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それでも内なる神に祈れ ◆ACT//GA03c




 セシリア・オルコットは小瓶の森を歩いていた。

 比較的最近に建てられたと思しきこの一戸建ての本来の持ち主は料理好きだったらしく、
 広いシステムキッチンの卓上にはお洒落な調味料が並んでいる。
 色とりどりの小瓶の間を縫って全高14センチの少女はウインドウショッピングでもするように歩き、
 時に瓶の表面に手を当てて中をのぞき込んだ。
 そうすると否が応にも自分の姿がガラス面に映り込む。
 白い制服を纏ったセシリア・オルコット、性格にはそれに似せて造られた姿が。


「憂鬱ですわ……」


 セシリアは溜め息をついた。
 自身の容姿に落胆したのではない。むしろ、それには自信があった。
 何しろアーマーガールズプロジェクトのセシリアは初期型から制服ver.そしてストライクガンナー装備と都合二回も新規に造形されている。
 今の姿はボディこそ制服だが、基本となる頭部は最新のモデル。
 初期型よりも遙かに原作イメージに近い。少なくとも見て落ち込むような造形ではないはずだ。
 もっともセシリアの憂鬱は自分自身の外見ではなく、それを見てあわよくば褒めてほしいと思う人が、どこにもいないことに起因していた。


「わたくしは『アーマーガールズプロジェクト』のフィギュア……一夏さんとは決して巡り会えない定めなんですのね……」

 アーマーガールズプロジェクト。
 武装神姫とはまったく別の技術体系をもって、少女型素体の武装パーツによる拡張を目指したシリーズである。
 ごくごく少数の例外を除いて基本的にオリジナルのモデルをリリースしている武装神姫シリーズとは逆にキャラクターのメカニック面を含めた再現を重視したAGP。
 その栄えある第一号モデルこそがセシリア・オルコットであり、彼女はそのことに自尊心を感じてはいた。が、同時に割り切れずにもいた。
 「アーマーガールズ」と銘打つ以上、彼女が、正しく言うなら本物のセシリア・オルコットが恋い焦がれる織斑一夏が制作されることはないからだ。


 「セシリア・オルコット」は、今アーマーガールズプロジェクトのモデルとして、永遠に報われない恋心を植え付けられて戦場にいる。


(お慕いする殿方と一緒にもなれず……それどころか家名も祖国も名前だけのもの。わたくしの存在意義って、なんですの?)


 想い人を一心に慕う恋する乙女としての一面も、祖国イギリスと名門オルコット家の誇りを背負う代表候補生としての一面も、ただ与えられただけのもの。
 物語のヒロインですらないフィギュアのセシリアにとって、形だけの思いを与えられたところでそんなものは厄介な足枷でしかない。


(今のわたくしには背負うべきものが何もない……何のためのインフィニット・ストラトス、何のためのバトル・ロワイアルなのかしら)


 端的に言えば、セシリアには戦う理由がなかった。
 それに加えて、生きる目的もなかった。もっともこの疑似人格が電脳内で稼働している状態を「生きている」と定義すればの話だが。
 自暴自棄、とは違う。そもそも棄てるような自分がないのだから。


 ――そんな迷いだらけの心でも、体は自らを守るように動くものらしい。


 死角から弧を描く軌道で飛来したブーメラン状の刃をIS(アイエス)腕部パーツの部分転送で弾いたセシリアは、険しい目で窓の方角を睨んだ。
 この金のかかったシステムキッチンの持ち主にふさわしく高そうなカーテンで飾りたてられた、その窓の縁に誰かが腰掛けている。
 わざわざ考えるまでもなく、彼女とは別のフィギュアだ。
 そのツインテールと勝ち気そうな釣り目を見てセシリアはとある少女を思い出しかけたが、彼女はあんなピンク色の髪はしていない。
 そして目を引く、全身に纏った黒い装甲。そして額のヘッドギアパーツから突き立った鋭い角だった。その姿は例えるなら、


「黒い……ユニコーン……?」


 思わず口を突いて出た。
 可能性の獣。希望の象徴。でもその姿は白いはずだ……少なくともセシリアの知る限りでは。
 部分展開と同時にISスーツ姿となり片腕の装甲だけで身構えるセシリアを値踏みするように、黒い一角獣の少女は冷たい視線を向ける。
 弾かれながらも勢いを失わずに大きなアーチを描いて手元に戻った刃を見もせずに指で挟んで受け止め、彼女は嘆息するように口を開いた。


