まとめwiki ~ 「♀29匹のボックスに♂1匹を入れてみた」

04話 - ムクホークと3号室のポケモンたち

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f29m1

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 マリルリ達の前に、代表と呼ばれるポケモンが現れた。
 特徴的な前髪に鋭い瞳と爪。その体は引き締まっており一目で熟練のポケモンだとわかる。
 その翼を広げただけで恐らく並の鳥型ポケモンは彼女を恐れるだろう。

ムクホーク
「しかし……、なんだこれは。部屋が半壊しているぞ」
ギャラドス
「ごめんなさいお姉さま。ちょっとした誤解と手違いがあって……」
チャーレム
「まーまー姐さん、細かいことは気にしないで」
マリルリ
「あ、あの、初めまし……」
ムクホーク
「ほう、お前が新入りのマリルリか。心配しなくとも大体の事はわかっている」
マリルリ
「え? どうして……?」
ムウマージ
「クスクス……」
マリルリ
「あ、さっきの」

 ムクホークは再びマリルリをジッ、と見つめた。

ムクホーク
「マージから話を聞いた。……まさか、このボックスに来るとはな。数奇な運命もあったものだ」
マリルリ
「す、すいません」
ムクホーク
「お前が謝る必要は無い。トレーナーの手違い、というよりは手抜きで招いた事だ、誰も責めはしない」
マリルリ
「えっと……、それじゃあこのボックスにいてもいいんですか?」
ムクホーク
「なんだ、追い出されるとでも思っていたのか? 追い出すも何もこちらからは外に出れないと言うのに。
 まあ、どこか奥部屋に閉じ込めるという手もあるにはあるが、その必要は無いだろう」
マリルリ
「よ、よかった~。チャーレムさんの話を聞いてたから心配していて……」
ムクホーク
「……お前、私の事をどう言ったのだ?」
チャーレム
「へ? いやー、ある事とか無い事とかある事とかー……、いや、ホント変な事は言ってないハズだよ!?」
ムクホーク
「……よかろう。後で反省室に来い。お前は今日は反省する点が多数あるからな」
チャーレム
「あわわわ……。ちょ、それカンベン……」
ムクホーク
「そもそもお前がちゃんと案内をしていればこんな事態にはならなかった訳だ。
 それに彼を救出する為といえ雷撃に弱いギャラに全力で雷パンチを撃つとは何事だ! もう少し加減を知れ」
チャーレム
「うわぁー……、あたたた……」
ムクホーク
「それからノクタスとギャラドス、お前達も反省室な。早とちりも大概にしろ。しかも部屋を壊すほど暴れるな」
ノクタス
「ええーーー! そんなぁーーーー」
ギャラドス
「仕方ないよ。だってノクタスちゃんが間違えるから……」
ノクタス
「ちょっとしたうっかりミスなのよー。見逃して……。無理か」
ニドクイン
「あらあら。今日はお説教二時間くらいで終わるといいわね」
チャーレム
「他人事だと思って~。姐さん、話長いんだよ? 前はそれに+正座だしさー」

『反省室』とはいったい……。と、一抹の不安を感じたマリルリだが、ふとある事に気づいた。

マリルリ
「……あれ? どうしてそんな事まで知っているんですか?」
ムクホーク
「言ったろう、マージから聞いたとな。……困ったことにこいつは隠れてお前たちの様子を見ていたようだ」
マリルリ
「えええ!? そういえば部屋に入る前に妙な事を言っていたような……。まさかこの事を予想してたんじゃ……?」
ムウマージ
「……フフフフ。……だって……、その方が……面白いから……」

 悪びれる様子も無くクスクスと笑い出すムウマージ。

ムクホーク
「マージ、本来ならお前も反省室行きと言いたい所だが……、無駄だろうな。すぐ壁抜けするから」
ムウマージ
「……でも……、何も……してない……けど……?」
ムクホーク
「ああ、何もしていないな。マリルリがやられているのを黙って見ていただけだろう」
ムウマージ
「……面白かった……。……また……見たいかな……?」

