五日目録音無残編

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haputea

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録音 部屋

録音「あ、そうだ。週末さ、友達に頼まれてキャンプ場の管理に行くんだ。
   ハロも来てくれるだろ」

ハロ「オッケー」

録音「今の時期客もいないし好きに使っていいって言うから、刹那達も誘おうと思って」

ハロ「シマッタアア!ダイジナヨウジガ アッタア!ドウシテ ワスレテタンダ!」

録音「まあ、そう言わずに。ハロが困った時は力になるから」

ハロ「アリガトウ。ヒャクバンメクライニ ソウダンサセテモラウ」

録音「俺のところに来るまで四ヶ月かかるな。……なあ、ハロって普通に喋れるよな」

ハロ「……イエ……ジブンマダマダ ベンキョウチュウノミデスカラ……」

録音「ほら。どうして皆の前で喋らないんだ?その方が話しやすくないか?」

ハロ「モウナレタ」

録音「なんか違和感あるんだよな。家では普通に喋ってるからさ」

ハロ「……(フウ…)シゴトト プライベート…キッチリワケタイ…」

録音「そうか……あっ、じゃあ俺はプライベートに入ってるんだ?
   えっ…単なるビジネスパートナーだけど一番喋るからめんどくさくて?」

ハロ「(しくしく泣く録音に)ジョウダン。イッツアメリカンジョーク」

録音「(立ち直って)とにかくさ、明日刹那ン家行くから」

ハロ「イッテラッシャイマセ オキヲツケテ」

録音「………兄さんも刹那を心配してると思うんだ……
   (遠くを見て)おまえが弟達の事を心配するように……」

ハロ「ウウ……」

録音「兄さんが喜ぶことが一つでもしてやれたら……俺たちで……」

ハロ「ウウウウウ……」


翌日 アレルヤ家 アレルヤ マリーの前に録音 ハロが座っている

アレルヤ「キャンプですか…刹那達と…」

録音「ああ、君達なら冬のキャンプなんて軽いだろ。
   マリナさんも女性のマリーさんがいた方がいろいろ助かるだろうし」

マリー「私達は平気ですけど……マリナさんは大変なんじゃ……」

録音「だからさ、刹那がいいとこ見せられるだろ。
   あいつのよさは……ちょっと、普段の生活じゃ見せづらいから……」

アレルヤ「なるほど……」

ソーマ(ヘタレだからな)

