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「おでがいじまずぅぅうぅう!!!!
おぢびじゃんだげでもぉぉお!!!
だずげでぐだざいぃいぃいい!!!
もうにどどじまぜんがらぁぁぁああ!!!!」
『駄目じゃ、野菜を盗んだゆっくりは問答無用で潰す。』
「どぼぢでぞんなごどいうのぉおぉおぉ!!!!」
とある昼下がり。
畑を耕していた男性の老人が、
隣の畑にある野菜を盗んだゆっくりを潰そうとしていた。
すでに、辺りには黒い物体が2~3個転がっていた。
『ふぅ~。』
老人は、子ゆっくりを片手で握り締めた。
まるでいつも行っているかのような慣れた手付き。
これが一度や二度ではないだろう。
「いじゃいぃぃい!!!
やめちぇぇえええ!!!
もうやめちぇぇええ!!!
きゃわいいれいみゅにひどいこちょしにゃいでぇええ!!!」
ブチン!!!
「ゆぶっ!?」
老人は思いっきり、握り締めた。
手を開くと、かつてれいむだったと思われる物体が餡子塗れになっていた。
その物体を、汚いものを投げるかのように、ポイと地面に捨てた。
「おちびじゃんんん!!!!
ばでぃざのがわいいおちびじゃんんん!!!
ゆんやぁあああ!!!!どぼぢでごんなびどいごどずるのぉぉおぉ!!!
がっでにばえでぐるぅぅうぅうううう!!!
おやざいざんをびどりじめじでいるにんげんざんがわるいのにぃぃい!!!
だどえにんげんざんのいうどおりぃぃいぃ!!!
ごのおやざいざんがにんげんざんがづぐっだものだどじでもぉぉ!!!
べづにごろざなぐでもいいじゃないぃいいぃいい!!!
ごんなにいっばいあるんだがぁああ!!!!
ずごじぐらいぃ!!!ゆっぐりがだべでもいいいじゃないぃぃい!!!
ゆっぐりだっでおなががずぐんだよぉぉお!!!!
ゆっぐりだぢだっでいぎでるんだよぉぉお!!!
ゆっぐりだっでゆっぐりじだいんだよぉぉ!!!
わるいのばゆっぐりだげじゃないよぉぉお!!!
おやざいざんをひどりじめじでぇえええ!!!
ばでぃざだぢにびどいごどずるおじいざんだよぉぉお!!!!!!
ゆっぐりあやまっでねぇええええ!!!!!」
老人は、思いっきり、まりさを踏みつけた。
「いじゃいぃいぃ!!!!
ばなじでぇええ!!!!!
がわいいばでぃざがいだがっでるよぉぉ!!!
ゆっぐりばなじでねぇええ!!!」
ベチャ!!!
「ゆ゛っ・・・」
まりさは一瞬にして、踏み潰され、黒い餡子が辺りに四散した。
『久しぶりじゃ、罠が破られたのは。
そうじゃの、そろそろ新しい罠にしなければならんのかのぉ・・・』
ブツブツと独り言を言う老人は、何事もなかったのように、
畑を耕しだした。
老人には、ゆっくりが好きとか嫌いとかそういう感情は持ち合わせていない。
ゆっくりは畑を荒らす害虫。そういう考えしか持ち合わせていなかった。
あのまりさの言ったように、
いくら野菜を盗み食いされたからと言って、
ゆっくりとて生きているから、殺すのはひどいのではないかということに対して、
何一つ、答えることはない。
なぜなら、最初から答えなど持ち合わせていないのだ。
例えば、野菜に害虫が付かないように、農薬を散布して害虫を殺すという行為。
農家では当たり前である。
いや、農家だけでなく、むしろ一般的な考えとして、ごく普通の行為。
虫の命の大切さなど、考えたことがない。虫の命より野菜。
それが当たり前。
ゆっくりとて、同じこと。
人間の言葉を話し、人間と同じ容姿とはいえ、害虫と全く同じ。
だから、答えられない。いや、今まで思いついたことがない。
そして、答えられないこと、思いつかないことに対して、
何一つ罪悪感どころか、心に何も感じない。
その程度なのだ。この老人にとって、ゆっくりとは。
『ふぅ~。明日は農協に行って、殺ゆ剤でも貰って来るか・・・』
老人は、疲れ果てたようで、
背中を丸めて、トボトボと帰路に着いた。
「ゆっくりしていってね!!!」
「「「ゆっくちしちぇいっちぇにぇ」」」
玄関を開けると、れいむの親子が待っていた。
「おい!!!じじい!!!
