450 名前:我々はモビルシチズンを応援します投稿日:2008/07/10(木) 04:00:03 ID:???
それはクリスマスセールに売れ残った
ザコソルジャーでした。
ワゴン品に混じって「ここままでは返品されるザコね」なんて思っていた頃、厳ついオッサンが買っていったザコでした。
オッサン――ロイザーは一人の少女の為にザコを買っていったのです。
オッサンは仲間達と一緒に工場を経営してました。その中で孤児だった少女を引き取って育てていました。
少女の話し相手になるような同年代の子供は居なくて、クリスマスにモノを買って挙げられるほど裕福ではなくて
大人達はそれでも屈託なく笑う少女に僅かばかりのお金を集めてセールにでていたザコを買ったのです。
その日から、町工場に一人の家族が加わったのでした。
しかし細々と経営を続けるロイザー達に、大企業の圧力がかかってきました。
ライバル会社の牽制に、彼らはロイザーの会社の土地を欲しがったのです。
それでも真っ当な方法で負けたならまだ納得できたでしょう。しかし工場は悪質な嫌がらせを繰り返し、繰り返し受けたのです。
ザコは無力でした。
ザコにできることと言えば、少女と一緒に工場の手伝いぐらいしかできません。
「根性だけじゃどうにもならないんだぜ? 現実ってやつは」
いつも笑顔の少女がそんな事をいうと、ザコはたまらなく哀しくなるのです。
ネオ・ジオン社のモビルシチズンは、会社に行けば購入後1年間は無料で整備をしてくれます。
まだまだモビルシチズンは過渡期にあるので、様々なデータを取る必要があるのです。
「直ったぞ。しかしお前は疲労が激しすぎる。あまりココにくるのは感心しないな」
「ありがとう御座いますザコ、プロフェッサーガーベラ様ザコ」
過酷な労働環境にあるザコにとって、無料で整備を受けられるのがどれだけありがたいことか、言葉に表し尽くせません。
その日もザコは整備を受けて、工場へと戻る途中でした。
「火事だ!火事!だれか火消しをよべー」
消火装置をもったトールギスⅢが飛んでいった方角は、工場のある方角だったのです。
「ザコォ……」
工場が綺麗サッパリ無くなってから、もう一年以上が立ちました。
ザコの身体は節々が錆びていて、動くのが億劫でしかありませんでした。
光の差し込まない森の中に倒れ、ザコは自分が朽ちていくをの感じました。
会社に戻ろうと思えばできました。そこで整備をしてもらい、新しい雇い主と出会う……
でもザコはそんな気分にはなれなかったのです。自分は大事な時にあの場所に居られなかったのですから。
もうゆっくりとこのまま錆びていこうとザコは思いました。それは消極的な自殺でした。
ただ随分と時間がかかりました。
ネオ・ジオン社の技術が優秀であり、そう決めた日は整備をした当日だったのですから、そうもありましょう。
ザコは最近はずっと、工場に居た頃のメモリーばかり再生しています。
「まるで夢を見ているみたい……ザコ……」
夢がどんなものかは分かりません。
楽しかったり、哀しかったり、寂しかったり、恐ろしかったりするものだと、少女は言ってました。
それを聞いたとき、ザコは漠然と「いいな」と思ったのです。
予備電源が切れていくのをザコは感じていました。
――特別あつらえだぞ!? 嬉しいだろ?
