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ヒーローVSプレデター ◆6O/b6a0evc



狩人は新たな獲物を探していた。
カチカチと音を鳴らしながら歩く。
光学迷彩は獲物を視認できてからでいい、そうでないとバッテリー切れの可能性がある。


やがて、道の真ん中で棒立ちになっている獲物を見つけた。


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「あだっ、だーっ!?」

ヒーロースーツを何度目かの見えない刃が傷つける。
彼、ワイルドタイガーはこの舞台に呼び出されてからある事を考えていた。
そうしていたらクリック音の様な物が響き、突然切りつけられたのだ。
しかも彼を襲ってきた相手は透明人間…もとい透明フィギュアだった。
クリアー素材のフィギュアなのかというとそうではなく、姿が見えないのだ。
カチカチと相手の動く音に殴りかかるが、簡単に避けられ逆に切りつけられるという繰り返しだ。

「くっそぉ、考えろ俺。なんか手はあるはずだ!」

完全に透明な可動フィギュア、そんな物は人間だって遊べないから困るはず。
ならこの透明な襲撃者は元となった原作で姿を消せる…そういうフィギュアなのだろう。
ワイルドタイガーは攻撃を避ける為に走り回りながら打開策を探す。
原作再現された自分の能力…ハンドレッドパワーは出力が上がるが電力消費が大きいし、相手が見えてないと力の使いようがない。
同じく腕のワイヤーガンで捕縛しようにも避けられるだけだろう。
自分の基本パーツから拡張パーツのデータ確認に移り、ようやく一つの策が浮かんだ。


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プレデターは焦っていた。
前回の消耗を省みて、次の獲物はステルス状態からの接近戦で仕留めるはずが相手に防がれてしまった。
自分の関節の音が聞こえる距離でも棒立ちのままだった獲物が、攻撃を加えた途端豹変したのだ。

攻撃から逃れる為に動き回り、反撃を試みてくる…的外れな方向ばかり殴っているが。
こちらにダメージはないが、相手が常に動いているせいで砲撃は当たりそうにない。
そもそも消耗を抑える為に接近戦を選んだのに前回と同じやり方を取ってはバッテリー切れの危険性もある。
ここは一気にコアのある頭部を破壊する…プレデターはそう決めるとさらに攻撃を強めた。


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「おっ、わっ、おおっと!」

勢いを増すプレデターの攻撃にワイルドタイガーは逃げの一手のみ。
とうとう道路中央から民家前の生け垣にまで追い詰められてしまう。
そして度重なる攻撃で緩んだガードが弾かれ、遂に参加者全員の弱点…首の部分が晒される。
コアの詰まった頭部がCSCのある胴体部分と切り離されたら、どんな強力なフィギュアでも死に至る。
プレデターはそのルール通りに獲物の首を狩りにかかる。

プレデターの攻撃がワイルドタイガーに首に届こうとしたとき、プレデターを衝撃が襲った。
突如生け垣の中から放たれたメーサー線が二人に浴びせられ、お互いに激痛が走る。
攻撃の発生源を探すプレデターに獲物から声がかけられた。

「おーっ、痛てぇ…一か八かだったが、その面を見るとうまくいったみたいだな。エイリアンさんよ」

今、ワイルドタイガーにはプレデターの姿がはっきり見えていた。
逃げながらもわざと隙を作り、襲撃者の攻撃を誘う。
そして生け垣の中に切り札…メーサー殺獣光線車を呼び出し自分ごと攻撃を浴びせる。
原作にいた透明化キャラが息を止めている間限定だった事を思い出し、衝撃を与える事で襲撃者の姿を見れないか…そんな単純な策だった。
音で方向はわかるが正確な位置までわからなかった為、広範囲にわたってメーサー線を撃たせた結果自分のダメージも大きかったが。

一方、プレデターは光学迷彩が解除された事に衝撃を隠せないでいた。
本来の『プレデター』では本人が攻撃を受けても迷彩が解除される事はない。
例外としては濡れた状態や制御装置であるガントレットの損傷ぐらいだ。
ただこの実験場では殺しあいが目的である為、一方的な戦闘にならないようにその設定に対して制限がかけられていた。
光学迷彩の使用中に一定値以上のダメージを受けた場合や電池残量が危険域に入った場合、迷彩が強制解除されるのだ。
一戦目を狙撃という形で終わらせ、無傷のプレデターが光学迷彩に対する制限に気づく機会はなかった。

「姿が見えればこっちのもんだ、きついの一発行くから覚悟しとけよぉ!」

元となったキャラ、ワイルドタイガーのNEXT能力ワンハンドレッドパワー。
ワイルドタイガーの各クリアーパーツが設定通りの光を放つ。

「うおおおおぉぉぉぉぉっ!!!」

プレデターは先程より速度を上げた獲物の動きについて行けず、ワイルドタイガー必殺の一撃がプレデターの顔面に突き刺さる。
銀色の仮面を大きくへこませ、プレデターの身体は後方の生け垣を突き抜けて飛んでいった。
やがてゴンッ、と何かにぶつかった音が聞こえた。


プレデターを撃退したワイルドタイガーは拳を下ろすと大きくため息をつく。
襲撃を受ける前と同じ、棒立ちのその姿には先程までの歴戦のヒーローの気迫はない。
いきなり襲われたおかげでキャラ通りに振る舞い戦う事が出来たが、彼はこの舞台に呼び出されてからずっと自分の有り様について悩んでいた。
自分はこの殺しあいの場で『ワイルドタイガー』でいることができるのかと。