ここはれいむがみつけたゆっくりぷれいすだよ!!!
ゆっくりしないではやくでていってね!!!
あとあまあまさんもってきてね!!!」
「「「ぷくー」」」
下卑た笑いで見下した言い方をする親れいむに、
頬を膨らまし、老人を睨み付ける子れいむたち。
『はぁ・・・』
老人は溜息をつき、
玄関の靴置き場に置いてあった殺ゆ剤のスプレーを、
れいむたちに振りかけた。
「ゆびぃぃいぃい!!!!」
「いちゃいぃぃぃいぃいい!!!」
「ゆんやぁあああ!!!!」
「おべべぎゃみえにゃいぃぃいぃいぃ!!!」
一斉に苦しみだすれいむたち。
家の中で、潰してしまうと、
後で掃除が面倒だと思った老人は、
ビニール袋にれいむたちを入れて、
そぉっと、ビニール袋が破けないように、
ゆっくりと踏み始めた。
「ゆぶぅ!?やべ!!やべでぇ!!!!」
「いじゃい!!!」
「つびゅれりゅぅぅぅ!!!!」
「だちでぇええ!!!きょきょきゃらだちでぇええ!!!」
痛みのあまり声を漏らすれいむたち。
しかし、老人は、一切きにせずに、
ただ、踏みつけるだけだった。
「「「「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っ」」」」
グチャグチャに混ざり合ったれいむの残骸は、
断末魔の声を上げていた。
『ふぅ~』
老人は深い溜息のあと、近所のゴミ捨て場に、
れいむたちの残骸が入ったビニール袋を捨てに行った。
その晩のことであった。
ビニール袋に入ったれいむたちが捨てられたゴミ捨て場で、
ゴソゴソと漁っているゆっくりがいた。
バレーボール大くらいの大きさで、
飾りのないれいむであった。
そう、あのれいむである。
群れから出て行った飾りのないれいむである。
すでに子ゆっくりから、成体ゆっくりになっていた。
飾りのないれいむは、ビニール袋を噛み切り、
潰されたれいむたちの残骸を食べ始めた。
すでに息絶えているらしく、何も反応はない。
まあ、あったところで、れいむにとってはどうでもいいことだ。
れいむは無言で食べた。
ゆっくりは、「む~しゃむ~しゃ」など自身の食事の時、
声に出すが、一切そのようなことはしなかった。
無言。とにかく無言。
そして、無表情。ゆっくりにとって、餡子は大好物のあまあま。
それでも喜びの表情を見せず、コソコソとひたすら食べていた。
ジャリ!!!
