「ハァ…ハァ…」
走る。
「ハァ…ハァ…」
走る。走る。山道の草むらを。
「ち…ちくしょぉぉぉ!!」
ガッ!
「んおッ!?」
石に躓き、転倒する…
「はぁ…はぁ…くそッ!!」
ドンッ!!
金髪の少年…坂本竜司は片手で強く地面を殴りつける!!
竜司の脳裏に浮かぶのは、先ほどの名も知らない少女の首が爆発して刎ねられたところ。
坂本竜司は、暴力変態教師鴨志田との対立で転校生雨宮連と共にペルソナの力に目覚めた。
鴨志田との決着を付けた後は、世直しと称して怪盗団を結成して、悪い人のオタカラを盗み、改心させていた。
…そして、その行為は「正義」であると考えていた。
しかし―――
「君の正義が人を殺した。」
「うッ!?うおぉぉぉえぇぇぇ」
人の死を直接目の当たりにするのは今回が初めてだ。
しかも、原因は自分の反逆……
胃の中のを全て吐き出した竜司は落ち着こうと、ゆっくりと息を吸う。
「俺は…俺は…」
『どした?そんな、みっともない姿をさらして…』
「ああッ!……!?お…お前は…!?」
顔を上げた竜司の表情が一瞬で変わる…目の前にいるのは、制服を着ている自分自身…
『俺か?俺はお前の自己認知だよ』
「な…んだ…と…!?」
自己認知…それも歪んでいるのは、【シャドウ】と呼ばれる…
『気に病むことはねぇよ…ありゃ不慮の事故さ。気持ちを切り替えようぜ?』
「ばッ…!馬鹿野郎!!そういうわけにいかねぇだろ!!俺があの場所で姫神に反抗的な行動を起こさなきゃ、あの女の子が死ぬことはなかったんだ!」
『だけど、姫神と名乗る男の殺し合いを防いで、怪盗団として名声をもっと高めたかったから行動を起こしたんだろ?』
「ッ!?ち…違う!!名声が欲しくてしたんじゃない!!」
『そうか?思い出せよ!お前が今まで怪盗団としてやってきた結果を…!!』
シャドウ竜司の言葉に竜司は想起する……
…~…
「私は傲慢で、浅はかで…恥ずべき人間、いや人間以下だ…死んでお詫びします…!」
「我が国の、美術界にも…そして…【サユリ】に、も…くっ!…皆様に、どう…お詫びを、申し上げ…う…申し上げ、たら…いい、か…んぁっははぁぁ!」
…~…
「あ…ッ!?」
顔面蒼白になる竜司…
『そうだ!社会的地位に居る腐った大人が転落していく様子にお前はスカッとしていた!!』
『世界のハッカー集団【メジエド】からの挑戦を退け、怪盗団の存在が認められていったことに愉悦していた!!』
「…違う。俺は、そんなんじゃ…」
必死に否定するが…
『今回も今までと同じように、テメーは周りの参加者から称賛を浴びて悦に浸りたかった!!』
「ち…ちがう…ち…ちが…う…」
その声は徐々に消えていき…
『そんな、安っぽい正義が一人の少女の命を散らさせた!!!』
「あああああああああ!!!!」
竜司の精神は崩壊を……ッ!!??
ガシィィィ!!
「落ち着け竜司!!まずは落ち着いて因数分解をするんだ!!」
「!」
(ひえぇぇぇ~~つい、勢いで出ちゃったよ~~)
☆彡 ☆彡 ☆彡
草むらで身を隠していた歩……
「ん?何かな?」
足音らしきのが聞こえてきたため、そぉ~ッと草むらから顔を覗かせると、何やら、男の子が走ってきている。
「あ、転んだ」
走っていた男の子が躓き、起き上がった姿を見て歩は思い出す。
「あ、あの金髪の男の子は…会場で」
そう、殺し合いを命じた姫神と名乗る人に立ち向かった男の子。
「え~っと…名前は…あった!坂本竜司というんだ…」
歩は名簿を開き、金髪少年の名前を知る。
「きっと…あの人なら、殺し合いには乗っていないよね…よ~し…ん?」
先ほどのやり取りを見ていたため、竜司が危険人物ではないと判断した歩は名乗り出ようと草むらから出ようとするが…
「ばッ…!馬鹿野郎!!そういうわけにいかねぇだろ!!俺があの場所でアイツに反抗的な行動を起こさなきゃ、あの女の子が死ぬことはなかったんだ!」
(……)
(えええええ!??何!?何かな!?一人でブツブツなにか言ってるよーーー!?)
