まとめwiki ~ 「♀29匹のボックスに♂1匹を入れてみた」

02話 - 因縁のビッパ

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f29m1

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 オレが殿堂入りした時のメンバーに、ドククラゲは居なかった。つーことは、トレーナーの奴、またチャンピオン・シロナとかいう女に会いに行ったのか……。あのエロガキめ、ちくしょう。
 そんな事を考えていたら、起きるのが昼飯時になっちまった。メシをもらいに行こうとすると、クラゲの部屋の前でゴロ美にバッタリ出くわした。どうも意気消沈ってな感じで、オレの方をチラ見しただけで行っちまった。その原因はすぐに理解した。

スリープ
「えっ……、交換ってマジ? ゴロ美……?」
ゴローン
「うん……。さっきババアに言われた。今夜だって」
ゴーリキー
「ほんとかよ。いくらなんでも急すぎるよ」
ゴローン
「……あたし……、あたし、行きたくない。みんなといたいよ……」

 三人娘が泣いていた。お世辞にも絵になるとは言い難いが、『こいつらも女だったんだ』と再認識させられたぜ。

ゴウカザル
「邪魔するぜ」
三人娘
「……(無言で睨む)」
ゴウカザル
「おー、こえぇな。ま、よかったんじゃね? ゴロ美さんもようやく日の当たる場所に行けるってんでさ」
スリープ
「あんた、よくそんな事が言えるね。あんたが昨日変な事いうから……」
ゴウカザル
「関係ねえだろ。交換されんのも、オレたちポケモンの宿命だぜ。死ぬまでボックスん中に放置プレイされるよりマシだろ」
ゴーリキー
「あんたにはわからないよ。知らない人間の所へ行く不安と、自分が変わってしまう不安……。そのふたつが、どれだけ心細いか……。
 クソッ! あの人間のメス、ビッパなんかとゴロ美を交換だなんて!」

 人間のメス……? ははーん、そいつは多分、ヒカリって女だな。



ヒカリ
「ねえ、のぶなりくん。あたしの図鑑、ゴローニャまだなんだ。もし持ってたら交換してくれない?」
トレーナー
「うん。でもゴローニャは持ってないから、ゴローンでいいかな。通信したらゴローニャになるよ」
ヒカリ
「そうなんだ! 知らなかったなあ。のぶなりくんって物知りね。あたしは何を出そうかな……」
トレーナー
「ビッパでもなんでもいいよ、どうせ要らない子だし」



 やつは女に甘いから、多分こんなこったろう。ゴロ美にゃ気の毒すぎて言えねえな。

ゴローン
「はぁ……。あたしは『また』ビッパに負けるんだな……」

 ゴロ美が諦めたように、深い溜め息をついた。
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