アットウィキロゴ

ゲッターの黒い影 ◆6O/b6a0evc



体育館裏。
呼び出しの場に使われそうなその場所から言い争う声が聞こえる。
声の主は二体のロボット、一方が怒りもう一方がなだめているらしい。


「俺にはメカトピアの一員としての記憶も、あの忌々しい人間達の事も覚えている!これが偽物だというのか!」
「だからさ、偽物ってわけじゃなくて俺達はそういう物なんだって!」


ザンダクロス――ジュドとZZは当面同行する事が決まってからお互いに情報交換をしていた。
情報と言っても電源が入ってから間もない為、原作記憶から得られたデータによる自己紹介程度の物だが。
そこでジュドがまるで作中のキャラクター本人のように話すのでZZはつい聞いてしまったのだ。
もしかしてフィギュアの自覚がないのか、と。

自身をメカトピアの生き残りだと信じているジュドにとって、ZZの話す内容は許せなかった。
自分が人間達の娯楽作品のキャラクターをモデルにした玩具で、この殺しあいの為だけに自我を与えられたなどと。
そんな事が信じられるだろうか…いや、信じるわけにはいかない。
自分はジュド、鉄人兵団の一員だ。
この身に宿る屈辱の記憶と、人間達とドラえもんへの怒りは間違いなく自分の物だ。
非道な行いで消滅せられた鉄人兵団の無念を晴らす、その為に自分は復活したはずなのだ!

「いいかZZ…例え仲間であってもそれ以上の愚弄は許せんぞ!」
「愚弄じゃないって!あーもう、俺の言ってる事が嘘だと思うならネットツールで自分の事を調べてみてくれよ!」
「そこまで言うなら調べるが、俺が納得できない時は酷いぞ!」


ジュドは以前の自分にはなかったネットツールなる物を起動。
検索を開始しようとしたとき、衝撃を受けジュドの意識は真っ暗になった。


ZZはジュドの説得に疲れ切っていた。
情報交換の際に人間を抹殺だのメカトピアの恨みだの言っていたから気になったが、まさか『フィギュアの自覚』がない参加者だったとは。
主催がデータのインストールに失敗したのか、それとも意図的にやったのかはわからない。
立ち尽くしたまま検索を始めるジュドを見ながら、彼が真実を知った後どうフォローするか…
そう考えているときに視界に入ってしまった。

赤い悪魔のようなロボットがこちらに接近し、背負った針のような物を向けているのを。

「…ジュドッ!」

気づいてない同行者に声をかけるが時既に遅し。
針先から放たれた電撃がジュドとZZを襲った。


------


ゲッターアークは目の前の状況を確認する。
先程放ったサンダーボンバーが直撃したのは無防備だったザンダクロスのみ。
モデルから戦闘経験も引き継いでいるZZは防御が間に合ったらしく、ダブルビームライフルをこちらに向けている。
元々二対一になる状況を防ぐ為に放った牽制の一撃…問題はない。
ゲッターアークはダブルトマホークを呼び出し、己の内から沸き上がる怒りを込め突撃した。



ハイパービームサーベルとトマホークが打ち合っては火花を散らしていく。
戦場はZZがゲッターアークを誘導する形で路上へと移っていた。
あの場で戦い続けたら電撃を受けたまま沈黙しているジュドに被害が及ぶと思ったからだ。
それにこの赤い悪魔は自分の想像以上に強い…ZZの中の戦闘経験にはないタイプの敵だ。

「こんのぉぉぉぉ!!!」

ZZはビームサーベルを力尽くで押し込み、目の前のロボットにキックを放つ。
当然避けられるが、その隙にバーニアを全開にすることで久方ぶりに間合いが取れた。
人間にとっては数歩で済む至近距離…だが、フィギュアである二人にとっては十分離れた距離でにらみ合う。

「なぁ、あんた…なんでこんな戦いをするんだよ」

目の前のロボットは答えず、トマホークを構える。

「こんな戦いして何になるんだよ!それとも、アンタのパイロットはこういう戦いをする人間なのかよ!」
「……ッ!」
「アンタにも原作の記憶とフィギュアの自覚があるんだろ!だったらこの戦いが無駄だってこと自体…」

自分はジュドーのようなニュータイプではなくただのロボットだが、戦いの相手が元は有人のロボだろうという事だけはなんとなくわかった。
ジュドのような元々自我のあるロボをモデルにしたフィギュアと会っていたからかもしれない。
相手が元の人間の考えを引き継いでるなら、少しでも言葉が通じるはず…そう思っての行動だった。


「…ZZガンダム。貴様は、完全に破壊してやる!」


今まで一言も発さなかったゲッターアークは文字通り口を開き、ZZガンダムに今までで最大の殺意を向けた。


ゲッターアークはダブルトマホークを構え再度ZZに突撃する。
ビームライフル、そしてZZの背部にあるダブルキャノンからビームが飛んでくるが、それもトマホークを盾にする事で防ぐ。

