ふたば系ゆっくりいじめ 675 プラネット・ゆース ~きめぇ丸~

プラネット・ゆース ~きめぇ丸~ 9KB


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 こんばんは、二行です。

 ゆっくりの知られざる生態に迫る『YHKスペシャル プラネット・ゆース』。
 本日は、その第二夜です。

 (第一夜は、「wiki 594」一話完結に付き、未読でも、支障はありません)

 内容には、『独自設定』『ネタ被りの可能性』『虐描写の物足りなさ』が含まれています。
 ご容赦下さいますよう、よろしくお願い致します。

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『YHKスペシャル プラネット・ゆース 第二夜
 ~きめぇ丸 ヒマラヤを越える『捕食なき捕食種』~』





 ある森の中です。
 昨晩の急激な冷え込みが、小さな変化をもたらしています。

 ゆっくりが、地面の上を、転がっています。
 普段は跳ねて行動するゆっくり。
 いったい、どうしたのでしょう。

 カメラを近づけて観察すると、その理由が分かります。
 光なく、開かれたままの目。
 そして、沈黙したままの口。
 凍死しているのです。

 周辺に目を向けると、そんなゆっくりが、大勢いることが分かります。
 この森は地表が傾いていて、丸いゆっくりは、簡単に転がっていきます。

 帽子のない、まりさ。
 歌を歌わない、れいむ。
 大人になれなかった、子ゆっくり達。
 それは全て、突然生命を奪われたゆっくり達。
 生前は本能に従い、今は重力に従って、流れ、落ちるのです。

 森の端は、崖。ゆん体を消滅へと導きます。
 ひとつ、ふたつと、ゆっくりだったものが奈落に吸い込まれていきます。

 そんな光景を、高みから見下ろしているものがいます。
 高い木の枝に止まり、それは、鳴きます。

「おお、あわれ、あわれ」

 野生のきめぇ丸です。
 空を飛ぶ種として、知られているゆっくりです。

 その飾りは、特徴的です。
 山伏を思わせる、小さな赤い帽子を、頭の上に乗せています。
 さらに、そのお飾りから、白い糸のようなものが伸びています。
 それは、帽子の左右から1本づつ垂れ下がり、末端はあんよ近くまで達しています。

 その糸には、白い綿毛のようなものが付いています。
 多いときには、左右に3個以上付いていることもあります。
 これが、エネルギーを溜めている器官であることは、よく知られています。
 それは、ラクダが脂肪をコブとして溜めていることに、似ています。



 きめぇ丸の食事風景を、ご覧になったことがあるでしょうか。
 この種は食事を摂らないと思われている方も多いようですが、違います。

 野生種においては、少量ではありますが木の実を食べ、水を飲みます。
 ただ、その回数は極端に少ないものです。
 四六時中、むーしゃむーしゃごーくご−くしている通常種とは、程遠い生態です。

 無論、僅かな水や食料だけで、きめぇ丸の生命が保たれているわけではありません。
 飛行を可能にするほどの、膨大なエネルギー。
 その秘密は、体内にあります。

 きめぇ丸の特徴は、『他者を見下すこと』に尽きます。
 昨今の通常ゆっくりも、同じような生態を見せることがあります。
 これは、きめぇ丸種を模倣しているに過ぎません。

 通常ゆっくりの『見下し』は、単なる気分転換です。
 それに対し、きめぇ丸のそれは、生命維持に欠かせない働きなのです。

 きめぇ丸の体内には、キメメフィルという化学物質があります。
 これは、外部の見下せる対象を認識すると、活発に動き出します。
 すると、体内にある僅かな栄養素が、激しい化学反応を起こすのです。
 きめぇ丸の生命エネルギーは、この時、生成されます。

 この働きは、植物に当てはめると、分かりやすいかもしれません。
 植物は、葉緑素が光を吸収し、エネルギーに変換します。
 きめぇ丸は、キメメフィルが『見下し』を吸収し、エネルギーに変換するのです。
 この働きのせいでしょうか。
 研究者の中では、きめぇ丸をゆっくりではなく、植物に分類すべきだ、という声もあるのです。


