ふたば系ゆっくりいじめ 167 ちぇんの素晴らしきゆん生

ちぇんの素晴らしきゆん生 17KB


 「D.O先生・・・ちぇんが読みたいです。」と涙ながらのコメントがあったので、
 シャブ漬けちぇんの後日談を少々。まあ、単純に後日談と言っていいかはわからないですが。
 結構色々考えながらSS書いてるんですよ、一応。





『ちぇんの素晴らしきゆん生』

D.O





暖かな日差しとさわやかな風。
春の心地よい気候に、町のゆっくりも束の間のゆっくりを味わっていた。
多くのゆっくりたちは、おちびちゃんと、つがいと、家族たちと一緒に、
日向ぼっこやむーしゃむーしゃを楽しんでいる。

しかし、ちぇんは一人ぼっちだった。
ちぇんの両親は、長く厳しい冬を乗り越えて、ようやく春ごもりに入ろうと思った矢先、
例年より早く森から大挙押し寄せたレイパーありすによって、殺されてしまったのであった。
ちぇんは、絶命する寸前に母ちぇんが産み落とした唯一匹の赤ゆであった。



両親が残してくれた豊富な食糧によって、体はすくすくと育ったが、
誰からも愛されることなく幼少期を過ごしたちぇんが、
ゲスまりさの甘い囁きに引き寄せられたのもやむを得ないことだろう。

「ゆふーん、ちぇんはなかなかゆっくりしてるのぜぇ。」
「ゆ、そ、そうなのー?」
「そうなんだぜぇ。でも、まだまだゆっくりできるのぜぇ!
まりさのいうとおりにしたら、ちぇんはこうえんのにんきものなのぜぇ!」
「わっ!わかるよー!」

「このしろいこなさんなのぜぇ。
こいつをすえば、ちぇんはさいこうにゆっくりしたゆっくりになるのぜぇ。」
「ほ、ほしいよー。」
「はじめてだから、ただであげるのぜぇ。
つぎからはあまあまか、おうちのざいりょうになりそうなものとこうかんなのぜぇ。」
「わっ、わかったよー!」

悪魔のささやきとともに手に入れたのは、葉っぱに包まれた一さじ分の小麦粉だった。

ゆっくりが小麦粉を吸引すると、同じ原料である肌へと急速に吸収されて、肌の厚みがツヤを増す。
それに炭水化物自体がゆっくりにとっては最高のご馳走である。実際ちぇんはゆっくりできた。



それから3日後。

「まりさー。しろいこなさんがほしいんだよー。わかるー?」
「ゆふん。じゃあ、あまあまさんか、おうちのざいりょうをもってきてるんだぜぇ?」
「これだけだよー。わかるねー?」
「ゆへん。これだけじゃあしろいこなさんはあげられないのぜぇ。」
「わからないよー。もうげんかいなんだよー。すこしでいいからすわせてよー。」
「んじゃあ、このこなさんをほかのゆっくりにうってくるのぜ。たくさんうれたらちぇんにもあげるのぜ。」
「わかったよー。」

小麦粉はゆっくり出来る。ただし、量が過ぎれば毒性と依存性が表に顔を出す。

小麦粉は肌の厚みを急激に増大させる。運動に支障をきたすほどに。
また、厚みを増した肌は、体内側では餡子のあるべきスペースを圧迫し、知能とスタミナの低下まで招く。
なぜ、依存性が異常なほどに高いかは不明だが、パスタ料理など食べても平気なところを見ると、
砂糖や小麦粉のような、混じり気の少ない炭水化物が依存性を持つようだ。

確かなことは、もはやちぇんはまりさの言いなりだということ。



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「みょんー。このしろいこなさんをすうといいよー。」
「・・・その白い粉さんを欲しがってるゆっくりが、たくさんいるとこ知ってるみょん。」
「わっ、わかるよー!」
「ついてくるみょん。」

