突然室内に引っ張り込まれた
モニカ。
あまりの事態に思わず暴れようとしたが、口を塞がれ間接を決められ、あっさりと動きを封じられた。
動かない分にはなんら問題ないが、もがくだけでも節々がきしんで痛む。
喚くこともできず涙目の彼女の姿に、
リバストは眉をひそめた。
「いささか乱暴ではないか?」
「安全に越したことはない。それにことを聞いたらちゃんと開放するさ」
オルテガは淡々と、モニカ言う。
「というわけで、少し話を聞かせてほしい。こんな状況なんで乱暴なのは勘弁してもらうがな」
オルテガはそう前置きしてモニカたち一行について尋ねる。
威圧的な男二人に、モニカは青ざめながらこれまでの経緯を話す。
二人は黙ってモニカの話を聞いていたが、壁の化け物に襲われたときに助けてくれた少年のことを話すとオルテガが反応した。
かなり…モニカにとって、意外な反応だったが。
「おお…そうか、そんなことがあったのか。
アルスは心正しく育ってくれたのだな」
「その名前は会ったときにも聞いたな。誰だ?」
リバストの言葉に、オルテガは誇らしげに言う。
「わが息子だ」
「エーっ!!」
と。モニカの声が室内に響いた。
――――
メルビン、ガウ、
アーロンの三人は離れの様子をうかがっていた。
戦闘経験のないモニカから目を離したのは明らかに失敗だった、しかし今はその責任所在について問うことに意味はない。
アイコンタクトと小声でどうするかを相談しあう。
ガウが自分が暴れて中の気を引くといえばメルビンがそれを窘め、メルビンが話し合ってみようかといえば中にいるのがどんなヤツかわからないから危険だとアーロンがいう。
――ならばどうすればいいので
ござるか。
――相手が何であれ、目的があるなら次の行動に出るはずだ、そこで先手を取る。
――がう…。
――まだ、どんなヤツなのかはわからん。だが、今の状態で暴れては逆にモニカが危険だ。
――冷静でござるな。まったく正論でござる。
そういったわけで、三人は息を殺して中の様子をうかがっていたのだった。
――ガウ殿、中の様子はどうでござるか?
――モニカが何か話してる。
――無事でござるか…
とりあえず、すぐには命をとられなかったことにほっとしながら、警戒を続けてしばらく。
「エーっ!!」
離れの中から、モニカの声が聞こえてくる。切羽詰った様子はない、が…
中で何かがあったことは間違いないだろう。
――アーロン殿、ガウ殿!
――がう!
アーロンは無言で半ば折れた鋼の剣を抜き、うなずこうとする…
――いや、待て。
研ぎ澄ませていたアーロンの勘が、森の向こうから誰かがやってくる気配を察知していた。
その次の瞬間にはガウも気配に気付く。
――誰か…来る。
――むう、前門の虎、後門の狼といったところでござるな。
メルビンは油断なく
虎殺しの槍を構えながら、つぶやいた。
――――
エビルプリーストは前方に人の気配を感じて身を隠した。
彼(姿は彼女)の接近は既に気付かれていたのだが、自分に自信を持っているものは自分が出し抜かれることを考えもしないものだ。
「さて、ここは思案のしどころじゃ…じゃない、しどころね」
どうやら、向こうにいるのはそろって男らしい。ならば自分が出て行っても油断するか、受け入れてくれる
可能性もある。
だが、無力な女性を装うということはそれだけで身を危険に晒すことになる。
「なにやら取り込んでいるようだし、様子をみるのもいいか…じゃない、いいかもね」
祠の中にいる
ピピン、
リディア、
エーコは恐々と外の様子をうかがっていた。
これまでも何人かが祠に気付かず通り過ぎていった。しかし、オルテガが祠に気付いてからというもの、空気が違う。
そして今、そのオルテガが騒ぎを起こしている。もう、隠れていられなくなるかもしれない。
「いいですか二人とも。もし、外の誰かが祠の扉を開けたら、扉の合間を抜けてわき目もくれずに逃げなさい。
そしてできるならば
クーパー様たちと同流するんですよ」
