炎と赤鳥と正義の味方 ◆2kaleidoSM
夜の街。静寂に包まれた空間。
そこに、奇妙な色どりをした人形が立っていた。
頭は赤く、胴体は黄色、足は緑の、まるで信号機のようなカラーリングをした、人というには様々な部分に独特な部分が見られる人形。
その人形の名を、
仮面ライダーオーズと言った。
名前の通り、それは日曜朝8時放送の特撮番組、仮面ライダーOOOの主人公。
「殺し合いだなんて…。こんなこと絶対に許しちゃいけない…!」
そして仮面ライダーの主人公、火野映司の人格を模した彼もまた、多くの仮面ライダーと同じく正義の心を持つ者。
例えそれはフィギュアとなっても変わることはない。
それが例え、この殺し合いのために作られた、偽りの人格であったとしても。
「人形だとか、そんなの関係ない。作られた者にだって心はあるんだ…」
思い返すのは、かつて仮面ライダーオーズが共に戦った、赤き右腕の存在。
作られた命でありながら、その身を賭けて火野映司と共に戦い、そして死んでいった怪人。
無論、それは火野映司の記憶であり今の自分の記憶ではない。
だけど、この身にその記憶が与えられたのは、きっと何かしらの意味があるはずなのだから。
と、歩み出そうとしたオーズはふと、疑問に思ったことがあった。
それは今この身で行うフォームチェンジ。
仮面ライダーオーズはメダルを入れ替えることで様々な形態へと変身することができる。
今の自分が変身できるとすれば、その中でも発売されているフィギュアーツ。
現フォームのタトバ。そして各コンボ・ガタキリバ、ラトラーター、シャウタ、サゴーゾ、タジャドル、ブラカワニ、プトティラ、タマシー、スーパータトバ。
そこに加えて、タカキリバやタカジャバといった一部亜種形態が変身可能だろう。
映司グリードにもなれるだろうが、さすがにあの姿にはなりたくはない。
しかし亜種形態の発売種類は少なく小回りを効かせられないことから、基本コンボ形態を運用していくことになるのだろうが。
(今の俺に、どこまでこの力が使えるんだ?)
いざとなった時に使えなかったでは話にならない。
疲弊もするだろうが、ある程度は確かめておくべきだろう。
そう思い、メダルを腰から取り出した、その時だった。
「ぎにゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」
周囲に響いた、女の子らしき者の謎の奇声。
思わず周囲を見渡すオーズ。
「ちょ!どいてどいてどいてーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
まるで暴走するバイクのような音を立てながら、何かがこちらに接近してくるような気配を感じる。
その音がどこから聞こえているのか、それを認識し。
発生源の方へと顔を向けた、その時だった。
目の前に、巨大なタイヤのようなものが見え。
「ギャーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
「わーーーーーーーー!?!」
身構える暇すらもなく、オーズへと衝突。
そのまま巻き込んだ状態で、電柱にぶつかって動きを止めた。
人間であれば大事にもなるだろう事故だったが、フィギュアが相手であり、なおかつ轢かれた相手が仮面ライダーだったというのは不幸中の幸い、というべきか。
また、それに搭乗していた少女の方も大きな怪我をしている様子はなかったためオーズも心を撫で下ろした。
電柱にぶつかったex:ride Spride.03 ガンツバイクは見るからに動きそうもなかったためやむを得ずその場に放置することに決め。