ビルの間、深い深い路地裏のスペースに彼女たちは居た。

「ここだみょん。」
「わかるよー。みんなもしろいこなさんをすっていいよー。しょかいはただなんだよー。」

「・・・当たりだみょん。でかしたみょん。」
「わ、わかるよー?」
「お前が最近白い粉さんをみんなに配ってるんだな、みょん。」
「?」
「みょんたちは、白い粉さんで、ゆっくりをゆっくりできなくするゆっくりを捕まえてるみょん。」
「わ、わからないよー。」
「いもづるだみょん。くろまくの所まで連れて行ってもらうみょん。」

みょんたちは、最近たちの悪いゆっくりが、白い粉をみんなに吸わせて奴隷のように扱っていることに気づいて
町を守るために立ち上がった、ゆっくりによるゆっくり達のための自警団である。
ゆっくり以外にはほとんど無力だが。

路地の外では轟音と暴風が荒れ狂う中、ちぇんはみょんの拷問にあい、
もともと守る義理も無いこともあり、あっさりと黒幕のゲスまりさのことを話したのだった。



「・・・まりさなんていないみょん。」
「おうちがなくなってるんだよー。わかってねー。」
「さては感づかれたみょん。おうちがあった跡があるみょん。逃がしたみょん。」
「わかるよー。」
「しょうがないからちぇんを痛めつけて終わりにするみょん。」

「わがらにゃいよぉぉおおおおお!」



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みょん達は、一応手加減という物を分かっているゆっくりだったようで、
ちぇんは両耳と尻尾を切断され、ボロ雑巾にされながらも、何とか生き延びていた。

「わからないよー・・・。」
「あら?ちぇん、ゆっくりできてないわね。どうしたの?」
「ありすー。たすけてねー。おうちまでつれていってほしいよー。」
「ゆっくりできてないこをゆっくりさせてあげるのは、とかいはのつとめよ!」
「ありすはゆっくりしてるねー。」

それは、都会派のありすとの出会いであった。
ありすは、怪我と小麦粉の禁断症状により、ろくに動けないちぇんを懸命に支えてくれた。
町でわずかに手に入った食料や水を、惜しげもなくちぇんにむーしゃむーしゃさせる。
禁断症状で幻覚を見るちぇんに優しくすーりすーりしてくれる。
悪夢と悪寒に苦しむちぇんの汗ばんだ額をぺーろぺーろしてくれる。

それは、ちぇんが初めて触れた、母の愛情だった。

「ありすはゆっくりしてるよー。おかーさんみたいだよー。」
「うふふ、とかいはならとうぜんのことよ。」
「ありすー、ありがとうだよー。」

結局ちぇんが完全に回復することはなかった。
小麦粉によって内外に厚みを増した肌は、人間さんの外科手術でもない限り元には戻らない。
思考力・記憶力はゆっくりの水準以下。体力はまだしも残っていたが、やはり全盛期には及ばない。
しかし、ちぇんは初めて味わうぬくもりに満ち足りていた。



そして、ちぇんの怪我が治った夏のある日、激しいすっきりーに息も絶え絶えながら、
ちぇんには可愛い4匹のおちびちゃんが出来た。
長女ちぇん。次女ちぇん。三女ありす。四女ちぇん。
ちぇんは、自分が生まれつき得ることのできなかった温かい家庭が、
手の届く所までやってきたことに、深い、深い感動を味わっていた。






            • そして、とかいはのあいを与え終えたありすは、その日のうちにちぇんのおうちを去っていった。



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季節は夏。今年も猛暑は容赦なく、多くのゆっくり達を永遠にゆっくりさせていた。
ちぇん一家も例外ではない。
猛暑、水不足、それは全ての町ゆっくりが直面する問題である。

「おちびちゃんたちー。いっしょにおみずをさがしにいこうねー。」
「「「「ゆっくちりきゃいしちゃよ!!!」」」」
「ゆーん。かわいいおちびちゃんだよー。おかあさんはがんばるよー。」

