「…竜司」
憂鬱そうな表情で歩くスタイル抜群の女性…
その歩き方は、殺し合いという場ではなくパリで開催されるパリコレが相応しいと100人中100人が答えるだろう…
女性の名は高巻杏。
心の怪盗団のメンバーでコードネームは【パンサー】
中学からの親友である鈴井志帆がバレー部顧問鴨志田により自殺未遂を起こす。
その怒りからペルソナに目覚め、鴨志田を断罪した後、怪盗団の一員として心が歪んだ人の改心を行っていた。

パレスに送られた杏は支給品を素早く確認した。
中身はマシンガンと緑色のBB弾らしきもの。
マシンガン自体は使い慣れているので、問題ない……
しかし、撃つ標的がペルソナではなく、【人】だということ――――

杏が想起するのは竜司と姫神のやり取り――――

「何でだ……ちくしょう!!」

「これは君が招いた結果だよ。……君の正義が人を殺した。」

竜司の行動が結果として自分と同年代に見えた少女の命が奪われた……
「自暴自棄になってなければいいんだけど…」
竜司を気遣いながらも、杏は体をブルッ!と震わせる……
「…死ってこんなに恐ろしいものなんだね…」
今までも改心させる過程の中で死の危険はあった。
それでも、乗り越えられてきたからこそ【少女の死】は杏の心に暗い影を落とす―――

「なんだい。立ち向かうこともできなくなってしまったのかい?」

そう言いながら姿を現したのは杏のペルソナ「カルメン」―――
「…違うよ、カルメン。ただ、パレス内での殺し合いなんて、歪みすぎているなと思っただけ…」
パレスとは、歪んだ欲望が具現化した世界―――つまり、このようなパレスを作りだせる人物の精神は相当の歪んだ欲望を持っていること…
杏はそう言いながら、支給品のマシンガンを抱くように握る……
「じゃあ、お前はこのまま歪みに怯えて死を迎えるのかい?」
「…いいえ、カルメン」

「…もう我慢はしないって決めたの!私は姫神を許せないッ!好きにやらせてもらうんだからッ!」

杏の決意―――
「安心したよ…そう、我慢なんかしていても、何も解決出来ない。忘れてないのなら、力をかしてあげる」
カルメンは微笑むと姿を消す。

☆彡 ☆彡 ☆彡

「…え?あれは…」
決意完了をした杏の視線の先に、人が倒れていた。
「ッ!?大丈夫ですか!?」
急いで、駆け寄る杏。
倒れている女性はOLだろうか。
髪の色こそ暗い紫色だが、スーツに眼鏡をかけていた。
「ねぇ!しっかりして!」

「お…」
「お?」

「お腹が空いて、動けない…」

女性の告白に続き…ぐぅぅぅぅぅ~~~~
腹ペコな音が鳴り響いた。

「よかったら、これ食べて下さい」
そういうと、杏は自分のデイバックから取り出した食料のパンをエルマに差し出した。
「え…でも、それでは、人間さんが困るんでは…?」
よろよろと立ち上がる女性は遠慮がちに尋ねる…

「遠慮しないでください。困ったときはお互い様ですよ」

ピロピロリン♪ ♪ ♪

「で…では英気を養うためにもご好意に甘えて…」
エルマは杏が差し出したクリームパンを手に取り…

ハム

「あああああ♪やっぱり、クリームパンはおいしい…ほっぺたおちる幸せぇ…!!」

エルマは至福の時を過ごし…

「ありがとう!…ありがとう!人間さん!!おかげで元気がでた♪この御恩は忘れないぞ!」

エルマは杏の手を握り、何度も頭を下げ、感謝を述べる。…が
「…あの、それ…」
「ん?」
杏が指さす方向は自分の頭…
そう。余りの空腹からのおいしい食事で喜びのあまり、隠していた角と尻尾が露わとなっていた!
「それに、パンを差し出したときもそうだし、【人間さん】と言ってたよね?…どういうこと?」
杏の鋭い目線…
「あッ!?いや…それは…その…」

☆彡 ☆彡 ☆彡

「それじゃあ…エルマさんはドラゴンなのね」
「…ああ。そして私は勢力でいうと、【調和】に属しているんだ」
隠しきれないと見たエルマは正直に自分の正体を伝えた。

ドラゴンには大きく3つの勢力が存在する。

秩序を重んじる【調和勢】 破壊と支配を望む【混沌勢】 組することなく群れもしない【傍観勢】

エルマは調和を重んじる調和勢に属している。

「杏さん」
「はい」

エルマは真剣な眼差しで杏を見つめる…

「本来、ドラゴンは世界の秩序を乱すから、人間の争いには干渉をしないんだ…」

「だが、姫神のこの企みは、調和を著しく乱す行為でとうてい看過できない!」
ギリッ…歯を食いしばるエルマ――――
「…悔しいが、姫神による妨害か、本来の姿に戻ることができないし、魔法も制限されている…」
「それでも、私は世界のバランスを取りもち導きたい!!どうか!私と協力してくれないかッ!!!」

