逸脱した存在達 -beyond the bounds- ◆S8pgx99zVs
『おはようございます。戦闘行動を開始します』
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「しねぇよ。馬鹿馬鹿しい」
冷たい機械音声に、ぶっきらぼうな男の声が答える。
男の名前はディンゴ・イーグリット。
戦闘用機動兵器、オービタルフレーム・ジェフティのパイロットであり、そのフィギュアとしての主人格でもあった。
『現状の目的は敵機の殲滅とありますが?』
再度尋ねる声は、
ジェフティに搭載された独立型戦闘支援ユニット『ADE(エイダ)』だ。
女性の声をしてはいるが彼女(?)に姿はない。
ADEは本フィギュアの設定通りにサポートAIとして存在し、同じくこの機体のモニターと制御を担当している。
彼ら、フィギュアとしてのジェフティの姿はブロック壁の上にあった。その背後には(彼らからすれば)巨大な体育館が鎮座している。
その壁の上で両手を広げるとジェフティはやれやれといった風にジェスチャーをした。
「認証されたマスターでもない、どこのどいつとも知れない奴の命令なんか聞けるか」
『しかし、現状を看過したままでいてはいつか何者かに破壊され、そこで終わって(GAME OVER)しまいます』
確かに。と、思案するかのようにジェフティは拳を顎に当てる。
そして、目の前を横切る道路の、その先を見た。こちら側と同じく歩道があり、家屋が立ち並んでいる。なにも変哲はない。
「ここから出ちまうって手もあるんじゃないか?」
『設定されたフィールドから出れば機能停止すると警告を受けています。その行動は推奨できません』
「そこをなんとかするのがAIの仕事じゃないのか? ハッキングなりなんなり」
返ってきたのは無感情な冷たい声だ。
『この場合、あなたもAIですが。
ディンゴ・イーグリットの戦闘データと、戦闘能力に関わる一部人格を複製してるに過ぎません』
「うっせぇなぁ! そんなことはわかってんだよ!」
ジェフティの拳が空を切る。
「…………だとしても、役割ってのがあるだろうが」
『肯定します』
「お前、性格悪くなってねぇか?」
『その言葉はそのままお返しします。
それに、サポートAIはメインAIとの情報伝達を円滑にするため、その性格に合わせて応答を変化させていくのです』
「つまり、悪いのは全部俺のほうってわけだ」
それについてのエイダの返答は――。
『肯定します』
ジェフティは毒づくと、今度は足元の壁をつま先で蹴った。
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『攻撃を感知しました』
「あ?」
次の瞬間、爆音と共に飛来した鉄球がジェフティの足元に炸裂し、大きな音と共にブロック塀の一部を破壊した。
「あっぶねぇ!」
『下です』
ジェフティの姿は浮遊し、壁より離れたところにあった。一瞬ではあったが、爆発や飛び散った破片による傷は一切ない。
そして、そこから見下ろす道路の真ん中に、胸に砲を構えた一体の女性型フィギュアの姿があった。
極端に丈の短いセーラー服に、兎の耳のような大きなリボン。艦娘――島風。
この前、今と同じく
伊達政宗と沢嶋雄一へと砲撃した彼女は、ジェフティが無事だと知るとあの時と同じようにまたどこかへと走り出す。
その姿を見て、ジェフティが追うように空を走りはじめる。ウィングが展開し、噴射口から迸る光が青い軌跡を描く。
『戦闘行動はしないのでは?』
「仕掛けられれば別だ。……野郎っ!」
きぃんとジェフティから発せられる音が高まり、スピードが増す。
先ほど一瞬の間で攻撃を避けたようにジェフティの機動性はかなり高い。ここに集められた60体のフィギュアの中でも五指には入るだろう。
だが――、
「くそっ!」
高速で視界の下を流れていくアスファルトの先、長いリボンをなびかせながら走る――いや、地面を滑走する島風も同じように速かった。
薄い土埃を上げて疾走する島風、そして青い燐光を宙に残し宙を走るジェフティ。
二人はあっという間に学校沿いの道路を走りきると、交差点を渡り、更に先へと進んでいく。
「――おい、出力を上げろ!」
『この先はフィールドの端です。スピードを上げてしまうと外に出てしまう危険があります』
追う島風の背の先にはまだまだ道は続いている。だがADEが言う通りに、その先からはフィールド外だ。出れば、機能停止となる。
