ハンドアウト
平和な世界、平和な街。しかし、裏切りの世界の中では、指先一つで破壊される危うい平和。
再び解き放たれる“創造の力”。
それは、既に乗り越えた過去を現代へと蘇らせる。
街に潜入したFHエージェント、時を同じくして現れた少女。
今、過去と現在が交錯する。
ダブルクロス≪ネガ・リインカネーション≫
世界は既に、変貌していた。
PC①
シナリオロイス:眞鍋 愛子 P/N:遺志/悔悟
眞鍋愛子は、かつてUGNのエージェントだった人物だ。優しく、朗らかで、見る者を和ませるような女性だった。そんな彼女が、長瀬明首謀のクーデターによって命を落としてから、既に一年が経過しようとしている。そんな折、とあるFHエージェントがK市に侵入してきた。
PC②
シナリオロイス:
蓬莱人形 P/N:好奇心/恐怖
蓬莱人形、ただいまK市におけるUGN・FHがもっとも注目している物体であり、これを中心として数多くの事件が引き起こされている。両組織は全力(?)を挙げてこの物体の解析を続けているが、今のところ目立った成果は、ない。そんな折、蓬莱人形の解析室に、“謎の生物”が侵入してくる。“謎の生物”は『長柄 修司』と名乗った……!
PC③
シナリオロイス:長柄 修司 P/N:興味/不信感
上から重要事項と称される通達が送られてきた。FHセル“アーティファクト・リヴァイバル”のセルリーダー『長柄 修司』がK市に侵入してきたらしい。やつとは一度出会ったことがある。不敵かつ不遜な性格で、鼻持ちならない男だった。そんなやつが、このK市でなにをしようというのか。通達には、やつの討伐も含まれていた。
PC④
シナリオロイス:赤井 朱美 P/N:遺志/戸惑い
一年前、長瀬明首謀のクーデター事件により、このK市は激戦区となった。UGN・FH双方に多大な被害を出したこの戦いは、一年経った今になっても、参戦した関係者達の心に深い傷を残している。君にとっての傷は、戦友である赤井朱美の死もその一つだった。その時、どさりと、背中に体重がかかってきた。
シナリオ内容
二月も半ば、水橋は仕事をサボって誰かのアルバムに見入っている菅原を発見する。
そのアルバムとは、かつてK市のエージェントだった眞鍋愛子の遺品であった。
一年前、長瀬明のクーデター事件の際に彼女は命を落とし、その事件は支部員達の心に深い傷を残していた。
アルバムを見て、ありし頃を懐かしむが、自分達の知らない子供が愛子と共に写っている写真を目撃する。
一方、蓬莱人形解析室を訪れていた水城は加賀山と語らっている最中、人形にまとわりつく奇怪な昆虫と遭遇する。昆虫は奇妙な音声で「長柄修司」を名乗り、一方的に実験を行うと宣言する。
昆虫は水城の迅速な行動によって排除されたが、室内は紫色の煙で満たされ、それに影響された蓬莱人形が“力”を発動させる。
今度は一体何が起こるのか……事件に巻き込まれたことを自覚した水城は、加賀山に案内され、水橋の元へと向かう。
その頃、FH「オルフェウスセル」にて、羣はセルリーダーである
春日愛理からとある任務を受領していた。
任務とは、FHセル「アーティファクト・リバイヴァル」のセルリーダー、長柄修司の抹殺であった。
長柄修司は自分のセルの人員を全滅させ、このK市に侵入してきたらしい。
残された資料から推測するに、あの蓬莱人形を狙っているらしい。
本来なら零に任されていたはずの任務。しかし現在のところ、彼は療養中の身。羣は彼に代わって、と任務を了解し、長柄修司の排除に向かう。
さらに一方、都築京介(以下、京介)は春日愛理に負けた罰ゲームとしてパシリに勤しんでいた。その時、一年前のクーデター事件の際に死亡したはずの友・赤井朱美と遭遇する。
嬉しさ半分、不審半分。これまでK市で起きた事件から、恐らく蓬莱人形の力で復活したのではないかと推測した京介は彼女をオルフェウスセルに連れ帰る。
UGNでは、UGN日本支部の藤崎弦一より、FHエージェント・長柄修司の撃退任務が下されていた。
水橋は水城と共に「長柄修司」事件の調査に乗り出す。
それにより、長柄修司が一年前のクーデター事件の際、このK市支部に侵攻したFHの指揮をとっていたこと、眞鍋愛子を直接殺害した人物であることを知る。
顔写真を見て、クーデター当日のことを回想する水橋。
廃墟と化した支部の中、チルドレンの死体の前で力なく座り込む愛子。
現れるFHエージェント・長柄修司。
長柄の攻撃から水橋を庇い、帰らぬ人となった愛子。
敵であるUGNを殺しただけなのに、何故か酷く動揺した長柄。
思えば、不審な点の残る記憶だった。
さらに水城は一年前のクーデター事件を裏から手引きした人物がいることを突き止める。
嫌な予感を拭えず、むしろ愛子への不審を募らせる水橋。
一方、FHでは羣が京介と合流。
水橋らと連絡をとり、共同で長柄を追うべく協定を結ぶ。
