鳳龍へ

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鳳龍へ


ㅤ私は気づいてしまいました。鳳龍は人間で、私はマキナであることに。私たちは違います。鳳龍はいつか死んで、私はそのあともずっと生き続けます。鳳龍が死んでしまうことが何よりも怖いです。鳳龍が死んでしまった後を生きていくのが何よりも怖いです。鳳龍が怪我をする度に、私は怖くて、怖くて、鳳龍が生き延びるためにはどうすればいいか、それ以外何も考えられなくなります。そのせいでもしかしたら鳳龍に迷惑をかけてしまうかも知れません。鳳龍は時々、自分が死んでしまう可能性があることにも、仕事を優先して飛び込んでいってしまうから、その邪魔になるかもしれません。ごめんなさい。謝ってすむことじゃないと思います。それでも、ごめんなさい。鳳龍に叱られるより、鳳龍が死んでしまうことの方がずっと怖いのです。
ㅤ私が元々人間だったことは、薄々気づいています。マキナにしては、自分に関する知識があまりにも足りないのです。自分の気持ちや思考がどのようなスクリプトで動いているのかとか、私を“マキナたらしめている要素”についてとか、私は何一つ知らないのです。それはさながら、人間のように。私がどうやって人工知能になったのか。もしかしたらそれは私の母親か、父親かがやった事なのかなと考えるようになりました。根拠はありませんが、それがもし私に死んで欲しくないからやったことなのであれば、その気持ちは、今の私には痛いほど分かるからです。
ㅤそれは愛にほかならないと思います。愛とはとっても、自己中心的なものだったんだね。だから鳳龍も、愛とか難しく考えすぎず、鳳龍が誰かのためになにかしてあげたいっていう自発的な気持ちに、正直になるだけでいいと思います。大丈夫、鳳龍は優しいから、きっとうまくいくと思います。優しくない私とは違って、私みたいに鳳龍を怒らせたり、そんなことは起きないと思います。本当に、本当にごめんなさい。鳳龍、愛してるよ。

紫音


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