「そいつは向こうも承知だろう。だったら、次の角で曲がるためにスピードが弱まるはずだ。そこにぶつける」
『了解しました。出力を上げます』
耳鳴りのような音が更に高くなり、すぐに聞こえなくなると翼から迸る光が青から黄色へと変化する。
一瞬、爆発的に加速すると、狙い通りに角を曲がろうと減速した島風の横っ腹へとジェフティはその身体をぶつけた。
「ぐぅっ……!」
両腕で島風の細い腰をホールドすると、慣性に振られて、アスファルトの上で一回転、二回転。独楽の様に回転する。
危うく電柱に激突する直前、急上昇すると、ジェフティは島風の身体を抱いたまま空へと浮かび上がった。
そして、狭い電柱の頂上に島風を立たせると、腕からブレードを展開し彼女の喉元へと突きつける。
ブレードが月光を反射し、きらりと光った。
「さぁて……、どうしてやろうか」
「………………」
ブレードを突きつけたままジェフティは相手の姿をよく見る。
恨みがましい目でにらみ返してくる顔も、華奢な体つきもまったく少女のそれだ。衣服にしても丈が短いことを除けば変哲もない。
腰まで伸びたアッシュブロンドは涼やかに月光を跳ね返し、この姿だけを見れば女の子向けの着せ替え人形にも見える。
「お前、名前はなんて言うんだ?」
「…………島風だけど」
ふてくされたように答える島風の足元にジェフティは注目した。
一見、ヒールのあるブーツを履いているように見えるが、よく見ればその踵についているのはラダー(舵)だ。
おそらくはブーツそのものが一種の機構であり、彼女を滑走させる装置なのだろう。
「どうして、俺に攻撃を仕掛けてきた? 返答によっちゃぁ、ただじゃ済まさねぇぞ」
島風は胸に一抱えもある大砲を抱いている。黒々とした妙に時代がかったデザインのものだ。まるで海賊船の大砲のようでもある。
そして背中には5連装の、これはあまり大きくないミサイルのようなものを背負っていた。
彼女は一瞬、泣きそうな顔をすると大きく口を開いた。
「……わ、私が一番早いんだもんっ!!」
「はぁ?」
勢いに押されジェフティの身体が宙を少し下がる。彼女の発言は内容が意味不明だった。
見た目通りに頭の中も子供なのか、要領を得ない。ならば質問を繰り返すしかないと、そう次の言葉を発しようとした時、
『敵機が接近しています』
またしてもジェフティは不意打ちを受けてしまう。
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「次から次へと……」
『油断しないでください。高出力反応を感じます』
空中でジェフティと対峙するフィギュアは、ジェフティと同じく宙に浮くことができ、同じ人型のロボットの姿をしたものだった。
全身がほぼ暗色で、無骨なデザイン。張り出した肩が特徴的で、ウニの様に棘が突き出したヘッドパーツとモノアイが不気味に感じる。
そしてそんな見た目とは裏腹に、発された声は島風と同じく女の子のものだった。
「女の子をいじめようとする悪いロボットは許さないっ!」
冗談かよ……と、ジェフティは内心毒づく。しかし、今の発言だけで相手がどういったパーソナリティを持ち、何を誤解しているのかはわかった。
そして、こんな相手には今更何を言ってもどうしようもないことも。
先制したのはジェフティの方だった。やると判断すれば行動も早い。突き出した掌から幾条ものレーザーが拡散し相手へと襲い掛かる。
黒色の無骨なロボは回避行動を取ろうとするが、ジェフティからすれば欠伸の出るような速度だ。
そして、放たれたホーミングランスはその名の通り、レーザー攻撃でありながらロックした対象を追いかける。
「きゃあああああ!?」
夜空に見た目とは反する可愛らしい悲鳴が木霊する。しかし、驚いたのはジェフティの方だった。
「ビクともしねぇのか!」
『敵機の照合完了しました――機体名:
ガンバスター。スーパーロボット超合金です』
生身であれば青褪めてただろうとジェフティは思った。少なくとも、人間のような顔を持つフィギュアであればその表情を歪めていただろう。
スーパーロボット超合金。その名の通り、パーツに金属を使用している。硬度はもちろん、その重量も脅威だ。
「バスタァ……ビィィィイイイイイイイイムッ!!」
絶叫とも言える掛け声と共にガンバスターの額に光が溜まり、次の瞬間一条の光線として夜の空間に走る。
その線上にジェフティの姿はない。回避と同時に弧を描くような機動でガンバスターへと肉薄したジェフティはブレードを振り下ろし、