「おきゃーしゃん、はやくごーきゅごーきゅしちゃいよー。」

ちょっとわがまま長女ちぇん。

「おにぇーしゃんはゆっくちがまんしちぇよー。」

優等生な次女ちぇん。

「ときゃいはなありしゅがおみじゅしゃんをみちゅけるよ!」

自信家で勝気の三女ありす。

「・・・わきゃるよー。」

やや反応が鈍いが、物分かりの良い四女ちぇん。

みんな、みんな、都会派なありすが授けてくれた、可愛いちぇんのおちびちゃんたち。
ちぇんは、はやくごーくごーくさせてあげて、ゆっくりしたおちびちゃんの表情を堪能したかった。

「「「「しゅーり、しゅーり、ちあわちぇー。」」」」
「ゆーん。おちびちゃん、おみずさんをさがしにいくよー。」
「「「「えい、えい、ゆー!」」」」



「ゆふーん。こっちにおみずさんのにおいがするんだねー。わかるよー。」
「「「わきゃるよー」」」
「わきゃるわー」

ちぇん達が水の匂いを頼りにたどり着いたのは、町中の小さな広場、そこにある公衆便所だった。
広場の入口で、れいむ一家とすれ違う。
れいむ達は、あまりゆっくりしていない感じの目つきで、ちぇん達をちらりと見て、そのまま広場を後にした。

「おみずさんがちかくにあるのにゆっくりしてないれいむだよー。」
「「「「ゆっくち!ゆっくち!」」」」



公衆便所の中。

「おちびちゃんたちもおみずさんをさがしてねー。」
「おきゃーしゃん、あそこでおみずさんがたれてるよー。わかるにぇー。」
「でかしたよー。でもちょっとたかすぎるねー。
おちびちゃんたちはおかーさんのあたまにのってねー。じゃんぷするよー。」

ちぇんは子供を乗せて洗面台へとジャンプする。
誰かが使った直後なのだろう。水が蛇口からわずかにたれていた。

「「「「ぺーりょ、ぺーりょ。ふまんぞくー。」」」」
「おみずさんをもっとだしてねー。わかるー。」

蛇口は無言。

「なんときゃいっちぇね!とかいはじゃないわ!」

そういって、勝ち気の三女ありすは蛇口に体当たりした。



ぐさりっ・・・。



「ぴゃぁぁぁああああああ!!!いじゃぁぁぁぃぃいいいい!!!」

三女ありすの体は、モナカに鉛筆を刺したかのように、簡単に蛇口に突き刺さった。
その痛々しい光景を見て、ちぇんは我を忘れて叫ぶ。

「なにやってるのー!やめてねー!おちびちゃんをはなしてねー!」

自分の命よりも大事なおちびちゃんを守るため、ちぇんは蛇口に噛みついた。



きゅるんっ!ジャァァァァーーー



「ぶぴゅうっっ・・ブシャッッ!ガボッガボッ!!!」

蛇口はちぇん自らの手で、全開となった。
三女ありすを突き刺した蛇口の先端から噴き出した水は、ありすの体を内側からバラバラに粉砕しながら、
さらに、洗面台の中で水滴をなめていた、少々鈍い四女ちぇんに降り注いだ。

「・・・ゆびぃぃぃいいいい!!!わがらにゃ・・・・・ガボォォ。」




おちびちゃんたち、どうしたの?そんなに餡子を出しちゃったらゆっくり出来なく・・・



「おぢびじゃぁぁぁぁあああん!!!わがらにゃいよぉぉおお!!!」
「「ゆあーん。わからにゃいよー。」」



ちぇんは、自分の命以上の、ゆっくりした宝物、おちびちゃん達の半分を失った。



「ゆん、ゆん。おちびちゃんたち。ゆっくりしていってねー。」
「おきゃーしゃん。こんなゆっくちしてないおみずさんのめにゃいよー。わかるー?」

おちびちゃん達は、さすがに野良ゆ、切り替えが早かった。
自分たちは生きている以上ゆっくりする努力をやめるわけにはいかない。
ちぇんも、身を引き裂かれる悲しみの中で、歯を食いしばりながら、これ以上泣くのを耐える。
今生きている二匹のおちびちゃんは、ゆっくりさせてあげよう、
それが、たった今溶けて流れていった二匹のおちびちゃんへの供養と思うしかない。

