鬼人正邪は、生まれついての弱者だった。絶対的な弱者だった。
喧嘩をすれば当然負けるし、下克上を企てれば計画ごと叩き潰される。
妖怪・天邪鬼として生まれてこの方、ただの一度も「勝利」を収めた事はない。
だがしかし、その代わり。鬼人正邪の心は、ただの一度も「屈した」事はなかった。
――天邪鬼が反逆する事をやめたらおしまいだ。
――反逆の意思が折れた時点で、天邪鬼は、概念として死ぬ。
その思い一つで。殴られ、蹴られ、地べたを這いつくばっても、鬼人正邪は立ち上がる。
その心折れない限り。何度でも、何度でも、鬼人正邪は反逆の鐘を鳴らし続けるのだ。
◆◆◆◆
ゴッサムシティの腐敗の象徴たる貧民街。
腐臭漂うその一角で、少女を中心とした人だかりが出来ていた。
口汚い男たちの罵声と、痛烈な打撃音が、薄汚れたビルの谷間に反響する。暴行されているのは、中心にいる少女だった。
それは、富裕層に手が届かず、自分よりも下を見下す事しか出来ない街のゴロツキたちの憂さ晴らし。
「おい、聞いてんのかガキ!」
「小娘が、初めて見た時からテメーの態度は気に食わなかったんだよ!」
頭の弱そうな罵声と共に、一人の拳が少女の顔面を打ち据えた。口の中が切れて、血反吐を吐き出す。
無様に倒れ伏すしか出来ない少女の腹を、一人の足が容赦なく蹴り抜いた。肺の中の空気と共に、逆流してきた胃液を吐き出す。
身体が麻痺して動けなくなった少女の身体を、男たちは寄ってたかって蹴り始めた。
顔だろうが胴だろうが腕だろうが足だろうが、お構いなしに殴られ蹴られ、少女の身体がみるみる青痣だらけになってゆく。
それが暫く続いた所で、ふと、暴行の雨が止んだ。一人の男が、少女の黒髪を掴み上げる。
「おい、クソガキ。これに懲りたら、二度とナメた口聞いてんじゃねえぞ」
少女は――正邪は、口の中に溜まっていた血反吐を、男の顔に吐きかけた。
吐出された血反吐が男の目を刺し、男はうっ、と呻いて正邪の髪から手を離した。
「……ナメやがって、雑魚の癖に。ゴロツキ風情が粋がってんじゃねえよ」
次に罵声を飛ばしたのは、正邪の方だった。
正邪はそう言って、痣だらけのその顔でべろんと舌を突き出して、ゴロツキを睨み返すのだ。
正邪のその一言が、鎮まりつつあった男たちの火に油を注いだ事は明白だった。
そこから先は、逐一筆舌に尽くす事も憚られる程の暴力の嵐だった。
何せ此処は、腐敗しきったゴロツキの巣窟。言葉で分からないなら、暴力で訴えるしかない。
その日正邪は、自ら言葉を発する体力すらなくなるまで、殴る蹴るといった暴行を受け続けた。
だけども、男たちが正邪への暴行に飽きて立ち去るその時まで、正邪の瞳に宿った反逆の灯火はついぞ消える事はなかった。
◆◆◆◆
日が沈みかけた頃、路地裏から人の気配は消えていた。
この地区の治安は最悪だ。ビルの壁を凄まじい勢いで侵食してゆく緑の蔦の不気味さも相俟って、今や此処で夜を明かすのは正邪一人くらいのものだった。
どうやらこのクソのような貧困層で、クソのようなゴロツキどもの憂さ晴らしの相手をするクソのような浮浪者というのが、この街で正邪に与えられた役割らしかった。
金もなく、地位もなく、失うものなど何もない正邪にはお似合いの役割と言える。この生活だって、幻想郷で虐げられ続けてきた頃と比べてもそれ程変わりはない。
一人ぼっちで夜を明かす事だって慣れている。小人族の姫と別れてからというもの、正邪は幻想郷中を敵に回しながら、毎日こうやって夜を明かして来たのだから。
ああ、せめて反則アイテムをこっちに持ち込めたなら、あんなゴロツキにやられるだけの日々は送らずに済むのに。
無事ゴッサムに持ち込めたのは、肩に羽織っていたひらり布と、首かけていた天狗のトイカメラの二つだけだ。
最後に保護した反則アイテム――奇妙なシャブティも、何の力も示さずに未だ正邪のポケットの中で眠っている。
その他の反則アイテムは全て幻想郷に置き去りにしてきてしまった。今頃はもう、姫に回収されている頃だろうか――
(ん……?)