エルマの熱い想い――――

「…」
杏は目を瞑り…カッ!と見開くと――――
「もちろん!私も姫神は許せない!あのとき私は決意した!志穂をあんな目に合わせた鴨志田のような奴らを改心させると!!」
「エルマさん!私からもお願いします!!私たち…心の怪盗団と協力してくださいッ!
杏の熱い想い―――――

我は汝…汝は我…
汝、ここに新たなる契りを得たり
契は即ち、
囚われを破らんとする反逆の翼なり
我【月】のペルソナの生誕に祝福の風を「ぐぅぅぅぅぅ~~~~」ならん…

《……》

「えッ!?」
またしても鳴った予想外の音に戸惑う杏。
「~~~~~!!」
カア カア カア カア……
顔を火山の如く赤くしているエルマ…

《…え?わざと?わざとなの?》

天の声が聞こえたかのかエルマは反論する。
「そ…そんなわけあるか!!その…太る=身体が大きくなる(闘いに強くなる)だから仕方がないだろッ!!」

《カレーは飲み物じゃないんだぞ?》

シュパァァ!!ザンッ!!!RANKUP!

コープのランクが3に上がった!
エルマが「エルマの応援」・「エルマの本気応援」をしてくれるようになった。
「さっきからごちゃごちゃうるさいぞ!天の声さん!!」
エルマは足をジタバタと大地を踏む…

《ピザでも食ってろ》

「…コホン。とにかくだ!私は杏さんの力となろう」
気持ちを落ち着かせたエルマは改めて杏に伝え、
やり取りを眺めていた杏は口元を弛ませ…

「杏でいいわ。共に戦う仲間に遠慮はしないで♪」
「なら、私もエルマで良い!共に戦う仲間だからなッ!」

「…わかったわ!頼りにするわね、エルマ!!」
「…ああ!よろしく頼む!杏!!」

ピロピロリン♪ ♪ ♪

互いに絆を深め…杏は提案する。
「それじゃあ、喫茶店ルブランにいきましょ!食材を調理できると思うから、アジトに最適よ♪」
「おお…!!それは、賛成だ!!」
エルマは目を輝かせる。

「見てなさい姫神!あんたの心!!いただくから!!」

牝豹と竜の殺し合いへの反逆の炎が燃え上がる!!!

【C-6/草原/一日目 深夜】

【高巻杏@ペルソナ5】
[状態]:健康
[装備]:マシンガン※対先生BB弾@暗殺教室
[道具]:基本支給品(食料小) 不明支給品1~2
[思考・状況]
基本行動方針:姫神を改心させる
一.島にあるであろうパレスの主のオタカラを探し出す
二.食料確保も含め、純喫茶ルブランに向かう
三.怪盗団のメンバーと合流ができたらしたい
※エルマとのコープが3になりました。
※参戦時期は竜司と同じ9月怪盗団ブーム(次の大物ターゲットを奥村にする前)のときです。
※杏はパレスということから、オタカラがあるのではと考えています。

【支給品紹介】
【サブマシンガン※対先生用BB弾@暗殺教室】
本来は人体には無害のBB弾だが、パレスの効力により対先生ナイフと同じく、本来は持っていない殺傷力を有する。
杏はBB弾でも殺傷できることを理解している。

【上井エルマ@小林さんのメイドラゴン】
[状態]:健康 空腹(小)
[装備]:レテの斧@ペルソナ5
[道具]:基本支給品(食料なし) 不明支給品(1~2)
[思考・状況]
基本行動方針:姫神の殺し合いを阻止する。
1.調和を乱す姫神は許さん!…あ、お腹が空いた…
2.トール・カンナと出会えたら、協力を願う
3.小林さんに滝谷さんに出会ったら保護する
姫神により全身ドラゴン化や魔法が制限されていることを把握しています。
※参戦時期はトールと仲直りした以降。
※杏とのコープが3になりました。以下のスキルを身に付けました。
「エルマの応援」エルマと絆を結んだ者は身体能力がほんの少しだが、底上げされる。
「エルマの本気応援」エルマと同行中している限り戦闘中、経験値が上昇する。(相手の技を見切るなど)

【支給品紹介】
【レテの斧@ペルソナ5】
上井エルマに支給された斧。ガンカスタムが施されており、「中確率で忘却付着」の効果が付いている。

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022:魔王、A-6に立つ 時系列順 023:僕たちの居場所
023:僕たちの居場所 投下順 025:泡沫の青春模様
高巻杏 030:魔法少女の時間
上井エルマ
最終更新:2021年07月29日 22:35