未練という叶わぬ哀しい願い ◆auiI.USnCE
――――愛されたい 愛して会いたい アイタイシタイ
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
やらなきゃ、やらなきゃいけない。
やらなきゃ、また、あえない。
やらなきゃ、あいしあえない。
こんな事じゃ、だめだ。
なのに、言葉が頭の中で響き続ける。
―――ひとごろし!
たった五文字。
たった五文字の言の葉が私を苦しめていく。
何もかも吐き出しそうになる感覚に襲われていく。
凄まじい後悔に全身が襲われそうになってくる。
後悔なんて、しても遅いのに。
あの少女は、恐らく、死んだ。
自分が、殺したから。
小さなナイフで、小さな胸を切り裂いた。
小さな紅い川を作るほど流れでた血の量は、きっと少女を死なせる量だろう。
ああ、そうだ。
相楽美佐枝は人殺しだ。
自分の願いで、人を殺した。
だから、もう、戻れない。
なのに、この後悔は、なんだ。
ゆっくりと歩き出しているのに。
歩き出した自分の足に、殺した少女が纏わりついている感じがする。
しっかりとしがみ付かれて、脚が上手く動かせない、そんな気がしてならない。
自分の欲望で、殺してしまった自分を責めるように。
まるで、自分を縛る鎖のようだ。
ダメだ、こんなのじゃ、ダメだ。
契約を交わして得た特別な支給品。
それは人には余りにも不相応なモノ。
この世に、『存在』してはいけない、代物。
これを使うなら、自分は、きっと、戻れないかもしれない。
そんな、危険な代物。
こんなものを使ってまで……自分は……願いを叶えたいのだろうか。
あいたい人がいる。
大好きな人がいる。
だけど
だけど、自分は――――
「あ、美佐枝さんですっ! 一緒にソフトボールやりましょうっ!」
不意に茂みから飛び出してきた少女。
懐かしい制服を着て、自分を無垢に見つめていた少女は、
何処か、殺した少女に似ていて、心が鷲掴みにされた気分になる。
純粋に輝いていた瞳が、とても、遠いモノに感じた、感じてしまった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「で、あたしらは何やってるんだろう……」
「ソフトボールのメンバー集めですっ!」
「やっぱり、其処に戻ってくるのね……突っ込む気がもう無いわ……」
「……あさはかなり!」
「……………………」
そして、あたし達は女四人顔あわせて何をやってるだろう。
殺し合いの最中で、ぼろっちい小屋で、ちっちゃい少女に振り回されてる。
あたし――十波由真は思わず、溜め息をついてしまう。
風子は変わらず。
椎名も変わらず。
そして、新たに加わった相楽美佐枝という人は着てからずっと押し黙ったままだった。
彼女は風子が男に襲われかけたのも学ばず、また勝手に飛び出して、連れてきた人だった。
どうやら、風子の学校の寮母さん、らしい。
確かに、そんな雰囲気が出ている大人の女性という感じがする。
でも、そんな役職とは裏腹に、なんか暗い気がした。
……というか、ちょっと怪しい。
ぐるぐる歩き回っていたと相楽さんは言うけど本当だろうか。
殺し合いに乗っていないといってたけど、その割りに何か悲観的な空気を醸し出してる。
周りが明るい能天気な奴らといるせいか、余計そう感じるのだ。
どちらかといえば……そう、風子を襲ったあの男と同じ雰囲気がする。
だけど、直感でしかないから、指摘なんて出来ないし。
不用意に指摘して、逆にこっちが信用失いたくない。
だから、あたしはあえて自分が感じた印象を言わなかった。
危険かもと言えなかった、それは臆病じゃないと思って。
折角、こう人数が増えたんだからと。
……って、また流されてる。
そう、そうだ。
……ずっと忘れかけたけど、自分をしっかり持たねば。
此処は、殺し合いなんだ。
流されてはいけない。
あたしは、生き残るんだ。
でも、ここまで、流されっぱなしだなぁ。