なんて。そんな事を考えて物思いに耽っていた時、正邪はその耳で、一人の人間の足音を聞きつけた。
蔦に覆われたビルの壁に力なく背中を預けて座る正邪の双眸は、やがて現れた一人の浮浪者の姿を認めた。
此処よりも些かマシな治安をした地区に住み着く浮浪者だ。そいつは手にフランスパンを抱えて、正邪の隣に腰掛けた。
「いつもいつも大変だねぇ、お嬢ちゃん。とっとと謝っちまえばいいものを」
こうやって男が正邪に声をかけるのは、果たして何度目、何日目だったろうか。
毎日来る訳ではないが、こっぴどくやられた日にはこうして食事を持って現れる。
男は手にしたパンを半分ほど千切って、疲労のあまり徐々に姿勢がズリ落ちつつあった正邪の腹の上へ投げた。
「ほら、食えよ。腹減ってんだろ」
「いらない。お前らみたいなクズの施しを受けるなんて真っ平だ」
眼球だけをギョロりと動かして、正邪は浮浪者に一瞥をくれてやる。
大体にして、正邪は人間ではない。一日食べなかったくらいで死んだりするものか。
「あぁあぁ、そういう事言うから、ああいうゴロツキに目を付けられるんだろ」
「私はそういう生き方しか出来ないんだよ、なんてったって……――」
――私は、アマノジャクだからな。
そう言おうとして、正邪はしかし、やめた。
この男は所詮NPC。それも、おそらくは現実世界でも浮浪者であろう救いようのないクズだ。
そんなモブのクズ野郎に、自分の素性を明かした所で一体何になる。得られるものは何もない。
「なんてったって……? 何だっていうんだよ、お嬢ちゃん」
「チッ、何でもない、忘れろ。そしてとっととどっかいけ。私を哀れみの目で見るな、胸糞悪い」
そうだ、それが正邪は気に食わない。それが何より許せない。
自分だって浮浪者だというのに、この男はちっぽけな正義感を翳して正邪を見下しているのだ。
正邪はいつだって強者に反逆し続けて来た、言わば最強の弱者だ。そこには力はなくとも誇りがある。決して折れぬプライドがある。
だから正邪は、強者が気に食わないのは当然として、自分が弱者であるという事実を享受している誇りのない弱者も同じくらい気に入らない。
誇りひとつを武器に生きてきた正邪にとって、誇りを持たない弱者などは救いようのない唾棄すべき存在なのである。
「……いつまで見てンだよ、とっとと消えろって言ってるだろ」
ふいに、浮浪者の視線に気付いた正邪は、もう一度浮浪者にガンを飛ばす。まじまじ見られるのは不愉快だ。
「いや、そういやぁ、お嬢ちゃんの左手のそのタトゥー、そういうのを探してる奴が居たのを思い出してさ」
「えっ」
ここで初めて、正邪の顔色が変わった。
男は知らないのだろうが、正邪の左手の甲に刻まれたそれは、タトゥーなどではない。
これはサーヴァントを使役する為に用いられる令呪だ。それを探している、という事は。
考えを巡らそうとしたその刹那、ビルの屋上から高速で振ってきたのは、槍を構えた男だった。
「ッ?!」
痛む身体に鞭打って、反射的に飛び退く。
正邪が座っていた場所に、槍の切っ先が突き立てられていた。
間違いない。聖杯戦争に参加するサーヴァント――ランサーによる襲撃だ。
「な、何なんだいきなり……!」
狼狽える男の背後から、今度は貧困層の路地裏には似つかわしくない、ブランド物のスーツを身に纏った若い男が現れた。
男は何処までも冷たい声で、己がサーヴァントに命令を下す。
「面倒だな……その邪魔なゴミを殺せ、ランサー」
「――……はっ」
逡巡は一瞬だった。ランサーの槍は、浮浪者の首を容易く斬り飛ばした。
あっけない幕切れだった。男の身体から鮮血が吹き上がって、その身体がドサリと崩れ落ちた。
「あっ……」
つい、反射的に伸ばした正邪の手は、何にも届かず、空虚を掴むだけだった。
「やれやれ、まさかこんな吹き溜まりの浮浪者がマスター候補とは、世も末だね」
嘲笑。
男の血で赤く濡れた、男が正邪にくれたパンを、ランサーのマスターがぐしゃりと踏み潰した。
「テメェ……ッ」
ギリリ、と。正邪の奥歯が軋む音が聞こえた。
本来ならば端正な筈の、血と痣で汚れた正邪の顔に、さっと怒りの朱が差す。
「……なんでだ。なんでそこのクズを殺した。そいつに殺される理由があったっていうなら、私にも教えてくれよ」
「………………」
正邪の問いに、ランサーは何も答えようとはしなかった。
逆らえないのだ、この下僕は。自分よりも強者である、後ろのマスターに。
その上下関係を証明するように、ランサーのマスターが歩み出た。
「おいおい、俺達は聖杯を勝ち取るために戦ってるんだ。英霊同士の戦場で邪魔になる障害物を切り捨てて何が悪い。
大体にして、こいつは役割の薄いNPCだろう。吹き溜まりのゴミ一人殺したくらいで、そこまで怒る奴があるか」