「おい!それ以上無茶するとビームが直撃するぞ!」

ZZは殺しあいに乗っているわけではない。だが、もちろんこの相手の様に襲ってくる相手には生きる為立ち向かう。
だからといって機能停止になるまで追い詰めるつもりもないのだ。

やがてビームサーベルとの打ち合いですでにダメージのあったトマホークは罅割れ崩壊する。
盾が無くなった事を確認すると、ゲッターアークは拡張パーツを転送しZZめがけて投げつけた。
"それ"はトマホークとは違いビームを物ともせずZZの胴体に直撃。予想外の事態と、その重量に重MSのZZも耐えきれずに体勢を崩す。

「うわっ!? なんだこれ…金ピカの…秤…?」


主催が何を考えてこれをゲッターアークに支給したのかはわからない。
単なる強力な武器として見ていただけなのか。
それとも、ジョーカーとして善も悪も、男も女も、人型もロボットも『公平』に破壊するようにとのメッセージか。
ほぼ全てを超合金で作られたそれは、ビームを物ともせずその場に輝いていた。

――『天秤座』の黄金聖衣。
本来女神を守る為のその力は、この場にいる全ての存在を破壊する為に呼び出された。


ゲッターアークはオブジェ状態の天秤座からスピアを引き抜くと、体勢の崩れたままのZZの右脚に突き刺す。
ZZの人工知能に、ロボットが味わうはずのない"痛み"が伝わり…絶叫した。

この会場にいる2機のマジンガーは操縦者の記憶をモデルにマジンガーとしての自我が与えられた。
しかしこのZZはパイロットのジュドー=アーシタの記憶と人格をそのまま与えられてしまった。
おかげで彼はZZというよりジュドー本人のような思考をし、様々な事項を"ジュドーという人間として"処理してしまう。
そのせいで今の彼はジュドー…生身の人間が脚を貫かれた…そのようにデータ処理をしてしまい、他のロボットタイプよりも生々しい"痛み"を味わってしまっていた。

本来感じるはずのない感覚で混乱しているせいでさらなる隙が生まれる。
ゲッターアークはZZの巨体を踏みつけ、2本のソードを両手に構えるとZZの両腕に突き刺す。

「原作の記憶と言ったな…お前にその原作を奪われた俺の気持ちが理解できるか」

ツインロッドを手に取り、標本のようになったZZに打撃を浴びせていく。
ZZの各部に傷がついていき、ガンダムの特徴であるアンテナが折れる。

「ガンダムシリーズというタイトルの中で、自分の物語を持つお前に…俺の怒りが理解できるか!」

ZZはゲッターアークの逆鱗に触れてしまった。
原作の記憶もそれに準ずる人格も与えられなかった彼に対し、原作の存在を持ち出して説得する。
ジュドーの取った方法は他の相手には通じても、この相手にだけは火に油を注ぐ物となってしまった。

痛みに耐えつつ、攻撃から逃れようと足掻くZZに更なる攻撃を加える。
これはすでに戦闘と呼べる物ではなく、強者が弱者をいたぶっているだけだ。
本来ライブラの武器は弱者を虐げる為の武器ではない…だが、ゲッターアークにはそんな事は関係なかった。
彼からしてみれば支給品に過ぎない物でさえ原作があり物語を持つ、そんな忌々しい事に気づかされるだけだ。



(くっそぉ…何か、何か手は…)

全身の痛みに襲われながらZZはこの状況からの脱出の手を考える。
撃てば相手を必ず破壊してしまう…そう思い先程の戦闘でも使わなかった武装がある。
しかし今は逆に自分がいつ殺されてもおかしくない状況だ。
使うなら、相手が自分を痛めつける事に気をとられている今しかない。
頭部に残された電力を集中させる。ZZガンダム最大の武器、ハイメガキャノンがチャージされていく。


「――そういえば、ZZガンダムというのは"コレ"が最大の特徴だったな」

ゲッターアークは2本目のスピアを呼び出し、無造作にZZの頭部に突き刺した。

「ぐ、ぐあああああああ!?」

チャージ中の電力がZZの内部で暴走し、コアとCSCに想像を絶する痛みを与える。

「お前達の基本データは全て知っている…当然このハイメガキャノンについてもな」

ゲッターアークはハイメガキャノンの発射口を念入りに抉り破壊していく。

「どうだ、原作からの特徴を失い無様に破壊されていく気分は…もはや話す気力もないか」

ダメージに耐えきれずフリーズ状態になったZZに興味を失った。
未だ怒りは治まらないが、こいつを完全に壊せば変わるかもしれない。
頭部に刺していたスピアを引き抜き、ZZのコックピットへと向ける。