(え?え?AP○X4869!?雛○沢症候群!?薬をしているのかな?かな?薬物乱用はダメ。ゼッタイ。だよ―――」
歩は竜司の独り言にツッコむ。
(どどど、どうしよ~…実は危ない人なんじゃないかな?かな?)
歩はすっかり、怯えて草むらに潜むように様子を窺う…
「…違う。俺は、そんなんじゃ…」
(……)
「ち…ちがう…ち…ちが…う…」
(……)
「あああああああああ!!!!」
気づいたら、身を乗り出していた……
☆彡 ☆彡 ☆彡
「…わりぃ。助かったわ…」
竜司は助けてくれた少女…西沢歩に礼を言う。
「ううん!気にしないで!」
歩は若干照れながら、両手を左右に動かす。
「ところで、どうして俺の名前を知ってるんだ?」
竜司の疑問に歩は名簿を開く。
「名簿に顔写真が貼ってあるんだよ。それを見て、竜司君の名前を知ることが出来たの」
「へぇ~…そういえば、俺、まだ名簿を確認していなかったな…」
竜司は歩と同じ支給されている名簿を開こうとすると……
「どうやら、反逆のドクロの旗が健在のようで安心したぞ…」
「なッ!?」
竜司の側に現れたドクロの怪人に驚く歩。
「ななな…何かな?ス○ンド!?ス○ンドかな!?」
「スタンド?」
竜司の言葉に歩は大声で注意する。
「だ、駄目だよ!!竜司君!!伏字!伏字!!荒木先生の許可は!?「©」は!?著作権侵害は不味いからね!!」
「お…落ち着け!西沢!!これは、スタンドじゃなくて【ペルソナ】っていうんだ!」
「ふえ!?」
テンパっている歩を竜司は落ち着かせる……
☆彡 ☆彡 ☆彡
「へぇ~、ペルソナっていうんだ」
「ああ…俺も詳しいことはわからねぇが、ペルソナ…キッドのおかげで俺は戦う力を得ることが出来た」
「す…すごいね!!つまり竜司君はス○ンド使いならぬペルソナ使いなんだ!!」
歩は素直に竜司に羨望の眼差しを向ける。
「…だけど、俺は…」
「ん?どうしたの」
竜司の悩んでいる様子に歩は尋ねる。
「俺がやったことは、結果的に殺し合いを止められなかった。しかも、俺の正義が関係ねぇ女の子の命を奪っちまった…」
「……」
「俺はあの女の子に謝っても謝り切れねぇ…!!」
竜司の後悔してもしきれない本音…
「たしかにテンションで買い物をすると…失敗もするでしょう…」
「は?」
突然の歩の言葉に竜司は唖然とする…
「家に帰ってから後悔する事もあるでしょう…」
「な、何をいってん…」
ふざけているのかと竜司は怪訝な顔をするが…
「しかし後悔は……!!決して前には出来ないのです!!」
「!?」
「たしかに…竜司君の行動は、結果として女の子が死んじゃった…だけど、あの場で自分の意志を示せたのは竜司君だけなんだよ!!」
「……」
「私は、正直、わけもわからなかったし、オロオロしていただけ…でも、竜司君はハッキリと殺し合いを拒絶した!…正直、私が出会ってきた男の子の中で2番目にカッコよかったよ♪」
「はは…2番目かよ…」
「あの女の子に関係している人もこの殺し合いの場にいるかもしれない。だから…そのときは謝ろう!許してくれるまで。私も一緒に頭を下げるよ!ね♪」
「強いんだな…西沢は」
竜司の言葉に歩は…
「そうだよ、女の子という生き物は普通に強いんだよ」
ニッと笑顔を竜司に向ける。
「西沢…」
「歩でいいよ。竜司君!」
(歩との関係が深まるのが感じる…)
我は汝…汝は我…
汝、ここに新たなる契りを得たり
契は即ち、
囚われを破らんとする反逆の翼なり
我【「って何かな!?この唐突のナレーションは!?」力とならん…
《普通、そこで被せるか…?》
天の声に聞こえているかわからないが、歩はさらに…
「いやいや!!だって、急に真っ暗になって白文字と赤文字が浮かび上がるなんておかしいでしょ!?」
容赦なくメタ的なツッコミをする…
《……》
シュパァァ!!ザンッ!!!RANKUP!