「はぁ……」
「どうしましたっ?」
「どうしようもないわよ」
ある意味風子は流されてない。
自分の考えのまま突っ走っている。
……その考えが可笑しい事を、抜きにすれば。
羨ましいなと見つめると、不思議に思ったか、少し首を傾げていた。
そしたら、あたしもふっと笑えて。
まあ、いいか。
そう、思った瞬間。
―――――さて、定刻となった。
聞こえてきた、声。
それは丁度六時間前に聞こえてきた声。
それは、きっと聞きたくないモノを伝える声。
そう、死者を告げる声だった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
――――大山、松下、竹山、高松、ひさ子、ユイ
その名が呼ばれた時、椎名が眉を顰め
――――春原陽平、古河早苗
伊吹風子が目をはためかせ
――――長瀬源蔵
十波由真が、口を開けたまま、動かなくなり
――――アルルゥ
最後に、相楽美佐枝が静かに肺に溜まった息を吐き出した。
これが、放送の間の短い一幕。
そして、人の心が動き出す、ハジマリだった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「はは…………なんで…………」
放送が鳴り終わった後、由真は虚空を見つめてそしてぺたんと座り込んでしまった。
不意に呼ばれてしまった名前、祖父の名前。
称号でない名前を聞いたのは久しぶりで。
まさか、呼ばれるなんて露にも思わず。
「嘘でしょ…………なんで……」
嘘と信じたいのに、そうだと思いたいのに。
それを受け入れていた何処か自分が受け入れているの事に驚きながら、呆然とする。
じわじわと感じてくる哀しみに、由真は思わず、手で顔を覆った。
どうしていいか解からずに。
湧き出てくる無数の感情を処理できずに。
十波由真は呆然とする事しか出来ない。
「……十波さん」
そんな由真に、かけられる声。
由真が顔を向けると、先程まで、笑っていた風子が由真を見つめている。
その表情は何処か真面目で、こちらの気持ちを見透かすような瞳をしていた。
いつもの風子と違う感じがして、何か心が掴まれる気持ちがした。
「…………未練がありますか?」
呟いてきた言葉は、慰めでもなく問いかけ。
未練という言葉は、何処か哀しく響いて。
そう呟いた風子も、何処か切なそうだった。
「私も……今二人呼ばれました……哀しいです」
風子が思い浮かぶ人は二人。
自分によくしてくれた人の母親。
その母親はとても、優しかった。
そして、金髪の少年。
馬鹿だったけどいい人だったと思う。
「もっとお話したかったです……けど……もう叶いません」
もっと優しくして欲しかった。
もっと笑顔を見たかった。
もっとお話したかった。
叶わない、願い。
心に残り続ける、想い。
それが、未練というものだった。
「あるわよ……未練が……大好きだった人だから」
由真は呻くように呟く。
辟易するぐらい、孫煩悩な祖父だったけど。
それでも、とても優しかった。
まだ、死ぬなんて思わなかった。
告げたかった言葉も、思いも心に残ってる。
ちょっと喧嘩もしてたけど、何れ仲直りできたかもしれない。
だって、大切な家族だったから。
でも、叶わないんだ。
死んでしまったから。
「じゃあ、それでいいんです。未練があるなら、きっと十波さんは……」
それでも、風子は儚く笑う。
由真に、語りかけるように優しく、言葉を紡ぐ。
「未練の分だけ、哀しんで……そして泣けますから」
優しい言の葉。
哀しくて、切ない言の葉が由真の心に染み渡る。
そして、
「――――あーくそっ…………こんな事だったら」
頬に一筋の涙。
それは温かくて冷たい、不思議なモノ。
優しさと哀しさできた、とても尊いモノ。
「少しぐらい……話を……真剣に聞いてやっても……良かったかな……ねぇ――」
由真は手を宙にかざす。
祖父にひかれていたあの小さな手は、もうこんなに大きくなった。
