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ゴッサムシティに偶然に召喚された一人の男がいた。男は魔術師であり、真理を探究する者であった。
そう、探究だ。男の起源は「探究」であり、起源覚醒者である男は探り、暴くことに特化した魔術師だった。
起源に覚醒したその時から男の人生と能力は全て神秘の探究に費やされた。しかし男はある意味魔術師であって魔術師ではない存在となった。

魔術師の目的とは「根源」に至ることだ。しかし男は現代の多くの魔術師と同じく「根源」を目指すことはしなかった。男の家門が継いできた方法では「根源」に決して至れないと気づいたから―――だけではなかった。
起源を自覚する男はこの世に散らばる多くの魔術、神秘を解き明かしたいという欲求に支配されていた。そのためなら家を出ることに反対した一族を皆殺しにすることも現代機器に頼ることも辞さなかった。男は「根源」を目指す魔術師ではなく自らの探究心を満たすためだけに魔術を行使する魔術使いとなった。

自らの本能の赴くまま世界各地を飛び回り、あらゆる遺跡を荒らして回った男がシャブティの人形を手にし、ゴッサムシティに意図せず呼び出されたのも、男に宛がわれたサーヴァントがキャスターであったことも全くもって必然の出来事であった。
しかし男にしてみれば迷惑以外の何でもなかった。期せずして訪れた聖杯探究の機会に興味はあるが降りることすら許されず、敗北すれば架空の犯罪都市、ゴッサムに永遠に幽閉されるなど冗談ではない。他人の命に頓着する性分ではないが自分が殺されるのは御免だ。




―――などと保身のための策を考えていたのも最初だけだった。
ある時サーヴァントを伴って街の探索をしていた時奇妙な植物を発見した。明らかに植物が繁殖できない環境を、まるで自ら世界を浸食せんとばかりに生い茂っていた未知の植物に男は神秘を感じ取った。
男の起源によって強化された魔眼じみた解析魔術はその植物と、植物から生えた謎の果実がこの世ならざる神秘の産物であることを瞬時に暴いた。男は何の躊躇もなく植物を切り取り果実を採集し自らの工房たる自宅に持ち帰った。

強烈な食欲を誘発する果実を解析し、試しに路地裏で魂喰いのために“捕獲”したNPCに投与したところ凶暴な未知の怪物へと変貌した。幸い怪物はキャスターによって即座に焼却されたが男はさらに異界の植物と果実―――ヘルヘイムにのめり込んでいった。聖杯戦争に専念するよう進言したキャスターは令呪で黙らせた。




翌日、さらに研究資料たる果実を採取するためフィールドワークを行っていたその時、男はある存在に目と心を奪われた。
人通りの少ない路地に佇む銀髪赤眼の少女がかつて一度だけドイツで遭遇したことのあるアインツベルンのホムンクルスであることはすぐに分かった。しかし一目見ただけでその作品としての完成度が桁外れの域にあることが見て取れた。
解析能力に特化した男の魔術ではアインツベルンのホムンクルスを捕獲するなど夢のまた夢だったが、今は超常存在たるサーヴァントがいる。ならばマスター候補であろう少女がサーヴァントを召喚する前に事を済ませるべきだ。

(キャスター、サーヴァントを呼ばれる前にあのホムンクルスの身包みを剥がして無力化しろ。絶対に傷はつけるな)

キャスターは渋々といった体で実体化し魔術を行使した。一瞬の後、少女の衣服は靴まで含めて全てが灰と化し、一糸纏わぬ裸体を曝け出した。

「サーヴァント………!」

中級レベルとはいえ気配遮断を行えるキャスターの不意打ちに少女は対応できなかったようだ。恥辱に身を震わせる少女に構いもせず男は解析を行う。
素晴らしい。単なる鋳造品の枠を超えた人間同然に構成されている。さらに魔術的調整によるものなのか全身の七割にも渡って魔術回路が存在している。現代魔術師の常識からは考えられない奇跡の産物が目の前にある。
男は少女を生かさず殺さず隅々まで検分し、研究することを即決した。聖杯戦争の趨勢さえ脳裏の片隅に追いやられていた。それほどまでの衝撃と感動を味わっていた。