「えーっと、…あ、月火ちゃん。もしかして前髪ってこれ?」
「あ、あったー!どうもありがとう!」
今、オーズと少女――――figmaNo156、
阿良々木月火は探しものをしていた。
事故の拍子にすっ飛んでいった彼女の前髪のパーツ。
事故から立ち直った月火は、オーズに謝罪をして。
その時に前髪が無くなってパーツの接合部と額が外気に晒されていることに気付いたのだ。
慌てる彼女を見るに見かねたオーズは、その前髪探しを手伝い、そしてたった今見つけ出したところだった。
「それにしても、悪いのってどう考えてもこっちなのに、前髪探しまで手伝ってくれるなんて、おにーさんいい人だね!」
「気にすることはないよ。でもね、ロクに運転もできないのにバイクに乗ろうなんてダメじゃない。それもこんな特徴的なバイクを」
そのバイクは巨大なタイヤの内側に運転席がついているという、かなり独特なデザインのバイクだった。
普通のバイクでも危ないというのに、そんなものを中学生が運転すればどうなるかは火を見るより明らかだ。
「あ…あはは、はーい。気をつけます」
苦笑いを浮かべながら、オーズの注意への返事をする月火。
ちなみに彼女の服装は緑色に花の模様がついた着物という、明らかにバイクに乗るには不向きな格好。
しかしフィギュアゆえか、あれだけの爆走と衝突にあっても着衣の乱れ一つなかった。
「それにしても、この前髪いっつも外れるってのは本当、どうにかならないのかなぁって思うんだよね」
「そんなによく外れるの?」
「そーなんだよねー。私達figmaってさ、表情パーツ変えるたびに顔と前髪外すんだけどさ、そのために前髪パーツがゆるくなってるの結構あるんだよね。
その点、オーズさん達フィギュアーツにはそういった悩みはなさそうでいいよね」
「うーん、まあパーツが外れるとかってのはないけど、こっちもこっちで悩みはあるんだよね。
俺達フィギュアーツもさ、最近発売されたカブトとか龍騎みたいな素体は可動性とか直立性とかいいんだけどね。
俺みたいなそれ以前に発売したものは、足の可動性もちょっと狭いし、ダイキャストも使ってないから立つのにスタンドが必要になるんだ」
「スタープラチナ?」
「そっちのスタンドじゃないよ」
むしろカブトや龍騎の素体は羨ましいものだ、とオーズは思う。
カブトなど、ライダーキックの体勢でも立つことができるくらいの逸品だ。
ダイキャストもなく足首の可動の悪いバッタレッグは本当に見習って欲しい。
その点、figmaには買う度にスタンドがついてくるというのも、やはり羨ましい。
「うーん…?」
「あれ、どうかしたの?」
「いや、何かこうやって会話してると、何か引っかかるんだけど………あっ!」
と、そんな互いの欠点などについて気がつけば愚痴り合っていたオーズと月火だったが。
ふと何かに気付いたように表情をガビーンとさせたようなものに変える。
「しまった…!ここは皆が自分はフィギュアだって自覚した場所…、つまりは皆がメタ知識を持っている…!
こんな場所で、西尾キャラがメタ知識でキャラを立たせるとかできるわけ無いじゃん!?」
「え、ちょ…、月火ちゃん…?」
「なんてことだ!予想外の展開!アイデンティテイクライシスだよ!クライシス皇帝もびっくりだよ!
西尾ロワだってハブられた私がやっと出られたと思ったのに、こんなのってないよ!」
「だ、ダメだ!いくら君でもそれ以上は危ない!」
「ぐぬぬ、かくなる上は…、井口ボイズを活かして物語勢から別の作品勢へと変貌するしかない…!
