闇ですよ!」
なんだかそんな気がしてきた。全裸でオッさんだろうが洗脳させられて犯罪者に仕立て上げられるのはかわいそうに決まっているのだ。
「ああ、なんてこと!申し訳ありませんわゴメス様。しかし我々が国暗連を排除できなかったのは稲葉家のせいなのです。
相撲とは豊穣のための神事という側面を持ちます。稲の葉を名乗る最古の農業と祭礼を司る稲葉家、宗教的側面がある相撲において彼らとの政治的牽制が起こるのは防げなかったのですわ。
もう!我が家はお父様直々に力士の軍事利用を提言していますのに、彼らは伝統に固執するばかり!」
ぷんぷん怒るお嬢様。話に参加できなかったゴメスは、チンチンを勃起させたりしぼませたりしてナズナをビビらせる遊びをしていた。
「とにかく、わたくしからも影に日向に援護射撃を行いたいと思います。鷹岡さんは財界の中でも我が家だけにカードを送ってきて、それ以来チクチクと他家からの嫌がらせとイヤミが止まらないのですわ。
その鬱憤を晴らすついでに圧力をかけつつ、引退力士を中心に世界規模で軍事力を展開!きっとゴメス様の洗脳を完全に解くための方法も探し当ててご覧に入れます」
トントン拍子で話がまとまり、万々歳だ。やはり困ったときは偉い人に頼るに限る。
「あっそうだ、相撲の偉い人なら朝青龍のサインくれよ。俺めっちゃファンだったんだよね〜」
「ゴメス様。ドルゴルスレンギーン・ダルワドルジは既に引退してしまいましたわ」
「嘘だろ?あんなに強かったのに?」
「ああ。サッカーしちゃったからな」
「ハハハ!おいおい刈谷、サッカーしたから相撲を引退するって意味わかんねえよ……え?なんでそんな顔すんの?ありえねえ。嘘だと言ってくれ」
しょんぼりとするゴメス。もう話すこともないし、この流れでは解散だろう。
「ところで刈谷様」
「なんでしょうか?」
「童貞というものはチェリーとも呼びまして、つまり我が家の文化的保護対象でもありますの。ホモならばなお良し!男の人は男の人同士、女の人は女の人同士で付き合うのが一番だと思いますわ」
二人の男は顔を見合わせた。
「帰ろうぜゴメッさん!」
「ああ!」
(ゴ・メ・ス)
山なんだから悪の組織が秘密基地を作って潜んでいるに決まってるだろ!早速作戦開始だ。
「いやー盲点だった。まさか俺ってば何体でもゴメスパロボを呼べたんだなあ」
「そりゃする必要がないんだから思いつかないって」
VR戦闘空間内にて、いま二人はそれぞれゴメスパロボに乗って山を掘削している最中だった。十時間も歌ったゴメスは喉がガラガラである。
そして山の名は御相撲山。なんとも分かりやすいことだ。
「ゴメっさん。流石にあのアホがたった一人でVR支部の幹部をやっていたとは思えねえ……気をつけよう。ところで露出亜秘伝のちんちん活性手術とかないの?」
「あるけどお前がやるとチンコがライト性バーになる」
「なんでそういうのばっかなんだ……おっと、どうやらここら辺みたいだぜ」
ゴツン、とひときわ硬質なものにゴメスパロボの指が触れる。ここが基地に違いない。
「よーしそれじゃあ!」
「「ゴメスカイ!」」
「「ゴメスカッドミサイル!!」」
遠距離から爆撃を続ければ人間は死ぬ。それが二人の出した結論だ。変形して空中に浮かび上がったゴメスパロボは次々とミサイルを撃ち出す。最初からそれで良くない?