「マスター!」

だがキャスターの声ですぐさま現実に引き戻された。青く輝くエーテルの光。男がキャスターを召喚した時と同じ、サーヴァント召喚の合図―――!
男の眼に映ったのは若草色の頭髪で軽装の槍を携えた美丈夫の戦士。しかしてマスターとしての権限によって透視できるサーヴァントの能力と濃厚な神秘は明らかに最高峰。決断は一瞬だった。

「何だか妙なことになってやがるが、それ以上俺のマスターをやらせるわけにはいかねえな」
「令呪を以って命じる、私を連れて転移しろキャスター」

男のキャスターは限定的ながら転移という大魔術を行うことができた。本来なら陣地の内部、それも二工程の詠唱を経て行われる術理を令呪によって一瞬に短縮してのけた。
戦闘に関する魔術を極度に不得手とする男は逃走に関する技術を徹底的に磨いてきた。その経験がこの状況にあっても活きた。
キャスターが選んだのは三百メートル離れた家屋の屋根。相手の出方を伺いつつキャスターが魔術を紡ぐに相応しい絶妙の距離であった。



「よう、久しぶりだな変態野郎」


――――――尋常な英霊が相手であれば、の話だが。



視界が空転する。遠くに崩れ落ちる自分の身体が見えた。キャスターはどうした。いや、既に心臓を槍で貫かれている。
転移でサーヴァントから逃れたと思ったら正面に回り込まれ、視認すら不可能な槍捌きで己とキャスターは同時に屠られた。
何故だ。見るからに三大騎士クラスであろうサーヴァントも転移魔術を会得していたとでもいうのか。それともまさか―――純粋な走力でキャスターの転移に追いついたというのか。



疑問は最期まで形を結ばぬまま、男の聖杯戦争は呆気なくその幕を閉じた。









「ようお嬢ちゃん。随分大変な目にあったみたいだな。
ライダーのサーヴァント、アキレウス。召喚に応じて馳せ参じた」

屈託のない笑みを浮かべるライダー。対照的にマスターの少女、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンは無表情であった。
いや、強いて言えばその赤い瞳には失望の色が宿っていることがライダーにも窺うことができた。自らの真名を明かした上でそのような目を向けられるとはどういうことか。

「………あなたじゃない」

少女は露わになった肢体を隠そうともせず力なく階段の段差に腰掛けた。覇気どころか生きる気力すらも感じられない態度は到底聖杯戦争に臨むマスターのそれとは思えない。

「何だ、嬢ちゃん。この俺がサーヴァントじゃ不満か?」
「当たり前でしょう、アキレウスなんてわたしのバーサーカーに比べたら大した英霊じゃないわ」

二重の意味で聞き捨てならない言葉だ。まるでこの少女がこことは違う聖杯戦争の当事者であったかのような口ぶりだ。
何より、このアキレウスを大した英霊でないなどと断言できるサーヴァントとは一体どれほどの者なのか。

「ほう、どこのどいつだ。そのバーサーカーとやらは」
「ヘラクレスよ。ヘラクレスなら少しは希望を持てたのに、あなたじゃ無理よ。
ヘラクレスで勝てなかったのに、アキレウスでどうやって勝てっていうのよ」
「何だと…!?おい嬢ちゃん、そりゃ冗談か間違いじゃないだろうな?」

告げられた英雄の名はライダーをして驚愕せざるを得ない大英雄だった。
ヘラクレス。多くの英雄豪傑を内包するギリシャ神話において屈指の偉業と功績を打ち立て神の座の末席に座ることさえ許された最高の大英雄。
如何にバーサーカーで現界したとはいえど、そのヘラクレスが聖杯戦争を勝ち残れなかったなどと。そんなことが有り得るというのか。
少女、イリヤスフィールは詰め寄るライダーに怒り、いや非難めいた眼を向けた。