少女が不良品を叩き直して造ったヒートホークのレプリカを、ザコは知らずに握りしめていました。
「ねえバーニィ!ザコが倒れてるよ!!」
アルは野良ザコを家に連れて帰るのは難しいと思いました。
長兄であるアムロはザコのライバル会社の重役ですし、
次兄のシローは警察官です。
隠して持っていくのはできるかも知れません。だけどザコは非道く破損してて、修理が必要に見えました。
ザコを修理する材料と技術ならガロードとジュドーが幾らでも持っていそうですが
彼らに知られれば、彼らにその気がなくてもバレてしまうでしょう。
任務といって口封じをしてヒイロに頼むという方法もありますが、なんだか騙すようで気が乗りません。
というより、ヒイロは知らない間に家に帰ってきて、知らない間に出て行くので捕まえることが難しいのが問題でした。
他に優秀なメカニックとして弟のシュウトも居ますが、弟に頼むというのは情け無く
またキャプテンガンダムと仲良しのシュウトに、ザコソルジャーを修理して貰うというのはザク派のアルとしては複雑な気分だったのです。
結局、仲良しのバーニィの家に置いて貰い、一緒に修理することにしました。
451 名前:我々はモビルシチズンを応援します投稿日:2008/07/10(木) 04:01:23 ID:???
アルは野良ザコを家に連れて帰るのは難しいと思いました。
長兄であるアムロはザコのライバル会社の重役ですし、
次兄のシローは警察官です。
隠して持っていくのはできるかも知れません。だけどザコは非道く破損してて、修理が必要に見えました。
ザコを修理する材料と技術ならガロードとジュドーが幾らでも持っていそうですが
彼らに知られれば、彼らにその気がなくてもバレてしまうでしょう。
任務といって口封じをしてヒイロに頼むという方法もありますが、なんだか騙すようで気が乗りません。
というより、ヒイロは知らない間に家に帰ってきて、知らない間に出て行くので捕まえることが難しいのが問題でした。
他に優秀なメカニックとして弟のシュウトも居ますが、弟に頼むというのは情け無く
またキャプテンガンダムと仲良しのシュウトに、ザコソルジャーを修理して貰うというのはザク派のアルとしては複雑な気分だったのです。
結局、仲良しのバーニィの家に置いて貰い、一緒に修理することにしました。
二人はザコソルジャーをコツコツと修理していきました。
必要なパーツはケリィさんからジャンクを分けて貰い、
図書館で機械工学等の本を借りて、本と睨めっこしながら、
あっという間に一ヵ月が過ぎていきました。
「駄目だ、ウンともスンとも言わないよ」
アルはザコの機動スイッチを何度も入れ直しながら言いました。
「コンピューターに繋いで動かす分には動くんだ。関節の接続に問題は無いはずだ。
そうなると壊れているのはAIということになるな。こればっかりは専門外だ。本を読んだって分からないよ」
モビルシチズンに使用するような高度な超AIなど、市販されてはいません。
もちろん、一から作るなんて素人であるバーニィとアルには不可能です。
「そんなぁ……」
涙目になるアルに、バーニィは諦めとは言えません。
バーニィだって諦めたくないのは同じなのです。
「そういうことなら簡単じゃないか」
後ろからかけられた声に二人は思わず振り向きました。
「シーブック兄ちゃん!?」
「なんか最近おかしいと思ったら……」
シーブックはザコソルジャーの具合を確かめると、やはりAIであることを認めました。
影が薄くてすっかり忘れてましたが、シーブックもまた、エアグライダーを自力で制作する優秀なメカニックだったのです。
「AIのことならウチに専門家がいるだろ?」
頭を撫でるシーブックにアルは答えました。家には持って行けないと。
「馬鹿だなぁ、兄弟にそんな遠慮をする奴がドコにいるんだよ。言ってくれればみんなお前の力になるよ。
例えアムロ兄さんが認めなくても、俺やカミーユやロランが認めさせてやるよ。さ、セレーネ姉さんにAIチップを持っていこうぜ?」
「駄目だ!俺にも
ラー・カイラム社としての立場がある。キャプテンの開発者である俺がザコを持ってるなんて知れたら
ラー・カイラム社のモビルシチズンがネオ・ジオン社のモビルシチズンに負けてるって宣言するようなものじゃないか。
アルの優しさはわかる。でもこればかりは認める訳にはいかない。今まで通り、バーニィ君の家に置いておきなさい」
アルとシーブックの話を聞いたアムロは、迷うことなく宣言しました。
それを予想していたアルは、肩を落として俯いてしまいます。
「そういう言い方ってないじゃないか!」
普段温厚なシーブックも、この時ばかりは声を荒げて抗議しました。
「そういう大人の理屈を子供におしつけるなよ!」
「公人と私人は別でしょ、兄さん」
キレやすいカミーユも、理屈屋のキラも、アムロを責め立てます。
「そんな簡単に割り切れるものか」
「そんなんだからリボンズにも器が小さいって言われるのよ」
「今はあのパチモノは関係ないだろう、セレーネ」
「俺はガンダムファイターとしての自分と家の自分とは別々だと考えて行動しているし、それでトラブルが起きたことはない」
「それはレインさんがフォローしてるからさ」
「なら俺達もアルとアムロ兄さんをフォローすればいい……」
ヒイロの言葉に、アムロは言葉を詰まらせます。
452 名前:我々はモビルシチズンを応援します投稿日:2008/07/10(木) 04:02:42 ID:???