いっそ今流行りの艦○れ勢と化して、加○とか五○鈴のネタを使うことでキャラを立たせていけば――――」
スパーン
何やらとても混乱している様子だった月火の頭をハリセンで引っ叩いたオーズ。
紙製ではなく軟質素材で作られたそれは、同じ素材である月火には若干、いや、かなり効いてしまったようで地面に倒れこんだ月火はしばらく動かなかった。
「あ、しまった。そういえばこの素材、figmaと同じ硬さなんだった…。月火ちゃん、大丈夫…?」
「はっ、私は一体何を」
目を覚ましたように起き上がる月火。
どうやらアイデンティテイクライシスの危機は避けられたようだった。
気を取り直して、というかそもそも何の話をしていたのかを忘れてしまいそうにもなったものの起き上がった月火ととりあえず今後のことについて話し合う。
「えーっと、月火ちゃんはとりあえずこの殺し合いには乗らない、ってことでいいんだよね?」
「もちろん。人に命令されたからって、ていうかそれしか手段がないからって、それに従って行動するなんて、それこそ阿良々木月火らしくないもん。
私はいつだって、私自身の路を往くよ」
「君自身の路っていうと?」
「そりゃあもちろん」
と、月火は指をビシッと指して言う。
迷いも躊躇いもなく。
「アタシ自身の正義だよ」
「そういえばオーズさん、仮面ライダーって正義の味方なんだよね」
「え、あ、ええと、まあ確かに世間だとそう言われてるみたいだけど、俺達自身は正義のために戦ってるってわけでもないんだ。
むしろ、……そうだね、人間の自由のために戦ってるんだって、誰かが言ってたような気がする」
「おんなじことだよ。私だってこう確固たる正義みたいなものがあるってわけじゃないんだし」
何だかさっきと言ってることが変わってるような気がしたが、今突っ込むのも野暮だろうと思い敢えて何も言わなかったオーズ。
「そういやオーズさんも炎出せるんだよね?ニチアサ見てたから知ってるんだよ」
「まあ確かにタジャドルコンボになれば炎を武器にして戦うことになるけど」
「それじゃあ、私とオーズさんでファイヤーコンビって名乗ろうよ!月火の火と、オーズさんのその正義の炎でさ!」
「だから正義ってわけじゃ………まあいいか…」
まあ、この子が言う正義ならあのバッタヤミーの時のような間違いはないだろうと思ってその辺りについてとやかく言うことは諦め。
そのまま、移動しようとしたその時だった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――!!!
宙に響くような、巨大な鳴き声。
それは日本人であれば多くの人が知っているであろう、怪獣の吠える音だ。
「―――!月火ちゃん、伏せて!」
「きゃっ!」
ふと周囲を見渡したオーズは、赤い何かの蠢きと、そこから膨大な熱量を直感。
月火の体ごと地面に伏せたその瞬間、二人の立っていた場所を恐ろしいほどのエネルギーを持った熱線が通り過ぎていった。
まだ熱された空気が周囲に残っている中、顔を上げた二人へと向かって、地響きを立てながら迫る何かがいた。
「…!あれは…」
「ゴジラじゃん!しかも1995年版、ゴジラvsデストロイアの!」
体内の炉心が暴走したことでメルトダウン寸前の、怒りに狂える怪獣王。
ゴジラvsデストロイアのゴジラ、そのモンスターアーツだった。
その体から感じる熱は、フィギュアのものと言っても誰も信じないであろうほどに発されており、自分たちより一回り大きい程度にダウンサイジングされた今もまだ、その迫力はいささかも衰えてはいない。
そしてその口から放たれた熱線は地面を大きく抉り、コンクリートをジュウジュウと溶かしている。
あんなものの直撃を受けて生きていられるフィギュアはいないだろう。
そんな相手を前にしては、二人は逃げるという選択肢が最良だろう。
立ち向かったとしても、かたや一般人、いくら仮面ライダーといっても単独で相手にできるような存在ではない。
しかし。
それでもオーズは月火を庇いつつ、メダシャリバーを構えた。
「逃げて、月火ちゃん。あいつは俺が止める」
ゴジラは動きこそ鈍重であったが、それでもあの熱線の射程は脅威。
そして、放置しておけばあれは多くの参加者を破壊しつくすだろう。
倒せなくても、せめて動きを封じるくらいはしなければ。
タトバでどうにかできるような相手ではない。
取り出すは2枚の赤いメダル。
タカ・クジャク・コンドル!
串田アキラボイズをオースキャナーが再現し、前面に赤いメダルが顕現。
それがオーズの胴体のオーラングサークルにはめ込まれ。
―――――――――タ~~ジャ~~ドル~~~!!
信号機のようなカラーリングだった全身を、赤い炎が包み込み、鳥を模した姿へと変化。
仮面ライダーオーズ・タジャドルコンボ。
飛行能力を持った、鳥系メダルによるオーズのコンボ形態の一つ。。
例えあれがゴジラであったとしても、フィギュアである以上どこかに何かしらの弱点があるはず。
それを空中から探りつつ、こちらへと注意を向けるのだ。
と、飛び立とうとしたオーズ。
しかし。
「―――!翼が、出ない…?しまった!」
仮面ライダーオーズタジャドルコンボの翼、クジャクウィング。
それはフィギュアーツタジャドルには付属していない。装着させるにはプレミアムバンダイのタジャドルコンボ用のセットを購入する必要がある。
プレバン限定であったとしてもコンボ形態であればまだ形態変化として使用することができた。
その一方で、本体に付属していなかったパーツ系統はまた別途の支給となってしまっていたのだ。
オーズがその事実に気付いた時、ゴジラは放射熱線を口に溜めこんでいた。
今避ければあの熱線に月火が巻き込まれる。
「――――――!」
タカ・イマジン・ショッカー!!