「冗談なわけないでしょう!バーサーカーは世界で一番強いんだから!例え負けたって、最強のサーヴァントなんだから!
負けたのは、わたしが傍にいたから。わたしなんかがいたせいで負けただけ」
「謙遜するほど嬢ちゃんの魔力は少なくはないと思うがな」

イリヤスフィールは俯いて、ぽつぽつと話を始めた。どちらかといえば独り言に近い風であったが。
聖杯戦争という儀式の小聖杯の器として生を受けたこと。
母親は前回の聖杯戦争で死に、父親は自分を裏切り新しい家族を持っていたこと。
イリヤスフィールやアインツベルンの当主を含め、ただ役目に生きるためだけに、人間を幸福にする道具として消費されるホムンクルスたち。
何一つ自分と呼べるものが無い中、狂いながら自らの意思でイリヤスフィールを守り続けた父のような鋼の英雄。
そして訪れた聖杯戦争の最中、かつて母親が暮らした城で父親の養子に会おうとしていた時に自分とバーサーカーが敗北し、死んだことを。

「わかったでしょう?わたしはこの聖杯戦争に参加しようと思ったわけじゃない。
生き返してほしいなんて頼んでない。助けてほしいなんて言ってない。あなたを呼んだ覚えもない。
だからもう放っておいて。あなたは新しいマスターでも探しなさい。わたしなんかと一緒にいたってどうせ勝てやしないんだから」

イリヤスフィール・フォン・アインツベルンの生には何の意味も価値もなかった。
復讐も、聖杯の器としての役目も果たせなかった自分にはもう何も残っていない。一度は取り込んだライダーの魂も今は感じられない。
ただ偶然に死に損なって、もうすぐ本当に死ぬだけだ。それがどんな形で訪れるかはわからないけれど。
聖杯に望みを託すために召喚されたサーヴァントが付き合う必要はどこにもない。




「で、結局どうしたいんだよお前は?」

―――それを、ライダーは平然と無視した。



「あなた、人の話聞いてなかったの?わたしは放っておいてって言ったんだけど」
「ああ、聞いた。その上で俺の勝手でここにいるだけだ。“やけっぱちになってます”って顔に書いてあるガキをそのまま見殺しにする英雄がどこにいる。
俺は忠義の騎士ってわけじゃないが英雄だ。自分で主を裏切るなんぞご免だね」

サーヴァントによっては新たな主を探すこともあるだろう。だがアキレウスは違う。
母に誓った英雄としての矜持と在り方は例えサーヴァントと化しても捨てるつもりは毛頭ない。心の奥底で泣いている子供を見捨てるなど断じて英雄たる者のすることではない。

「確かに俺はヘラクレスに比べれば劣る英雄だ。お前が一度死んだというのも事実なんだろうさ。
だがな、それでもお前はマスターとして、俺はお前のサーヴァントとしてここにいる。
それを無意味なことだと決めつけるのか?お前には何の望みもないのか?」

違う。まだ生きていたい。したいことも、やらなければならないこともある。
かつてアインツベルンで消費された彼女達に言われたことがある。無価値であっても構わない、と。
それはおかしい。彼の言う通り、自分は今ここにいる。息をして生の実感を得ている。それを終わらせたくない。
生きることを諦め、自ら電源を落としてしまえば楽にはなれるかもしれない。けれど、自分はそれをおかしいことだと、生きたい、生きていてほしいと叫んだのではなかったか。

「俺は英雄だが我欲の塊だ。二度目の生を得られたからにはやりたい事が山のようにある。
中にはやりたい事をやりきった英雄や無欲な英雄なんかもいるんだろうが、嬢ちゃんがそうなるのは早すぎるってもんだ。
だから願え、そして俺に命じろ。聖杯戦争に勝って聖杯を獲ってこい、ってな」
「…本当に勝手なサーヴァント。まさか本当に勝てると思ってるの?ヘラクレスだって負けたのに」
「別に今すぐ俺を信頼しろとは言わねえさ。何しろ比べられる相手が悪すぎる。
…だが自分で生を諦めることだけはするな。ヘラクレスや俺の師匠がここにいたらきっと同じことを言うはずだ」