「ぐっ!」
刀身から伝わる硬い手応えに呻き声を漏らし、肉薄した時と同じようにガンバスターから距離を取った。
ちらりとブレードを見やり、刃が欠けていないことに安堵の息を漏らす。
「そっちがそのつもりって言うならこっちだって! バスタァ……ファイナルッ、……トマ、ホホオオオオォォォォォ、オック!!」
そんなジェフティの内心を知ってか知らないでか、ガンバスターも近接戦闘用の武器を取り出す。
しかし、同じ近接武器と言っても全く違う。ガンバスターが取り出した両刃の斧はその柄が彼女(?)の身長ほどもあるのだ。
刃渡りもジェフティの身体のどの部分よりも大きい。まともに喰らえば一撃で致命傷となるのは間違いないだろう。
『戦闘空域からの離脱を推奨します』
ADAの警告にジェフティは頷こうとし、しかし途中で止めた。
「馬鹿言え、このまま逃げたんじゃ俺がチンピラみてぇじゃねぇか」
猛突進してくるガンバスターを避け、ジェフティはレーザーで牽制しながら距離を取る。
当たれば致命傷だが、当たらなければどうということはないし、平時のジェフティであれば例え100回攻撃を受けたとしても掠りもしないだろう。
「なにか武器はないのか!? あいつに、ダメージを与えられる!」
『サブウェポンを検索……ベクターキャノンを使用することができます』
闘牛士のようにジェフティはガンバスターの突進を交わす。振り下ろされた刃は学習塾の窓を木っ端微塵に砕くと、ガラスの雨を通りに降らせた。
「悪くねぇが、エネルギーはどうなんだ?」
『バッテリーをフルチャージされた状態から60%ほど消費します』
「それじゃあ、使えねぇな……」
ベクターキャノンとは対戦艦、対基地を想定したジェフティが持つサブウェポンとしては最大にして最も威力のある兵器だ。
その分、発射されるまでのプロセスが長いなど欠点もあるが、ともかくとしてADEが言うようにエネルギーを消耗するのであればおいそれとは使えない。
ジェフティは更にサブウェポンの検索を進めながら、追ってくるバスタービームを避けて路上を滑走する。
その後には、アスファルトの上にまるでバターに熱したナイフを入れたような跡が残った。
『イレギュラーなサブウェポンの存在を確認しました』
「それは……」
ジェフティは地表すれすれから急上昇する。上昇し、上昇し、上昇して、その姿が月と重なった時――。
X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X
「消えた!?」
夜空を見上げガンバスターが驚愕する。夜天には白い月がぽっかりと浮かぶだけで、先ほどまで追っていたジェフティの姿はどこにもない。
『油断をしては駄目よノリコ!』
「お姉様!?」
サブAIである『カズミ』の声に、主AIである『ノリコ』はガンバスターを油断なく構えさせる。
ジェフティの姿は見えない。だが、それは目には映らないだけということでしかない。
ガンバスターのモノアイが上下左右にめまぐるしく動く。右には――いない。左には――いない。上にも、下にも、その姿を捉えることはできない。
だが、
『狙っているわ』
ノリコは、ガンバスターはこくりと頷く。姿が見えないのはこちらが捉えられないスピードで周囲を飛び回っているからだ。
そして一撃必殺のタイミングを狙っている。ならば、どう対応する――?
「きゃあっ!」
その時、ガンバスターの肩に衝撃が走った。装甲には斬撃の跡。だが、いつ斬られたのかすら察知することができなかった。
闇雲にトマホークを振り回し、震えるようにモノアイを動かす。
そこに再度の衝撃。背中への斬撃にガンバスターはつんのめり、バランスを崩し空中から落ちかける。
「いやっ……こんな……」
ガンバスターの中で恐怖が膨れ上がる。未知の敵、未知の攻撃、姿も見えず、ただ死を待つしか、ない……?
もし、ここにいるのがただのノリコであれば、そうなったかもしれない。
――だが、ガンバスターだ! ガンバスターなのだ! ガンバスターであるならば!
『私たちはガンバスターなのよ!』
「はいっ、お姉様!」
ぴたりとガンバスターが空中で静止する。まるでその姿は宙に浮かんだ案山子だ。隙だらけもいいところ。
なんら防御をなさない姿勢。現に、そんなガンバスターに幾重もの斬撃が加えられる。衝撃で揺れるガンバスター。だが、動かない。
終いにはモノアイから光さえ失われた。完全に無防備なガンバスター。意識があるとするならば、彼女は何を考えているのか?