「…………ッ!」
返ってきたのは、最高に気分の悪い回答だった。
激情を堪え、眉根を寄せて、すっと目を伏せる。
ふいに、ランサーのマスターに踏み潰されたパンが視界に入った。
あのクズが寄越したクソみたいなパンは、最早潰れて原型すらも留めていない。
あっけないものだ。あの男も、あのパンも、抗うだけの力を持ってはいない。
だから、潰された。
「あァ、そうさ! 確かに奴は胸糞の悪いゴミ野郎だった。これが弱肉強食だというのなら、成程殺されるのも仕方がないと言えるだろうよ。
だがな、それは殺される理由があるならの話だ。お前らは今、この私の目の前で! 力を持たず、殺される理由もない弱者を一方的に踏み躙ったんだッ!」
それは、反逆者たる正邪にとって、何よりも許しがたい暴挙。
別に、命は尊いものだから、とか。そういう反吐が出るような綺麗事を言いたい訳じゃない。
力を持った強者が持たざる弱者を一方的に虐げる。その一点においてのみ正邪は気に食わなかった。許せなかった。
だが、言ってしまえばそれはこの世界の法則だ。
強者が繁栄し、弱者は淘汰される。そうやって人は歴史をつくってきた。
それが世界だ。世界とは、いつだってそういうものだ。
目の前の男たちは、それを体現したに過ぎない。
自分たちの正当性を主張するように、敵のマスターは言った。
「いいか? これは聖杯戦争なんだよ。皆自分の願いを懸けて戦ってる。そんな綺麗事言ってちゃ生き残れねぇぞ、お前」
「はァアア~~? 何が聖杯戦争だ、何が願いを叶える願望機だ。そんな物の為に戦うなんて、馬鹿馬鹿しくって反吐が出る!」
「……ああ、そうかい。だったら、とっととここで脱落しろよ。やれ、ランサー!」
マスターが正邪を指差し、勝利の確信に満ちた声で命令を下す。瞬間、ランサーが凄まじい勢いで飛び出した。
「クソが……ッ!」
悪態をつきながらも、槍を片手に突き進むランサー目掛けて、正邪は使い慣れた弾幕を放つ。
それを回避しようと右へ踏み込もうとしたのであろうランサーの身体が、左へと踏み込んだ。
「なにッ!?」
ランサーは自ら弾幕に飛び込み、被弾し、その衝撃で数歩後退った。
一体何が起こったのか分からなかっただろう。正邪は、ランサーの視覚の左右を鏡のようにひっくり返したのだ。
右に動こうと思えば左に動くし、左に動こうと思えば右に動く。それが正邪の「ひっくり返す能力」の真髄。
「な、なんだ……今のは……ッ!」
「チッ、何をやっている、ランサー!?」
狼狽するランサー。苛立ちを隠そうともしないマスター。
勝利を確信していた筈のマスターの声には、僅かに焦燥が入り交じっていた。
だが、悲しい事に咄嗟に発動したひっくり返す能力の効果時間は短い。
通常の感覚に戻ったランサーが、戸惑いつつも正邪に切っ先を向け直す。
その姿を見るに、ダメージらしいダメージは通っていないらしかった。
「チッ、やっぱり英霊相手に通常弾幕じゃろくなダメージも与えられねぇ。私のサーヴァント様は一体何してやがるんですかねぇ」
「サーヴァント……? なんだ、お前、聖杯戦争には興味ないんじゃなかったのか?」
「はァ? 馬鹿な事言うなよ。聖杯に辿り着く意思がないなら、こんなクソ溜めに居る意味がないだろ」
そうだ、誰も聖杯に興味がないとは言っていない。
正邪だってマスターとして戦って、聖杯まで辿り着くつもりだ。
ただし、目的が人とは少し違う。正邪がここに居るのは、聖杯に願いを叶えて貰う為ではなく。
間抜けな面で正邪を眇める二人を嘲笑うように、正邪はくつくつと笑い出した。
「ククク……私が何を考えているか、知りたいか? 知りたいよな?」
問うが、正邪は敵の回答などは求めていない。
敵が何かを口にするよりも先に、正邪はここ最近で一番の景気の良さで滔々と語り出した。
「上に立つ者が居るなら下からとことん楯突いて、見下す奴らにゃ下克上を成す。
見上げた場所に誰かが居るなら、私はそいつに反逆する。上がある限り何処までも、終わりのない反逆の鐘を鳴らし続ける!」
それが鬼人正邪の存在意義。
それが鬼人正邪の心の強さ。
そして。
「――それが、私が私であるための条件だッ!」
鬼人正邪は虐げられ続けてきた、哀れなアマノジャクだ。
何かをひっくり返す事以外に楽しみもなければ生きがいもない。
自分の存在意義を懸けて、正邪はただ反逆をする。
強者どものイデオロギーにただ反抗し続ける。
それが正邪というちっぽけな妖怪のすべて。
困惑を浮かべる二人の敵に、正邪はニタリと笑って舌を突き出した。
「フン……分からないなら教えてやろう。私が破壊すべきは、弱者どもを殺し合わせる力そのもの!