ライダーは己の力と存在に絶対の自負を持っている。普段ならマスターに力を疑うような暴言を吐かれれば殴るとまでは言わずとも一喝はしているところだ。
だがヘラクレスが比較対象ならば仕方ない。自分を卑下しているのではなく、ギリシャ最高の英雄に対する当然の認識だった。少女とヘラクレスの間にいきなり自分が割り込めると思えるほど図々しくはなれない。

「わたしは…わたしはまだ生きてる。生きたい。まだ終われない。
シロウにだって会ってない。あんなわけのわからないサーヴァントに殺されて終わりだなんて、そんなの嫌!」
「よし、それで良いんだ。自分が無いなんざとんだ嘘じゃねえか。
ホムンクルスがどうだのは俺にはわからん話だが、生きたいという欲とやりたい事があるならお前はもう立派な人間なんだよ」

涙を流す己のマスターの瞳に急速に生気が戻っていく様を見てライダーは満足気に頷いた。
やはり子供は元気に泣き、怒り、笑うのが一番良い。

「しかし何だ、さしあたってはその格好を何とかしねえとな。俺のマスターが裸じゃな」
「…………………あ」

ライダーに指摘されて自分が如何に淑女として有り得ない格好をしているか思い出した。
しかも女性としての大事な部分を全て曝け出してしまっている。一気に顔が赤くなり、今さらながら両腕で身体を隠した。

「……え、おい今さらか?」
「今さらも何もないわよ!もっと早く言いなさいこの馬鹿サーヴァント!!」
「出るとこ出てないどころか毛すら生えてないガキに欲情するやつなんざいねえだろ。…ってさっきのマスターがそうだったか。
とにかく一度拠点に戻って着替えれば良い話だろうが」
「そんなものないわよ!気がついたらもうここにいたんだから!!
とにかく今すぐわたしの服を探してきなさーい!!」
「おいちょっと待て、この俺にコソ泥の真似事をさせるつもりかお前!?」
「わたしが襲われる前に出てこなかったあなたが悪いんでしょ!!」

暴論だがそれを言われてはライダーも返す言葉がない。どうあれマスターが攻撃される前に間に合わなかったのは事実だ。
逆立った髪をボリボリと掻いてから一つの妥協案を出した。

「わかったわかった。だが今ここで別行動は危険が大きすぎるから駄目だ。
そう簡単に見つからないという確証が持てる隠れ家を見つけるまでは我慢しろ」
「…それまでわたしに裸で往来を歩けっていうの?」
「そうは言わねえさ。それに地を駆けるより空から探す方が手っ取り早い」

何もない空間から一台の戦車(チャリオット)が召喚された。一目で神代に生きた生物とわかる二頭の神馬と一頭の名馬からなるライダーのライダーたる所以。
その名を「疾風怒濤の不死戦車(トロイアス・トラゴーイディア)。あらゆる英雄を超える俊足を誇るライダーよりも尚速い、この世全てを置き去りにする宝具である。

「とりあえずはこいつで街を観察しつつ隠れ家を探す。見られたくないなら御者台から顔を出さないようにしとけ」
「ち、ちょっと!?自分で乗れるから離しなさい!」

身体を丸めたままのイリヤスフィールを半ば無理やり抱き上げて御者台に乗せてライダー自身も戦車に搭乗する。
空へと舞い上がると一気に加速し夜空へと飛び立った。もっともマスターに配慮して少々スピードは抑えているが。



果たしてこれで正しかったのだろうか―――とライダーは自問する。もしかすると自分は彼女をさらなる地獄の苦難へ引きずり込んだのではあるまいか、と。
ヘラクレスでさえも敗れ去ったという聖杯戦争。彼の英雄よりも劣るアキレウスが走破できるものなのか。少なくとも夜の世界に漂う瘴気からトロイア戦争を駆け抜けた時のようにはいかないであろうことは察することができた。
考えたところで自分が正しかったのかどうか、今のライダーには判然としない。あるいは全て過ちでしかなかったのかもしれない、それでも。