瞬間、ゲッターアークの体は黒い巨体に弾き飛ばされた。

「大丈夫かZZ! ええい、これでもくらえ!」

次いでこちらを狙ってきたレーザーとミサイルをシールドで防ぎつつ、上空へ逃れる。

「チッ…時間をかけすぎたか!それとも、奴が復帰するのが早かったのか」

ゲッターアークの視線の先には、サンダーボンバーを受け気を失っていたはずのザンダクロスがいた。


ジュドはZZを見て言葉を失った。
自分が気を失っていた間に同行者はこんな状態になるまで戦っていたのだ。
それに対して自分はなんと不甲斐ない…自分と、ZZをこんな状態にした襲撃者に対し怒りがわいてくる。

しかし戦闘用ロボットであるZZをここまで追い込んだ相手に自分が勝てるはずもない。
先程は拡張パーツを呼び出しての奇襲だったからうまくいっただけだ。
残る拡張パーツ『龍咆』は強力な武器だが当たらなければ意味がない。
今はこの場からの撤退が最優先。そう結論を出したジュドはZZを抱え、先程呼び出した乗騎に近寄る。

「俺はジュド!貴様がどういうつもりか知らんが…例え同じロボットであっても、仲間を傷つけた礼は必ずさせてもらう!」

再度ミサイルを発射、空にいる襲撃者は回避するだろうが元々目くらましのつもりだ。
合わせて放ったレーザーでミサイルを爆発させる。

「行くぞ、黒王号!」

フィギュアとなってもその巨体を誇る世紀末覇者の愛馬は、主の命に従う。
ジュドとZZを乗せ一刻も早くこの場から離れるべく駆けだした。



【黎明/エリアY (路上)】

【ジュド(ザンダクロス)@ROBOT魂】
【電力残量:70%】
【装備:腹部レーザー・肩ミサイル】
【所持品:クレイドル、基本パーツ(ピッポのフィギュア)、黒王号(ラオウ&黒王号)@リボルテック、龍咆(凰鈴音)@AGP】
【状態:黒王号に騎乗。ダメージ小】
【思考・行動】
 基本方針:ドラえもんと人間達への復讐
 1:ドラえもんの破壊
 2:この場から離れる
 3:ゲッターアークを敵と認識
 補足:人間型フィギュアにも人間への憎悪により敵視する可能性があります
【備考】基本パーツとして支給されたピッポには現在自我は宿っていません。扱いはお任せします。
  ただしジュド自体の記憶は旧盤及び原作漫画版がベースのようです。
  ネットツールによる自身の検索に制限がかかってるかはお任せします。

【ZZガンダム@ROBOT魂】
【電力残量:20%】
【装備:2連装メガビームライフル】
【所持品:クレイドル、基本パーツ(ビームサーベル×2)、拡張パーツ×1~2(未確認)】
【状態:気絶中。黒王号に騎乗。ダメージ大。頭部破損。両腕と右脚に傷】
【思考・行動】
 基本方針:仲間を集める。どうすべきかは悩んでいるが、壊し合いには否定的。
 1:???



ゲッターアークは煙が晴れた後も、ザンダクロスとZZを追う事はしなかった。
追撃戦となればこちらもゲッタービームなどのエネルギー兵器を使うしかなく、それには電力残量が心許ない。
とりあえず一体…ZZを戦闘不能まで追い込んだ。その結果で妥協するしかない。
倒すべき敵はまだ50体以上いるのだから。

ゲッターアークは民家に入るとクレイドルを設置し、充電に入る。
その力を存分に振るい、一切を破壊し尽くす為。



【深夜/エリアY(民家2階)】

【ゲッターアーク@リボルテック】
【電力残量:40%(充電中)】
【装備:なし】
【所持品:クレイドル、天秤座の黄金聖衣(天秤座の童虎)@聖闘士聖衣神話、拡張パーツ×0~1(確認済み)】
【状態:損傷軽微】
【思考・行動】
 基本方針:戦いに勝ち残り、自分だけの物語を獲得する
 1:敵は手当たり次第破壊する

 ※最初の60体に含まれないイレギュラー・モデルです。
 ※原作の記憶を持たされていません。代わりに他の参加者に対してある程度の知識を持っています。
 ※ダブルトマホークは破壊されました。
 ※天秤座の黄金聖衣はオブジェ状態から各パーツに分解可能です。


前:ELECTRIC ANGEL 投下順に読む 次:INSIDE IDENTITY
前:ELECTRIC ANGEL 時系列順に読む 次:INSIDE IDENTITY
前:逆襲のザンダクロス ジュド(ザンダクロス) 次:SilentVoice
前:逆襲のザンダクロス ZZガンダム 次:SilentVoice
前:失われた伝説を求めて ゲッターアーク 次: 

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2014年11月28日 02:05