私が下克上を成すべき相手は、この聖杯戦争……ひいては、願いを叶える願望機そのものだ!」
「お前、まさか……ッ!」
ここまで言えば、敵も正邪の意図を察したのだろう。ならばこれ以上説明をしてやる義理はない。
心の内で高らかに鳴り響く反逆の鐘に突き動かされるままに。両腕を広げ、口角を、正邪は嬉々として名乗りをあげる。
「――我が名は正邪! 生まれ持ってのアマノジャクだ!」
「やれッ、ランサー! その小娘を殺せェエエッ!!」
その意味を理解しようともせず、マスターの命に従い、ランサーは再び大地を蹴った。
だけども、ランサーの槍が正邪に到達する事はなかった。それどころか、一歩も踏み出す事すらもなかった。
ビルの壁を這う深緑色をした不気味な蔦が、まるで意思を持ったようにランサーの四肢に絡みつき、その動きを封じたのだ。
「ようやくお出ましか」
にぃ、と。正邪の頬が釣り上がる。
瞬きをした次の瞬間には、正邪とランサー、両者の間に、もう一人の男が居た。
赤のシャツに黒いロングコートを纏った、年若い茶髪の男。ポケットの中のシャブティは、いつの間にか消えていた。
男はちらりと正邪に一瞥をくれた。正邪は不敵に口角を釣り上げた。
「あーあー、随分と遅いご登場ですねぇサーヴァント様ァ、私を見殺しにする気かと思ったぞ」
「フン、待たされたのはこっちだ。貴様が俺のマスターの器たる強者かどうか、見極める必要があった」
「あ? 強者? この私に対して、強者と言ったのか? 笑わせるなよサーヴァント。私はアマノジャク、最強の弱者だ!
生まれてこの方一度も勝ったことがないが、生まれてこの方一度も屈した事がない、それがお前のマスターだッ!」
強者ではなく、弱者として。それも、最強の弱者として、正邪は笑った。
金もなく、地位もなく。誇り以外に失って困るものを持たない正邪は、その誇りに突き動かされるままに嘯いた。
だが不思議と、それで見放されるという予想はしなかった。茶髪のサーヴァントは、鼻を鳴らして笑みを浮かべた。
「フン……成程。貴様は確かに『最強の弱者』だな。
その言葉を聞けたなら、ここまで待った甲斐があったというもの……!」
男は一人でニヤリと笑うと、懐から取り出した果物ナイフのついたベルトのバックルを腹部にあてがった。
瞬時にベルトが生成され、男の腰に装着される。そのベルトを装着した男は、何処までも自身に満ちた声で名乗りを上げた。
「名乗るのが遅れたな。俺はアヴェンジャーのクラスのサーヴァント――」
そして、付け足すように、低く威圧感のある声で男は言った。
「――この世界の法を憎み、巨大な力に反逆する者だ」
バナナが描かれた錠前を指でくるりと回して、男はそれをベルトに装着する。
変身、と一声掛けられると同時、錠前がベルトの果物ナイフに切り開かれた。
アヴェンジャーの頭上に、次元を割いて巨大なバナナが現れる。ベルトから流れ出るやたらとテンションの高い音声をBGMに、アヴェンジャーの頭にバナナが落下した。
変身に掛かる時間は一瞬。アヴェンジャーの身体を、赤と黄色の西洋風の甲冑が覆って、その身を『アーマードライダー・バロン』へと変化させる。
「人は誰もがみな、強くなるほど優しさを忘れていった。貴様も同じだ、ランサー」
「何……だとッ」
「貴様も騎士なら、その外道の言いなりになる事に抵抗はあった筈。だが貴様は、己が願いを優先し、異を唱える事もせず弱者を踏み躙った……!」
バロンとなったアヴェンジャーの言葉に、ランサーは歯噛みする。
されど、蔦に四肢を封じられ身動きの取れないランサーに、出来る事など何もなく。
「……せめて最期は騎士らしく、この俺の手で華々しく散らせてやる」
バロンがベルトの果物ナイフを素早く三度倒した。
その時点で、最早ランサーのマスターは勝機はないと判断したのだろう。ランサーを見捨てて一目散に逃げ出していた。
下衆なマスターを持った事がランサーの不幸。次の瞬間には、黄金色に光り輝くエネルギーの奔流に、ランサーはその身を貫かれていた。
◆◆◆◆
戦火の過ぎ去った路地裏に訪れたのは、いつも通りの不気味な静けさと気味の悪いじめっぽさだった。
ランサーによって殺された男が寄越したパンだったものは、今や赤黒く薄汚れたゴミとして路地裏の端を転がっている。
思い返せば、あの男は本当に胸糞悪いクズ野郎だった。男が優しい声をかける度、天邪鬼の正邪にとっては虫酸が走る思いだった。
純粋な善意でパンをくれているのなら、男の前で自分の胃袋でもブチ抜いて、その善意が私を殺すのだ! くらい言ってやりたい気持ちもあった。
だが、最終的に訪れた結果はこれだ。末期の言葉も残せずに、遺言すらも残せずに。
強者による蹂躙、その被害者があの浮浪者だった。
(クソ面白くもねぇ……ッ)