ともあれ、蛇口から猛烈な勢いで噴き出す水など、とても飲めたものではない。
他に水場を探さなければ。

「おきゃーしゃん!こっちにおみずさんがあったよー。」

そこは洋式便器。
ちぇんが背伸びして中をのぞくと、確かに水がたまっている。

「よかったねー。おりてごーくごーくしてねー。」
「「やっちゃー!」」

ちぇんの体をはしご代わりに、便器の上まで駆け上がるおちびちゃんたち。
そこからそろーりそろーりと水面まで下りて行き、二匹は存分にごーくごーくした。

「おきゃーしゃん・・・。」
「どうしたのー。おちびちゃん。」
「でれにゃいよー・・・。」
「?」
「すべってあがれにゃいんだよー!おきゃーしゃんたすけてねー!」



「・・・おちびちゃんたちー!いまたすけ「やべえ!もれるっもれる!」ゆ!?」
「なんだこいつらっ!便器にはいってんじゃねえ、はやくでろ!こちとら緊急事態なんだよ!」

入ってきたのは人間さん。
普段だったら、声をかけるのも怖い相手だ。しかし、今はそれどころではない。
人間さんなら、おちびちゃんたちを助けてあげることができるよ!

「かわいいおちびちゃんたちがゆっくりでてこれなくなったんだよー。たすけ「もういい!勝手に入っとけ!こっちも勝手にさせてもらう!」ゆゆっ?」

?何をするの?

ブ(記述に耐えない音)

?なんなの、このおと?

「「ゆびゃーーーーー!くしゃいーーー!!ゆっくちできないよーーー!!!」」

!?なにするの、ちぇんのおちびちゃん、ちぇんのかわいい宝物達に!!!

「おにーさん、なにしてるのー!?おちびちゃんたちにへんなこ「うわっ、紙無え!しょうがねえなあ。おいちぇん。帽子よこせ。」ゆゆゆっ?」

!!?おちびちゃん?おぼうし?おちびちゃん!!?

「ごーしごーし、しあわせー。それじゃー流しまーす。流れるかなこれ。」じゃぁぁぁぁぁぁぁ・・・
「ゆぴいいいぃぃぃぃぃぃぃ・・・」

「・・・おにーさん。ちぇんのかわいいおちびちゃんたちは?ちぇんのおぼうしは?」
「流した。じゃあな。」バタンッ



「・・・おちびちゃん・・・わからないよぉ。」






「・・・おちびちゃん・・・ゆっくり、おちびちゃん・・・」

ちぇんは、おちびちゃん達の声も、水の流れる音も聞こえなくなった、静寂に包まれた便所の中で、
うわごとのように、自分の宝物に語りかけ続ける。
時折、便器の内側をのぞきこむが、当然そこには水面以外何もない。
便器の周りを回り、裏側をのぞき込み、おちびちゃんの姿を求め続ける。

そしてどれくらい経ったか、外が暗くなり始めたころ、
便器の方から声が聞こえてきた。

「・・・おきゃーしゃん・・・」
「・・・・しゅーりしゅーりちてにぇ・・」
「・・とっちぇもときゃいはにぇ・・・」
「・・・・・・わきゃるよー・・・」

「おちびちゃんたち・・・すーり、すーり。・・・しあわせー。」

その晩。ちぇんは、ずっとその洋式便器にすーりすーりし続けた。
自分の頬を押し返す、柔らかな感触を、確かに感じながら・・・。



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季節は秋を迎えた。

ちぇんは、今もあの小さな広場に住んでいる。
食事集めもそこそこに、たとえ雨の日でも毎日必ず公衆便所のあの便器を訪ねる。
かわいい彼女のおちびちゃん達が、すーりすーりしてほしいと、語りかけてくるからだ。

