2000の技を持つ男たち◆yy7mpGr1KA



スノーフィールド。

様々な国家や民族の移民にも職の門戸を開いている新興都市。
教育機関では多くの国から留学生を受け入れ、研究機関では各分野の第一人者を世界中から引き入れ、人と経済を回して発展の礎を築いてきた。
そして今も様々な形で人材、知識、技術の交流は行われている。
例えば警察機構。
あらゆる国の人や宗教を引き入れるということは、それに伴う問題も引き起こされるということであり。
必然というべきか、対策となるノウハウも発達していた。

その一機関で、国際テロリズム対策分野について一人の日本人女性警官が学んでいた。
彼女の名前は夏目実加
ハイティーンの少女のような容貌と体格だが、これで日本ではキャリアとして入庁したエリート警察官である。
スノーフィールドに着任してからも、少しばかり可愛がられることはあったが、その仕事ぶりで同僚からの評価も改められている。
それでもやはり可愛がられはするのだが。
現在彼女は一人で証拠品の整理に当たっていた。
同僚と二人がかりでやるはずの仕事だったのだが、ふと思い立ち一人でやらせてもらっている。

そのうちの一つをもう何分間も見つめている。
何の変哲もない写真、白いアルビノのクワガタムシが映ったもの。
それが何のためのものなのかももはや忘れて、じっ……と。
白い……カード……クワガタ……

「…………そうだ」

体の何ヵ所かで熱が発生するのを覚える。
頭部が熱とともに軋み、失われていった記憶が帰ってくる。そして新たな知識もどこからともなく現れる。
左手の甲に熱と共に赤黒い文字が刻まれる。
腹部に熱を覚え、ベルトのようなものが浮かび上がってくる。
そのベルトの中央に嵌められた石から『白紙のトランプ』が飛び出した。

「遺跡に、あったアークルと……『切り札』……?」

一見ただの白い古ぼけた紙切れにしか見えないそれは、裏面に記号のような文字がメモのように書かれていた。
かつて極東に栄えた民族、リントの言葉で切り札と。

その白紙のトランプもまた光り輝き……一人の男へと姿を変えた。
堂々たる振る舞い、そして見る人にどことなく安心感を与える雰囲気を持つ男だった。

「あなたが、私のサーヴァントなんですか?」

実加の問いに男は深くうなずいて肯定する。
その男の発する深く静かな空気に、頼るように、甘えるように実加は言葉を紡いでいた。
聖杯戦争という状況下でどうするか、どうしたいか。
実加の願いと言葉に、男は朗らかな笑みを浮かべて右手を真っすぐに突き出し、親指を上に向けて立てて見せる。

「これは古代ローマにおいて満足できる、納得できる行動をした者にだけ与えられる仕草だ」
「……ええ、よく知っています。昔教えてもらってから、一度たりとも忘れたことはありません」

サムズアップ。
男のその仕草に、実加はゆっくりと頷いて返す。

「それが似合う人間になれ、君ならきっとなれるって言ってもらいましたから」

かつて向けられた柔らかい笑顔を思い出して。
目前の頼れる笑顔をじっと見つめて。
彼女も自身にできる精一杯の笑顔を浮かべる。

「正直言って、少し怖いです。でも私以外にも意図せず巻き込まれてしまった人がいるかもしれない。
 この世界で平和に過ごしている人たちだっている。放っておけるわけないじゃないですか」

ぎゅ、と今は戻ってしまったアマダムのあるはずの腹部で強く手を握る。
そのために、この力を手に入れたのだ。
また未確認生命体が現れても、人々を守れる力を。
空になった棺……蘇ったであろう新たな未確認生命体。
それに対抗するための戦士クウガの力の源……アークル。
自分と一つになったそれは確かに力をもたらし、その身を白いクウガへと変えて見せた。
これなら、戦える。
そう決意した矢先になぜかアークルと共に安置されていた『白紙のトランプ』のせいで、身を置く場所は変わってしまった。
それでも、そこに守るべき人がいることは変わらない。
……笑顔を侵す、怪物がいることも、きっと変わらないだろう。
だからこそ自分なりにきちんと聖杯戦争に関わると決意する。

「一条さんみたいに、五代さんみたいに。皆をこの手で守りたい。笑顔にしたい。だって私……」

ぐっ、と頬に力を込めて、精一杯の笑顔が歪まないようにして。




「クウガだから」




サムズアップ。
満足するため、納得するためにその仕草を実加も行う。
男は慈しむような眼でそれを見つめ返す。

「ありがとうございます。あなたがいてくれるだけで、気持ちがとっても落ち着くんです」

右の拳を掲げたまま、一息ついて。
ふと、あまりにも根本的なことに気付く。

「あの、今更で申し訳ないんですけれど。よろしければお名前を教えていただけませんか?」

その問いにも男は深くうなずき。
実加のサムズアップに、自らも親指を立てた右の拳を当てて答えた。





「私(ローマ)は、ローマである」






【クラス】
ランサー

【真名】
ロムルス@Fate/Grand Order

【パラメーター】
筋力B 耐久A 敏捷A 魔力C 幸運B 宝具EX

【属性】
混沌・中庸

【クラススキル】
対魔力:B
魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。

【保有スキル】
皇帝特権:EX
本来持ち得ないスキルも、本人が主張する事で短期間だけ獲得できる。
該当するスキルは騎乗、剣術、芸術、カリスマ、軍略、と多岐にわたる。
ランクがA以上のため、肉体面での負荷(神性など)すら獲得する。
元祖2000の技を持つ男である。
本スキルを有するにあたりロムルスは本来所有していた高ランクの神性スキルを自ら封印している。

