- 今回予告になってない予告
今を遡ること300年――
エリンディルの地に、一人の魔王が現れた。
その剣は一薙ぎで山を切り崩し、その魔法は地を割り、風を裂き、吐息一つだけで人の禁呪を上回る、絶大な秘儀であった。
エリンディルの地に、一人の魔王が現れた。
その剣は一薙ぎで山を切り崩し、その魔法は地を割り、風を裂き、吐息一つだけで人の禁呪を上回る、絶大な秘儀であった。
魔王は当たり前のように、目に付く所全てに破滅の嵐を巻き起こし、
そして彼の先駆者がそうであったように、当たり前のようにこう言った。
そして彼の先駆者がそうであったように、当たり前のようにこう言った。
「今から世界征服します」
人々は憤慨した。プンプンと怒った。
ぽっと出の得体の知れない輩に、己の世界を渡せるものかと、死力を尽くして抵抗した。
ぽっと出の得体の知れない輩に、己の世界を渡せるものかと、死力を尽くして抵抗した。
だが、魔王の力は強力無比。千を越える軍勢も、星を落とす究極の禁呪も、その足を止めるに至らなかった。
希望は狩り尽くされたと思われたその時。
一人の若者が、魔王討伐に名乗りを上げた。
その若者は、武器一つ持たず、丸腰で単身魔王の居城へと潜入する。
熾烈を極める闘いの末――ついには、かの魔王を退けることに成功した。
希望は狩り尽くされたと思われたその時。
一人の若者が、魔王討伐に名乗りを上げた。
その若者は、武器一つ持たず、丸腰で単身魔王の居城へと潜入する。
熾烈を極める闘いの末――ついには、かの魔王を退けることに成功した。
天も割れよとばかりに響く大歓声の中、凱旋した英雄はこう告げる。
――魔王はおそらく死んでいない。私に受けた傷を癒すため、長き眠りに就いたのだ。
だから自分が斃れた時、次を継ぐための者を育てて欲しい、と。
時の指導者はその言葉に従い、世界各地から勇気ある若者を集め、かの英雄の技と、その叡智を磨き、伝授するための組織を造り上げた。
あるものは、先祖が遺した剣を究め、想像を絶するような鍛錬の末、その奥義に辿り付き、
あるものは、財と才の全てを尽くし、この世の全ての叡智を結集した武器を鍛え、
あるものは、民に石打たれながらも、ただ人の未来のためだけに禁呪を紐解いた。
あるものは、財と才の全てを尽くし、この世の全ての叡智を結集した武器を鍛え、
あるものは、民に石打たれながらも、ただ人の未来のためだけに禁呪を紐解いた。
彼ら勇者の子孫とその仲間達は、預言者が割り出した復活の日の為に、その人生の全てを賭けて魔王討伐の訓練に明け暮れたのである。
――敗れるわけにはいかない。この世界には、自分の大切な人達が生きている。
ただ、それだけを胸に。
そうして時が流れること幾星霜――やがて来る、予言の指し示す日。
若者達はかつて先祖が魔王を打ち破った大渓谷へ向かう。
その双肩にかかるは、人類の希望。その両手に在るのは必勝の意思。
一歩先にある死地を見ながらも――彼らは、みな勝利と未来への希望で溢れていた。
その双肩にかかるは、人類の希望。その両手に在るのは必勝の意思。
一歩先にある死地を見ながらも――彼らは、みな勝利と未来への希望で溢れていた。
大渓谷の最深部。魔王が居城としていた最奥の間にて若者達は待つ。
決戦の火蓋が――切り落とされるのを。
決戦の火蓋が――切り落とされるのを。
だが、いくら待っても魔王は来なかった。
それもそのはず。300年も経っちゃったせいで、魔王はとっくにくたばっていたのである。
それもそのはず。300年も経っちゃったせいで、魔王はとっくにくたばっていたのである。
「えええええええーーーーーー!?」
「ふざけんなーーーーーーーー!!」
「俺の青春を返せ! 返してくれ!」
「ふざけんなーーーーーーーー!!」
「俺の青春を返せ! 返してくれ!」
彼らは憤怒に猛り狂った。
先祖代々、300年に渡るこの研鑽はなんだったのかと。
だが、叫んでみた所で、
先祖代々、300年に渡るこの研鑽はなんだったのかと。
だが、叫んでみた所で、
やっぱり魔王はこなかった。
行き場のなくなった彼らは、今もどこかで集団生活中だという……。
行き場のなくなった彼らは、今もどこかで集団生活中だという……。
このへんにPCデータとかはっつけてくれるとありがたいかも。