そして、ある台風の日、彼女に出会った。

「ありす?」
「・・・・・・。」

買い物袋をかぶって、公衆便所から出てきたところで、一匹のありすに出会った。
当然だが、ちぇんにおちびちゃんをくれた、あのありすではない。

ありすは、左顔面全体が雨でふやけて、目玉がこぼれおち、
激しく動いた結果であろうが、頬は大きく引き裂けてしまっていた。
カスタードも大量に漏れ出ており、気を失っている。
カチューシャもどこかへ流れて行ってしまったようだ。
このまま放っておけば、すぐにでも永遠にゆっくりすることだろう。

「ありすー。ゆっくりしてよー。」
「・・・・・・。」



ちぇんは思う。
自分もかつて、あの都会派なありすに助けてもらった。
そのときはじめて、ゆっくりと言うものを感じることができたのだ。
ちぇんは、ありすにかつての自分を重ね、
ありすをゆっくりさせることが、自分のゆっくりであると信じた。



「ありすー。おきてねー。」
「・・・おちびちゃん・・・。」
「ありすー。きずはへいきー?ちゃんとふさいだけど、だいじょうぶー。」
「・・・おちびちゃんが・・・」
「ありすー。ゆっくりしてよー。」

ちぇんは、何も聞かなかった。
ありすの表情を、言葉を聞けば何となく事情は分かる。

ありすとちぇんは、台風が過ぎ去りすっかり晴れた広場の、その隅にある公衆便所の方を眺めていた。
その視線は、公衆便所を見ているようでも、その向こうにある何かを見ているようでもある。

どれくらい経ったか、ありすが口を開いた。

「ちぇん・・・ありすはこのひろばにいたくないわ・・・」
「・・・・・・わかったよー。ひとりじゃいけないねー。ちぇんもいっしょにいくよー。」



そうありすに言った時、ちぇんはふと、これまでずっと寄り添っていたおちびちゃん達が、どこにもいないことに気づいた。
しばらくして、おちびちゃんたちが永遠にゆっくりしてしまったことを思い出し、ちぇんの瞳には自然と涙がこぼれた。
その姿を見たありすも、またぽろぽろと涙をこぼし始める。

周囲からは奇異に見えただろう。
飾りを失ったちぇんと、飾りと顔の半分を失ったありすが、どこを見るでもなく、声を上げるでもなく、
静かに涙をこぼし続ける姿は。



−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−



季節は巡る。
ちぇんとありすは、雪の降り積もる季節を迎えながらも、
寄り添うようにして生きていた。

とはいえ、飾りと運動能力の大半を失った二匹が、
たやすく生き続けることが出来るほどには、優しい世界ではない。

彼女たちは、歩道の隅に生えるわずかな雑草などを食べながら、緩やかに命を消費していった。



空を見上げると、人間さんが飾り付けたであろう木々が、
キラキラと光り輝いている。
町には赤白の服を着たおにーさんや、あまあまの入った箱を買って帰る人間さんで一杯だった。

町は、間もなくクリスマスを迎えようとしていた。



「ごはんさんないねー。」
「きっと、もうすぐみつかるわ・・・。」
「さむいねー。」
「そうね・・・。でも、こうするとすこしゆっくりできるわ。」

二匹はさらに寄り添い、互いの温もりを感じあう。
赤ちゃんはいない。
二匹は出会ってから、互いを必要とし合い、徐々に惹かれあいながらも、
結局一度もすっきりーすることはなかった。
どちらも、あの新しい命の温もりを知っていながら・・・



どのくらい歩いただろうか。
すっかり日が暮れ、あたりが街灯に照らされ始めるころ、
歩道に立つ彼女たちの目に、ファミリーレストランから洩れる光が映った。

レストランの中には、人間さんのカップルが座るテーブル上に、
彼らの飼いゆっくりであろう、ちぇんとありすが微笑んでいた。






透明な壁さんの内側は、光に包まれとても温かそう。
光に包まれたちぇんとありすは、つやつやの白い肌の張りもよく、
その頭にある飾りは、それ自体が光を放っているかのように輝いていた。
ちぇんとありすは、ゆっくり用のふわふわワタ入りコートを着せられて、なんだか迷惑そう。
その温かい恰好をしながら食べているのは、色とりどりのシャーベットだ。
そんな二匹の間にいるのは、元気一杯にお菓子をほおばる赤ちぇんと赤ありす。
人間さん達は、そんな彼女たちのゆっくりした頭をなでては優しく微笑んでいる。
赤ゆっくり達は、撫でられるたびにむずがりながらも、すーりすーりして返す。