天性の肉体:C
生まれながらに生物として完全な肉体を持つ。このスキルの所有者は、常に筋力がランクアップしているものとして扱われる。
さらに、鍛えなくても筋肉ムキムキな上、どれだけカロリーを摂取しても体型が変わらない。

七つの丘:A
自らが「我が子」と認めたものに加護を与える。


【宝具】
『すべては我が槍に通ずる(マグナ・ウォルイッセ・マグヌム)』
ランク:A++ 種別:対軍宝具 レンジ:1~99 最大捕捉:900人
国造りの槍。母シルウィアが処女懐胎によりロムルスを生み落とす以前に見た夢に登場する、ローマそのものを象徴する大樹と結び付けられて伝えられる。ローマ建国の折、ロムルスはこの槍をパラティウムに突き立てたという。
宝具としては樹木操作の能力を有しており、真名解放の際には槍が大樹として拡大・変容し「帝都ローマの過去・現在・未来の姿」を造成、怒涛の奔流によって対象を押し流す。質量兵器ローマ。

『すべては我が愛に通ずる(モレス・ネチェサーリエ)』
ランク:B 種別:結界宝具 レンジ:1~40 最大捕捉:100人
愛する弟レムスを自らの手で誅した逸話を具現化した、血塗られた愛の城壁。
空間を分断させる城壁を出現させることで壁の内側を守る、結界宝具。
城壁の出現は地面から瞬時に湧き上がるため、出現位置の調整次第ではギロチンのように対象を切断することも可能。

【weapon】
『すべては我が槍に通ずる(マグナ・ウォルイッセ・マグヌム)』

【人物背景】
古代ローマ建国神話に登場する国造りの英雄。七つの丘にローマの都を打ち立て、栄光の大帝国ローマの礎を築いた建国王にして神祖。生きながら神の席に祀られたモノ。
軍神マルスと美しき姫シルウィアとの間に生まれ、神の獣たる狼を友に育った。
母シルウィアを虐げ、祖父ヌミトルを陥れたアルバ・ロンガ王アムリウスとの戦いに勝利した後、アルバを統治することなく、イタリア半島に都市国家ローマを建設した。
この際に共にアルバ戦争を戦った弟ロムスを建国の折の諍いで手にかけるという悲劇を乗り越えた後、たちまちのうちに地中海周辺国家を併合し、ローマ帝国の礎を築いた。
偉大なる健国王、その最期は死ではなく消失だった。
カプラ沼のほとりの野で突如として発生した嵐と雷の後、古き神の名クイリヌスと言う神となって、生きながら神の席に祀られたのだ。

【サーヴァントの願い】
なし。
聖杯(ローマ)もまた我が子として迎えよう。
ローマの文化を受け継ぐ実加もまたローマである。

【マスター】
夏目実加@仮面ライダークウガ

【参加方法】
リントの遺跡においてアークルと共に『白紙のトランプ』を発掘した。

【令呪】
左手の甲。
リントの文字で『クウガ』。
ただし遺跡に刻まれたものより少しだけ角は短く描かれている。

【マスターとしての願い】
亡くなった父や、長く姿を見せない恩人五代雄介などまた会いたい人はいる。
しかし今の優先事項は警察官として人々を守ること。

【weapon】
  • ニューナンブM60
警察支給の銃。
原作小説中ではコルトパイソンを用いるシーンがあるが、おそらく神経断裂弾という特殊な弾を用いるために特別に用意したものであり、平時は別の支給品を用いている可能性が高い(弾の規格やコストなどの都合上)。
ニューナンブM60は日本の警察で支給されることが多い銃なので、普通用いるならこれではないかと考える。
アメリカだと自動式拳銃が支給されることが多いらしいが、州によっては申請すれば自前でも構わないらしく、使い慣れたものを携行するはずである(申請すれば他の銃を支給してもらうこともできるかもしれないが)。

  • アマダム
長野県にて山岳パトロール中に発見した遺跡にて入手したもう一人のクウガ、その遺産。
腹部に埋め込まれた霊石で、全身に神経節を張り巡らせて身体能力や代謝を強化している。
戦意を示すことで変身ベルト『プロトタイプ・アークル』として表出し、戦士クウガへと変身する。
五代雄介のそれとの外観の違いは角が短いくらいだが、心の闇が暴走しやすい=凄まじき戦士、究極の闇へと転じてしまう危険が大きいという欠点がある。