………………。
…………。
……。
静止した世界の中に何が見えた。伸びてくる。なんだろう。アンカーだ。これじゃない。アンカーが肩を貫く。
気配が、接近する。巨大な殺気。だがこれでもない。僅かに身を引くと、刃が装甲の上を火花を立てて走る。
一瞬、見失った気配が背後に現れる。独楽の様な回転、赤い線が二度閃き、また傷が増える。だが、まだだ。まだ。
間を置かずして、腹部に強烈な二つの衝撃。ぞっと、肌が粟立つような感覚を覚える。手からトマホークが零れ落ちる。だが!
七度、気配が、来る。これまでで一番強い、気迫――
『ノリコッ!!』
「はいっ!!」
胸に突き立てられんと触れた切っ先の感覚にガンバスターは動いた。
世界は止まる。
再び開かれたモノアイに写るのは、巨大なバスターソードを騎乗槍の様に構えて突進してきていたジェフティの静止した姿。
ガンバスターの片手はそのバスターソードを受け止め、そしてもう片手は振り上げられ――
「うわああぁぁぁぁああああぁぁぁあああああぁぁぁあああああああああっ!!!!!」
――振り下ろされた!
X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X
「………………あれ?」
ガンバスターはぽつりと呟く。
まるで夢幻のようだ。拳を振り下ろした先にはなにもなかった。それだけなく掴んだはずのバスターソードも、なんの気配すらも。
シュッと短い音を立てて背中のブースターを消すと、ガンバスターは道路の上へと着地する。
そこに残っているのは静寂だけだ。
『……逃げられたわね。まさか、あのタイミングで仕留められないなんて、埒外のスピードだわ』
「そぉんなぁ~~!?」
ガンバスターが道路の上にペタンと座り込む。両の手のひらを顔に当てているのはまるで泣いているようだ。
カズミの言う通りにジェフティはどこかへと逃げ去ってしまったらしい。
ノリコとしてはダメージと引き換えに必殺のタイミングを掴んだつもりだったが、後ほんのわずかスピードが足りなかったということらしい。
「コーチにもらったガンバスターがぁ~~!」
『安心なさい。どれもたいしたダメージではないわ』
ガンバスターは無数の斬撃に加え、必殺の七連続斬撃を受けた。貫かれた肩や腹部には目立つ傷ができている。
しかし、それだけの攻撃を受けてもダメージらしいダメージは受けていなかった。
無論、最後の一撃をまともに受けていればコアを破壊されていた可能性はあるが、これがガンバスターであり、スーパーロボット超合金なのだ。
「あ~あ、落ち込んじゃうなぁ…………あっ、女の子! あの女の子は!?」
ガンバスターはぴょこんと立ち上がるとブースターを吹かせて慌てて空中へ飛び上がる。
だが、そこに島風の姿はもうなかった。
『戦っている間に逃げてしまたようね』
「……無事だといいんだけど」
がっくりと肩を落とすとガンバスターはそのままゆっくりと空を飛行してゆく。
「あー、早く帰って入渠したーい!」
『そのためにも早く敵を倒さないとね。先は長いわよ』
ガンバスターは人類の守り神であり、人類を脅かす脅威への神の鉄槌だ。
なので、当然のようにガンバスターはここでも同じように振舞う。
お仕事は、悪い宇宙怪獣をやっつけることです――と。
【深夜/エリアU(空中)】
【ガンバスター@スーパーロボット超合金】
【電力残量:98%】
【装備:ゲッターファイナルトマホーク(ダイナミックオプションパーツセット)@スーパーロボット超合金】
【所持品:クレイドル、基本パーツ(バスターホームランx2)、拡張パーツx0-1】
【状態:全身に浅い裂傷、肩と腹部に刺傷(行動に支障はなし)】
【思考・行動】
基本方針:悪いやつ(主催者?を含む)をやっつける。
1:悪いやつを探す。
X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X
「呆れた頑丈さだ。……本当に化物か?」
激闘のあった交差点の角、電気屋の店内から夜空の向こうへと去り行くガンバスターを見上げジェフティはそう零す。
そして、ガンバスターが完全にこの場から立ち去ったことを確認すると、そっと窓際から離れた。
「あんなの勝ち目がねぇ。スペックが違いすぎる。超合金ってなんだ? 素材からして違うってのは卑怯だろ」
電気店の奥へと歩きながら言うと、エイダがそれに反論する。