その後の調査で、赤井朱美の肉体はかつての間宮雄二とほぼ同じ――つまりは蓬莱人形で蘇った状態――であること、ただし欠損はなく、“創造の力”が正常に作動していたことがわかった。
さらに、水橋は藤崎から得た情報により、愛子がUGN上層部……アッシュ=レドリックらから身辺調査を受けていた事実を知る。
愛子への不審を募らせる水橋。
加えて、水城は愛子の写真に写っていた少女が、UGN内のデータに存在していないことを知る。
さらに、羣と京介は水橋達に黙ったまま、FH側の視点で調査を進めていた。赤井朱美は長柄修司のセルの戦闘員であったこと、クーデター事件で死亡していたこと、死体を持ち帰ったのは長柄であること。
加えて、長柄はクーデター事件の際、不自然な形で撤退したこと、その後は研究室に引きこもって何かを研究していたこと。
アッシュが隠匿した情報の調査を藤崎に依頼しつつ、判明した長柄のアジトへと踏み込む四人。
自ら作り出した空間で四人を悠然と迎える長柄。
しかし、超然としてはいるものの、どこか余裕のない様子。
赤井朱美を蘇らせたこと、そしてやはり誰かの蘇生を行うことを隠す様子もなく語る。
そして言う、赤井朱美を見張ってなくてよいのか、と。
直後、水橋の携帯端末に連絡が走る。
赤井朱美は突然暴走を始め、蓬莱人形を支部から持ち去ったのだ。
準備はすべて整ったと姿を消す長柄。
水橋と水城は襲撃を受けた支部へと戻るが、そこは既に賊が去った後だった。
後を追ったエージェントに拠れば、かつて“復讐者”事件の際に戦った例の廃工場へ向かったらしい。
加賀山の開けた《猫の道》をくぐって後を追おうとする二人だったが、直前に藤崎から通信が入る。
それは衝撃的でありつつも、どこかで予期していた内容だった。
愛子がFHエージェントであったこと、かつて長柄修司の部下であったこと、クーデター事件を内部から手引きする役割にあったこと。
それだけの事実を突きつけられてなお、長柄を止めるために廃工場へと向かう。
一方、羣と京介は入り口が破壊されたオルフェウスセルへと帰還する。
赤井朱美は春日愛理とおやつを食べていた時、突然暴走し、入り口を破壊して出て行ったらしい。
零や愛理に送り出されつつ、同じく廃工場へと向かう二人。
四人は廃工場にて合流し、その奥へと踏み込む。
そこには、蓬莱人形に、愛子の“賢者の石”を融合させ、蘇生装置に組み込む長柄修司がいた。朱美もその場に現れるが、用済みとばかりに長柄に気絶させられる。
長柄は語る。
目的は愛子を蘇らせること、この手で殺してしまった最愛の彼女を蘇らせること。
しかし、水橋、水城、羣、京介はそんな彼の行動を「独りよがり」「彼女を理解していない」「自分のことしか考えていない」と論破し、そのエゴを否定。愛子は敵であるはずのUGNに、スパイとして潜伏していた間に愛着を持ってしまった。そんな彼女の心を理解せず、ただ愛子の蘇生に固執する長柄を打倒する。
直後、蓬莱人形の“創造の力”が発動、眞鍋愛子を蘇らせてしまう。
しかし歪んだ形で蘇生された愛子はジャーム化しており、その場で長柄を殺害。圧倒的な力の矛先を水橋達に向けた。
一同はこれを撃破し、なんとか事態を終息させる。
一時的に正気に戻った愛子は、水橋に謝罪。
そして、UGNでの生活が、本当に幸せであったことを伝え、修司と共に消滅する。
朱美もまた、京介に「あの世で待ってる」といったニュアンスの言葉を残し、消失していく。
最後に愛子の“賢者の石”の残骸を巡って一悶着あったものの、事件は解決を見た。
水城は、蓬莱人形の観察もできたし、これからもUGNを利用していく腹であるようで、意気揚々。しかし、娘の交友関係にはこれからもやきもきする日々が続きそうだ。彼の「カムバアアアアァァァック!!」の声が、夕日の空へと轟く。
京介は朱美の墓参り。朱美の好物を供え、風の中に彼女の「ありがとう」を聞く。セルへ帰れば、悪友と「先に逝った友」からのバレンタインチョコをもらい、「お前もいつか取り戻す」と決意を新たにする。
羣はセルへと戻り、零と束の間の会話をする。普段は黙して語らないことが信条の彼女も、彼の前では饒舌である。どんな素直な会話が聞けたかは、野暮というものだろう。
そしてUGN支部では、水橋支部長の説教タイムと一喝が飛ぶ。彼女だからこそ、このK市支部は成り立つ。そう思わせる光景であった。例えどんなことが起ころうと、その信念は曲がらない。彼女を中心として、K市支部はこれからもまい進していくことであろう。
第十二話の感想があればこちらへどうぞ。
- 京介は「べ、別にお前を取り戻すのはあいつだから僕じゃないんだからな!///」とかそういう話でした。取り合えず朱美は俺の嫁 -- あいなめ (2011-02-20 02:21:57)
最終更新:2011年02月20日 02:21