波形メモリ音源

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波形メモリ音源 - (2025/06/10 (火) 23:57:40) のソース

*波形メモリ音源
***Wavetable synthesis
Max Mathewsがベル研究所で開発した、MUSIC IIの一部として搭載されたものが原型とされる。
任意に作成した短い波形をループして発音することで、矩形波以外の音色を発音できる。
PSGの尖った音に比べ、柔らかい音や丸みのある音を表現できるようになった。
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**代表的なサウンドチップ
-[[ナムコ]]
--任意波形発生回路
---最大同時発音数:3チャンネル (『[[ポールポジション]]』シリーズでは実質6チャンネルステレオ ((全8チャンネルあるが、チャンネル1,2はカスタム52/54の音声合成モードとして使用されている)) )
---量子化ビット数:4bit (16段階)
---ループあたりのサンプル数:32
---石村繁一氏による回路設計
---『[[パックマン]]』から『[[ゼビウス]]』まで使用
---他社作品ではあるが『[[ペンゴ]]』(コアランド/[[セガ]])、『ポンポコ』([[セイブ電子>セイブ開発]]/シグマ)でも採用
--カスタム15 (C15)
---任意波形発生回路を1チップに集約したもの
---最大同時発音数:8チャンネル
---小川徹氏による開発設計
---『スーパーパックマン』から使用
---『グロブダー』では音声合成の再生も実現している
--カスタム30 (C30)
---C15まではメインプログラム側でしか制御できなかったノイズがサウンドプログラム側で設定可能に
---16チャンネルモードもあったが、時分割処理で音質が悪くなるためにほとんど使用されなかったという (([[[OBSLive] ゲームセンター遺跡探訪・ゲストは細江慎治(スーパースィープ)さん - YouTube>>https://www.youtube.com/live/ZXhJOPx8HsQ?feature=share&t=6295]]より))
---『[[パックランド]]』や『[[ドラゴンバスター]]』などから使用
---『[[バラデューク]]』では音声合成の再生も実現している
---システム86(『[[ホッピングマッピー]]』など)でも使用
---システムI(『[[プロ野球ワールドスタジアム]]』など)に使用されたものはステレオ出力に対応
---ナムコ開発内では「&bold(){カスタムサンマル}」と呼ばれていた (([[川田宏行氏の投稿>>https://twitter.com/_hiro_kawa_/status/1725348441063334202/photo/2]]より))
--カスタム140 (C140)
---最大同時発音数:24チャンネル (それぞれ単純波形 &footnote(細江慎治がNIFTYに投稿した「F/A オンラインインナー」での表現){} のループとワンショットPCMとを選択可能)
---量子化ビット数:12bit (4096段階)
---小川徹氏による設計
---C30の思想を発展させたカスタム音源
---デジタル処理による音量の掛け算、ステレオデータ加算を実現
---大容量のメモリに対応しており、リズム音色などのサンプリング音源とのハイブリット音源となっている
---システムIIより採用。初登場はそれをベースにしたカスタム基板の『[[ファイナルラップ]]』
---NA-1, NA-2基板で採用されたC219では、最大同時発音数が16に削減されている
--163
---通称N106
----そのような名称のチップが実際にあるわけではない
---ファミコンタイトルに搭載されたメモリコントローラチップ
----ファミコンのアドレス空間を広げるためのものだが、スペースが余りサウンド機能を付けたもの ((『シューティングゲームサイド Vol.8』p. 96より))
---最大同時発音数:1~8チャンネル (可変)
----音質を担保するため4チャンネルまでの使用としている作品が多い
---量子化ビット数:4bit (16段階)
---ループあたりのサンプル数:64 (8チャンネルの場合)~120 (1チャンネルの場合)
---石村繁一氏による設計
---ファミコンソフトの『[[えりかとさとるの夢冒険]]』、『[[マッピーキッズ]]』、『[[女神転生II]]』などで音源部を使用
