運鈍根

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運鈍根 - (2025/03/26 (水) 22:09:43) のソース

*運鈍根
**うんどんこん
収録作品:[[Splatoon3]][NS]
作曲者:[[永松亮]]
チェロ:徳澤青弦
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**概要
前作『[[Splatoon2]]』で新たに追加されたモード「サーモンラン」の続編である「サーモンランNEXTWAVE」での特殊WAVEで流れる本作の新曲。
この曲を含めたサーモンラン関係の戦闘曲は「ω-3」という全員シャケのスリーピースバンドが演奏しているという設定になっており、全曲を永松氏と徳澤氏が担当している。
曲名の「運鈍根」とは、成功の基の三要素である、幸運、鈍重なほどの粘り強さ、そして根気を語呂合わせに並べた言葉であり、なかなかもってサーモンランらしい曲名である。

この曲の特徴は何よりも、[[任天堂]]作品はおろか、これまでのゲーム音楽全体を見渡しても恐らく類を見ないほど斬新な変拍子で構成されていることである。
その特徴というのが一言で言ってしまうと、拍子が増える。
具体的には、イントロが終わった後のメインのチェロは基本の4分の4拍子以降のメロディが増えていくことで、
8分の10拍子→8分の11拍子→8分の12拍子…と続いていき、最終的には8分の25拍子まで増えていく。
しかもこのタイミングがWAVEの制限時間の丁度折り返しに重なるという緻密な計算まで為されている。
後半は、電子音源が8分の7拍子で演奏する裏でチェロが4分の3拍子と4分の5拍子を織り交ぜながら暴れまわる不安定ぶり。
そしてラスト20秒は、最初の拍子が増えるメロディが少しずつ速くなり、最後は拍子数及びBPMが測定不能にまで達してフィニッシュという、徹頭徹尾滅茶苦茶な曲となっている。

こんな曲にも拘らず、実際にプレイしてみると意外に違和感がなかったりする。
これは最後までシャケをシバキ倒し、金イクラを回収しまくるゲーム性と調和しているという何とも言えない理由だから。
「サーモンラン」の世界観自体が永松氏自身より「クレイジーな雰囲気」と言われてしまう始末であり、
プレイヤーが狂ったテンションになってしまえば狂った曲で問題ないというわけである。

この曲に限らず「ω-3」の曲はどれもこれもがイカレた変拍子の曲ばかりであり、
その理由はファミ通.comの[[『スプラトゥーン2』サントラインタビュー>https://www.famitsu.com/news/201711/17145896.html]]にて「ノッてほしくないサーモンランの曲」という題名で明かされている。
サーモンランの曲は永松氏によると、通常のバトルとヒーローモードとの違いを感じられて、なおかつ敵がシャケであるということを臭わせるという、難しいオーダーだったとのこと。
更には「シャケは絶対に友だちになれない」と伝えられたことも思い出し、これにより“音楽”という言葉を聞いて記号的に想像できるものから完全に逸脱したものにすることにしたそうだ。
そのために『スプラトゥーン2』での「ω-3」の曲は変拍子でありながらリズムを増やす方向ではなく、あえて減らしていくという奇抜な表現に至っている。
また世界観に合わせるために、初代『[[Splatoon]]』で検討されていたものの使用されなかった弦楽器を使用することになり、
最終的にサウンドディレクターの[[峰岸透]]氏の勧めでしっくり来たことからチェロに決めたとのこと。
またシャケにとっての音楽が、遡上するときの狼煙であり、士気高揚のために演奏しているという設定からティンパニが加わり、
エレクトリックなリズムということでDJが入ることでω-3のキャラ設定が完成したそうだ。
なおω-3のラフ画を描いたのは永松氏本人であり、これをデザイナーの池尻貴尚氏が仕上げて完成させたのだが、
これまで楽曲のイメージを作るためにイラストを描くことはあっても、今回のようにデザイナーに仕上げまでしてもらってゲーム内の設定に取り入れられたのは初めてだそうで、
ここまで詳細に設定を固めないと作曲できなかったサーモンランの曲の異常さが際立っている。
またここまで音楽理論にケンカを売るかのような曲を聴かされると、シャケはとても分かり合える存在ではないと思い知らされそうになるのだが、
ここまでしておいて本作では[[一匹だけ分かり合える存在>シオカラ節]]が出てくるのだから面白いものである。

これほどの無茶な曲なのだが、恐ろしいことにチェロの演奏はなんと打ち込みではなく徳澤青弦氏による演奏。
その証拠に任天堂の公式YouTubeに「運鈍根」「過言(変異)」「峨々」の三曲のレコーディング映像が公開されている。
この内データ修正をしていると思われるのは映像が加工されている「峨々」一曲のみであり、
「運鈍根」と「過言(変異)」は映像内の演奏は一切データ修正をせず人力で弾ききっており、とてもではないが人間業とは思えない内容である。

永松氏は今作をもって任天堂を退職しているが、置き土産となった曲をここまで個性全開にしてくるのは流石としか言いようがない。
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**過去ランキング順位
[[第16回みんなで決めるゲーム音楽ベスト100>第16回の結果]] 82位
[[第17回みんなで決めるゲーム音楽ベスト100>第17回の結果]] 256位
[[みんなで決める2022年の新曲ゲーム音楽ランキング>みんなで決める2022年の新曲ゲーム音楽ランキングの結果]] 69位
[[第3回みんなで決める任天堂ゲーム音楽ベスト100]] 291位
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**動画
***スプラトゥーン3 BGMレコーディング映像3 ω-3 「運鈍根」「過言(変異)」「峨々」
#video(https://www.youtube.com/watch?v=8_Ax_-RohHk)