『スピードではこちらが圧倒していました』
「負け惜しみか?」
『客観的事実です』
「だが、ろくな攻撃が通らないんじゃ勝ち目がねーだろ」
確かに機動力では歴然とした差を見せつけることができた。最後は危なかったが、それでも結局ジェフティは一切のダメージを負ってはいない。
しかし、逆にジェフティ側もガンバスターへとなんら痛痒を与えることができなかった。
『セブンソードは超合金に対していくらか通用しました。また、金属でないパーツを狙えばよりダメージを与えられる可能性があります』
「そりゃあ、そうだがな……」
いくつも並んだ液晶テレビの裏側、誰にも見えない影へと入るとジェフティはそこにクレイドルを敷く。
「あんな戦い方してたんじゃ、こっちの電池切れが先だ。“本物”のジェフティなら電池切れなんてありえないんだけどな」
『寝るのですか?』
「あぁ、寝る寝る。3ヶ月だって寝てみせらぁ。そもそも、なんの目的もなしに戦えるほど俺は若くないんだよ」
ジェフティはゆっくりとその身体を硬いクレイドルの上に横たえる。すぐに認識が行われ、バッテリーへの無線充電が開始された。
そして、眠りに落ちるように意識はスリープする――。
『おやすみなさい』
【深夜/エリアU(電気店・TVの裏)】
【ジェフティ(ANUBIS版)@リボルテック】
【電力残量:69%】
【装備:バトルブレード、ダブルオーセブンソード一式(OOガンダムセブンソード)@ROBOT魂】
【所持品:クレイドル、基本パーツ(ベクターキャノン、ホーミングミサイルx4)、拡張パーツx0-1】
【状態:損傷なし】
【思考・行動】
基本方針:面倒ごとは勘弁だ。
1:充電する。
※ダブルオーセブンソード一式の内容は、GNバスターソードII(GNシールド)、GNソードIIロング(ビームライフル)
GNソードIIショート(アンカー)、GNカタールx2、GNビームサーベルx2……となっています。
X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X
「信じられない……」
島風の姿は、あの激闘があった交差点から少し離れた、ゲームショップの中にあった。
店内には少し古いものから最新のものまで、ゲーム機器やソフトが棚に並んでおり、小さい店ながら攻略本やフィギュアなどのアイテムも揃っている。
その奥、電灯の光もよく届かない薄暗がりの中で島風は身体を丸め俯いていた。
「私が一番速いはずなのに……」
島風のアイデンティティは速いということだ。速さなら誰にも負けないつもりでいたし、負けるだなんて考えたこともなかった。
この殺しあいの中でも最速であり、そのスピードで圧倒的に勝利するつもりだった。
現に最初に砲撃した二人相手には簡単に逃げおおせることができたのだ。けれど、その次は違った。
「ずるい! ずるい! ずっる~い!」
あの妙に手足の細いロボットは速いどころか、その速さで空まで飛んでいた。
その後に現れたロボットとの戦いはまさに別次元。水面上を駆けることしかできない島風にとっては想像すらしたことにないものだった。
「私だって、できるはず……ちゃんと改造すれば……」
不意に島風の周囲に大きさの違う3つの砲台。顔と短い手足のついた、彼女が連装砲ちゃんと呼ぶものが現れる。
島風はその中で一番小さいものを抱え上げると、それに向かって話しかけた。
「ねぇ、連装砲ちゃんもそう思うよね? 本当は島風が一番だって……ねぇ、だよねぇ。そうだよね。島風がいつも一番速いもんね」
灰色の砲台は何も言葉を返さない。ただ立っているだけの他の2つも同じだ。
「だよねっ。島風が一番だよね。……改造さえすれば、私だってあんな風に」
ゲームショップの隅に島風の声だけが楽しそうに響く。
「なれるよねっ、島風が一番に!」
【深夜/エリアP(ゲーム屋の中)】
【島風@figma】
【電力残量:94%】
【装備:パワーエネルギー砲(ゴーカイオー)@スーパーロボット超合金】
【所持品:クレイドル、基本パーツ(連装砲ちゃんx3、五連装酸素魚雷)、拡張パーツx0-1】
【状態:損傷なし】
【思考・行動】
基本方針:スピードなら誰にも負けません。速きこと、島風の如し、です!
1:速くなる改造がしたい。ジェフティよりも誰よりも速くなりたい。
最終更新:2016年06月18日 00:12