アレルヤ「そういうことだったら、協力させてもらいます。マリーもいいかな?」

マリー「ええ」

録音「助かる。さて…じゃあ刹那とマリナさんを買い物に連れ出してくれるかな?
   あいつらが邪魔しないように釘ささねーといけないから」

アレルヤ「わかりました」


刹那家 眼鏡 匙 ポニテ ブシドーの前に座る録音とハロ

眼鏡「で?」

ポニテ「我々は具体的に何をすればいいのかな?」

録音「して欲しいことはただひとつ。『何もしないでくれ!』それだけだ」

ブシドー「禅問答か。受けて立とう!」

録音「ああ、しばらく考えていてくれ。じゃ話はそれだけだ」




刹那家 マリナは夕食の支度をしている ちゃぶ台の周りに刹那と喪男達

眼鏡「……ほう、キャンプ」

刹那「ああ、アレルヤに誘われた。録音が知り合いにキャンプ場の管理を
まかされたらしい。俺とマリナは行くけどどうする」

ポニテ「僕たちは留守番しているよ」

匙「寒いところは苦手なんだ」

眼鏡「仕事もあるし」

ブシドー「ブツブツブツブツ」

刹那「ブシドーはどうしたんだ?」

眼鏡「気にするな」

刹那「じゃあ、行ってくる」

匙「気をつけて、楽しんできてね」

ポニテ「寒いから暖かくして行くんだよ」

刹那「(なんか大人しいな…まあいいか)わかった」

ブシドー「ブツブツブツブツ」


真夜中 刹那とマリナがスヤスヤ眠っている 

ベランダで懐中電灯を持っている眼鏡 匙 ポニテ ブシドー

ポニテ「(缶しるこを持ちながら)さて、どうしたものかな」

匙「(缶ラーメンを持ちながら)でも何もするなって言われちゃったし……」

ブシドー「(缶おでんを握りしめ)わかったぞ!『無用の用』ということか!」

ポニテ「なんだい?『無用の用』って?」

匙「中国の思想家、荘子の言葉だよ。人間が浅はかな知恵で思いつく有用な事より
  無用な事の中にこそ大用が隠れている……ていう意味」

ブシドー「『何もしないでくれ』すなわち『大用をなせ』そういうことだ」

眼鏡「『しばらく考えていてくれ』と言ったのも自分で答えを導き出せ…
   そういう意味だったのか!……缶コーンスープは最後のコーンが食べづらいな」

匙「缶を逆さにして底を叩くんだよ。……もっとわかりやすく言ってくれればいいのに」

ポニテ「大人になるとね、素直に頼みづらくなるものだよ」

ブシドー「我々はいつでも山田隆夫でなければならないからな」

ポニテ「誰?」

ブシドー「縁の下の力持ちという言葉を調べたら類義語で書いてあった」

匙「山田隆夫…『笑点』という番組で座布団を運び続けて、
  その運び方の美しさから98歳の時に人間国宝に認定された人だ。
  たしかバンドもやってて…ええと…び…ず…うとる…び…とか言ったかな」

ポニテ・ブシドー「「ビートルズ!!!」」

匙「ああ…そんな名前だったよ。よく知らないけど。有名なの?」

ポニテ「有名なんてもんじゃないよ!!音楽の原点だ!
    それに今年はレコードデビュー350周年記念イベントもあったし」

ブシドー「伝説だ!!伝説!!」

ポニテ「あれ、でもメンバーはジョン・ポール・ジョージ・リンゴ4人だけだよ」

ブシドー「メジャーデビューの前に脱退したやつがいる」

ポニテ「なるほど…ジョンがヨーコと結婚したのはタカオの紹介だったんだな」



ブシドー「君はどの曲が一番好きだった?」

ポニテ「一つには絞れないなあ……Yesterday、Let It Be、Hey Jude…」

ブシドー「Hey jude don’t make it bad(だからさ ジュード 悪く考えるなよ)」

ポニテ「Take a sad song and make it better(悲しい曲だっていい歌にできるんだ)」

ブシドー・ポニテ「「Remember to let her into……」」

眼鏡「……話を進めたいんだが」

ポニテ「ああ…すまない。それにしても名曲は色褪せないな…酔いしれたよ…」

匙「ブシドーも盛り上がってたね」

ブシドー「(咳き込む)ゲフン ゲフン」

眼鏡「我々のミッション名なんだが…」

匙「えっそんなのいるの?」

ポニテ「ミッション名っていうのは意外と重要なんだ。隊の結束を強める意味でも。
    無難なところでは『冬キャンプ刹那バックアップ作戦』ってとこかな」

眼鏡「いや『大作戦』だ」

匙(なぜだろう…大がつくと急にコミカルな感じになるなあ……)