『TIGER&BUNNY』のワイルドタイガー、自分がそのフィギュアである事は好ましく思っている。
さっきの襲撃者のような悪党を許せない心もちゃんと受け継いでいる。
しかしそのワイルドタイガーのデータが正確にインプットされている分、本物と自分の環境の差を感じてしまう。
今自分の隣にはタイトルにもなっている相棒はおらず、仲間のヒーロー達もいない。
大切な家族や守るべき約束も内部データに設定されているだけで、実際に存在するわけじゃない。
全てが本物からの借り物であり、設定に過ぎないのだ。

この場でヒーローとして動いて、殺しあいを阻止したとしてもその後は…
帰る場所も迎えてくれる人もいないのに自分はどうするつもりなのか。
そんな事を考えている自分がヒーロー、ワイルドタイガーとして行動できるのか…

「いっけねぇ、ぼーっとしてると嫌な事ばかり考えちまう」

ワイルドタイガーはコツン、と自分の頭部を叩き気合いを入れ直す。
まずは吹っ飛ばした相手が壊れてないかどうかを確認しないといけない。
ヒーローである自分は相手を倒しても、殺してはいけないのだ。
悩むのは目の前の事を片付けてからでもいい。

「…せめて、バニーがいればなぁ」

ぼやきながら生け垣を進んでいく。
今夜の虎は、ワイルドに吠える事は出来そうにない。


【黎明/エリアB(民家前)】

【ワイルドタイガー@S.Hシリーズ】
【電力残量:60%】
【装備:ワイヤーガン】
【所持品:クレイドル、メーサー殺獣光線車(電力残量:70%)@リボルテック、拡張パーツ1個(確認済)】
【状態:ダメージ中、精神疲労(小)、ハンドレッドパワー発動中】
【思考・行動】
 基本方針:殺しあいの打破。誰も壊さない
 1:襲撃者(プレデター)を追いかける
 2:バーナビーがいれば合流したい
 3:仲間が欲しい


「いくら使い魔が豆柴だからってこんな場所…ひどい」

宮藤芳佳の初期配置場所、それは狭い犬小屋の中だった。
殺しあいのセットとして用意されたからか、別に汚れてはいなかったが年頃の少女がいるべき場所ではない。

「うう…」

芳佳の少女としての心が大分へこんでしまったが、ここで落ち込んだままではいられない。
この悪趣味な催しに乗るつもりはないが、かといって殺されるつもりもない。
まずは生き残る為、支給パーツを確認する事から始める。

「えーと、基本のストライカーユニットに銃器…それで拡張パーツが…これって、お寿司?」

パーツデータの項目に登録されているスシセット。
手元に呼び出してみるとそれはどう見ても普通のギョクとマグロ。

「タマゴ・スシとバイオトロマグロ・スシ…バイオトロマグロって、普通のマグロじゃないの!?」

説明テキストを見ても『スシは大変優れたエネルギー補給食であり、体力回復にはまずスシ。イイネ?実際ニンジャも携帯している』と書かれているだけだ。
まるでわけがわからない。電力回復に使えというのだろうか。
気を取り直してもう一つの拡張パーツを確認…大盛りセットという名前に嫌な予感しかしないが呼び出してみる。
芳佳の目の前に現れたのはおいしそうな豚肉いためと豚汁。

「あっ、豚肉と豚汁で豚が被っちゃった…」

私は何を言ってるんだろう。

芳佳が先程よりも重い気持ちになったと同時、犬小屋に何かが飛び込んできた。

「きゃっ!な、なに?」

犬小屋の中に入ってきたのは異形のフィギュアだった。
頭部の仮面に大きなへこみがあり、どうやら何者かの攻撃を受けて飛ばされてきたらしい。

「え…だ、大丈夫ですか!しっかりしてください!」

その恐ろしい姿に一瞬戸惑うが、芳佳は身動きしないフィギュアに駆け寄る。
自分のモデルになった少女は人類の敵ネウロイ相手にも優しさをみせ、コミュニケーションをとったのだ。
なら自分にも同じ事が出来るはず、何よりもこのフィギュアは傷ついた状態で意識もない。
芳佳は治癒魔法―この場では傷を癒す事ではなく、他者への電力供給とフリーズ状態からの復帰の補助になっている―を目の前のフィギュアにかけていく。
たとえ見た目は異形でも同じフィギュア同士、話が通じると信じて…


【黎明/エリアB(犬小屋内)】

宮藤芳佳(震電装備)@AGP】
【電力残量:80%】
【装備:なし】
【所持品:クレイドル、基本パーツ(震電、九九式二号二型改13mm機関銃)、スシ(ニンジャスレイヤー)@figma、豚肉いため&豚汁(井之頭五郎)@figma】
【状態:損傷なし】
【思考・行動】
 基本方針:殺しあいには乗らない
 1:目の前のフィギュア(プレデター)を助ける

【プレデター@リボルテック】
【電力残量:40%(回復中)】
【装備:基本武装(ショルダープラズマキャノン、リストブレイド、コンピューターガントレット)】
【所持品:クレイドル、バスターライフル(ウイングガンダム)@ROBOT魂、拡張パーツ1種(確認済)】
【状態:気絶、ダメージ中、ヘルメットに大きなへこみ】
【思考・行動】
 基本方針:戦士の名誉にかけて、全ての獲物を狩る
 1:獲物(ワイルドタイガー)を狩る


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最終更新:2014年06月03日 22:57