れいむは歯に違和感を感じ、食べていた餡子を吐き出した。
潰されたれいむのリボンだった。
リボンを着けたまま潰されたため、リボンには死臭がついており、
並みのゆっくりでは、とても嗅げた匂いではなかった。
死臭の香るリボンを見て、れいむは何か恨めしそうな顔をし、
ずっと睨み付けていた。
この飾りのないれいむは、群れを出てから、
いろんなところを旅してきた。
自分が嫌われているということを自覚したためか、
旅の途中で、様々なゆっくりの群れと遭遇したが、
どこの群れにも所属しようとしなかった。
なぜなら、いずれの群れでも、飾りがない故に、
ゆっくり出来ないとされていた。
時には言いがかりをつけられて、殺されかけたことすらあった。
餌が取れないのは、たまたま通りかかった飾りのないれいむのせい。
ドスがすっきり制限するのは、たまたま通りかかった飾りのないれいむのせい。
れいぱーが異常発生したのは、たまたま通りかかった飾りのないれいむのせい。
自分の子供がれみりゃに食べられたのは、たまたま通りかかった飾りのないれいむのせい。
冬篭りに失敗したのは、たまたま通りかかった飾りのないれいむのせい。
すっきり禁止という掟を破ってしまったのは、たまたま通りかかったれいむのせい。
群れが虐待鬼意山に襲われてしまったのは、たまたま通りかかったれいむのせい。
梅雨が長くて、雨が多いのは、たまたま通りかかったれいむのせい。
とにかく、ゆっくり出来ないのはすべて、あのゆっくりできないゆっくりのせい。
れいむのあずかり知らぬところでさえも、すべてれいむのせい。
れいむ自身も、聞いて呆れるような理由でさえ、とにかくれいむのせい。
人間が野菜を独り占めしているのは、たまたま通りかかったれいむのせい、
というゆっくりもいたくらいだ。
次第に、れいむの方から、
他の群れに出会わないようにしていた。
ある日、れいぱーに襲われかけた時、
「こんなゆっくりできないゆっくりとすっきりするのは、
とかいはじゃないわ・・・。
しょうじき、なえたわ・・・。」
と、れいぱーにすら、見限られることも多々あった。
飾りがない。
そんなことだけのために、
れいむは、いつも一人ぼっちだった。
だが、れいむはそんなことに対して、
何一つ愚痴をこぼさなかった。
しかし、時々、他のゆっくりのお飾りを、
今のように、恨めしく見つめるということが度々ある。
れいむは、そんな時、こう思っているのだ。
もしも、自分におりぼんさんが付いていたら、
こんなことにはならなかったんだろうなぁ・・・。
次の日。
『困りますよ~。ちゃんとゆっくりは潰してくれないと・・・。』
『すみません・・・』
老人は、老人より20歳くらいは若いと思われる中年女性に怒られていた。
昨日、飾りのないれいむが食い散らかしていた跡を、この女性に見つかり、
ゆっくりを捨てる場合はちゃんと潰すようにと、注意されていた。
すでに飾りのないれいむは、この場にはおらず、
当然、この女性も老人も飾りのないれいむがやったとは知らないのである。
『はぁ・・・。ちゃんと潰したはずじゃがの~・・・』
老人は、溜息をつき、背中を丸くしながら、帰っていく。
朝から怒られて、あまりいい気分じゃない老人。
とりあえず、家に帰って、畑に行く準備をしよう。
そう思い、足早に家へ急ぐ。
しかし、家の玄関前に来た時、
昨日と似たような光景がそこにはあった。
れいむが一匹、横たわっていた。
昨日と違うのは、
ただ、このれいむ、すごく苦しそうである。
顔色も悪く、真っ青な表情。
たまに口から餡子を吐き出していて、
苦しそうに、ゆっゆっとうめき声を上げていた。
よく見ると、飾りがない。
あの飾りのないれいむであった。
それもそのはずである。
殺ゆ剤が降りかかったれいむの残骸を食べたのだ。
殺ゆ剤を口にしたのと同じである。
昨日のゴミ捨て場から去った後、急に体の痛みを覚え、
どこか体を休める場所を探していた。
そして、老人の家の玄関前でついに力尽きてしまい、
1歩も動けなくなったのだ。
「ゆ゛っ・・・ゆ゛っ・・・」
体をピクピクと痙攣させて、
もう虫の息であった。
『はぁ・・・。またか・・・』
老人は、再び、深い溜息をつき、れいむの体の上に足を乗せようとした。
玄関前を汚すのは気が引けたが、
後で水でも撒いとけば済むだろうと思い、
何気なく、右足をれいむの体の上に上げた。
だが、老人は、ゆっくりを殺すことに対して、
今まで気にもしていなかったが、
この飾りのないれいむを見て、
なぜか、気づいてしまった。
今まで、こんなに弱っているゆっくりを見たことがない。
老人の畑や家を襲いにくるゆっくりたちは、
みな至って健康なゆっくりである。
肌もツヤツヤして、元気いっぱい。
ことあるごとにゆーゆーと大声を喚く。
まるでピクニックにでも来ているかのように、
ニコニコと笑顔で、人間の生活圏を侵していく。
正に害虫。
そんなゆっくりを、感情を抱かずに、
ただ潰していた老人にとって、
今わの際のゆっくりを見たのは初めてであった。
別に虐待趣味があるわけではない老人にとって、
ゆっくりの断末魔の叫びは聞き慣れていても、
ただ苦しそうなうめき声を聞いたことは一度もなかった。
飾りのないゆっくりは、
体をブルッ!ブルッ!と小刻みに揺らしている。
末期症状である。
中枢餡が、体内の餡子の制御が上手く行えない状況。
よく見ると、
肌もボロボロ、飾りもない。
汚らしい何かにしか見えない。
そんな飾りのないれいむを見て、
老人は、昨日、畑で潰したまりさの言葉を思い出した。
(ゆっぐりだぢだっでいぎでるんだよぉぉお!!!)