ブシドー「サブタイトルに『荘子先生』へのオマージュも入れたい」

匙「荘子先生の偉大な思想に敬意を表し…でいいかな」

ポニテ「作戦に『大』をつけて先生はそのままでいいのかい?」

匙「そういっても『超』とか『特大』とかは変だし…」

眼鏡「『パネェ』だ。この場合これ以上ふさわしい言葉はあるまい」

匙「そうか昔の流行語だね。荘子先生も昔の人だし…ええとじゃあ
 『パネェ荘子先生の偉大な思想に敬意を表し』これでいいかな」

ブシドー「完璧だ。完璧としか言いようがない」

ポニテ「ええと…あとは元ビートルズメンバー山田隆夫人間国宝への……」

どこかの窓がガラガラ開く

マンション住人「るっっせーぞ!!この喪男ども!!さっさと寝やがれ!!」

一同「「「「はーい」」」」




マリナ「じゃあ、みんな、行ってくるわね。後のことはよろしくね」

眼鏡「こっちのことは心配しなくていい…刹那、マリリンを頼むぞ」

刹那「ああ」

一同「「「「行ってらっしゃーい」」」」





キャンプ場に車で到着

録音「じゃ、俺は管理人小屋にいるから、なんかあったら言ってくれ」

去っていく録音 刹那とマリナ、荷物を降ろしながら
マリナ「いがいと早く着いたわね」

刹那「アレルヤ、先にそっちのテントから……って早っ…もう張ったのか?
   今、到着したばかりだぞ!」

マリー「アレルヤはテント張るの、すごく早いんですよ
    無人島に不時着した時は一分で張ったそうです」

刹那「一分……」

アレルヤ「僕は超兵だから……」

刹那「マ…マリナ…時計見ててくれ、俺もやってみる!」

マリナ「あ…刹那、無理しないで……」

刹那(アレルヤが超兵なら……俺は……俺はガンダムだ!)
アレルヤ「あ……」

ビリビリビリビリビリ ~

キャンプが見渡せる山中 テントの中に眼鏡 匙 ブシドー ポニテが座っている

眼鏡「では昨日決まらなかったミッション名を決めたいと思う」

ブシドー「『冬キャンプ刹那バックアップ大作戦 ~パネエ荘子先生の
  偉大な思想に敬意を表し』…ここまでは決まった」

ポニテ「後は元ビートルズメンバーであり山田隆夫人間国宝への想いだけだね」

匙「『大』も『パネエ』も使っちゃったし…他なにかあるかな」

眼鏡「あるにはある…『ヤバイ』だ。繰り返すとかなりの威力になる」

ポニテ「どういう風に使えばいいんだい?」

眼鏡「『ヤベッマジヤバクネ』これが正解だ」

ポニテ「その威力は?」

眼鏡「単体なら『パネエ』を100とすると『ヤバイ』は50
   しかし『ヤベッマジヤバクネ』になると……15000」

ポニテ「……いっきに300倍も……」

匙「現存するどの言葉より上回ると言うのか……」

ブシドー「ちょうっとぉまったぁ!それは承服しかねる。私がピーでピーになって
ピーしてた時、荘子先生の言葉にどれほど勇気づけられたことか…」

ポニテ「……忘れてたくせに…(プッ)」

ブシドー「違いますぅーちょっと思い出せなかっただけですぅー
     そういう貴様こそビートルズ脱退メンバー忘れてたくせに(プッ)」

ポニテ「た、確かに僕はメジャーデビュー以降のファンだ!だからといって
    僕の青春がビートルズとあったことは間違いない」

睨み合うポニテとブシドー

ブシドー「やる気か?元ピーの私にかなうとでも」

ポニテ「君の実力は知ってるさ。そして自分の実力もね」

二人、こぶしをギュッと握って

ポニテ「最初はぐー」

ブシドー「最初から(パー)ふっ…勝ったな」

ポニテ「ずるい!ずるいよー!!」

ブシドー「これが戦術というものだ」

ポニテ「一回なんて言ってないもんねー」

ブシドー「えー!ずっりぃー」




匙「まあまあ、そんなに熱くならないで、どっちでもいいじゃない」

眼鏡「なんだと(眼鏡キラーン)そういう現実から目を背ける行為が」

匙「あああああ僕が悪うーございましたあああ」

ポニテ「何?」

匙「最近お気に入りのエロゲの台詞。すぐに使いたがるから困ってるんだ」

ハロがテントに入ってくる

ハロ「ハロ ハロ アロハ~」

匙「どうしたの?よくここがわかったね。仲間に入りたいの?」

ハロ「(ヒイイイイイイ)イイホウホウ イイホウホウ」

ブシドー「何か妙案が?」

ハロ「ボウタオシ ボウタオシ」

匙「……ああ砂山を作って真ん中に棒を立て砂を取り倒した人が負けっていう……」

ポニテ「現実にはありえない説明台詞だな。砂はないから雪でか……」

ブシドー「私はかまわん」

ポニテ「じゃあ、5回やって3回勝ったほうが…なんだい、ハロ…えっ?
    正確なデーターのためには……2000回!!2000回もやるのかい!!」

ブシドー「私なら……できる」

ポニテ「ぼ、僕だって」


管理人小屋 ライル 窓の外の雪を見つめながら

(俺はいつも一人だな……)
(俺が愛した人はみな俺を置いていってしまう……俺のいないところで……)

パタン ハロが戻ってくる ライル にっこり笑って

ライル「おかえり…そうか…だったらしばらく大人しくしてるだろ……
    なあ…ハロ……ちょっと抱きしめてもいいか……
    えっ?相手を傷つけない断り方を考えるから待ってくれ?………
    そっかーもう、寝るか…うん…いいっていうか…うん…大丈夫…うん」


アレルヤとマリーのテントに泊まっている刹那とマリナ

アレルヤ「刹那…いつまでも気にしないで」

マリー「そうですよ。なんか学校みたいで楽しいです。行ったことはないけど……」

刹那「ありがとう(せっかくのキャンプでよそのカップルの邪魔をしている
   …これじゃああの喪男達と変わらない…いやそれ以下かも……ガーーーン)

ブシドー「まさかこんなことが……」

ポニテ「引き分けなんて……」

ブシドー「1000勝1000敗か…面白い…こうなったらあれしかない」

ブシドー大木を指差して
ブシドー「棒倒しブシドースペシャル!あの木を倒した者が真の勝者だ!」

ポニテ「いいだろう」

匙「えっえー?ちょっと二人とも落ち着いて、環境への影響とか周囲の人への配慮とか…」

ポニテ「心配いらないよ。我々はプロだ。どんな時でも二次被害、三次被害まで
想定できるように訓練を受けてきているからね」

ブシドー「(スコップを握り)これで…決まりだ」

ポニテ「(クワを握り)僕とて譲れないものはある」

木に走っていくポニテとブシドー



匙「あ~あ、刹那のバックアップどころじゃなくなったな」

眼鏡「たまにはいいだろう。いつもいつも手助けしていたら刹那の為にならん」


寝袋のアレルヤ マリー 刹那 マリナ 

刹那(なんか…気を使う…カップルと一緒だと…)