ターマーシー!タマシー!ターマッシー!ライダァ~…ダ・マ・シー!!
咄嗟に切り替えたメダルは、本来のオーズが持つはずのないもの。
オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー!!で登場した、劇場限定コンボだ。
緩慢な動きで放たれた熱線に対し、オーズはその手にそれに匹敵するほどのエネルギーを集中させる。
両手の間に作り出したイマジンの砂球とショッカーマークの形の炎。その威力は仮面ライダー史上で見ても最強の攻撃。
通称、魂ボンバー。
――――――――――ガァァァァァァァァァ!!!
「はっ……セイヤァァァァァァァ!!!!!」
ゴジラが熱線を吐くと同時、オーズの手から魂ボンバーがゴジラに対して射出される。
かつては大首領をも吹き飛ばしたその一撃は、ゴジラの熱線に一瞬の均衡の末に打ち勝ち、ゴジラへと直撃する。
「っ…、エネルギー消費が激しい…!」
サイズダウジングされているとはいえゴジラの熱線に打ち勝てるほどの威力を持った一撃。
しかしそんなものがただで撃てるわけではなかった。
あまりに膨大なエネルギーは、オーズの保有する電力の実に40%を一気に食い尽くしたのだ。
そして前を見ると、ゴジラは少なからずダメージを負っているようではあるが、それが行動に支障をきたすほどのものではなかった様子。
熱線を打ち破るために幾らかの威力を減衰させられていた攻撃では、怪獣王に致命的な一撃を与えはしなかったのだ。
そして逆に、その一撃で怒りを煽られたゴジラはオーズへと注意を向ける。
狙ったわけではなかったが、逆にそれも好機ではあった。
ライオン・トラ・チーター!!
ラ・タ・ラ・タ?! ラトラーター!!
周囲に熱線を撒きながら全体的に黄色く輝く体へとその身を変じる。
猫系のメダル3枚によるラトラーターコンボ。
トライドベンダーが存在しないこの環境では制御にいささか不安が残るが、そのくらいあった方が怪獣王を引きつけることはできるだろう。
ゴジラの怒りの視線を真っ直ぐに受け止めつつ、オーズはゴジラへ向かってかけ出した。
「オーズさん、さっきのってもしかして…」
あのゴジラの熱線、彼ならば避けられたはずだ。
なのに、どうしてわざわざ姿を変えてあれを迎え撃つことを選んだのか。
というか、もしあそこにいる立場が自分とオーズさんで逆だったとしたら、自分ならどうしたか。
間違いなく受け止めに行っただろう。
その結果自分が死ぬことになっても、正義に殉じるなら本望とか考えながら。
目の前では、ゴジラを引きつけるような動きを取りながら走っていくオーズさんの姿。
「……プラチナムカつく」
確かその語源はプチムカつくのもじりで、そこまでムカついているわけではない言葉だったはずだが、今のセリフでは結構ムカついていた気がした。
ゴジラに対してではない。
あんな偉そうなことを言っておきながら、いざ怪獣王を前にしたら何もしていない自分自身に。
だが、実際自分の戦闘力などたかが知れている。姉の火憐ならまだしも、ファイヤーシスターズでも参謀である自分にできることなど――――
「あっ…、そういえば…」
ガンツバイクを取り出した時、拡張パーツに何か混じっていたような気がした。
その時は正直何なのか分からなかったが、もしかしたら何かの役に立つものかもしれない。
改めて取り出して見てみると、それは彼のあの姿の体の一部に繋がる場所があるような気がする。
これを彼に渡せば、あるいは。
「よし、行こう」
迷いはなかった。
怪獣王、ゴジラの力は生半可なものではなかった。
その重量も再現されており、接近戦を挑めばこちらの攻撃はロクにダメージを与えられず、逆にその腕や顎、尾の餌食となる。
加えて体から発される膨大な熱。