 見下すことが生きていくことに欠かせない以上、きめぇ丸はそれに向けた行動を取ります。
 その矛先は専ら、その名の通り鈍重な、ゆっくりに向けられます。

「おお、おそい、おそい」

「きめぇまるだぁぁぁぁぁ!」
「ゆんやぁぁぁ!」
「ゆっくりできないぃぃぃ!」

 きめぇ丸を認めるなり、ゆっくり達はたちまちパニックに陥ります。
 通常種に近い種ほど、その傾向が強いようです。

 別にきめぇ丸は、ゆっくり達に暴力を振るうわけではありません。
 ただ、素早く体を揺らしたり、目にも止まらぬ速さで動き回るだけです。

 しかし、その速さそのものが、ゆっくり達にとっては、多大なストレスになります。

「えれえれえれえれ・・・」

 中には、きめぇ丸の仕草だけで、ショック死する個体もいるほどです。

「おお、おろか、おろか」

 そんな光景を見て、きめぇ丸は、精神的だけでなく、肉体的にも満たされていくのです。

 字面だけ見ると、かなりゲスい生態のように思えます。
 しかし、きめぇ丸自身は、ゆっくり達を、取ったり、食べたりはしません。
 にも関わらず、ゆっくりはきめぇ丸を、れみりゃ並みに恐れます。
 きめぇ丸も、ゆっくり達の恐慌抜きには、生きてはいけません。