冷めた目でパンを見下す正邪の胸の内には、未だ熱い怒りの炎が滾っていた。
あの男は、正邪に恨まれこそすれ、いきなり現れた通りすがりの強者に踏み躙られる謂れなどはなかったのに。
「おい、見たか? これが力を持たない弱者の末路だ、我がサーヴァントよ」
嘲笑と共に、正邪は己がサーヴァントに一瞥をくれる。
正邪のサーヴァントは強い。ビルの壁を伝う蔦すら利用した戦いぶりに、ランサーは逃げる事すら叶わなかったのだから。
バックルからバナナを外し、人間の姿に戻ったアヴェンジャーは、さもありなんといった様子で頷いた。
「それが弱肉強食、この世界の法だ」
「気に入らねぇ。だったら、そんな法は私がブッ潰す」
「ほう。それがお前の望みか、正邪」
「……私はアマノジャク、すべてをひっくり返す者だ。
強者が弱者を踏み躙らない世界を、私がこの手で築くのだ」
それは、あの小さな姫様と共に掲げたお題目とは少し違う。
弱者を虐げ続けてきた強者に対する、正邪からの宣戦布告だった。
「だが、貴様は聖杯を破壊する為に戦うと言った」
「ああ、言ったな。聖杯ってのがどんな物か私は知らないが、奴は上から目線で願いを懸けて殺し合う連中を見下してやがる」
それがどうにも我慢ならない。力を持った者に見下されるのは、心底胸糞が悪い。
何よりも、上から目線で「願いを叶えてやる」というのが面白くない。打ち出の小槌の魔法とはその点で性質が違う。
戦って、戦って、戦って、戦って。その果てに辿り着く力が、未だ自分の上に立っているという事実が正邪は許せないのだ。
だから正邪は聖杯をブッ壊してやりたいと思った。最後に待つ絶対的強者サマの鼻を明かしてやりたいと思った。
「聖杯を破壊する為に、聖杯戦争に加担するという訳か……矛盾だな」
「何も矛盾してはいない。力を振り翳す者全てが私の敵だ。ここにはそういう奴らがわんさか居るんだろう?」
獲物を前に舌なめずりする肉食獣さながらの獰猛さを感じさせる笑みで、正邪は唇をぺろりと舐めた。
この場には、自分よりも強い奴らが蠢いている。自分よりも強い『獲物』が、ひしめき合っているのだ。
正邪の言わんとする事を察したアヴェンジャーが眉根を寄せて言った。
「貴様……まさか、自分よりも強い者、『強者』にだけ戦いを挑む気か……?」
「それが私の下克上だ。付き合いきれないか? フン、笑いたくば笑え、馬鹿だと罵るがいい。お前がやらないなら、私は一人でもやるぞ」
本心だ。姫と掲げた下克上が失敗して、幻想郷中から追われる身になったとて、正邪は下克上の野望を捨ててはいない。
たとえ一人になろうとも、やるしかないのなら、どんな手段を使ってでも下克上を成し遂げる。それがアマノジャクだ。
やがて正邪に睨め付けられたアヴェンジャーは、くつくつと笑みを漏らした。
「……いや。貴様は面白い奴だ。俺が貴様のサーヴァントに選ばれた理由が分かった」
強者に嘲笑われ続けてきた正邪だが、アヴェンジャーの笑みに、見下しは感じられなかった。
不思議な男だ。この男はもしかしたら、自分と似た性質をしているのかもしれない。そう正邪は思った。
だが、どんなに自分と似ていたとしても、互いの願いが一致しないのならば共闘は不可能。
「おい、聞かせろよアヴェンジャー。お前の望みはなんだ」
「貴様の言葉を借りるなら、下克上だ。強者が弱者を虐げるこの世界の法を俺は否定する。
俺は、この世界を破壊し、今の人間では決して実現できない世界を、この手でつくり上げる……つもりだった」
「つもりだった……?」
何かを懐かしむように、アヴェンジャーはふっと微笑んだ。
「ある男との戦いで、俺は『強さ』を知った。その男は、何度涙を流そうとも、決して折れなかった。
自分の弱さを認めながら、それでも強く、泣きながらでも進んでいく……それが俺の認めた男の『強さ』だ」
「……なんだそりゃ」
正邪ははじめ、アヴェンジャーが何を言いたいのかが分からなかった。
泣く、というのは弱者のする事だ。そう正邪は思ったが、しかし罵る気にはならなかった。
何度泣いても、折れずに前へ進んでいく。それは、まさしく何度殴られても屈しなかった正邪と同じではないか。
だとするならば、アヴェンジャーの言うその男は正邪と同じく『最強の弱者』と呼べるのかもしれない。
そんな正邪の考えを読んだようなタイミングで、アヴェンジャーは言った。
「俺はお前の中に、あの男と同じ『強さ』を見た。お前に付き合ってやるのも悪くはないと思えた」
「ならば世界への復讐はどうする? お前はアヴェンジャーだ、世界への復讐がお前の存在意義だろう」
「ああ、続けるさ。確かに俺はあの男と戦い、人は何度間違おうともやり直す事が出来るのだと知った。人の未来を信じてもいいと思えた。