いくつかのコンボを使ってみたが、その中でもガタキリバの分身、シャウタの液状化、スーパータトバの時間干渉には大きな制約がかかっているようだった。
サゴーゾの重力操作は可能ではあったものの、元々の重量が半端ではないゴジラに対しては焼け石に水。
プトティラコンボは、己の暴走も視野に入れなければならない危険なもの、月火が安全といえる場所に行くまでは、使うわけにはいかない。
こちらと比べればゆっくりと歩くゴジラへ向かって、メダシャリバーを振りぬく。
一撃を打ち込むと、直後にチーターレッグの脚力を活かして離れる。
効率の悪い戦い方ではあるが、しかし接近したままではゴジラとの肉弾戦を繰り広げなければならなくなる。
「せめて、タジャドルで飛行することができれば…」
それさえ可能ならば、もっと素早く、効率よく戦うことができるはずなのだが。
「オーズさん!!」
と、彼の耳に届いた少女の声。
「月火ちゃん…!?どうしてここへ―――」
オーズが問いかける間もなく、月火は拡張パーツをこちらへ向かって投げつけてきた。
「これは…」
「受け取って!それあなたのパーツでしょ!」
それは、オーズタジャドルコンボが飛行するために使うクジャクウィングのエフェクトパーツ。
これさえあれば、空を舞って戦うことができる。
「ありがとう、月火ちゃ―――――――」
そして、それに意識を取られたことでゴジラの様子に気付くのが遅れてしまった。
突然の乱入者に意識を奪われたゴジラは、そちらへと怒りの矛先を移し。
オーズが見上げた時には、赤い放射熱線が既に月火に向かって放たれていた――――――
「月火ちゃん―――――――――!!」
気づいた時には既に遅く。
パーツを投げた体勢のままでいた月火を、ゴジラの熱線が包み込んでいた。
そして、熱線が消失した時、そこに残っているものはなく。
ただそこから離れた場所に、熱線の射程からわずかに離れていたらしき、月火だった前髪に備わっていたアホ毛らしいパーツが残っていただけ。
―――――――――――プテラ・トリケラ・ティラノ!!!
プッ!トッ!ティラ~ノ!ザウ~ル~ッス!!
怒りというものは一定値を越えると逆に頭を冷静にしてくれるということは聞いたことがあったようだが。
オーズはそれを今、身を持って体験しているような気がした。
オーズの体を紫色の装甲と白いスーツがその身を包み込み、これまで以上の力強さを感じさせていた。
紫色の、恐竜をその身に宿したコンボ形態。パワーは他コンボと比べても随一だが、同時に暴走の危険性も併せ持った姿、プトティラコンボ。
最凶のコンボへと変形したオーズは、唸り声を上げながらゴジラへと掴みかかった。
全コンボ中最大の腕力を誇るプトティラ、しかしそれでも怪獣王を抑えるには力不足。
加えてその全身から発される熱はオーズ自身の体をも焼き尽くすほどのもの。
しかし。
「ウォおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
強引にゴジラの体を押さえつけるオーズの触れている部分から、冷気が伝わり始める。
それはプトティラコンボの持つ固有能力。プテラヘッドから発する冷気を持って、ゴジラの熱を抑えていたのだ。
有り余っていたはずの体の熱を奪われ、ゴジラの力が僅かに弱まる。
その隙に、オーズはその手に持ったメダガブリューをゴジラの脚へと叩きつける。
痛みを訴えるように吠えるゴジラを前に、更にその身に冷気を送り込み全身の熱を冷ましていく。
徐々にその動きを鈍らせていくゴジラ。
しかしそれでも動きを止めはしないゴジラは、力いっぱいオーズを振りほどくと共にその巨大な尻尾を叩きつけた。
受け止めきれず吹き飛びコンクリートに叩きつけられるオーズ。
その間に膨大な熱を持って全身の氷を溶かし、オーズへと放射熱線を吐き出す。
倒れこんだままのオーズはその一撃に対し。
―――タカ・クジャク・コンドル!