【能力・技能】
優秀な警察官であり、格闘や射撃に通じる。
原作小説中ではグロンギ相手に防御されはしたが、銃撃を成功させている。

上述したアマダムにより、プロトタイプ・クウガに変身する。
原作小説中では白いクウガ(グローイングフォーム)が殆どだったが、作中敵から半人前呼ばわりされていることに加え、すべての色(フォーム)の上位互換である凄まじき戦士(アルティメットフォーム・ブラックアイズ)へ変身していたことを考えると他の色への変身もできる可能性が高い。
なおアマダムから伸びた神経節は魔術回路に近い働きをし、さらにクウガの変身に用いるエネルギーも魔力供給としている。
それにより並の魔術師など目ではない量の魔力供給をしており、また下手に変身するよりもロムルスに全て供給した方が往々にして強力である。
ただし神性を失い、霊格を落としてなおトップサーヴァントの一角であるロムルスの宝具解放となると容易くは賄えない。
『すべては我が槍に通ずる(マグナ・ウォルイッセ・マグヌム)』 の真名解放をした場合、五代雄介が緑のクウガ(ペガサスフォーム)の変身が解けた時のようにエネルギーを使い切り、約二時間クウガへの変身と宝具の真名解放はできなくなる。
逆に言うなら『すべては我が槍に通ずる(マグナ・ウォルイッセ・マグヌム)』 ほどの強大な宝具を二時間に一度は撃てるだけの魔力量と回復力を持つ。

【人物背景】
現代にグロンギを蘇らせてしまった考古学者、夏目幸吉の娘。
その蘇らせてしまったグロンギの長、ダグバによって父親を殺されたためにグロンギを強く憎むことになる。
一時は父の仇であるダグバの調査を警察が二の次にしていたことから人間不信にまでなるが、戦士クウガこと五代雄介に勇気づけられ立ち直る。
その後は五代たちの力になるため父の跡を継ぐような形で遺跡の発掘チームに加わり、グロンギ討伐の力となった。
現代のリントの戦士こと一条薫とも親交を深めており、人間不信に陥った際に一条が警察を代表して実加に言葉をかけたことがある。
実加が上京してある事件に巻き込まれたときには一条の本当の一面にも触れることになった。
(以上、特撮仮面ライダークウガ、以下その後の時系列を描いた小説)
二人の戦士に憧れたためか、大学卒業後は警察官となる。
警視庁で二年、その後自ら希望して長野県警へと移る。
配属されたのは山岳パトロールを担当する警備課であり、ある夜九郎ヶ岳遺跡付近に大雨が降った真夜中に山岳パトロールを行うことになる。
父、夏目幸吉の遺した手記によりグロンギの残党の可能性を警戒していた彼女は遺跡の調査を独自に行う。
新たな遺跡を発見し、そこから生き残ったグロンギ族の痕跡と、プロトタイプ・アークル、そして白紙のトランプを発見する。
新たな未確認生命体の復活を確信した実加はアークルを身に着け、戦う覚悟を決める。その瞬間白紙のトランプによってスノーフィールドに導かれた。

白紙のトランプを手にしなかったら本来の歴史ではザルボ、ライオといった強力なグロンギと戦うことになる。
その過程で一条からクウガとして戦う意味を教えられ、悩みながら少しづつ成長していくことになる。
その前からの参戦であるため、警察としてはともかく仮面ライダーとしては未熟な時期と言える。

【基本戦術、方針、運用法】
高いステータスと神秘、EXランクの皇帝特権とそれを味方にも付与する術を持つトップサーヴァントであるロムルスをアマダムによる潤沢な魔力供給で使いこなす強力な主従。
気配遮断に限らず、単独行動、千里眼、気配察知など強力なスキルを行使すれば優位に立ち続けるだろう。
『すべては我が槍に通ずる(マグナ・ウォルイッセ・マグヌム)』 の乱発は令呪でも用いなければできないだろうが、規模的に多用することはないと考えられ大きな欠点にはなりにくい。
欠点は主従揃っての秘められた狂戦士気質。
凄まじき戦士に目覚めやすい夏目実加。
ひとたび狂乱すれば弟を殺したように、戦闘となると手が付けられず、バーサーカー適正のあるとされるロムルス。
宝具の規模もあって監督役も含めて周囲に敵をつくりすぎないよう心掛けた方がいいだろう。
せめて実加は確実にブレーキになれるようクウガへの変身は控えた方がいいかもしれない。

【方針】
対聖杯。
自分たちのように巻き込まれた人を守る。
この世界で過ごす人たちの平穏を守る。



第十二階位(カテゴリークイーン):ティーネ・チェルク&セイバー 投下順 番外位(ジョーカー):ありす&バーサーカー
時系列順
GAME START 夏目実加 OP2:オープニング
ランサー(ロムルス)

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最終更新:2017年02月28日 23:17