---搭載していても音源部を使用されていない作品もある
----厳密には『[[スターウォーズ]]』にのみ搭載された&bold(){129}が先で、音源の仕様も163とは若干異なるようだが、未使用
---後継チップにあたる340 (『[[ワギャンランド2]]』など)や175 (『[[ファミスタ'91>プロ野球ファミリースタジアム]]』など)では、音源回路は削除されている
-[[新日本企画>SNK]]
--名称不明 ("SNK Wave"と呼ばれることがある)
---最大同時発音数:1チャンネル 
---量子化ビット数:3bit (符号なし8段階)
----ループごとの波形が点対称の形となるため、実質的には符号あり16段階といえる
---ループあたりのサンプル数:16
---『マービンズメイズ』では足音などの効果音に使用
---『ヴァンガードII』では対空ショットなどの効果音やエクステンドジングルに使用
-[[テーカン>テクモ]]
--『[[SENJYO]]』基板の低音回路
---ヒューズROMに書き込んだ波形をタイマーICで読み出している
---ラダー抵抗を使用したDACでアナログ化している
---のちに『[[スターフォース]]』、『[[バルバルークの伝説]]』でも使用
-[[コナミ]]
--005289
---最大同時発音数:2チャンネル
---量子化ビット数:4bit (16段階)
---ループあたりのサンプル数:32
---[[バブルシステム]](『[[ツインビー]]』、『[[グラディウス]]』など)で使用
--051649
---正式名称はSound Creative Chip (SCC)
---コナミが東芝と共同開発した波形メモリ音源兼メモリーバンク制御チップ
---コナミ開発二部の[[上原和彦]]氏、春木豊氏らにより開発 ((MSXマガジン 1990年9月号 P.66))
---[[ディスクシステム]]に搭載されたような音源をMSXにも欲しいという話が開発のきっかけ &footnote(){4}
---最大同時発音数:5チャンネル
---量子化ビット数:4bit (16段階)
---ループあたりのサンプル数:64
---チャンネル4,5で使用する波形を共有
---音程データはPSGとコンパチで、データの相互共有を容易にしている
---『[[シティボンバー]]』、『[[にゃんにゃんパニック]]』、MSX用ゲーム、キッズメダル機などで使用
--052539
---SCC-I 2312P001, SCC+などの呼称がある ((チップには「052539 SCC-I 2312P001」の印字があるが、FC版[[悪魔城伝説]]のキャラクターROMにも「SCC-I」の記載がある))
---チャンネル4,5で個別の波形を設定可能になったSCC
---MSX2版『[[スナッチャー]]』、『[[SDスナッチャー]]』に付属したSCCカートリッジに使用
-[[任天堂]]
--RP2C33
---[[ファミリーコンピュータ ディスクシステム>ディスクシステム]]
---任天堂とリコーの共同開発
---最大同時発音数:1チャンネル
---量子化ビット数:6bit (64段階)
---ループあたりのサンプル数:64
---位相変調機能あり
--ゲームボーイ / ゲームボーイアドバンス
---波形メモリ音源を搭載している
---最大同時発音数:1チャンネル
---量子化ビット数:4bit (16段階)
---ループあたりのサンプル数:32
--バーチャルボーイ
---VSU (Virtual Sound Unit) と呼ばれる内蔵音源に波形メモリ音源を搭載している
---最大同時発音数:6チャンネル (ノイズ専用のチャンネル6を含む)
----チャンネル1,2,3,4:波形メモリ
----チャンネル5:波形メモリ (スイープまたはモジュレーションを適用可)
----チャンネル6:ノイズ
---量子化ビット数:6bit (64段階)
---ループあたりのサンプル数:32
---チャンネルごとで左右のそれぞれのスピーカに16段階の音量を設定可
---エンベロープを適用可能
-[[ハドソン]]
--HuC6280
---[[PCエンジン]]に搭載
---65C02をカスタムし拡張したもの
---最大同時発音数:6チャンネル
----チャンネル1,2:波形メモリ2チャンネルまたはFM1チャンネル
----チャンネル3,4:波形メモリ2チャンネル
----チャンネル5,6:波形メモリ(メロディまたはノイズ)2チャンネル
---量子化ビット数:5bit (32段階)(対数変換方式)
---ループあたりのサンプル数:32
---LFOを内蔵