(俺の望みはこいつに肩入れすることだ。それだけは間違いない。
こいつに聖杯を獲らせるために走り続けるだけだ)

戦うと決めた。そこに如何なる試練があろうとも、それでも戦い抜くと、自ら望んで決めたのだ。
結局今も昔もアキレウスは英雄として走り続けるしかないのだ。





【クラス】

ライダー

【真名】

アキレウス@Fate/Apocrypha

【ステータス】

筋力B+ 耐久A 敏捷A+ 魔力C 幸運D 宝具A+

【属性】

秩序・中庸

【クラススキル】

騎乗:A+
 騎乗の才能。獣であるのならば幻獣・神獣まで乗りこなせる。ただし、竜種は該当しない。

対魔力:C
二節以下の詠唱による魔術を無効化する。大魔術・儀礼呪法など、大掛かりな魔術は防げない。

【保有スキル】

戦闘続行:A
 往生際が悪い。弱点であるはずのアキレス腱と心臓を射抜かれてもしばらく戦い続けた。

勇猛:A+
 威圧・混乱・幻惑といった精神干渉を無効にする能力。また、格闘ダメージを向上させる効果もある。

女神の寵愛:B
 母である女神テティスから寵愛を受けている。魔力と幸運を除く全ステータスがランクアップする。

神性:C
 海の女神テティスと人間の英雄ペレウスとの間の子。

【宝具】

『疾風怒濤の不死戦車(トロイアス・トラゴーイディア)』
ランク:A 種別:対軍宝具 レンジ:2~60 最大捕捉:50人

アキレウスが戦場で駆ったと言われる三頭立ての戦車。
海神ポセイドンから賜った不死の二頭の神馬「クサントス」と「バリオス」、エーエティオーンの都市を襲撃した際に奪った名馬「ペーダソス」からなる戦車。
ただ疾駆するだけで戦場を蹂躙し、削岩機の如き勢いで敵陣を粉砕し、天を翔ける。
速度の向上に比例して相手に追加ダメージを与える。最高速度となると、大型ジャンボ機ですら瞬時に解体する。


『彗星走法(ドロメウス・コメーテース)』
ランク:A+ 種別:対人(自身)宝具 レンジ:0 最大捕捉:1人

「あらゆる時代の、あらゆる英雄の中で、最も迅い」というアキレウスの伝説。
『疾風怒濤の不死戦車』から降り立つことで起動する常時発動型の宝具。広大な戦場を一呼吸で駆け抜け、フィールド上に障害物があっても速度は鈍らない。弱点であるアキレス腱が露出してしまうが、アキレウスの速度を捕捉できる英雄は数少ない。


『勇者の不凋花(アンドレアス・アマラントス)』
ランク:B 種別:対人(自身)宝具 レンジ:0 最大捕捉:1人

アキレウスの母である女神テティスが彼に与えた不死の肉体。
全身に不死の祝福がかかっており、如何なる攻撃を受けても無効化する。だが一定ランク以上の『神性』を持つ相手には、この効果が無効化されてしまう。
また伝承に伝わる通り、急所である「踵」には効果がない。さらに悪意や敵意を含む攻撃には有効だが、吸血行為のような、攻撃ではなく『友愛』を示す行動には作用しないという弱点も存在する。