(ゆっぐりだっでゆっぐりじだいんだよぉぉ!!!)
(わるいのばゆっぐりだげじゃないよぉぉお!!!)
「ゆ゛っ・・・ゆ゛っ・・・」
老人は、足を下ろし、れいむを抱えて家に入っていった・・・。
「ゆぅ・・・ここは・・・・どこ?」
気が付いたら、れいむは今まで見たこともない場所にいた。
まだ、体の痛みは取れていないが、
さきほどよりはいくらかマシになっていた。
『気が付いたか。』
老人はれいむに話しかける。
「ゆっ!?」
れいむは一瞬にして顔が硬直した。
実は、昨日、老人が畑でまりさを潰している時、
遠くからその光景を見ていたのだ。
れいむは、このゆっくりを殺した老人を見て、
ここはゆっくり出来ないと思い、必死で逃げた結果、
ゴミ捨て場に辿り着いたのだ。
もしかして、見つかっていた!?
そして、自分は目撃ゆっくりだから、
口封じのために殺されるのか!?
この飾りのないれいむも、
他のゆっくり同様、ゆっくり殺しは禁忌であるという考えからか、
人間とゆっくりの命の価値を同じだと思っている節があり、
人間がゆっくりを殺した現場を見たゆっくりを口封じで殺すのでは?
という人間にはとても理解しがたいことを思っていた。
そう思ったれいむは、
今までに味わったことのない恐怖を目の当たりにした。
「ころさ・・・ない・・で・・・」
れいむは、涙を堪えて、プルプルと震えながら、必死で体を横に振った。
逃げたくもても、まず、ここがどこなのかわからないので、
安全な場所に辿り着けるかもわからないし、
まだ体の痛みは治まっていないので、逃げ回るということすら無理であった。
身動き一つ取れない状態のれいむにとって、命乞いしか術はなかった。
『落ち着け。別に殺したりはせん。』
老人は無表情で、返事を返した。
ゆっくりを殺した人間が何をしてくるかわからないと思っているれいむにとって、
その返事は信用できなかった。
ひたすら、体を震わせて、恐怖に耐えていた。
『ゆっくり休め。後でメシでも持ってきてやるから。』
「ゆぅ・・・しに・・・たく・・・な・・・い」
れいむは、緊張が切れてしまったのか、
そこで意識が途切れてしまった。
1ヵ月後・・・。
「ゆっくりおはよう!!!おじいさん!!!