「ふぅん……本気で切り落とすつもりの速さじゃなかったとはいえ、アイスラッガーを弾くくらいのことは出来るわけね」


 外見同様に幼さが残りながらも勝ち気そうな、それでいて感情を殺した声。


「あなた……武装神姫、じゃないみたいですわね。神姫とは違う、装着型の武装……ということは」
「――アーマーガールズプロジェクト。あんたと同じにね。あたしはMS少女バンシィ。素体名はヒメ=スカーレットよ」
「……先に名乗られて、名乗り返さないのは無礼ですわね。わたくしの名はセシリア・オルコット。以後お見知り置きを、ヒメさん」

 慇懃な自己紹介。それもやむを得ない。
 彼女……MS少女バンシィことヒメの放つ雰囲気は、和やかな歓談とは程遠いものだから。
 つい先刻のアイスラッガーによる奇襲も、本人の言う腕試しというのがどこまで本気なのか分かったものではない。

 本来戦いとは無縁のはずのキッチンが、今は戦場の張り詰めた空気で満ち満ちている。
 その異様さは、オリジナル共々戦闘経験の浅いはずのセシリアにさえ十二分に感じられた。


「セシリアね。今だけは一応覚えておいてあげるわ。もっとも……」


 言い終える前に、アイスラッガーを送還したヒメの両手が追加武装で覆われる。
 砲身の代わりに長く突き出した二枚のプレートが特徴的な砲撃用と思しき右手と、無骨で重々しいナックル状の左手。
 声に出すまでもない。それは宣戦布告だ。
 破壊するという意志の表明以外の何物でもない。殺意が武装の形を取って牙を剥こうとしている。


「――『雪菜姉様』を傷つけかねない戦闘モデルは、あたしが生かしておかない。その名前ごとこの世から消し去ってやるッ!」


 そしてバックパックのブースト噴射によって瞬間的に加速したヒメが右腕の武装――アームドアーマーBS(ビーム・スマートガン)を構えたのと、


「そんなわけの分からない理由で殺されて差し上げるほど、このセシリア・オルコット落ちぶれておりませんわ!」


 全身に専用IS『ブルー・ティアーズ』を転送装着したセシリアが周囲の小瓶を薙ぎ倒しながら上空に飛び立ったのはほぼ同時。


「だったらあたしが叩き落とす! 姉様の敵になるやつは、みんなみんないなくなれ!」


 かくして、装甲少女(アーマーガールズ)同士が激突する。装甲の下に、脆すぎる自我を隠したまま。



   ▼  ▼  ▼



 ヒメ=スカーレットにとって、姉――『雪菜=シュネーライン』は、この世の全てだった。

 それは決してロマンティックな比喩などではなく、真実だ。
 MS少女の素体という特殊なモデルであるがゆえ、ヒメの自我は基本的な性格とメンタリティ傾向のうえに成り立っているに過ぎない。
 特定のキャラクターを模倣していない、という意味では武装神姫に近いとも言えるが、しかし神姫のように人を支えるための人格でもない。
 流れる川の上に浮かぶ筏のように不安定なもの。それがヒメ=スカーレットの自我だった。

 そんな中で彼女の支えとなるものがひとつだけあった。
 姉妹機である同じMS少女素体、雪菜=シュネーラインの存在だ。

 この実験会場で目覚めたヒメがまだ見ぬ『姉』へと思慕の念を募らせるのに、長い時間は掛からなかった。
 おぼろげな自分のたった一人の肉親。フィギュアなのだから当然血は繋がっていないが、それでも家族には違いない。
 自分に記録された雪菜は、争い事を好まない優しい少女だった。
 彼女と姉妹としての時間を過ごせたら、それはどんなに幸せだろうと思った。

 そしてそれから、この実験のことを思った。
 自分の生死は問題ではなかった。大事な大事な姉が、この殺し合いに巻き込まれてどうなるかが問題だった。
 雪菜は優しい少女だから、きっとこの壊し合いをよしとせず、戦闘を避けようとするだろう。
 そこに付け入られて、きっと彼女は破壊されてしまう。その未来がありありと浮かんでくる。