『宙駆ける星の穂先(ディアトレコーン・アステール・ロンケーイ)』

ケイローンが作った青銅とトネリコの槍。アキレウスはこの槍を用いてケイローンすらも知らない独自の能力を編み出した。その能力は「闘技場」。突き立てた槍を基点として空間そのものを切り取る形で、闇の壁に包まれた特殊な空間を作り出す、固有結界と似て非なる大魔術である。
この空間の効果は「一対一で敵と公平に戦うこと」、ただそれだけ。この空間内では神の加護は働かず、第三者は無論、幸運すらも介入させず、時間も静止している。また、この闘技場を塗り潰せるようなものでなければ武具や宝具の使用も制約される。空間内では通常と異なり負傷は治らず、蘇生系のスキルや宝具も効果を発揮せず、敗者は現実に戻っても死亡する。
この効果はアキレウス自身にも適用され、ここでは『勇者の不凋花』の不死は働かなくなる。あくまで相手と「公平」に戦うための領域であり、必ずしもアキレウスにとって有利になるとは限らない。
つまるところこの闘技場の効果とは、ただ己の拳足のみで相手を打ち斃す「公平無私の一騎打ち」の強制である。


『蒼天囲みし小世界(アキレウス・コスモス)』

 アキレウスの母である女神テティスが息子のために作らせた鍛冶神ヘパイストス製の盾であり、アキレウスが生きた世界の全てを表す。全面に渡って凄まじいまでの精緻な意匠が施されている。
真名開放することで盾に刻み込まれた極小の世界が展開され、一つの“世界そのもの”で攻撃を防ぐ防御宝具。


【weapon】
 無銘・剣
 アキレウスが腰に差している剣。アキレウスは場合によってこの剣と槍を同時に操る一剣一槍のスタイルを用いることがある。


【人物背景】
ギリシャ神話においてヘラクレスと並び称される大英雄であり、英雄ペレウスと女神テティスを両親に持つ、世界的規模の知名度を誇るトロイア戦争最強の戦士。
気に入らなければ王の命令であろうと公然と無視する奔放な青年。

だが義に厚く、卑怯な振る舞いを嫌い、討ち果たされた友のためなら万軍を敵に回しても見事敵将を討つほどの豪傑で、世界にただ一人の友と愛する女たちがいれば、ただそれだけで満足とし、散り様でさえ陽気を忘れない勇者。
敵と認めた者は徹底的に打ちのめす苛烈な気性だが、一度味方、あるいは「良い奴」と認めた者には甘さを見せる、良い意味でも悪い意味でも「英雄らしい」人物。豪放磊落な一方、乱暴狼藉な英雄ではなく、父ペレウスに似て穏健を善しとする根の甘さを持った青年でもある。

強敵との力を尽くした戦いを好み、破格の不死性を誇るものの、彼にとってはそれすらも寧ろ破られる方が好ましく感じており、自らを傷付けられる好敵手と戦う事を熱望している。原作では自身の願いの為に最終的にマスター換えを受けいれたものの、裏切り行為自体は嫌っているようで本来のマスターに対して例え顔を会わせてなくても主であるマスターを裏切りなどご免と語るなど義理がたい一面を持っている。

聖杯への願いは生前と変わらず「英雄として振る舞う事」。過去の戦いや神に背き破滅した事など生前の出来事に対する未練はないが、現世でやってみたい事は山ほどあるので、「第二の生」にも興味がない訳ではない。だが彼にとって母に誓った「英雄として生き、英雄として死ぬこと」が人生の大前提となっている。



【サーヴァントとしての願い】
 イリヤスフィールを守り抜き、聖杯戦争の制覇というへラクレスが果たせなかった偉業を成し遂げる。





【マスター】
イリヤスフィール・フォン・アインツベルン@Fate/stay night Unlimited Blade Works

【マスターとしての願い】
 まだ何もしていない。このままでは終われない。生きたい。


【能力・技能】
 冬木の聖杯として自身の魔力で可能な範疇で過程を省略して結果を得る願望器としての力を行使可能だった。
 しかし大聖杯の無いゴッサムシティでは大幅に弱体化している。それでも全身の七割が魔術回路であるためアキレウスを支えるだけなら何の問題もないほど膨大な魔力を保有している。
 様々な魔術調整を施された影響で肉体の成長が二次成長で止まっており、このため身体的には非常に脆弱。