きょうもゆっくりしていってね!!!」
『はいはい、ゆっくりゆっくり。』
れいむは、老人の看病のおかげで、
すっかり元気になっていた。
最初は、老人に対して敵対心を持っていた飾りのないれいむだが、
次第に老人がれいむに対して殺意がないことを知ると、心を開いていったのであった。
れいむは、この老人に対して、命の恩人だと感謝し、
老人から片時も離れようとしなかった。
老人からすれば、気まぐれで、
今まで害虫扱いしていたゆっくりを助けたのだ。
まあ、邪魔になれば、いつでも殺そうと思えば、殺せる。
老人は一人暮らしをしており、
話し相手のいない老人にとって、暇つぶしにはなるだろうと思い、
今まで生かしていたのだ。
「ゆっくり!!!ゆっくり!!!」
飾りのないれいむは、その場でピョンピョンと飛び跳ねる。
れいむは群れを出て行ってから、しばらくの間、
れいむから見て、他者との友好的な交流は全くなかった。
そのためか、自然に笑みが漏れていた。
恐らく、れいむのゆん生の中で、心の底からゆっくりしている日々なのだろう。
『ほら、遊んでないで、さっさと畑に行くぞ。』
「ゆ~☆」
老人はれいむを連れて、畑に連れて行く。
「♪ゆ~ゆ~ゆ~ゆっくりしていってね~」
かつて、れいむの母親が姉たちに聞かせていた歌を、
上機嫌で歌いながら、歩くれいむ。
『お前、相変わらず、音痴じゃの~。』
「どぼぢでぞんなごどいうのぉおぉぉぉぉ!!!!」
れいむはさっきまでの笑顔と違って、
ゆんゆんと大泣きするれいむ。
人間からすれば、ゆっくりの歌など、
音程はずれっぱなしの雑音にしか聞こえない。
しかし、老人は、その耳障りな歌声をさほど気にしていない。
犬がキャンキャンとやかましく吼えている程度にしか思っていなかった。
やがて、畑に着いた老人とれいむは、それぞれ畑を耕し出した。
なんと、れいむは老人の仕事を手伝っているのである。
最初、やはり、れいむも、
野菜は勝手に生えてくるというゆっくり独自の考えを主張していたが、
老人に無理矢理、畑に連れてこられて、嫌々、仕事を手伝わされる内に、
少しずつであったが、老人の言っていることを理解し始めた。
最初は、こんな意味のないことをする意味がわからないと、不満ばかり言っていたが、
今では、自発的に畑を耕したいとまで言うくらい積極的な態度を取り出した。
「ゆ~!!!おやさいさん!!!ゆっくりおおきくそだってね!!!」
『こら!口を動かす暇があったら、手を動かせ!!!!』
「ゆっ!?おやさいさんにはなしかけるとゆっくりおおきくそだってくれるんだよ!!!」
が、所詮はゆっくり。
たまに、おかしいことを言ってくるが、
れいむが今言ったことは、ごく稀に人間でも本気で言う者もいるので、
軽く注意するだけの老人。
『れいむ、これから芋焼くぞ。危ないから下がっておれ。』
「ゆゆん!!!やきいもさんはほ~くほ~くしてゆっくりできるよ~!!!」
空き地で、焚き火を起こし、火の中に芋を入れていく老人。
「ゆ~!!!ひさんがめらめらもえてきれいだねぇ~!!!
ゆ~!!!ひさんのちかくはあったたかくてゆっくりできるねぇ~!!!」
老人の注意を無視して、火の近くに寄ろうとするれいむ。
バチッ!!!
焚き火の中の枝が弾けて、火の粉がれいむのおさげに降りかかった。
「あじゅぃぃいぃいいぃぃい!!!!!」
見る見るうちに火がおさげを覆っていく。
「あじゅぃぃいぃいいぃい!!!!
ひさんあっちにいってぇえええええ!!!!
ひさんあっちにいってぇえええええ!!!!
ゆんやぁあああ!!!!!!
あじゅぃいぃいいょぉおおおぉおおお!!!!!」
れいむはピコピコとおさげを振り回し、火を振り払おうとする。
『コラ!!!だから言わんこっちゃない!!!』
「おじいざんんん!!!!みじゅっぅぅうう!!!
おみじゅざんんん!!!おみじゅざんんがげでぇえええ!!!」
れいむは、老人に水をかけるように求めた。
が、老人は手につけていた軍手で、れいむの火がついたおさげを、
パンパンと叩き出した。
「いじゃい!!!いじゃいぃ!!!いじゃいよぉぉ!!!
どぼぢでごんなごどずるのぉぉぉお!!!
おじいじゃんんん!!!!だだがないでぇええええ!!!
だだがないでびざんをげじでぇえええ!!!!」
『落ち着け、れいむ。ホラ、火は消えてるぞ。』
「ゆっ!?」
れいむはジリジリになったおさげを見つめた。
「どぼぢでびざんがおみじゅじゃんをがげでないのぎえでるのぉぉぉおおおぉ!!!」
まるで魔術でも見たかのように、目を大きく見開いて、驚くれいむ。
『これくらいの火だったら、水をかけるより、
叩いて、振り払ったりすれば、簡単に消えるぞ』
「すごいよぉぉぉ!!!おじいさんん!!!!