「まあまあ、アムロ兄さんだってバーニィさんの家に行けばいいって言ってるじゃないか。何も会うななんて言ってないんだし」
コウが兄らしく、仲裁をしようとすると弟たちから一斉に攻撃を受けました。
「ちょっと空気よめよな、コウ兄さん」
「今そういう話じゃないだろ!?」
「アムロ兄の大人の理屈が許せないってんだよ」
「大人になるってことはそういう事でもある」
見かねたシローが彼らを宥めると、流石に大人しくなりました。ああ格の違い。
「俺としても野良ザコは警察に届けろと言わなきゃいけない立場だけど、それは目を瞑る。これも大人の判断だ」
「それって妥協ってことですよね?」
「そういう言い方もあるかも知れないが……でも俺はアムロ兄さんのやり方も自由があるとは思えないな」
「シロー!」
「家じゃセレーネ姉さんの造ったAI以外は立ち入り禁止かい?ドモンの試合を放送しているときは他のチャンネルを見ちゃ駄目?」
「それは屁理屈だよ」
「アムロ、人は理屈だけでは動かない。どうしてもあがらいがたい感情に突き動かされたとき、屁理屈というものは生まれるのだと思う。
アムロ、私は例え屁理屈でもシローの意見を支持したい。私もシュウトが居なければ目覚めることはなかった。そこに理屈はない」
「キャプテン……アムロ兄さん、やっぱりザコがかわいそうだよ!」
「キャプテンまで…ッ!えぇい!駄目だ、これは家長命令だからな!!破ったら罰を与える!!」
アムロは逃げるように食事を終えると、その日はそのまま部屋から出てきませんでした。
その夜はアムロに味方をしたコウと、一貫して沈黙を続けたロランと刹那は気まずい食事をしたのでした。
同じく沈黙していたマイだけは平然としていましたが。
翌日の夕方、アムロが会社から帰ってくると家はザコで溢れていました。
「AIの研究で会社で借りてきたのよ」
「警察署から野良ザコの社会更正の監査でつれてきた」
「ヅダソルジャーです」
「特訓相手だ!」
「
キースに借りた」
「サラに借りた」
「ドロシーに借りた」
「ギャバン隊長にお借りしました」
「イザークに借りた。後で傷を付けて返す」
「レイに借りたら、ルナマリアにも借りさせられた」
「俺がザコだ」
「プリペンターでもザコは数機配備されている」
「パーラに借りたんだぜ」
「イーノに借りた」
「シュラク隊のお姉さん達に借りました」
「元気丸に貸して貰った」
流石のアムロもこの時ばかりは冷静さを欠いて叫びました。
「なんなんだ、お前達、示し合わせて!!そこまで僕を悪者にしたいのか!」
「示し合わせたんじゃありませんよ。みんなそれぞれにザコ達を借りてきたんです」
兄弟を代表してロランが反論しました。
「……ッ!!もう知らん!!今日はチェーンの所に泊まる!こんな家、帰らないからな!!」
親指を噛みながら、アムロは踵を返して家を出て行きました。
そんな話を聞いてしまっては、ザコは「どうしてザコを起こしたザコ!!」などと文句は言えなかったのです。
人の善意ほど重たいモノはありません。
それに……
「ねぇねぇ、ザコ!僕の宝物見せてあげるよ!ホラ、本物のジオン階級章!!」
無邪気な視線を向けてくる、この新しい主人がザコは好きになっていたのです。
「ザコに付けてあげるね!」
「いいザコ?アルの宝物じゃないザコか?」
「いいんだよ!」
アルと一緒にいる時間が楽しければ楽しい程、ザコは胸のパーツの軋む音が聞こえてるのです。
それが意味することを、ザコはなるべく感じないように過ごしていました。
453 名前:我々はモビルシチズンを応援します投稿日:2008/07/10(木) 04:04:27 ID:???