 許せるだろうか。自分のたった一人の「家族」を、そんな危険に晒すことが。

 許せるはずがない。そんな理不尽。自分の全てを懸けてでも、止めなければならない。

「そうよ……雪菜姉様だけは、私が守らなくちゃ……!」

 戦いに乗るものだけではない。

 戦う力を持つもの。雪菜を傷つける力を持つものは、ヒメ=スカーレットの敵だ。




   ▼  ▼  ▼


 戦局は、明らかに傾いていた。

「どうして……! こんな、こんなはずじゃ……!」

 セシリアの呻くような叫びが空しく響く。

 整然と並べられていたキッチンの小物たちは既にビームで焼かれるか、引き裂かれるかして、無惨な姿を晒していた。
 その残骸を縫うようにしてブルー・ティアーズを纏ったセシリアは飛ぶ。
 その後を青い羽根のような4基のユニットが舞い踊るようについていく。

 ISブルー・ティアーズを象徴する武装にしてその名の由来でもあるオールレンジ兵器「ブルー・ティアーズ」。
 装着者であるセシリアの意のままに動き、撃ち、敵を封じる。
 このビット兵器を運用するために造られたのが原作におけるISブルー・ティアーズである。
 その4基のBTビットが、同時に射撃体勢を取った。
 小刻みな制御機動ののち、一斉にそれぞれの砲門をターゲットに向ける。


「きゃあああああっ!?」


 そして、放たれた4条のレーザービームは……狙い過たず、セシリアのISへと突き刺さった。


「お、おやめなさい! わたくしのことが分からないんですの!?」


 セシリアの叫びもBTビットには届かない。整然たる動きで、本来の自分の主を追い詰めていく。

 度重なる砲火に晒されながらISにはほとんど損傷はない。それでも状況は最悪の一言だった。
 セシリアへの直接的なダメージが防がれているのは、ISに備わる防御機構シールドバリヤーによるもの。
 フルオートでほとんどの攻撃を遮断する、この鉄壁の守りが彼女の命を保っている。

 しかし発動ごとにエネルギーを消費していくこの機構は、ただ被弾するだけでバッテリーを消耗するという諸刃の盾でもある。
 加えてBTビットの電力も本体から供給されているのだ。自分の武器で自分を撃ち、それによって自分を削っていく、それが現状。
 旗色が悪い、では済まされない。状況が、閉塞していると言っていい。


「オールドタイプの人格コピーが、ファンネルなんかで偉ぶるからぁっ!!」


 MS少女バンシィ――ヒメ=スカーレットの叫びが、セシリアを更に追い立てる。
 急速なバッテリー消耗で不調を訴える両目の視覚センサーを無理に凝らして、セシリアは霞む視界にヒメの姿を捉えた。

 その姿は戦闘前のものとは一変していた。黒一色だったはずの装甲は各部がスライドし、その狭間の構成材が金色の光を放っている。
 そして彼女の鎧を象徴していたヘッドギアの角は中央から真っ二つに割れ、それ自体がまたヒメの額で黄金色に輝いていた。

 あの角だとセシリアは臍を噛んだ。
 少なくともあの角が割れるまでは、ここまで劣勢では無かったのに。
 ヒメの感情の高ぶりに呼応したかのように見えたその『変身』は、文字通り戦況を塗り替えてしまった。

 サイコミュ・ジャック。

 セシリアの知らないその機能は、ユニコーンガンダムに共通して備わるサイコミュ的な精神波の流れを簒奪する武装。
 変身……デストロイモードへの変形をもって解禁されるその効果は、この実験においては遠隔操作武装の乗っ取りという形で再現されていた。
 ゆえにバンシィは、ビット兵器の操作こそを有用性とするブルー・ティアーズの『天敵』となる。
 セシリアの落ち度ではない。いくら戦闘の経験値が少ないとはいえ、この一方的な戦いは悲しいまでの相性差の結果だった。

「こ、この……!」
「まだ抵抗する気!? いい加減に黙んなさい!」


 レーザーライフルで反撃を試みるセシリアを、圧倒的加速で一瞬にして距離を詰めたヒメの左腕に装備された打撃兵器が襲う。
 その程度で破られるシールドバリヤーではないが、しかしバリヤーに衝撃が加わるたびにセシリアの電力残量は確実に削られていく。
 一撃。二撃。三撃。ほとんど蹂躙に近い連撃がブルー・ティアーズに降り注ぎ、セシリアはそのたびに呻いた。
 角が割れて以降、幾度と無く繰り返された光景。ヒメの執念に満ちた追撃は止むことなく続いていた。