おじいさんはけんじゃなんだねぇ!!!」
れいむは老人を尊敬の眼差しで見つめる。
老人はれいむを見て、思わず、笑みが漏れた。
バカな子ほど可愛いというけどホントなんだなぁ
老人はそう思っていた。
畑の帰り道、老人とれいむは、神社により、
お参りをするのが日課になっていた。
おさげをパンパンと叩いて、合唱するれいむ。
「かみさま!!!おじいさんとれいむはずっとゆっくりさせてください!!!」
『いつも思うけど、ゆっくりって何のことを言っているのじゃ?』
「ゆっ!?ゆっくりはゆっくりだよ!!!ゆっくりりかいしてね!!!」
『余計分からんぞ。れいむ、ゆっくりって何じゃ?』
「おじいさん!!!けんじゃなんでしょ!!!ゆっくりはゆっくりだよ!!!」
頬を膨らませて、プクーと老人を睨み付けるれいむ。
『そんなに怒るな。ホラ、帰るぞ。今日は久しぶりにご馳走でも食べるかのぉ~』
「ごちそう!!!あまあまさん!?」
『いや、いかの塩辛じゃ!』
「いやぁぁぁぁああ!!!!しおからさんはゆっくりできないぃいぃいい!!!!」
老人は、いつもこんな感じで、れいむをからかっていた。
最初は、飽きたら、潰そうとでも思っていたが、
今ではよき話し相手として、れいむを扱っていた。
他のゆっくりに対しては、以前と変わらぬ害虫扱いであったが、
れいむに対しては、特別な感情を抱いていた。
れいむからすれば、
今までのゆん生は、飾りがないというだけで、
騙されるかいじめられるか嫌われるかのどれかであった。
しかし、れいむはこの老人と出会い、
飾りがなくても、ゆっくり出来る日々を与えてくれたことを幸せだと思っていた。
れいむは、この老人を何よりも大事に思っていた。
今までゆん生の中で最初で最後のれいむの心の友である老人を・・・。
数日後。
『れいむ、プレゼントがあるんじゃ・・・。』
「ゆっ!?」
老人は、れいむの頭の上に、何かを置いた。
そして、老人は、れいむに鏡を見せた。
れいむは、自分の頭の上にリボンがあるのに気づいた。
老人は、れいむのために、リボンを買っていたのだ。
『お前、どこかでリボンなくしたみたいだな。』
「お、お、お、おじ・・・」
れいむは瞼に涙を溜め、言葉を詰まらせている。
『もうなくすんじゃないぞ・・・』
「おじいじゃんんんん!!!!ゆっぐりありがどうぅうぅううう!!!!」
れいむは、笑みを漏らしながら、涙を流した。
生まれてきてから、飾りがないというだけで、
ゆっくり出来ないゆん生を過ごしてきたれいむにとって、
老人からもらったリボンは、とてつもなく嬉しかった。
そして、何より、この老人には、
れいむは言葉では言い尽くせないほどの感謝でいっぱいであった。
れいむをゆっくりさせてくれるだけでなく、
こんなに綺麗でゆっくりしたリボンをくれるなんて・・・。
「ゆっくり!!!ゆっくり!!!」
嬉しさのあまり、飛び跳ねるれいむ。
『こ、こら、まだちゃんと着けていない飛び跳ねると、
どこかに行ってしまうぞ!!!!』
と、注意した途端、
れいむの頭についていたリボンが風に流されて、
ヒラヒラと宙を舞っていった。
「ゆぅぅぅう!!!!
れいむのおりぼんさん!!!
とんでいかないでぇぇえ!!!!」
れいむは、血相を変えて、リボンを追いかけて行く。
『オ、オイ!!!勝手に道に出るな!!!
車が来たら危ないから帰ってくるのじゃ!!!』
「おりぼんさんんん!!!
いじわるしないでぇぇえええ!!!
れいむのおりぼんさんんん!!!
ゆっくりしていってねぇえええ!!!!!」
老人の制止を振り切り、リボンを目掛けて追いかけていくれいむ。
れいむのリボンは車道の真ん中に止まった。
「ゆっ!!!れいむのおりぼんさんがとまったよ!!!