だが、それでも世界の構図は変わっていない。強者が弱者を虐げ、踏み躙る、「弱肉強食」というシステムは未だ俺の敵だ」
それが反逆の理由。
だからこその『アヴェンジャー』。
ましてや、この腐り切った街はアヴェンジャーの憎む世界の縮図のようなものだ。
弱者から金を、土地を、あらゆる財産を搾り取った強者は富裕層で気楽に暮らし、その皺寄せがこのクソ溜めなのだ。
それらの話を聞いて、アヴェンジャーの事を何となく理解したような気がした。
とりあえず、扱いやすかった針妙丸と違って、このサーヴァントは自分に似て小難しいと正邪は思った。
それから一拍の間を置いて、アヴェンジャーは、ふん、と一息ついてから、滔々と語り出した。
「さっきも言ったが、俺はここ数日、貴様の行動を観察していた。そして鬼人正邪という存在を何となくだが理解した。
確かに貴様は弱い。だが、貴様の野望には、俺が力を貸すに値する『強さ』がある。その『強さ』に、俺は懸ける」
「お、おう。そうか……変なやつだな、お前」
困惑する。何となく褒められているような気がして、正邪は気分が悪かった。
正邪は天邪鬼だ。罵られ、嫌われる事を喜び、人に喜ばれると自己嫌悪に陥る。そういう嫌な奴なのだ。
……と、そこでふと、正邪はひとつの違和感に気付いた。
「っていうか! ずっと見てたのならとっとと出てこいよ!? 何度クソみたいなゴロツキに殴られたと思ってるんだ!」
「そうだ、それがお前の『強さ』だ。何度殴られ蹴られようとも、貴様の心は折れなかった。ただの一度も屈しなかった……!」
それに続く言葉は、まるでおかしなものでも見るような笑いと共に。
「そして挙句の果てには自分が殺されるかもしれないという状況で、あの啖呵だ。だから俺は、貴様を俺のマスターに値する存在だと認めた」
さっき言っていた、アヴェンジャーの認めた男と同質の強さがあるから。
それでようやく納得した正邪は、そうかよ、と一言。もう自己紹介も十分とばかりに、踵を返して、歩き出す。
だが、笑みと共に語られる言葉は、そこまでだった。
「待て」と。アヴェンジャーの刺すような言葉が正邪の後ろ髪を引く。
振り返った正邪に、アヴェンジャーは、その力強い双眸をきっと尖らせて、正邪に向き直る。
「最後に一つだけ聞かせろ、正邪」
「なんだよ」
「聖杯に下克上を成すという貴様の願いは分かった。だが、聖杯の力なしに、どうやって世界を変えるつもりだ。アテはあるのか」
「さてねぇ……アマノジャクってのは悲しい種族でね。反逆する相手がいないと存在意義も示せないんだよ」
正邪の言葉の意味を察したアヴェンジャーが、眉を潜めた。
「……貴様、永遠に戦い続けるつもりか?」
「少なくとも、生きている限りは反逆を続けるだろうな」
「もしも貴様の望む下克上が成し遂げられ、戦う理由がなくなった時はどうする」
「その時は、その時だ。今度は今まで強者だった奴らに力を貸してもう一度下克上を成し遂げるか……
いや? 私の望む下克上が成った時点で、もう私の居場所はこの世界にはないのかもしれない。だったら大人しく死ぬさ。下克上を成し遂げて死ぬのなら、悪くない」
何となく、そんな予感めいたものがある。
アマノジャクとは、下克上を成す事で自分の存在意義を確立する生き物だ。
下克上の相手もなく、反逆する甲斐もない世界に、アマノジャクの存在意義などはない。
だから正邪は、その最後の瞬間が訪れるその日まで、きっと世界に抗い続けるのだろう。
「馬鹿な奴だ」と一言漏らしたアヴェンジャーは、正邪を追い越し、歩き出した。
路地裏に吹き込んだ風がアヴェンジャーのコートを揺らす。正邪もまた、アヴェンジャーと共に表の世界へと歩み出した。
ここからが下克上の始まりだ。
もう日の当たらない世界で、虐げられるだけの弱者で終わりはしない。
今度こそ、この世界に下克上を成し遂げるのだ。そんな決意を胸に、鬼人正邪の戦いは始まった。
【クラス】
アヴェンジャー
【真名】
駆紋戒斗@仮面ライダー鎧武
【ステータス】
筋力:E 耐久:D 敏捷:E 魔力:C 幸運:D 宝具:A
【属性】
混沌・中庸
【クラススキル】
下克上:B+
自身よりも強大な力に戦いを挑む、抗う者に与えられたスキル。
相手との実力差や人数差、また、一度敗北した相手と戦闘をする場合など、
不利な状況・条件での戦闘を続行する場合、ステータスに補正が得られる。
【保有スキル】
勇猛:B
威圧・混乱・幻惑といった精神干渉を無効化する能力。
また、格闘ダメージを向上させる効果もある。
カリスマ:C-
軍団の指揮能力、カリスマ性の高さを示す能力。
駆紋戒斗の場合、国家運営は出来ないが、弱者を率いて強者に立ち向かう際に真価を発揮する。
森羅の君主:A
果実の呪いを乗り越え、