 ニコリと微笑みかけられマリルリは少し背筋が寒くなった。ムクホークは反省の色の無い彼女に溜息を漏らしている。

ムクホーク
「話は以上だ。ではマリルリ、まずは私の部屋まで来い。ここでの事を説明する必要があるからな」
マリルリ
「は、はい……」



 マリルリが連れられた先には先程と同じような扉があり【3】と書かれている。さっき部屋からは少し離れた場所にあった。

ムクホーク
「ここだ。正確には私達の部屋、だがな。
 このボックスには5つ、このような部屋がある」



 【ポケモン部屋 3号室】

ブースター
「あ、リーダー」
チェリンボ
「おかえりホーク姉ちゃん!」
ムクホーク
「ああ、ただいま。紹介しよう、今日からこのボックスで世話になる事になったマリルリだ。
 トレーナーの手違いでやってきた♂のポケモンだが仲良くやってくれ」
チェリンボ
「はーい」
ブースター
「マリルリ君ね。これからよろしく。そういえばムウマージは?」
ムウマージ
「……フフ……、いるよ……」
ブースター
「ねえ、ムウマージ? ……ひょっとして、また何かしたの? 妙に楽しそうなんだけど」
ムクホーク
「このマリルリが誤解からリンチに合っているのを傍観して楽しんでいたのだ。全く困った奴だ。
 しかし、私もマリルリが訪れた時にすぐ気づくべきだったな。反省せねば」
ブースター
「深く考えすぎだって。ムウマージのイタズラ好きはいつものことだし」
マリルリ
「なんだかムクホークさんって皆さんに慕われていますね。流石代表者ですね」
ムウマージ
「……当然……」
ブースター
「そうそう。リーダーはみんなのリーダーだもんね♪」
チェリンボ
「うん! 私もホーク姉ちゃんだーいすき♪」
ムクホーク
「おいおい……、代表と言っても皆が勝手にそう言っているだけだぞ。
 だが、お前達が私を必要とするなら答えるし、私がそうしたい。
 ここの皆は大切な友人であり後輩であり妹分のようなものだ。それだけのことだ」
ブースター
「そこがいいんだよ。そうやって責任感あってキリッと真面目で、しかも強くてカッコいいからみんな憧れてるもの」
ムクホーク
「大げさだな。大体、私はたかがムクホークだぞ? 私より優れた者などいくらでもいるというのに」
ムウマージ
「……ムクホークは……、頼れる姉さん……的……、存在……」
マリルリ
「そういえばチャーレムさんもそんな事を言っていましたね」
ムウマージ
「人間で言うと……、しっかり者の長女……、独身……、彼氏いない暦30ウン年……、みたいなもの……」
ムクホーク
「待て。何だその例えは。まあ私の事はどう呼ぼうと構わんがな」
ブースター
「なんたってリーダーはトレーナーさんが最初にゲットしたポケモンなの」
チェリンボ
「しかもレベル100なんだよ♪」
マリルリ
「ひゃ……!? そ、それはすごい」
ムクホーク
「そうか? レベルなど飾りみたいなものだろう。
 そういえば『ぽにょ』はどうした?」
マリルリ
(『ぽにょ?』なんかどこかで聞いたような名前だなぁ……)
ブースター
「ああ、それならさっきから上に……」
ムクホーク
「上?」

 ムクホークが天井を見上げたので、釣られてマリルリも上を向く。その時、マリルリの視界に何かが映った。
 ――『それ』が物凄い勢いで自分の真上に落下してくるのがわかるのに時間はいらなかった。

 どすんっ!

トリトドン
「ふひゃあーー!」
マリルリ
「みぎゃあ!?」
ブースター
「きゃあ! 大丈夫マリルリ君!?」
チェリンボ
「あ、ぽにょちゃん」
トリトドン
「はーい、ぽにょです~」
ムクホーク
「……何をやっているんだ、お前は」
トリトドン
「はい~。天井にくっついて歩くことができたら楽しいと思ったので~やってみたのです~。でも失敗しました~。
 やっぱり重力に逆らうのは難しいのです~。惜しかったです~壁にはくっついたんですよ~?」

 落下してきたのはトリトドンだった。体を左右に揺らしたりしながら、どうして自分が上から降ってきたのかを語っている。
 マリルリを下敷きにしたまま。

ムクホーク
「それより早くどいてやったらどうだ。さっきからお前の下敷きになっている者がいるんだが」
トリトドン
「ん~? あー、そうですね~。
 はじめまして~どちらさまですかぁ~?」
マリルリ
「あの、それより早くどいて……」
ムウマージ
「……クスクス……」
トリトドン
「は~い。すいませ~ん、今どきますね~」
マリルリ
(うわぁ……。なんか背中がむにょむにょしているよ……)
トリトドン
「はい、終わりました~。どうもすいません~。落石注意ならぬ、落トリトドン注意ですね~」
マリルリ
「は、ははは……」
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