【人物背景】
 「雪の妖精」を思わせる小柄な少女。愛称はイリヤ。聖杯戦争のためだけに育てられた、マスターとして最強の存在。基本的には素直で無邪気、天真爛漫な性格だが一般的な常識や倫理観が乏しく、特に殺人に抵抗がない(ただしあくまで敵として認識した相手に対してであり、無関係な民間人を手にかけるほど残忍ではない)。普段の立ち居振る舞いは幼いが魔術師・貴族の姫として威厳のある一面もある。

 衛宮切嗣とアインツベルンのアイリスフィールとの間に生まれた実娘。実年齢は18歳であり、衛宮士郎にとっては非血縁の姉にあたる。母のアイリスフィールはアインツベルンの錬金術が生み出したホムンクルスであり、彼女もまた母の胎内にいる時からアインツベルンより前述の通り様々な魔術的調整を施されており、その影響で肉体の成長が二次成長で止まっている。

 切嗣が自分と母を捨て最後の最後でアインツベルンを裏切ったと吹き込まれたことで切嗣を憎んでいるが、故人と知った時に悲しむなど内心複雑な模様。士郎のことは最後の家族としても見ており、彼を失い再び孤独になることを何よりも恐れている。聖杯戦争中、アインツベルン城に交渉に訪れた士郎と会うことを楽しみにしていたが直後に現れた第八のサーヴァント、ギルガメッシュの襲撃を受けサーヴァントのバーサーカー共々戦死した。


【参戦方法】
 アインツベルン城に飾られた絵画の中にシャブティの人形が描かれた絵があった。
 しかし参戦直前のイリヤが直接手に持っていたわけではなく、参戦できた理由としてはかなりのイレギュラー。そのためかNPCとしての生活期間が無く生活の基盤も無い。


【方針】
 ゴッサムシティの聖杯という存在に疑問はあるが戦い勝ち残ること自体に迷いは無い。
 戦略としては基本的に冬木市の第五次聖杯戦争と同じく強力なサーヴァントを全面に押し出した正攻法。イリヤが弱体化していることもありサーヴァント戦で確実に勝利することが必須となる。

 ライダー自身の性能はまさしく破格の一言。ヘラクレスに次ぐ大英雄の名は伊達ではなく踵以外の全身が不死となっており、如何なる攻撃も一切受け付けず神性を持たない相手に敗北する可能性はほぼ存在しないと言っていい。
 例え神性スキルを持つサーヴァントと相対したとしてもライダー自身が一級の三騎士すら凌駕する戦闘能力と様々な戦局に対応できる豊富な宝具を持つため大きな不利を負うことはまずない。何となれば「蒼天囲みし小世界」を解放することで危険な攻撃は防ぎ切れる。
 世界で最も迅い英雄の名の通り他の追随を許さないほどの機動力によって追撃・離脱にも苦労しない。ライダーよりもさらに速い「疾風怒濤の不死戦車」を活用することでヘラクレスには出来なかった「弱点であるマスターを宝具で保護する」という戦略を採れることも大きい。マスターのイリヤスフィールも破格の英雄であるライダーを支えるに足る魔力を持っている。

 ………問題はそれが全てであり、サーヴァントの実力とマスターの魔力量以外に何一つ武器と呼べるものが存在しないことである。
 聖杯の器として歪んだ教育を施されたイリヤスフィールは貴族としての振る舞いこそ身に着けているものの実践的な対外交渉スキルは望めず、それ以前に世間の常識に非常に疎い。生活能力も皆無という有り様。
 生活基盤も存在しないため彼らには安全な拠点も資金も物資も無い。他のマスターやサーヴァントではなく飢えと渇きが最大の敵という冗談のような状況。これを独力で打破するには窃盗しかないがそういった行為はライダーの嫌う「英雄らしからぬ行い」に該当する。
 このため単独で勝ち抜くなら短期決戦、見敵必殺の心構えで全てのサーヴァントを撃破する以外の選択肢が実質的に存在しない。ライダーの悪癖である強者故の慢心をどれだけ抑えられるかが鍵だろう。



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最終更新:2015年05月09日 02:20