コープのランクが3に上がった!
歩が「ツッコミトーク」・「ハムスターの追い打ち」をしてくれるようになった。
「無視された!?それに、な、何かな!?その微妙なスキルは!?」
《いちいちツッコむな》
「もう!…あ!?そうだ、竜司君。どこか知っている場所とかある?」
「ん?ん~と…おっ!?喫茶店ルブランがある!?」
歩に尋ねられ、地図を広げ確認した竜司は馴染みの店の名前を見つける。
「知っているお店?」
「おう!俺たち、怪盗団の集合場所として利用してるんだ」
「そうなんだ!…じゃっ!まずは、そこへ向かおっか!」
歩の即答に竜司は…
「え!?…でも、歩はいいのか?その…歩が知っている場所へ向かった方が、会いたい人と出会える確率が高いぜ?」
竜司の気づかいに歩は…
「ふふ…優しいんだね。竜司君は」
ピロピロリン♪ ♪ ♪
「大丈夫だよ♪ヒナさんは、とっても強くて、ナギちゃんは頭がいいし、そんなナギちゃんのお友達の鷺ノ宮さんも凄い力を持ってるみたいだし、メイドのマリアさんはスーパーメイド人だから♪」
「それに…」
脳裏に浮かぶのは…好きな人……
「ハヤテ君なら、私のピンチにすぐ駆けつけてくれるから♪」
ハヤテの名前を口にした歩の表情を見て、竜司は察する。
「そうか…なら、いこうぜ!歩!!俺たちでこの胸糞わりぃ殺し合いを止めるぜ!!」
「お…おー!」
竜司と歩は喫茶店ルブランを目指して歩きだす―――
(ハヤテ君…私はハヤテ君のことが好きだよ。その気持ちは全然変わってないから!付き合って恋人になりたいと思っているの!だから…死なないでね!私も竜司君のように強くなるから!!)
竜司君と出会わなければ、私はずっと草むらの中へ潜んでいて、死んでいたかもしれない…だけど、竜司君の反逆に共にいることで、私は強くなれそうな気がする。
それは、根拠のない推測―――
だが、どちらにせよ、もう臆病だったハムスターは立ち止まらない。
歩は掲げた恋の旗を胸に歩(あゆむ)―――
(ありがとうな…歩。お前のおかげで、俺はなんとか自分を見失わずにすんだ)
気が付くと、自分ソックリのシャドウは見えなくなっていた…あれは、幻聴だったのか、それとも…
だが、どちらにせよ、もうスカルは立ち止まらない。
竜司は掲げた反逆のドクロの旗を胸に歩(あゆむ)――――
【B-4/山道/一日目 深夜】
【坂本竜司@ペルソナ5】
[状態]:健康 膝部分擦り傷
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、不明支給品1~3(未確認)
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いに反逆する
一.歩と共に殺し合いに反逆して姫神を倒す
二.死んでしまった女の子の関係者に出会ったら、許してもらうまで謝る
三.他の怪盗団のメンバーと歩の関係者に早く出会いたい
※歩とのコープが3になりました。
※竜司に話しかけていたシャドウは幻覚か本当かはわかりません。また、出現するかは他の書き手様にお任せします。
※参戦時期は9月怪盗団ブーム(次の大物ターゲットを奥村にする前)のときです。
【西沢歩@ハヤテのごとく】
[状態]:健康
[装備]:ヘビーメイス@ペルソナ5
[道具]:基本支給品(食料消費小)、不明支給品0~2(本人確認不明)
[思考・状況]
基本行動方針:竜司と殺し合いに反逆へ歩む
一.皆で生き残りたい
二.竜司との反逆で強くなりたい
三.ハヤテ君…私、ハヤテ君に伝えたいことがあるから
※竜司とのコープが3になりました。以下のスキルを身に付けました。
「ツッコミトーク」相手との会話交渉が決裂した時に、異世界の人物であれば、交渉をやり直せる
「ハムスターの追い打ち」竜司の攻撃で相手をダウンできなかった場合、追撃する。
※参戦時期はアテネ編前
最終更新:2021年01月07日 10:52