「なぁ、ザコ、ザコ~ちょっとコッチこいよ」
ガロードが手招きをするときは大抵ロクな事にならないことをザコは知っていました。
「どーせ、拾ってきたパーツでザコを改造する気ザコ」
ザコはキャプテンと比べて拡張性の高いのが特徴です。なのでコアなザコユーザーになればなるほど、魔改造を行っているのです。
「勘弁して欲しいザコ」
「今度のパーツは安心だって!キッドのお墨付きだしよ」
「信用できないザコ!だいたい、どこで拾ってきたパーツザコか!」
「いや、それは分かんないけど」
「拾ってきた場所も分からないってドーユー事ザコか!?」
「だって拾ってきたのはパーラだし」
悪気のない顔で頬を掻くガロードは、ザコの顔色が変わったことに気付きませんでした。まあ基本緑色ですから。
「パーラ?パーラなんていうザコ?!」
「へ?
パーラ・シスだけど」
その名前をザコは知っていました。
なんと懐かしい名前なのでしょう。
もう聞くことはないと思っていた名前。
(生きてた……)
思わず視界が揺らいでいるのをザコは感じました。
しかし、ガロードの一言が、ザコの踏み出そうとした一歩を止めるのです。
「そーいや、アイツもザコ持ってたな」
「ザ、ザコ……!?」
「どうした?」
「な、なんでもないザコ……」
きっと罰が当たったのだとザコは思いました。
パーラの事を忘れようとした罰が。
パーラに新しいザコが居るなら、自分は会わない方がいいだろうと、ザコは思いました。
(思ったのに……ザコ)
自然と足が、パーラの働いているジャンク屋「フリーデンⅢ」に向かっていったのです。
(一目、一目だけザコ……)
自分に言い聞かせるようにして、ザコは足を進めます。
小さくて乱雑な工場は、かっての「サテリコン」を思わせました。
「誰ザコ?お客さんザコか?」
「!!」
「ザコ?同じザコザコ。お使いザコか?今は誰も居ないザコよ。ザコがお留守番ザコ」
パーラの持っているザコが話しかけてきました。
パーラが今居ないことは、残念なような、ホッとしたような、そんな気持ちです。
「ザコォ……えっとザコね……」
「ザコ?」
「ザコはいつから働いてるザコ?」
「ザコ?なんでザコのこと聞くザコか?」
(ザコォ……ザコのくせに鋭いザコね)
適当に言いつくろったザコは、そのパーラのザコが一年程前にザコに拾われたことを話しました。
(火事があった後ザコ……)
「パーラが前に持ってたザコは行方不明になってたザコ。そんな時にザコと会ったザコ。パーラはザコの事を前のザコの生まれ変わりみたいに思ってるザコよ」
ザコはパーラに貰ったというヒートホークを見せました。それと同じモノをザコは持っています。
「ザコは野良だったザコ?前の主人のことはどうしたザコ?」
「覚えてないザコ」
「AIにバグがあるザコか?」
「工場で出荷された記憶はあるザコ。会社に雇われてたザコよ。でも会社の名前と人と、パーラと会う直前の記憶だけ無いザコ」
「ザコ?」
そんなピンポイントで忘れるということがあるでしょうか?ザコは不審に思いました。
「(もしかしたらプロテクトがかかってるかも知れないザコ)……ザコ、セレーネさんにAIを見て貰えばいいザコ!」
「ザコ?別にいいザコよ。ザコは今が楽しいザコ!別に過去なんて知りたいと思わないザコ」
そうでしょう。このザコにとって過去を知ると言うことは、自分を捨てた人を知るということなのですから。
「そう……ザコね」
それ以上強いることもできず、ザコは引き下がるしかありませんでした。
454 名前:我々はモビルシチズンを応援します投稿日:2008/07/10(木) 04:06:00 ID:???