 ある研究者は、このような生態を持つきめぇ丸を、こう、名付けました。
 捕食なき捕食種、と。



 さて、カメラを冒頭の森に戻します。
 相変わらず、凍死したゆっくりは崖下へ落下し、それをきめぇ丸が見下ろしています。

 実はこのきめぇ丸、飾り糸に付いている綿毛が、2つづつしかありませんでした。
 しかし、この光景を眺めているうちに、新しい綿毛が、膨らんでいきます。

 哀れな光景が、きめぇ丸の中の、キメメフィルを活性化させます。
 ここはさしずめ、きめぇ丸にとっての、ゆっくりプレイスなのでしょう。


 綿毛が遂に、6つになりました。
 きめぇ丸が、飛び立ちます。

 冬が間近になると、きめぇ丸は集団となって、ある行動に出ます。
 野生のツル等と同じ生態。
 『渡り』です。





 舞台は変わって、ヒマラヤ山脈。
 その最高峰、エベレスト。

 上空、ヘリコプターからカメラを回しています。
 山に積もった雪が、青い空の中で、一段と映えます。

 白い峰に近付く、黒い一群が見えてきました。
 きめぇ丸の、群れです。

「「「「「「「「「「おお、ちかい、ちかい」」」」」」」」」

 数十羽は、いるでしょうか。
 群れの姿は、まるでそれ自体が、大きな一羽の烏のようです。

 このきめぇ丸達は、『渡り』の真っ只中。
 遠い地から、ヒマラヤ目指して、旅を続けてきました。

 一羽一羽の姿に、カメラが迫ります。
 旅の過酷さが、はっきり刻まれているのが、分かります。

 体中が乾いて、ひび割れているものもいます。
 一番変化が見て取れるのは、飾りの綿毛です。

 エネルギーの貯蓄を示すこの器官。
 出発時は、全てのきめぇ丸に、6つの綿毛が付いていました。

 しかし、このヒマラヤ上空で、3つ残っているものは、稀です。
 大抵は1つや2つ、中には、綿毛を持っていないものいます。

 これからきめぇ丸の群れが挑むのは、ヒマラヤ越え。
 世界最高峰の山々を、自分の力のみで、飛び越えようというのです。

 辺りは、激しい気流が巻き起こっています。
 中でもエベレスト周辺は、最大の難所となっています。

 にも関わらず、きめぇ丸の群れは、最高峰目掛けて、飛んでいきます。
 黒い塊が白い剣先に向かい、真正面から戦いを挑んでいくのです。

 強い風に煽られ、群れが一旦、引き返します。
 その時、力尽きたものが出ました。

「おお・・・」

 綿毛をなくしていたきめぇ丸です。
 じっと仲間を見つめながら、遥か地表へと、落下していきます。

「「「「「「「「「「おお、さらば、さらば」」」」」」」」」

 仲間達が、惜別の言葉を贈ります。
 見下すものなど、誰も、いません。

 一回、また一回、と行っては返すことを、繰り返します。
 気流の流れを、計っているのです。

 風の流れに飛び込むごとに、脱落するものも、増えていきます。
 舞い落ちる羽のように、きめぇ丸が、群れから剥がれ落ちていくのです。

 遂にある1匹が、気流の隙を見つけたようです。
 スルリと風を抜け、山の頂上近くにまで達しました。

 その後を追い、群れ全体が一直線となって、突破を試みます。
 黒いうねりが、空を目指して舞い上がります。

「「「「「「「「「「おお、たかい、たかい」」」」」」」」」」

 群れが完全に、気流を抜けたようです。
 山の頂上が、きめぇ丸の影で覆われます。

 制覇を成し遂げたもの達は、一様に体全体を激しく揺さぶります。
 喜びの表現です。

 一仕切り歓喜のダンスを済ませると、視線を、眼下へ落とします。

「「「「「「「「「「おお、ひくい、ひくい」」」」」」」」」」

 きめぇ丸の群れは、今はもう上空9000メートルから、エベレストを見下ろしています。
 世界一高い山と言えど、今はもう、蔑視の対象に過ぎないのです。

 その証拠に、減っていた綿毛が、急速に増殖を始めます。
 体内のキメメフィルが、活発な働きを見せているのです。

 きめぇ丸の群れが、わざわざエベレストを乗り越えていく理由は、ここにあります。
 長旅に必要な、エネルギーの補給を行うためだったのです。

 世界最高峰を見下す快感。
 それは、何ものにも代え難いのでしょう。

 ちなみに、エベレスト以外の山々を越えても、エネルギーの充填は行われないそうです。
 研究者達はそれを、きめぇ丸種のプライドの高さの表れだ、としています。





 きめぇ丸がヒマラヤを越えて、どこに向かうのか。
 詳しいことは、分かっていません。

 しかし通説では、どこかで子供を産み、育てているのではないか、といわれています。
 それを裏付けるかのように、暖かくなると、今度は、若いきめぇ丸達が逆コースをたどるのです。

 この世の全てを見下す生き物、きめぇ丸。
 そんな彼らが唯一見下さないものと出会うために、命がけの旅は、続いていくのです。





『YHKスペシャル プラネット・ゆース
 ~きめぇ丸 ヒマラヤを越える『捕食なき捕食種』~』


製作:
YHK(ゆっくり放送協会)

カメラ:
脳内

音楽:
脳内

特殊:
脳内

脚本・語り:
二行

収録:
餡小話
Wiki





 今回の『プラネット・ゆース』第二夜、いかがでしたでしょうか。
 第三夜は、『ドスまりさ・たったひとつのゆっくりプレイス』をお送りします。

 年内のSSは、これで最後となります。
 皆々様、ありがとうございました。
 それでは、よいお年を。





(終)


【過去作】




 nue009 「ブラックペーパー・チャイルド」



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感想

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  • 生命に必要とは言え下手な人間より努力してて草 -- 2017-11-24 14:55:51
  • きめぇ丸ってどのぐらい早くなるの? -- 2014-01-12 17:02:52
  • イイハナシダナー(;_;) -- 2013-02-02 00:14:57
  • 山を越えられなかったきめぇ丸に寂寞とした切なさを感じる -- 2012-01-28 05:56:33
  • 面白かった
    -- 2011-09-23 11:58:55
  • 仲間には優しいんだwww -- 2011-08-24 08:22:43
  • 面白い? -- 2011-08-07 06:54:27
  • おお、さらばさらば -- 2011-07-27 23:11:33
  • キメメフィルw -- 2011-06-12 22:18:45
  • なんかかわいいなwwww -- 2011-04-19 14:34:47
  • で?ってコメントするやつなんなの? -- 2011-01-19 18:44:26
  • エベレストを見下すために命を賭けるか… 山男じゃなくて…ええっと空女だな! -- 2010-10-24 21:43:33
  • なんか好きなんだよなぁ、きめぇ丸
    「捕食なき捕食種」やたら格好良い二つ名付いてるしw -- 2010-10-03 07:14:31
  • エベレストを見下す…きめぇ丸ってスゲェ -- 2010-06-17 06:31:27
  • で? -- 2010-06-11 22:13:18
最終更新:2010年02月13日 17:56
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