「――大好き、だったよ」
想いを、ささやいた。
それは、涙と優しく溶け合い。
とても儚くて、悲しい光景が、其処に、あった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
由真の泣き声が響いて。
そして、風子が、また何かを言葉を紡ごうとした瞬間。
――――ソレは起きた。
「とな……げふ……がふっ………………ごほ、ごほ……がぁ……!?」
風子が突然身体を震わせて、そのままドサッという音と共に倒れ伏せる。
そして、そのまま震えが止まらず、激しく咳き込んでいた。
咳には、血が混じり、苦しみに身を捩じらせている。
風子の急変に、椎名と由真が風子に駆け寄ろうとして、その時、
「ああ……そうよ、そうだったんだ……とても、簡単な事だったんだ」
明朗に、透き通るような声。
椎名と由真が振り返る先には、相楽美佐枝がいた。
「そう、とても、簡単な事。 私はその為に、この道を選んだんだ」
けれど、雰囲気が一変していた。
陰鬱さは少なくなり、何処か傲慢さを含めた明るさが、其処にあった。
「そう、私は未練を、叶わないはずの願いの為に、そして止まない涙の為に――――」
小さな空っぽのフラスコを握りながら。
椎名達を睥睨し、
「ヒトを、殺すんだ」
相楽美佐枝は笑っていた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
未練。
ああ、そうだ、この願いを一言で言うなら、ソレだ。
叶わなたかった願い。
叶えたかった願い。
でも、叶わないまま、未練だけ、残ってずるずる引きずった。
そして、私は今も、その未練を持ち続けている。
私が殺した少女の名前が改めて呼ばれた。
これで、私は人殺しになった。
その五文字の言葉は、重みをもって私を責めたてる。
息を吐いても消えない、この重みを感じていた時、
あの少女が呟いた、未練。
とても、解かりやすい言葉だった。
未練があるなら、ヒトは哀しめる、涙を流せる。
そうだろうな、と思う。
私はどれだけ泣いただろう。
私はどれだけ哀しんだろう。
叶わない願いを抱いて。
そして、思った。
なんで、契約を交わしたか、その時の、本質を。
ああ、そうか、私は
――――もう哀しみたくないんだ、涙を流したくないんだ。
叶わない願いを抱いて。
泣きたくないから、願いを叶えたいんだ。
未練を、叶えたいんだ。
ああ、そうか。
なら、もうよかった。
人殺しの禁忌とか、苦しみとか、もうどうでもいい。
それ以上に、未練で、泣きたくないんだ、哀しみたくないんだ。
どうせ、もう殺したんだ。
だから、もう、
――――私は哀しみたくない。
だから、未練を叶えるんだ。
そう、私は、大好きな彼に――
会いたい、愛されたい、愛して会いたい、アイタイシタイ。
その瞬間、支給された特別な支給品の栓を抜いた。
もう迷いは無かった。
例え私のエゴだとしても、
私は、ずっと流れ続けて止まらない涙を止めたい。
そして、
大好きなあの子に、会うんだ、愛すんだ。
今までの哀しみの分、目一杯に。
会いたい愛したい。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
相楽美佐枝が、栓を抜いた瞬間、ソレはあっという間に広がった。
支給された特別なもの。
存在してはいけないもの。
NYPによって、作られたウィルスが存在する。
それは大した事ものではない、遊び用のものだった。
だが、ディーはその効力を高め、彼女に支給させた。
長時間高熱や振るえ、咳を与えながら、動きを封じ込めるウィルス。
ただ、耐え難い苦しみを与えながら、それ自体に殺傷性の無いウィルス。
ただ、ヒトを苦しめるだけに存在する、ウィルスになった。
そう、人類最強最悪と悪名高い、存在してはならない、人の身にあわない兵器。