コンボチェンジと同時に赤い炎を散らしながら、6枚の赤い翼を広げて空へと飛び立った。
それこそが本来のタジャドルコンボの姿。月火の遺した拡張パーツ、タジャドルコンボのエフェクトパーツだった。
飛翔したオーズは、そのまま熱線を吐いて一時的に動きの止まったゴジラへと向けて。
――――スキャニングチャージ!
オースキャナーを通すと同時、宙で一回転、その脚部を鳥の脚のごとく鋭い爪を顕現させ。
「セイヤァァァァァァァーーーーーーーー!!」
動きの止まったゴジラへと、その脚での蹴りを叩きつけた。
冷気による消耗もあったのか、本来ならばそれでも受け止めるだろうその一撃に叫び声を上げながら怪獣王は身を傾け。
そのままゆっくりと沈黙した。
「―――――!つ、月火ちゃんは…」
彼女がいたはずの場所へと駆け寄るオーズ。
しかし、そこにあの着物姿の少女は影も形もなく。
残っていたのは、彼女の所持品だったらしき包丁や鍋蓋、千枚通しがばら撒かれ。
そして焼け残ったアホ毛の部分、それが阿良々木月火だったものの残骸だった。
「俺は…また……」
それは火野映司の記憶であり、S.H.フィギュアーツであるオーズの経験した記憶ではない。
それでも、目の前で守りきれなかった少女は、かつて記憶の主の経験と重なり。
今の仮面ライダーオーズは、涙を流すこともできない仮面の下で、静かに慟哭するしかできなかった。
【阿良々木月火@figma 機能停止】
【深夜/エリアK(屋外)】
【仮面ライダーオーズ@S.H.シリーズ】
【電力残量:30%】
【装備:メダシャリバー】
【所持品:クレイドル、拡張パーツ×0~1、タジャドルコンボエフェクトパーツ@S.H.シリーズ、ハリセン@figma】
【状態:ダメージ大、悲しみ】
【思考・行動】
基本方針:殺し合いを止める
1:月火ちゃん………
【備考】タトバ~スーパータトバ(ブラカワニ、タマシー等含む)までの全コンボに変身可能です
亜種形態にもフィギュアーツ化されているものに関しては変身は可能です
ガタキリバの分身能力、シャウタの液状化能力、スーパータトバの時間干渉には強い制限がかかっています
◇
怒れる怪獣王は仮面ライダーオーズとの戦いの末に沈黙した。
しかし、それはまだゴジラ自身の機能の停止を示したわけではない。
急激に冷却された肉体に受けたプロミネンスドロップがゴジラの機能に大きな衝撃を与えたのは確かだ。
だからこそ、ゴジラは一時的な沈黙を続ける。
その沈黙を、月火の死に動揺していたこともあっただろうがオーズは倒したのだと思ってしまった。
しかし違う。メルトダウン寸前という危険状態を限りなく再現されたその体は未だ熱を持ち続けている。
しかも、不幸な偶然と呼ぶしかないだろうが、その横たわった身の下にはゴジラ自身の拡張パーツやクレイドルが敷かれていた。
つまりその上で眠るゴジラは今消耗したエネルギーを補充しつつあったのだ。
核の暴走によってその体が再度熱され怪獣王が再度起動し暴走する身で歩み出すまで。
そう時間はかからないかもしれない。
【深夜/エリアK(屋外)】
【
ゴジラ1995@S.H.シリーズ】
【電力残量:70%(回復中)】
【装備:無し】
【所持品:クレイドル、拡張パーツ×1~2(未確認)】
【状態:ダメージ中】
【思考・行動】
基本方針:本能の赴くままに、全てを破壊する
【備考】メルトダウン寸前という状態再現により、かなりの高熱を発しています
しかし実際にメルトダウンを起こすかどうかは分かりません
※エリアKの道端に破損したガンツバイク@figma(ex:ride)が放置されています。そのままでは使えないでしょうが修理できれば動く可能性はあります
最終更新:2014年08月01日 00:15