まとめwiki ~ 「♀29匹のボックスに♂1匹を入れてみた」

02話 - あなたのレベルは

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f29m1

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「おとこのこ……」と、チリーンさん。
「しかも強そうな子……」と、ユキメノコさん。
 新たに僕の元にやってきたこの二匹は、正直つかみどころがない。苦手なタイプだ。
 エスパータイプとゴーストタイプだから苦手なのは当たり前なんだけど、会話らしい会話が出来そうにないんだよなぁ……。
「あ、あの……」
 どうにかコミュニケーションを取ろうと切り出すも、チリーンさんは僕に不思議な視線を送りながら微笑んでいるだけで反応がない。ユキメノコさんは口元を隠しながらクスクスと笑っているだけで……。もうほんと、どうしたらいいんだろう。
 思えば僕は、今までまともに女の子と話をしたことがなかった。
 どうやったらうまく戦えるかを『ひかえしつ』の女性ポケモンと話をすることはあったけど、バトル向きじゃない女の子ポケモンに向いた話題なんて持ち合わせていない。
 この二匹に合う話題がわかるわけじゃないけど、それでも、こういう状況に馴れていれば臨機応変に対応できるものなんだろう。
 そういえば、ひかえしつ仲間のエルレイドくんはそんな雰囲気を醸し出していた気がする。
「ねえ、あなたはなんのためにたたかうの……?」
 突然チリーンさんが投げかけてきた質問。そんなの決まってるじゃないか。
「大事なご主人様のため?」
 そう、そうだよ。って、ユキメノコさん僕の心を読んだ?
 いや、違う。みんな同じ気持ちなんだ。このポケモン達も、ご主人のために戦いたいって思ってるのかな。
「でも、あたしたちはたたかわない」
「私達は、ご主人様の心を癒すためにここに居る」
 こころを、いやすため?
「パソコンのがめんごしにあたしたちをみてるごしゅじん、とてもうれしそう。でも、ごしゅじんのためにたたかえるあなたがうらやましい」
 チリーンさん……。やっぱりそうなんだ。
「だからね、お願いがあるの。私達と戦ってほしいの。強くなければ戦えない。でも、戦えば強くなれるから」
 そうか。そういうことだったんだ。戦いを好まない女の子だけのボックスじゃ、バトルの練習相手が居ないから、僕はちょうどいいってことなのか。
 でも、そういうことならお安い御用だ。
「いいですよ。でも、今は疲れてるんでまた後でお願いします。ちなみにお二人のレベルはいくつなんですか?」
 たぶん、リーシャンやユキワラシから進化したばっかりなんだろうな、と思っていたんだけど……。
「はちじゅうよん」
「91よ」
 なんか僕よりずっと上なんですけど。
「あなたはいくつ?」
「……50です」
 レベル調整されてますから。
 二匹はさっきまでの表情を保ちながら、僕に冷たい言葉を掛けてくる。
「なぁんだ。つまんないの」
「期待はずれ……」
 それだけ言い残して去っていく二匹。もしかして、僕はただからかわれただけなんだろうか……。
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