 しかしその時間も、終わる時は呆気無く終わる。


 周囲を旋回していたBTビットが次々と落下し、調理用具の破片が散乱するテーブルの上に小さな音を立てて転がった。
 それは本体からの電力供給が、ビット運用に必要な量を下回ったということ。
 セシリアに戦う力が残されていないということを、これ以上なく端的に示していた。


 セシリアは、自分が機体ごと食器棚のガラス戸に叩きつけられたのを辛うじて認識していた。
 その衝撃にすらシールドが反応し、尽きかけたバッテリーが更に削られて、視界がノイズとともにぶれる。
 全身のダメージをチェック。ISはほぼ損傷なし。その事実がいっそ皮肉にすら感じる。
 もう一度シールドバリヤーを展開するだけの電力すらあるか怪しい今、無傷であることに何の意味があろうか。

 ヒメの黒い脚部ユニットが飛び散った細かいガラス粉を踏みしめながら近づく音が聞こえる。
 セシリアは唇を噛み締め、そしてISを解除した。

「随分手こずらせて……! やっぱりあんた、危険だわ。あんたみたいのが姉様を傷つけるかと思うと、怒りでコアが焼き切れそう……!」

 足音が止まる。声がすぐそばで聞こえる。ヒメが、すぐ目の前にいる。
 セシリアは歯を食いしばった。
 ISを解除したのは、観念したからではない。最後に一矢報いるための電力を温存するためだ。
 やるなら、今しかない。

(わたくしの最後の誇りだけは……奪わせて、なるものですか……!)

 残りの電力を結集する。
 ヒメの姿が近づいたその一瞬を突いて、セシリアは自身の拡張パーツを転送した。
 本来のブルー・ティアーズの付属武装には含まれていない近接武器。
 豪奢な装飾が施されたその剣を、真っ直ぐに敵目掛けて――

 そして、その最後の一撃は、虚しいほどあっさりと払われた。

「……正直ヒヤッとしたけど、今のが最後の一撃ってわけ? 悪いけど、結末は変わりないわ」

 もうその言葉に返すだけの気力すら残っていない。
 セシリアはぼんやりとした視界で、ヒメの左腕の武装、アームドアーマーVNがクロー状に変形するのを見た。
 そしてそのクローが自分の頭を鷲掴みにするのを感じた。

(ああ……わたくし、ここまでなんですのね……)

 死の実感は思ったよりも静かにやって来た。
 目を閉じると、脳裏には在りし日の思い出がスライドショーのように浮かんできた。
 走馬灯、というのだろうか。人間が死の間際に見るという、あの。

 やはりと言うべきか、その多くを占めていたのは、織斑一夏の姿だった。
 真剣な目をする時の凛々しい横顔。自分へと向けられるだけで胸が高鳴る、あの笑顔。
 それらが彼女自身の思い出として蘇ってくる。

 さらに4人の少女達の姿も浮かんできた。
 箒。鈴。シャルロット。ラウラ。
 彼女達はセシリアにとって恋のライバルであり、それと同時に大事な友人でもあった。
 おかげで平坦な恋路ではなかったけれど、彼女達がいたから楽しかったと思い返す。

 振り返れば際限無く浮かんでくる、大事な思い出。
 ああ、それが、それがこんなにも。

「最後の情けよ、セシリア・オルコット。遺言くらいは聞いてあげてもいいわ」

 ヒメの声が聞こえる。セシリアは最後の思いを振り絞って声にした。

「し、死ぬのが怖いんじゃ、ありませんわ……ですけど、ですけど……」


 それは誰かへの遺言ではなく、自分自身への言葉だったのかもしれない。


「借り物の思い出に浸りながら、死んでいくなんて……惨め過ぎますわ……こんなの、あんまりですわ……!」


 セシリアは泣いた。
 この走馬灯が、本物のセシリア・オルコットのものでなく、本当に自分自身のものならば。
 それならば、きっと自分の人生に納得して死ねたはずなのに。

 ヒメが虚を突かれてハッとしたような表情を浮かべていたような気がするが、もうどうでもよかった。
 そして、あっけなく、セシリアの意識は途切れた。


   ▼  ▼  ▼


 ヒメ=スカーレットは嘆息した。
 すでにその姿は、多量のバッテリーを消費するデストロイモードから、元の一本角のユニコーンモードに戻っている。
 金色の光はその輝きを封じ、バンシィの鎧は元の闇色を取り戻していた。