---各チャンネルはCPUが書き込んだ値をそのまま出力するダイレクトD/A(DDA)モードにも設定可能
---アーケード版『[[ならず者戦闘部隊 ブラッディウルフ]]』でも音源として使用 ((データイーストは『[[ロボコップ>ロボコップ(AC)]]』などで HuC6280 のCPU部をオーディオCPUとして採用したが、波形メモリ音源部は使用しなかった))
---『スーパーメダルファイターズ』、『フィッシングマスター』といった業務用メダルゲームでも採用
--HuC6230
---PC-FXに搭載
---HuC6280に2chのADPCMが追加されたもの
-セタ&[[アルュメ]]
--X1-010
---最大同時発音数:16チャンネル (それぞれPCMと選択可能)
---量子化ビット数:8bit (256段階)
---ループあたりのサンプル数:128
---初期はドライバのバグで波形メモリ音源機能が使えず、PCMのストリーミング再生をするしかない作品もあった
----『[[ツインイーグル]]』、『メタフォックス』、『[[レゾン]]』、『[[ブランディア]]』など
---後期の作品では改善され、波形メモリとPCMのハイブリッド音源として使用された
----『[[目撃]]』、『[[ウォーオブエアロ]]』、『[[大王]]』、『[[仮面ライダー倶楽部 バトルレーサー]]』など
----アタックをPCM、ディケイを波形メモリで鳴らすという手法をブラス、ギターなどの音色に採用している作品もある
-バンダイ
--ワンダースワン
---最大同時発音数:4チャンネル
----チャンネル2はPCMと選択
----チャンネル3はスイープ効果を適用可能
----チャンネル4はノイズと選択
---量子化ビット数:4bit (16段階)
---ループあたりのサンプル数:32
----
**参考作品
-[[パックマン]] (&bold(){任意波形発生回路})
-[[マッピー]] (&bold(){C15})
-[[ドルアーガの塔]] (&bold(){C15})
-[[バブルシステム]]より「コナミモーニングミュージック」 (AY-3-8910 * 2 + &bold(){005289})
-[[グラディウス]] (AY-3-8910 * 2 + &bold(){005289})
-[[バラデューク]] (&bold(){C30}による"I'm your FRIEND"などの発声)
-[[スカイキッド]] (&bold(){C30})
-[[トイポップ]] (&bold(){C15})
-[[ドラゴンスピリット]]より「エンディング」 (YM2151 + &bold(){C30 (ステレオ有効)})
-[[グラディウス2]] (PSG + &bold(){SCC})
-[[スナッチャー]] (MSX2版)(PSG + &bold(){SCC+})
-[[フェリオス]] (YM2151 ((楽曲中では、「デュポンへの挑戦」(未使用楽曲)と、「邪獣デュポン」の一部音色、「大団円」のティンパニとしてしか使用していない)) + &bold(){C140})(リズム音色などの一部を除くほとんどの音色をC140の単純波形方式で発音)
-[[女神転生II]] (RP2A03 + &bold(){N160})
-[[ナックルヘッズ]]より「Hong-Kong etoile」 (&bold(){C219})(ループ開始部のヒット、リズム音色などを除き単純波形方式で発音)
-[[まじかるスピード]] (&bold(){X1-010} (ベース、ドラム、パーカッション、オーケストラヒット&bold(){以外}が波形メモリ音源での発音))
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**関連リンク
-[[バンダイナムコ知新「第8回 第1章 ナムコサウンドの足跡をたどる【前編】」>>https://asobimotto.bandainamcoent.co.jp/9012/]]
-[[バンダイナムコ知新「第8回 第1章 ナムコサウンドの足跡をたどる【後編】」>>https://asobimotto.bandainamcoent.co.jp/9566/]]
--任意波形発生回路、カスタム15、カスタム30についての詳しい解説が掲載されている
-[[バンダイナムコ知新「第8回 第2章ナムコサウンドの発展の足跡を追う【前編】」>>https://funfare.bandainamcoent.co.jp/13901/]]
--カスタム30からカスタム140を開発するに至った経緯について掲載されている