「でも、ピピンは…?」
「こんな足でも、何とか二人が逃げる時間くらいは稼げるでしょう」
この足ではとても走れない、という言葉は省いて、ピピンは微笑んだ。
もう自分は逃げることはできない。けれど、剣を振ることならできるだろう。
「そんな…そんなの」
今からもう泣きそうなリディアの頭を優しくなでる。
「僕だって死ぬのはいやですよ。でも、こうなることはずっと前から覚悟していましたから」
主から譲られたロングソード。それとともに託されたまだ幼い子供たち。
そう、私は誰かのために戦おうとしている。誰かのために死のうとしている。
「…馬鹿だよ。そんなことしたって誰も喜ばないよ」
「ええ。自己満足です。そして、そうやって生きることを誇りに思う男もいるんですよ。
おぼえておきなさい。そうすればきっと、エーコちゃんはいい女になれる」
「エーコはもうイイ女だよっ!」
エーコの強がりを、ピピンは心の底から好ましく感じた。
自分はきっと最後まで後悔しないだろうと思った。それが、嬉しかった。
とんぬら、アニー、
ルーキーの二人と一体は湖を架ける橋を渡っている。
一行の行く手を遮るものはなく、特にアニーは上機嫌だった。
クーパーには悪いが、頼もしさではやはり父親は別格だ。
父親と一緒にいるだけで、もう何も恐くない。側にいるだけで勇気が湧いてくる。どんな敵とも戦える。
それは子供特有の純真さと残酷さかもしれないが、子供特有ゆえ、アニー自身は気付かない事である。
「この橋を越えた南の平原に出たら、誰かに会えるのかなぁ」
「南の平原に出たら、湖沿いに西に行ってみよう。地図だと、僕たちが雪崩に巻き込まれた山道はそこに出るみたいだから」
とんぬらとルーキーはそんなことを話している。アニーは興味がなかった。父に任せておけばいい。父が間違える事なんてないんだから。
こうして、ルビスの加護に守られているはずの祠にいくつもの意思が集っていく。
その先に何があるのか、誰も知らないままで。
【オルテガ 所持品:
水鉄砲 グレートソード 覆面
第一行動方針:アルスを探す】
【リバスト 所持品:
まどろみの剣
行動方針:特になし】
【モニカ 所持品:
エドガーのメモ(ボロ)
第一行動方針:オルテガたちから逃げる…今は和解の方向?
第二行動方針:アーロンの傷を完治させる
第三行動方針:仲間を探す】
【現在位置:ロンダルキアの祠の離れ】
※チョコボが奥に隠れています。
【アーロン 所持品:折れた鋼の剣
第一行動方針:モニカを助ける
第二行動方針:仲間を探す】
【メルビン 所持品:虎殺しの槍
第一行動方針:モニカを助ける
第二行動方針:仲間を探す
第三行動方針:
ホフマンの仇をうつ】
【ガウ 所持品:なし
第一行動方針:モニカを助ける
第二行動方針:仲間を探す
第三行動方針:ホフマンの仇をうつ】
【現在位置:祠の離れのそば】
【エビルプリースト(現在の姿は
ファリス)
所持品:
危ない水着 変化の杖 ファリスのペンダント
第一行動方針:アーロン、メルビン、ガウの品定め
第二行動方針:天空の勇者(ソロ・クーパー)の始末】
【現在位置:祠の離れの手前】
【ピピン 所持品:ロングソード
第一行動方針:外の騒ぎが静まるのを待つ
第二行動方針:リディアとエーコだけはなんとしてでも守る】
【リディア 所持品:なし
第一行動方針:外の騒ぎが静まるのを待つ
第二行動方針:祠から逃げて
バッツたちと合流
第三行動方針:仲間(
セシル?)を捜す】
【エーコ 所持品:なし
第一行動方針:外の騒ぎが静まるのを待つ
第二行動方針:祠から逃げてバッツたちと合流
第三行動方針:仲間を捜す】
【現在位置:ロンタルギアの祠】
※かなりたくさんの人が集まってます。
オルテガたち、メルビンたち、エビルプリーストはお互いかなり近くにいます。
そこから少し離れた場所にピピンたちがいて、
騒ぎが起こったら気付く位置にとんぬらたちです。
最終更新:2011年07月18日 07:47