「あったかいわ・・・。」
「わかるよ・・・。」

ちぇんとありすは、歩道の真ん中で、じっとその姿を見ていた。
その瞳には、羨ましいという感情も、妬ましいという感情も浮かんでいない。

「ちぇんとありすなんだねー・・・。」
「ありすたち・・・、ゆっくりしてるわね・・・。」

ただ、彼女たちは、窓の向こうに見えるちぇんとありすに、自分たちの幸福なゆん生を見ていた。

「ちぇん・・・ありすたちって、とってもとかいはね・・・。」
「ちぇんとありすは、ゆっくりいちしあわせーなんだねー・・・。わかるよ・・・。」



しばらくその、幸福な自分たちを見つめていたありすは、
ちぇんに寄り添うと、そっと静かに、一つだけになった瞳を閉じた。



それを横目に見ながら、ちぇんも、ゆん生最高のゆっくりの中で、瞳を閉じる。






雪は、その夜、いつまでも降り続け、ゆっくりした笑顔で寄り添う二匹の上に、優しく積もっていった。




















正直言うと、第一作の『真夏は―』から構想は出来てはいたSSなんですが、
私らしくもなく、少々重い内容なので自重していました。
せっかくなのでさらっと書きあげましたが、どんなもんでしょ。
つい先日書いた『お姉さんの―』が素晴らしい飼い主に出会ったゆっくりまりさの話だったので、
いい感じで中和できるのでは、とか思ってるんですが。

それにしてもSS書いて思うのは、予想外の展開って、考えるの大変な割に面白くならないということ。
でも、定番の展開も面白くならないんですよねー。
誰か面白い展開を考えてはもらえんでしょうか。




過去作品



『町れいむ一家の四季』シリーズ(ストーリー展開順)




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感想

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  • 映画化!映画化決定です‼︎! -- 2023-06-11 13:04:03
  • ゲスまりさの制裁を書いたらいいと思う、ゲスが生きて善良がタヒねの最悪 -- 2023-02-27 17:42:58
  • ふたゆとも健気だな・・・。 -- 2022-10-31 18:02:45
  • リア充、妬ましいねー。わかるよー。(パルパル -- 2014-08-03 22:28:33
  • 細かいな、これ漫画になったらかなり面白いだろうな、サブストーリーいっぱいで追っていくのが大変かもしれないが
    なんか、可哀想な結末でありながらもなぜかゆっくりできている自分が居る -- 2012-12-15 17:28:15
  • これは……"ゆっくりいじめ"じゃなくて"お兄さんいじめ"よ! -- 2012-11-27 22:32:59
  • 真夏はゆっくりできるねの前か・・
    飾りを失っても愛するのってすごい -- 2011-12-06 20:41:51
  • なんか、赤ずきんを彷彿とさせるような、嫌われ松子の一生を彷彿とさせるような・・・寂寥感があるね -- 2011-09-01 01:00:29
  • 泣いたwゆっくりごときにw -- 2011-01-19 07:14:30
  • なんかもの悲しいな・・・ -- 2010-11-17 22:37:05
  • つまり、レストランの客の視界でゴミが鎮座しているのか。かなり嫌な光景だな -- 2010-10-25 17:40:12
  • >やや反応が鈍いが、物分かりの良い四女ちぇん。
    愚鈍に見えて賢い末っ子なんて言う生存フラグが真っ先に洗い流されるのが衝撃でした -- 2010-10-16 16:59:19
  • とってもゆっくりできたよ!!!
    いじめSSもいいがこういうのももっと増えて欲しい -- 2010-07-06 16:07:50
  • ちぇん…ありす…うぅ -- 2010-06-16 04:56:01
最終更新:2009年10月19日 13:03
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