「なんでこんなこと、したのかしら」


 自分で自分が納得できずに、ヒメは自問した。
 本当なら、こんな行動を取るはずはなかったのだ。
 それが全く予期していない形の結果を生んでしまった。他でもない、自分自身が。


「あたしは間違ってない……そうよ、必要だったからしただけのこと。それだけよ」


 動かないセシリア・オルコットを見下ろす。
 その姿はあれだけの激しい戦闘の後でありながらほとんど傷一つなく、その美貌もそのままだった。
 これで機能停止しているだなんて、誰も思わないだろう。ヒメ自身も思わない。

 当然といえば当然だった。
 セシリア・オルコットは機能停止などしていない。
 今はヒメが転送したクレイドルの上で『眠っている』だけに過ぎない。

「情けを掛けたんじゃないわ。誰があんたなんかに同情するもんですか……!」

 セシリアの最後のつぶやきを聞いて、ヒメが咄嗟に攻撃を躊躇ったのは事実だ。
 それでも、どのみちバッテリー切れで再起不能になるだけの相手を、こうやって救ってやる道理なんてあるわけがない。
 情けではない。それでも、認めたくはないが、共感ではあったのかもしれない。

「そうよ、あんなこと言って泣いてるやつを殺したら、あたしの空っぽな中身まで道連れにされかねないもの……」

 ヒメは俯き、かすかに震えた。
 大事な大事な姉、雪菜を守るためならなんだってするつもりだったのに。
 これでは守りきれないかもしれない。それだけは嫌だ。そう思うのに。

 近くに転がる、セシリアが最後に繰り出した剣を、ヒメは見やる。
 その装飾に覆われた剣は、図らずも本物のセシリア・オルコットの故郷の英雄が使っていたものだった。

「“約束された勝利の剣(エクスカリバー)”……」


 皮肉な名前だと思い、そうではないのかもしれないと思い直した。
 最後の最後まで「約束された勝利」を手放さず、自らの尊厳を守ろうとした彼女を笑えるだろうか。
 そう、最後の最後まで、ゼロに等しい自分の『可能性』に賭けた彼女を。


「――『人間だけが神を持つ。今を超える力、“可能性“という名の内なる神を』……。
 ねえ、教えてよ。可能性が人間の特権なら、人形(フィギュア)に神はいないの?」


 ヒメの誰に対してでもない問いに、当然セシリアは答えない。
 だが、せっかく捕虜にしたのだ。捕虜には尋問の必要がある。
 彼女が目覚めたら何から話そうかと、ヒメは自身の迷いを上書きするように考えた。



【深夜/エリアJ(民家内・一階システムキッチン)】


【MS少女バンシィ@アーマーガールズプロジェクト】
【電力残量:55%】
【装備:アームドアーマーBS、アームドアーマーVN】
【所持品:クレイドル、基本パーツ(ビームサーベル×2、ビームマグナム、ビームジャベリン)、
     アイスラッガー(ウルトラセブン)@ULTRA-ACT、拡張パーツ×1】
【状態:損傷軽微】
【思考・行動】
 基本方針:雪菜を傷つけるものは全て倒す。
 1:セシリアの扱いを思案中。

 ※サイコミュジャックは付近に存在する遠隔操作系の武装やパーツのコントロールを奪取できますが、
  パーツの所有権自体を奪うことはできず、またデストロイモード終了と同時に解除されます。

 ※雪菜=シュネーライン(MS少女ユニコーンガンダム)を姉妹機として認識しています。
  なお雪菜側の人格データに同様の設定が存在するかは現時点では不明です。


【セシリア・オルコット@アーマーガールズプロジェクト】
【電力残量:5%(回復中)】
【装備:なし(ISスーツ)】
【所持品:クレイドル、基本パーツ(ISブルー・ティアーズ、スターライトmkⅢ)、約束された勝利の剣(セイバー)@figma、拡張パーツ×1】
【状態:損傷軽微、睡眠中】
【思考・行動】
 基本方針:???
 1:???

 ※本体はISスーツと制服、ブルー・ティアーズは通常装備とストライク・ガンナー装備をそれぞれチェンジできます。


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最終更新:2014年11月21日 23:28