ヘルヘイムの植物を自在に操る能力。
また、同じスキル同士が激突した場合、ランクの高い方が植物の支配権を奪う。
魔力放出:A+
『弱者が掴みし叛逆の真理(ロード・バロン)』解放時にのみ発動可能。
武器ないし自身の肉体に魔力を帯びさせ、瞬間的に放出することによって能力を向上させる。
また、膨大な魔力を掌から放つ事で敵の武器を受け止め、それが強力な加護のない通常の武器であった場合、判定次第で破壊する事も可能。
【宝具】
『乱世を切り拓く騎士の鍵(戦極ドライバー)』
ランク:C 種別:対人宝具(自身) レンジ:- 最大補足:1人
特定のロックシードを使用する事で、『アーマードライダー・バロン』への変身を可能にする宝具。
主にバナナロックシード、マンゴーロックシードを用いて変身出来る二つの形態を使い分けて戦う。
バナナアームズでは槍型の武器、バナスピアーを。マンゴーアームズではメイス型の武器、マンゴパニッシャーをそれぞれ使用する。
他のロックシードがあればアームズチェンジする事は可能だが、アヴェンジャーが所持しているロックシードは上記の二つのみである。
『覇道を往く創世の鍵(ゲネシスドライバー)』
ランク:B 種別:対人宝具(自身) レンジ:- 最大補足:1人
レモンエナジーロックシードを使用する事で、『アーマードライダー・バロン』への変身を可能にする宝具。
従来のバロンよりも全体的なスペックは底上げされているが、筋力・耐久の面でのみマンゴーアームズに劣る。
両端の刃で接近戦を、弓矢として遠距離戦を。遠近両用の弓矢型の武器、ソニックアローがこの形態の主な兵装。
他のロックシードがあればアームズチェンジする事は可能だが、アヴェンジャーが所持しているロックシードはレモンエナジーのみである。
『弱者が掴みし叛逆の真理(ロード・バロン)』
ランク:A 種別:対人宝具(自身) レンジ:- 最大補足:1人
筋力:A 耐久:B 敏捷:B+ 魔力:A 幸運:D 宝具:A
禁忌の果実を口にし、ヘルヘイムの呪いをも跳ね除けたアヴェンジャーの最後の姿。
人を越え、オーバーロードとして覚醒した力を解放し『ロード・バロン』へと変身する。
その力はロックシードを用いて変身する他の形態とは一線を画する。使用する武器は大剣「グロンバリャム」。
【weapon】
バナナロックシード
バナナを象ったロックシード。
戦極ドライバーに装着する事で、アーマードライダーにバナナアームズを装着させる。
ランク:C 種別:対人宝具(自身) レンジ:- 最大補足:1人
筋力:C 耐久:C 敏捷:B 魔力:C 幸運:D 宝具:C
マンゴーロックシード
マンゴーを象ったロックシード。
戦極ドライバーに装着する事で、アーマードライダーにマンゴーアームズを装着させる。
ランク:C 種別:対人宝具(自身) レンジ:- 最大補足:1人
筋力:B 耐久:B 敏捷:D 魔力:C 幸運:D 宝具:C
レモンエナジーロックシード
レモンを象ったエナジーロックシード。
ゲネシスドライバーに装着する事で、アーマードライダーにレモンエナジーアームズを装着させる。
また、ゲネシスコアを装着した戦極ドライバーにも対応しているが、アヴェンジャーは使用できない。
ランク:B 種別:対人宝具(自身) レンジ:- 最大補足:1人
筋力:C+ 耐久:C+ 敏捷:B 魔力:C 幸運:D 宝具:B
【人物背景】
チームバロンの元リーダー。20歳。アーマードライダーバロンに変身する青年。
幼少期に大企業・ユグドラシルコーポレーションによって、実家の町工場を潰されており、それ以来社会に対し強い反骨心を抱き始め、
「弱者が一方的に虐げられる世界」を否定し、その社会の破壊と、新世界の想像を目指すようになった。
傲慢不遜な性格をしているため、敵を多く作っている反面、メンバーや仲間達からは強い信頼を得ている。
常に自分の中にある「強さ」と「弱さ」という哲学に従って行動しており、「強者」と認めた者は強く評価し力を貸すが、「弱者」に対しては強い嫌悪感を持って接する。
その人生哲学の根底にあるのは、幼少時代、工場を失った重みに耐え切れず狂って行き、挙句の果てに自殺した父と、見ているだけしか出来なかった弱い自分という苦い記憶である。
上記の理由から、いかな苦境にも屈しない強靭な精神力の持ち主であり、たとえ自分よりも協力な存在相手であろうと恐れずに立ち向かうため戦績自体は奮わないものの、
多人数のアーマードライダーを指揮した戦闘では類稀なる統率力を見せる。
終盤では、他の邪魔者を排除し、天下へと至りつつあった戦極陵馬によってゲネシスドライバーを破壊され、あわや敗北の窮地にまで追い込まれたが、