マリナ「(小声で)刹那…起きてる?」

刹那「ああ」

マリナ「二人とも寝てしまったみたい。外に出て星を見ない?」


ブシドー・ポニテ「(木の周りを掘りながら)掘って掘って掘って掘って」


アレルヤ「(マリーを見て)気をつかわせちゃったね……」

マリー「(アレルヤを見て)クスクス……ほんとね…」

アレルヤ「愛してるよ、マリー……愛してるよ、ソーマ・ピーリス」

ソーマ くるっとアレルヤに背を向けて真っ赤になる

ブシドー・ポニテ「掘って掘って掘って掘って掘って掘って掘って」


マリナ「(星を見ながら)雪って綺麗ね。夜なのにすごく明るい」

刹那「…なんか…いろいろ…ごめん…」

マリナ「私もテントの張り方、覚えるわ。今度教えてね、刹那。
    一分は無理でも二人でやれば少しは早いでしょう?」

刹那「マ…マリナ…(今、ここで…ここで…俺は男に……)」


ブシドー「よしっ」

ポニテ「倒れろ!」

周りの土をすっかり掘り起こされ木が倒れる

刹那「(攻めろ…攻めるんだ)マ…マリナ…俺、俺は……」

ドドドドッドオドドオドドオッドド ズドズズズウドオドドドドオオドオオオ

マリナ「えっ?」

刹那「危ない!!」

刹那がとっさにマリナをかばう。今まで刹那がいた場所に木が倒れてくる。

ポニテ「ち…違うんだこれには理由が…」

刹那「(銃をつきつけて)ほう……」

ブシドー「大用を果たせと……ミッションが……」

刹那「誰から」

ポニテ・ブシドー「「録音」」


管理小屋

録音「刹那!すごい音だったな、今見に行くとこだったんだ…解決した?……
   そりゃ、よかった。ああ、中でホットミルクでも飲んでいくか?」

パタン

録音「ぎゃああああああああああああ」




電波「こんにちは。昨日は疲れたねぇ」

マリー「でも、楽しかったです」

刹那「アレルヤ……録音の奴…俺だけでは飽きたらず、マリリンまで……」

アレルヤ「ん?何か有ったの?」

マリナ「カクカクシカジカ」

アレルヤ「あー……マリナさん、ちょっと…あ、刹那、マリナさんちょっと借りるね」

刹那「あぁ。じゃ、俺はマリーを借りる」

ソーマ「偉そうに言うんじゃない!……まぁ、良いか」


マリナ「えぇっ?あの計画自体ライルさんが?」

電波「そう。君達の事を想ってね。あ、刹那にはまだ言っちゃダメですよ。きっと信じませんから」

マリナ「ええ…でも、そうなら私…なんて酷い事を……」

電波「なんて言ったんですか?」

マリナ「『やはり貴方は兄さんには遠く及ばない器ですね』って……」

電波「あちゃー……」


ソレステ病院

録音「………」

ハロ「ロックオン…ロックオン」

録音「………何…だろうな……」

ハロ「ドシタ、ドシタ」

録音「何か…冬の風が目に染みるのは……グスッ」

ハロ「オトコダロ、オトコダロ」

コンコン ガチャ

マリナ「あの……申し訳ありません…」

録音「!!!!!…………な、何…でしょうか……」

マリナ「アレルヤさんから聞きました…私…貴方に酷い事を…」

録音「正直…デュナメスのサーベルで首を貫きたくなりましたよ…はは」

マリナ「本当にごめんなさい!今まで私…貴方の事を…誤解して…」

録音「いや…兄さんとは違うんです、俺は…何をやってもうまくいかずに…はは、駄目な奴ですよね…」

ギュッ

録音「……え?わ、わ、わ!一体何を……」

ハロ「ハグハグ、ハグハグ」

マリナ「ニールさんは確かに素晴らしい人でした。ですが、貴方は貴方でしょう?」

録音「………」

マリナ「貴方が今まで刹那達の事を考えてきた、という事は少なくともアレルヤさん、マリーちゃん、そして私が知っています…」

録音「………グス」

マリナ「きっと…刹那にも伝わる時が来ますよ……ねっ。ナデナデ」

録音「うっ……うぅっ……ギュッ」

マリナ「よしよし。ナデナデ」

ハロ「ヒトノアタタカミ、ヒトノアタタカミ」


刹那「マリリン、遅いな…」

マリー「きっと大事な用事でもあるんじゃないかしら、ねっ」

電波「うん。刹那もいつか分かるよ」

刹那「???」



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