いわゆる、『細菌兵器』と呼ばれるものだった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「……がは……がふ…………逃げて……くださいっ……椎名さ……ごほごほ……とな……がふっ!?」
椎名枝里は風子の言葉とは裏腹に、由真と一緒に動けなかった。
既に軽く、風子がなっている症状と同じものになっているらしく、身体が言う事をきかない。
だが、椎名は重い身体を引き摺って、少しずつ出口に向かおうとする。
仲間である風子を見捨てていいのか、迷いながら。
だが一つ、自分達を襲った相楽美佐枝に聞きたい疑問があった。
「一つ聞く……相楽美佐枝……その力は『何』だ?」
答えてくれる事は、ないと思った。
わざわざ手の内を明かす人間なんていないだろうが。
しかし、美佐枝は笑いながら、告げる。
「別に……あの天使のような、悪魔の人間との契約の代物よ」
契約という言葉に椎名は目を見開く。
椎名が抗い続けていた神に。
まさか、この女は
「神に屈したのか……? 傘下に加わったというのかっ!?」
神に屈したのかというのだろうか。
信じられないように、椎名は美佐枝を指に指し問い詰める。
「ええ、そうよ。未練があるから」
相楽美佐枝が告げた未練という言葉。
それに椎名は唇をかみ締める。
こみ上げてくる、堪らないほどの感情。
「……あさはかなり! 相楽美佐枝!」
椎名は心の中で、そう言えた。
激昂といっても、相応しい、怒りだった。
この女は、未練で、未練を叶えたいから、神に従った。
ふざけるな、あさはかなり。
椎名が持っている死にたくないという感情は未練だろう。
叶えたいけど、叶わない願いだろう。
だけど、
「神の摂理に従って、神に縋って叶える未練に、意味など無いっ!」
神に抗わず、屈して従って。
契約まで交わして、叶える願いに、未練に。
意味などあるものだろうか。
ある訳が無いと椎名は断言できる。
だからこそ、椎名は、椎名達は抗った、抗い続けた。
そんな、願い、未練に、意味は無い事をわたしは知っているから。
「意味の有る無しは、私が決める事。貴方が決める事ではないわ。だから私は願いを叶える」
「なら、わたしが貴様を討つ! 神に従うあさはかな者を!」
そして、椎名達は睨み合い、宣言しあった。
神に従うあさはかなるものを倒すために。
椎名は静かに刃を抜き、神に従う者にに真っ直ぐに向けた。
「けど、そろそろ貴方にも、効果あるんじゃないかしら……そんな状態で戦える?」
「……くっ」
不適に笑う相楽美佐枝を、椎名は悔しそうに見据える。
由真は既に呼吸が荒い。椎名自身も大分身体が重たく感じている。
相打ち覚悟かでいくしかないのか、それとも他の手段があるのか、椎名は逡巡し
「逃げて……くださいっ!」
その時に、風子が立ち上がり、椎名と相楽美佐枝の前に立ちふさがった。
椎名達を護るように、動くの辛い身体に鞭を打って、立ちふさがっていた。
「椎名さん……由真……さん……ありがとう……ごふ……ございましたっ!」
何がだろうか。
椎名は彼女にお礼を言われる覚えなどないはずだった。
「一緒に……ソフトボールやってくれると……かふ……いってくれて……嬉しかった……ごふ……です!」
ああ、と椎名は息を漏らす。
この小さな少女は、そんな小さな事を、大切に思って。
そんな、少女は馬鹿で、本当あさはかで……
優しい子だ。
「そのヒトデは……預けておきます……約束ですから……また一緒に……だから…………ごふごふ………………逃げてぇぇええ!」
必死の叫び。
椎名は風子の決死の姿に愕然として、動けずにいた。
その椎名を叱咤するように由真が、私の手を引いた。
風子に任せて、逃げようと言う事だ。
ここで、彼女の願いをきかなきゃ、それこそ、彼女の未練になる。
そう、由真は絶え絶えにに言って、椎名は苦々しく頷き、重い身体を引き摺り逃げ出す。
悔しい思いと未練を抱え、
けれどまだ、諦めず、反抗する為に。
椎名は、逃げながらも、振り向いて、相楽美佐枝に言葉を告げる。