(……でも、あのザコにはどこかで会った気がするザコ)
ザコ同士は人間には区別が付かないかも知れませんか、彼ら同士からしてみれば充分それぞれ個性があります。
ザコはパーラのザコにどこかで会った気がしてならないのです。それも随分前に。
(……仕方ないザコ)
ザコはセレーネの部屋のドアを叩きました。
「ザコのメモリーを画像にして見てみたいザコ。コンピューターと繋いで欲しいザコ」
この兄弟の長女も大概にしてメカオタクですから、一も二もなく飛び付きました。
ただしザコは、そこで見たことは絶対に秘密にすることと、強く念を押してから望みました。
アル、いいザコか、よく聞いて欲しいザコ。この包みの中には、ザコの記憶を収めた映像や、ザコの調べた証拠の品が入っているザコ。
ガーベラ社がモビルシチズンを使ってサテリコンに放火した事件を、ザコが調べた限り残したザコ。
もしザコが死んだら、これをシローさんに渡して欲しいザコ。
できるならパーラとそのザコには秘密にしてくれるなら、ザコは救われると思うザコ。
ザコが直接警察に訴えようとも思ったザコが、なんていうか……そうするのが逃げるみたいに思えたザコ。
ここで戦うのをやめると、ザコがザコでなくなるような……
ガーベラ社が憎いとか、ロイザーさんたちの仇を討ちたいとかいうんじゃないんザコ。
上手く言えないザコが……ザコは、ザコ自身と戦ってみたくなったんだザコ。
ザコが心を持ってるからなのか、理由は自分でもよくわからないザコ。
……アル、俺はたぶん死ぬだろうザコね。そのことで、ガーベラ社の社員やパーラのザコを恨んだりしない欲しいザコ。
彼らだってザコと同じで、自分がやるべきだと思ったことをやってるだけなんだザコ。
無理かもしれないけど、他人を恨んだり自分のことを責めたりしないでほしいザコ。
これはザコの最後の頼みザコ。もし、運良く生き延びて全部が終わったらザコ、かならずこの家に帰ってくるザコよ。
会いに来るザコ。約束ザコ。……これでお別れザコ!ごめんなさいザコ、アル。元気で暮らすザコよ!バーニィによろしくザコな!