ゆっくりとるよ!!!ゆっくりしないではやくとるよ!!!」
れいむは、嬉しさのあまり、車道に飛び出るれいむ。
普段は老人の言うとおり、車道に勝手に飛び出るようなことはしないのだが、
目の前のリボンをとることで必死であったため、
老人の忠告など頭に一切なかった。
車道に出て、リボンを拾いにいき、リボンまであと2mくらいまで近づいた。
「おりぼんさん!!!ゆっくりしていってね!!!」
れいむがリボンを取ろうした矢先、れいむの横には大きなトラックが差し迫っていた。
『危ないっ!!!れいむっ!!!!』
老人は叫ぶと同時に、れいむに目掛けて、車道へ飛び込んでいった。
キキィイイイイイイイイイイイ!!!!!!
大きな音と共に、れいむは前方へ投げ出された。
「いじゃいいぃぃいいぃいい!!!」
フェンスにぶつかったれいむは、体をクネクネさせて痛がる。
痛みもだいぶ収まり、辺りを見回すれいむ。
リボンはどこ?れいむのリボンはどこ?
キョロキョロと見回すと、リボンがあった。
「れいむのおりぼ!!!!・・・んさん!?・・・・」
リボンの向こう側には真っ赤な血に塗れた老人が横たわっていた。
「おじ・・・い・・・さ・・・」
れいむは、その時、やっと状況を把握した。
リボンを追いかけて、車に轢かれそうにれいむを、
老人が庇って、れいむの代わりに轢かれてしまったことを。
「おじいさんんんんんんんんんん!!!!!!!!!!!!!」
れいむは叫んだ。
辺りにはれいむの絶望した叫び声が響き渡っていた。
続く。
あとがき
結末に気づいている方へ。
ちょっと過去の作品を見直していると、
若干、矛盾があるけど、
それはご愛嬌+誤差の範囲ってことで
ゆっくり許してね。
あと、前回より少し時間がかかったのは、
作成に取り掛かれない。
今回は愛で一色で話そうと思ったら、
それをした時の批判が怖くなって、
無理矢理、虐要素を入れるように思案していたから。
どうでもいいプレッシャーに、自分自身でかけてしまい、
思ったように手が進まなかった。
人の目を気にしたら、スラスラとかけないことに気がついた。
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このSSへの感想
※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね!
- ↓↓↓↓↓その意見で考えるとお前はシラス1パック250円なのに対してマグロ1尾100万円(マグロ
の値段は正確には分からないけど)に疑問を持つ筈だが。 -- 2016-02-16 23:04:39
- 飼い犬は可愛く思う、汚い野良犬が家の周りを汚していると殺意しか芽生えない -- 2012-12-17 19:47:09
- このゆっくりは「飾りをつけると近くの老人をひき殺す」というジンクスでもあるのか?
もうなんかミタさんみたい -- 2011-12-30 02:37:44
- ↓↓↓ああ、何十年もヒキニートやってるから分裂病が統合失調症に改称されたことも知らないんだね!
はやく仕事をみつけてね! -- 2011-01-30 15:04:41
- ↓↓ゲームとかネットばっかで人間の生の反応に触れてないからそんな単純な考え方しかできないんだよ。 -- 2011-01-30 13:59:06
- ↓人間の心はそれほど一貫性や無矛盾性を持っていない
もう少し自分をよく見つめ直してみればいい -- 2010-10-31 18:42:20
- 他のゆっくりは何も感じずに害虫として潰してたのに
死にかけた虫を見て急に助けようと思うんだな
このジジイは分裂症ですか? -- 2010-09-07 03:37:18
- 冒頭で勝手なことほざいてるまりさって結局自分が悪いなんてこれっぽっちも思ってないじゃねえか
たとえ許してもすぐにコロっと忘れて人間が全部悪いことにしてまた畑荒らしするだろうな。やっぱ問答無用で潰すしかねえ -- 2010-09-02 17:36:52
- 飾りの有無なんて些細過ぎる違い。れいむ種が悪い結果しか呼ばないことに変わりはない。さすが屑中の屑。 -- 2010-08-26 23:14:09
最終更新:2009年10月24日 00:19