「……私は諦めない……神に従う者など……抗わず摂理に従う者など……絶対に認めないっ!」
「認められなくて、結構。 私は私がやりたいまま……あの子を会って愛すわ」
ぶつかり合う意志を感じながら。
そして、逃がしてくれた少女に、椎名は最後の言葉を。
「………………ありがとう、風子」
その言葉に風子は最後に、儚く笑った気がした。
悔しい思いが、椎名の心の中に溢れ、
そして、ソレは未練に変わるだろう。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「がふ!……がふっ!……えへへ……美佐枝さんやっちゃいました」
凄く寒いです。
凄く苦しいです。
凄く気持ちが悪くて涙があふれてきちゃいそうです。
椎名さん達が逃げられたと思った瞬間、そのまま崩れ落ちてしまいました。
もう指先も、全然動きません。
目もかすんでよく見えません。
吐くものも、もうなくて血だけでした。
でも、なんだか、嬉しいです。
それは、きっと役目を果たした気がするせいでしょう。
「そう、まあいいわ」
美佐枝さんは指して興味も無そうに私に近づいてきます。
私が紡げる言葉はなんでしょう。
未練を重ねた彼女に。
未練を持ち続けた私が言える言葉はなんでしょう。
「美佐枝さん…………やっぱりやるんですか?」
彼女は笑ってました。
それは喜びにも見えるし哀しみの笑みにも見えました。
私は何だか哀しかったです。
「ええ……御免ね」
彼女は謝りました。
優しさの篭るような申し訳ないような。
でも、絶対に退かない意志を感じられました。
「美佐枝さん……やっぱり哀しいです……こんなの……こんなで……かふぅ……叶える願いなんて哀しくなるだけです……幸せな叶え方が……あると思います」
未練を叶える事。
それはいいことだと思います。
でも、それは、祝福されて、叶える事だと……思います。
「哀しみなんて……もうこの手に沢山にあるのよ」
彼女はそう言って。
「会いたい、会いたい、愛したい。愛したい 愛しあいたい」
大好きな人だけを思って。
「私は、それだけで、報われるのよ。 今まで涙を流した分も、きっと哀しみはそこで終わる」
報われるのだろうか。
私には解かりません。
「だから、私は殺していく。これから、涙を流さない為に」
光るものが見えました。
ナイフでしょうか。
きっと胸につきたてるつもりなのでしょう。
「…………そう……ですか…………ごほ……でもやっぱり……哀しいです」
私は強がって笑いました。
悔しいけど笑ってました。
哀しいけど笑ってました。
「お姉ちゃん……………………会いたかった……です…………おねえ……ちゃん」
涙が溢れました。
悲しみが溢れました。
これが、きっと未練なんでしょう。
私はこれをずっとずっと叶えたかったんです。
そして、美佐枝さんはこの哀しみが、涙が、耐えられなかったのでしょう。
だから、
「美佐枝さんは、やっぱり……弱くて……優しい人……です」
私は笑いました。
彼女の表情は見えませんでした。
椎名さん、十波さん。
「約束ですからね…………一緒に……そふと……ぼーる……しましょ――――」
そこで、意識は途絶えました。
ナイフが胸に刺さったんでしょう。
そして、私の心に最後に会ったのは、
ここで出会った仲間と出来た思い出と。
温かくて哀しい――――未練でした。
【時間:1日目午後6時40分ごろ】
【場所:C-6 古びた山小屋】
伊吹風子
【持ち物:木彫りのヒトデ(6個)、水・食料一日分】
【状況:死亡】
相楽美佐枝
【持ち物:ナイフ、NYPウイルス(強化型)×29、水・食料一日分】
【状況:健康 ディーと契約】
十波由真
【持ち物:木彫りのヒトデ(1個)、水・食料一日分】
【状況:少しの間不調】
椎名枝里
【持ち物:トウカの刀、
五方手裏剣、木彫りのヒトデ(1個)、水・食料一日分】
【状況:少しの間不調】
最終更新:2015年03月15日 08:01