「それにしてもダサいザコね……また故郷を亡くしちゃうなんてザコ」
「なんだ、ザコではないか。一年ぶりだな」
ネオ・ジオン社の工場でザコに対して話しかけたのはガーベラでした。
「ザコ……プロフェッサーガーベラ様、どいて欲しいザコ。ザコはガーベラ社に用があるザコ」
「ん?我らの生産工場のガーベラ社に、なんの用だ?修理ならば私が受け付けるが」
ガーベラ社はネオ・ジオン社の系列会社です。
「一寸のザコにも五分の魂ザコよ!」
「いきなりやってきて、なんなのだお前は」
丁度その時でした。ガーベラ社の代表のザイデル社長と、ランスロー専務がフロントに降りてきたのは。
「ザコーーー!!見つけたザコよ!!ザコ達を利用して悪いことする悪い奴ザコーー!!」
「な、なんだこのモビルシチズンは?。プロフェッサー、何をしているか」
「は……!ホラ、帰れ。帰らなければ解体してスクラップにするぞ」
「サテリコンに火を付けたザコ!ザコ達を使って火を付けたザコ!!」
「何を言ってるんだ?」
困り顔のプロフェッサーガーベラと違い、ザイデルとランスローには明らかに心当たりがあるようでした。
「ええい、警備のドーガボマーを呼べ」
「お待ち下さい、社長。やはりあの時の過ちは償わなければならないのです」
「君は何を言っているのかね。あの時とはいつのことだ、ランスロー専務」
「貴方という人は…ッ」
「そいつザコ!嫌がらせを渋るランスローさんに業を煮やして、ザコ達を洗脳して犯罪に使ったザコ!!
許せないザコ!!ザコ達はモノじゃないザコ!でももっと許せないのはそんなことに気付くのに1年もかかったザコ自身ザコ!!」
ザコは骨だけになって、プロフェッサーガーベラの拘束から抜け出しました。
「ザコザコパーーンチ!!ザコ!!!」
蚊をはたいた程度の威力のパンチが、ザイデルの頬にめり込みました。
「ええい、この!!」
「おやめ下さい、社長!!」
「私が悪いというのか!!あの時ブラッドマンを出し抜かなければネオ・ジオン社に切られていた!ガーベラ社は今頃存在していないのだぞ!!」
「例え会社の為でも……越えてはならぬ一線があるのです」
456 名前:我々はモビルシチズンを応援します投稿日:2008/07/10(木) 04:34:39 ID:???
・
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・
「ひどいザコ。パーラには教えないで欲しいってお願いしたザコ」
ザコはアルに対して口を尖らせて言いました。
「だって……ザコは今でもパーラの事が好きなんでしょ?」
「ザコ……」
「いいんだよ、ザコは友達だもん」
「ザコは……ザコはアルの事も好きザコ!!」
「うん、僕もザコのことは大好きさ!」
二人は抱き合いました。
「僕の宝物の階級章、ザコにあげるよ」
「大事にするザコ!一生大事にするザコ!!」
パーラが走ってくるのを認めたアルは、ザコから体を離しました。
「お別れだね、ザコ」
「違うザコ、アルとはいつだって会いに行けるザコ」
「うん!!」
<幕>
この物語は実際の出来事を元に脚色してあります。
出演
パーラ パーラ・シス
ザコB ザコソルジャーB
ロイザー ロイザー
Pガーベラ マドナッグ
ランスロー ランスロー・ダーウェル
ザイデル ザイデル・ブラッドマン
シーブック シーブック・アノー
セレーネ セレーネ・マクグリフ
アムロ
リボンズ・アルマーク
ガロード ガロード・ラン
脚本 けい子
舞台協力 マーガレット・ギャザームーン
特撮
ハロ長官
編集 ジュリ
CG制作
カリス・ノーティラス
宣伝 ジャミル・ニート
舞台美術 キッド・サルサミル
企画担当 サラ・タイレル
制作 ネオ・ジオン社
この映画の売り上げは野良モビルシチズンの社会復帰の為に使われます
爆熱丸「おろろ~~~」
ゼロ「なんという美しい映画だ……」
パーラ「なんか照れるなぁ」
ザコ「実際はあんなに劇的ではないザコ」
ロイザー「俺、死んでねぇし」
ユウ「…………グス」
アイナ「シロー、格好良かったわ」
シロー「そ、そうかい?」
刹那「実に
ガンダムだ…ッ!」
シャア「うむ、興行収入は中々のようだな」
アムロ「納得いかん!いつのまにこんなモノを撮影していたんだ!
それも俺が料簡の狭い男みたいに描かれているじゃないか!!」
ガロード(実際、あんな感じだったよな)
ジュドー(ああ)
最終更新:2013年09月17日 21:24