爆発炎上。聞こえてくる相撲取りたちの断末魔。
慌てたのは敵幹部である。基地の奥の方で踏ん反り返って待っていたのにこの有様だ。反撃もできぬままに山肌が吹き飛び、基地ごとミサイルをもろに食らっている。
「ゴメスカッドミサイル!」
「ゴメスカッドミサイル!」
「ぐわー!!ま、待てってお前ら!おい!俺があのアホババアの監視をしていた真の幹部だ!俺と能力バトルを繰り広げないのか!?」
「ゴメスカッドミサイル!」
「ゴメスカッドミサイル!」
「いって!バカ!俺は人間だが力士だ!そんな爆風ビクともしな……だから痛いって!やめろ!!」
「ゴメスカッドミサイル!」
「ゴメスカッドミサイル!」
「ギャーッ!!だからもう……やめろ!やめろっつってんだろ!やめてください!ねえ聞いてますか?聞こえてる〜!?コール&レスポンスしようよ〜!!」
ゴ時間後。物言わぬVR丸焦げオッさんと禿山となった御相撲山を前に、二体のゴメスパロボがその勇姿を示していた。
その同時刻、ドルゴルスレンギーン・ダルワドルジを中心とした引退力士連合軍隊は各地で激しい戦闘を繰り広げていたという。ゴメスの元には彼のサインが届くのだが、それは数日後の話である。
(ゴ・メ・ス)
「うわーっはっはっはっはっは!!」
「カンパーイ!!がはははは!!」
せっかくの釈放だから飲み会である。パブは貸し切り、男二人で不摂生だ。露出亜は酒精も名産品。戦いはどうなったかって?悪は滅びた。そういうことでいいではないか。
「これはウォッカ」
「うまい!」
「これはニョッカ」
「なんだそれ?」
「女の香りと書いてニョッカって読むんだ。つまりそういうやつが入ってる。露出亜の男たちはこれを飲んでゲイを解消するワケよ」
なるほど神秘である。文化の相互理解は体当たりで行うべきだ。グイッと愛液発酵アルコールを飲み干す刈谷。
「おお……下腹部に刺激が」
「それ多分お腹痛いだけだと思うぞ。ヴィンテージものだし」
「オエーッ!どう考えても腐ってんだろうが……フザけんな!!」
ひどいものを口にしてしまった。口直しとばかりにゴメスは次の酒を取り出す。
「じゃあ次はこれだ!ウィスキー」
「うまい!そうそう、こういうのでいいんだよ」
「で、これはオンナスキー。自己暗示にかかる酒だ。他にもヒトヅマスキーとかネトラレスキーとかあるぞ」
「いや、それはマジでしまってくれ……頼む……」
想像するだに恐ろしい。刈谷くんは初恋が叶ったばっかりなんだぞ?そういうの、やめようね!
「そんなしょんぼりすんなよ。ほら、つまみの妊婦ジャーキー」
「いちいち名前がヤベェんだよ!なんでそういうのしかないの?おかしくない?」
「ハハハ!露出亜だからなあ」
それもそうかと刈谷も笑う。酒に弱いくせに強いのばっかり飲むからベロンベロンだ。そうしてゲラゲラ笑いながら酒を飲んでいると、思わぬ客が現れた。
「なにやら楽しげな気配に誘われてみれば貴様らか。どれ、我輩も混ぜてくれはせんか?」
「おお、露出卿じゃねーか!来い来い!俺たちってば全員金持ちだからな!!ウヒョヒョー!賞金さまさまだぜ!」
「呵呵!上機嫌であるなあゴメスよ。だがプラプラーチンには目的を果たせず仕舞いと叱られそうではあるな。……うん?そちらの男はどうしたのだ」
「露出卿、あんたの女性的魅力は俺にも十分伝わっているさ……だがそれが、股間に現れねえ。俺はオチンチンタタヌティウスなんだ」
「ううむ、性の病は繊細な問題であるからなあ」
ぐびぐび酒を飲みながら悩む露出卿。露出亜人は基本的にウワバミだ。
そんな折、静かに卿の側で控えていた少女がおもむろに口を開く。
「では、処女を散らしてはいかがでしょうか?」
「うん?」
「え?」
「む?」
「ホモが嫌いな女の子なんていません!」
熱弁である。この子はときおり暴走するきらいがあるなあ、まだまだ子供よ、などと卿はおおらかに考えていた。
「おおい、どうした二人とも。なにをそんなに慌てて店から出るのだ?千鳥足ではないか」
二人の顔は真剣そのものだった。酔ってるのだ。
そうだ、ゴメス。そうだ、刈谷。あの夕日に向かって走れ!夜だけど。
『もう同性愛は勘弁してくれ〜!』
CAST
ゴメス:子安武人
ゴメスパロボ:復活の野沢雅子
看守たち:復活の野沢雅子
(ゴメスはみんなゴメゴメス 生きているから歌うんだ)
刈谷融介:銀河万丈
露出卿:デーモン閣下
可愛川ナズナ:石田彰
(ゴメスはみんなゴメゴメス 生きているから悲しいんだ)
桜屋敷茉莉花:関根明良
笹原砂羽:雨宮天
とある組織の悪いスモトリ軍団:ラサール石井
(手のひらを太陽にすかしてみれば 真っ赤に流れる僕のゴメス)
真の敵幹部:照英
(ゴメスだってゴメスだってゴメスだって みんなみんな生きているんだゴメスなんだ)
『ゴメスの熱い戦いを収録したDVD、ブルーレイディスクが登場だ!モザイク無しの完全版だぞ!今すぐ予約しよう!』