それでも屈しない事を選び、その場に生えていたヘルヘイムの果実を口にし、戦極陵馬の理解を越えた超常の存在、オーバーロードへの覚醒を果たした。
最期は互いの死力を尽くして同じくオーバーロードと化した紘汰との決戦に挑むが、すんでのところで敗北。戒斗は結局「弱肉強食」という世界の法則こそ破壊できなかったものの、
人は間違ってもやり直すことが出来るのだと信じて未来に希望を託し、紘汰の「強さ」を認め、その腕の中で安らかに逝った。
【サーヴァントの願い】
生前、戒斗がついぞ叶えられなかった「弱肉強食」という法に反逆する正邪に付き合って、その夢を見届ける。
【マスター】
鬼人正邪@東方輝針城
【マスターとしての願い】
聖杯戦争と願望機、この街に蔓延るあらゆる「強者」に下克上を成す。
聖杯が現れたなら、その聖杯すら破壊して、世界への反逆を続ける。
【weapon】
ひらり布
打ち出の小槌の魔力を秘めた布。マントのようにして肩に羽織っている。
小槌の魔力を発動し、ひらり布に身を隠す事であらゆる攻撃から身を守ることが出来るが、これを纏っている間身動きが取れない。
一度使用すればひらり布自体に小槌の魔力が充填されるまで数時間は使用不可となる。
天狗のトイカメラ
打ち出の小槌の魔力を秘めたトイカメラ。紐で首にかけている。
小槌の魔力を発動してシャッターを切れば、写真に撮影した弾幕を切り取って消滅させる事が可能。
ただし、消滅させられるのは質量を持たない遠距離攻撃、もしくは銃弾のような質量の小さい遠距離攻撃に限る。
オートフォーカスで自動巻き上げ式。一度に三枚まで撮影出来るが、一度規定数を使い切ればカメラ自体に小槌の魔力が充填されるまで数時間は使用不可となる。
【能力・技能】
何でもひっくり返す程度の能力。
相手の視覚の上下・左右、もしくは、相手の感覚の上下・左右を入れ替える。
だが、そう長時間の入れ替えは出来ず、三騎士のような戦闘慣れした者が相手ならば、僅かな時間稼ぎにしかならない。
また、幻想郷の住人なので飛行と、弾幕の発射が可能。持っている道具含めて、基本的に遠距離弾幕戦で力が発揮されるものが多い。
【人物背景】
逆襲のあまのじゃく。
東方輝針城における5面ボスであり、道具が付喪神化し普段無害な妖怪まで暴れ出した百鬼夜行異変の黒幕。
人が嫌がることを好む、人を喜ばせると自己嫌悪に陥る、人の命令は絶対に聞かない、得をしても見返りは与えない、嫌われると喜ぶというまさに天邪鬼な性格。
強者が支配する安定した幻想郷をブチ壊し、弱者がものを言う世界に変えるという大きな野望を持って行動を起こす。
だが、正邪自体は虐げられる側の弱小妖怪であり、下克上を成し遂げるだけの力など無かった。
そこで目を付けたのが、小人族の末裔「少名針妙丸」の持つ秘宝「打ち出の小槌」である。
持ち主でありながら打ち出の小槌の概要をよく知らなかった針妙丸に「小人は幻想郷の妖怪達に屈辱を与えられた」という嘘の歴史を吹き込み、
更に打ち出の小槌の魔力の代償の事を教えずに針妙丸に使わせ、挙句の果てには異変解決後は針妙丸を捨てて逃げるなど、目的の為ならば手段は選ばない性格である。
終いには幻想郷の秩序を重んじる妖怪たちに懸賞金まで懸けられ、不可避の弾幕で襲い来る幻想郷中の追手から逃げ続ける事になる。
小槌の魔力が僅かに残った「反則アイテム」を駆使して今も逃げ続けている正邪だが、正邪本人はそれを手に再び世界をひっくり返すつもりである。
正邪が反逆をするのは天邪鬼という種族ゆえであって、反逆する事をやめた時、ひいては存在意義を示せなくなった時、意味といて妖怪・鬼人正邪は死んでしまう。
まさしく命を懸けて反逆し続けるしか出来ない哀れな種族と言えよう。
【基本戦術、方針、運用法】
強者と思しき敵を狙って倒す。慣れ合いをする気はない。
そして最後に現れた願望機を破壊する事で、聖杯戦争への下克上を完了とする。
両者共に協調性はないため、会ったばかりの他チームと素直に同名を組むのは難しい。
だが、巨大な敵に挑むため、散り散りの戦力を集めて戦う場合は、戒斗の統率力と
正邪の話術も相俟って、上手く連携の取れたチームを結成する事が出来ると思われる。
ただし、目的こそ一致しているものの、卑劣な手段を嫌う戒斗と、手段を選ばない正邪とでは選択するやり方が大きく違う。
戒斗という戦闘手段がある以上、正邪の二枚舌に出る幕はないかもしれないが、作戦の練り方には気を付けなければならない。
【参戦方法】
幻想郷で逃げ回っている最中、打ち出の小槌の魔力が残ったシャブティを発見。
まだ見ぬ反則アイテムだと思い保護した正邪だったが、それは聖杯戦争への参加証だった。
【令呪】
左手の甲に刻まれている。中心から三方向へと伸びた矢印型。
最終更新:2015年05月09日 02:15