深夜の負け犬公園。
私はそこで魔法少女と名乗る子と出会った。
その子…杏子は知り合いが通ってたという見滝原中学へ向かうようだーーーーー
後は、私の返事のみ。
杏子と同行するのか、しないのか

「私は……」
(うん…やはり、ここは九朗君と合流をするのが先かしら)

(九朗君やあの娘(岩永)との共通場所は工事現場しかない。ここで、すれ違ったらおそらく出会う確率はグッと低くなるわ……)

誘いの申し出に申し訳ないと思いつつも私は同行を断ろうとしたがーーーーー
「!!」

杏子の目を見た瞬間、言葉が途切れたーーーーー

「……」
あの目は、他人…特に大人を心から信用できず、荒んではいるが、自分の為に力を行使することで心の平穏を保っている子供の目。

鋼人七瀬が起こした事件について弓原沙希は独自で調査をしているが本来、交通課の婦警である。

職務上、周囲や親との人間関係が拗れてしまったために無免許運転を行う非行少女達との接点も多い。
そういう子達は皆、一人ぼっちの寂しさに悲しんでいる目をしている。
佐倉杏子の目は正にそんな彼女達と同じだったーーーーー

「ん?結局、あんたはどっちなんだ?」
言葉を紡ぐのを中断した私に杏子は怪訝そうな表情を見せる。

「私は……」
改めて返答を口として開こうとしたがーーーーーー

ブルルル!!

「きゃッ!?」
突如、お尻のポケットに入れておいた支給品のスマホが震え出した。

「なッ……何なの!?」
スマホを取り出すと……

「はじめまして♪本日からあなたの支給品として働く「律」と申します。よろしくお願いします。」
スマホが喋りだしたーーーーー

☆彡 ☆彡 ☆彡

「それで、あなたは、姫神により支給品とされたのね」
《はい。その通りです。今はスマホ内にしか活動できないのでモバイル律です💗》

「……」
(魔法少女の次は超科学……頭が痛いわ)

私の支給品のスマホから話しかけてきた少女の声の主は律。
正式名称は、自律思考固定砲台というらしい。
なんでも、「殺せんせー」…その名前にツッコミたいところだが……とにかく、その殺せんせーの命を狙うために椚ヶ丘中学三年生へ編入。

編入始めは、命じられたプログラムを遂行する機械として生徒たちとの協調性もなく命を狙っていたが、殺せんせーによる改造によりE組の皆と溶け込めたようだ。
卒業後は本体は解体されたが、データはネット上に住み、日々進化を重ねているそう。

《E組での学校生活を終え、私は電子の海を漂いながら進化をしていた日々でした。ですが…姫神と名乗る人物が私(データ)をサルベージしてスマホにインストールしたのです》
「そして、私に支給されたというわけね……」

《はい。それと、おそらく私と紗季さん、杏子さんの世界は別々の可能性があります》

「えっ!?」
「はぁ!?どういうことだよ」
モバイル律の指摘に私のみならず杏子も驚きを隠せない。

☆彡 ☆彡 ☆彡

「月が常時三日月……そんなことはニュースにもなっていないし、目にもしたことがないわ」
「アタシも右に同じ。空の月が三日月のままなんて見たことねーな」
律のいた地球では、月で行われていた実験により7割破壊されて常に三日月の状態になってしまったようだ。
もっとも、一時的だったみたいで今は元通りになったらしいが……

《私もインターネット上で活動していますが、「鋼人七瀬まとめサイト」なるサイトは聞いたことがありませんし、魔法少女の存在も同様です》

「一応あなたの仮説には説得力があるわね……」
(なるほど。それなら、確かに魔法少女なんて存在、想像力の怪物にカテゴリーされてもおかしくない。もしも、本当に実在するのならば別世界なら……)
紗季はモバイル律の仮説に納得する。

「それにしても、すげーな。それだけで、そんなことまで考えちまうなんて」
杏子はモバイル律の仮説に素直に称賛する。

《はい。暗殺の一年で機能拡張(べんきょう)しましたから》
Vサインで笑顔を見せる律。

「ん?まてよ、じゃあ、アンタの機能で首輪とかも解除できたりするんじゃないか?」
杏子の指摘は私も同様に考えついていた。

《残念ながら、私の機能は大幅に制限されています……》
画面上の彼女は悲しそうに首を横に振る。

《紗季さんのスマホには私の意識(データ)だけでなく、ウイルスデータも仕込まれています……迂闊に手を出すと私の意識(データ)は消去されてしまうようプログラムされています……》

「それは、そうよね……殺し合いを強要する奴がそんな機能を有したのを支給するはずがないわ」
(でも、それにしても機械とはいえ意志がある律を支給品にするなんて、どういうつもりかしら?…やっぱり姫神の裏には六花さんがいる?)
私は改めてこの騒動の裏に六花さんがいるのではないかと疑惑を強める。

「ちっ…それは仕方がねーな…で、話しが逸れたけど、どうするんだ?」
そうだった。返答するはずがモバイル律との会話でしそびれていた…しなければ。

「そうね……正直、九朗君との合流は優先したいけど、律の仮説を信じるならば、戦力を確保することが重要。だから私はあなたと共に行くわ」
杏子と同行をする。本当の理由は「そんな目をするあなた(杏子)がほっとけないだが、それが今の私の本当の気持ち
「…そうか!まっ!いざとなりゃアタシが守ってやるよ!大船に乗った気持ちでいな!!」
杏子は嬉しそうな表情を隠しきれない。

我は汝…汝は我…
汝、ここに新たなる契りを得たり
契は即ち、
囚われを破らんとする反逆の翼なり
我【女教皇】のペルソナの生誕に祝福の風を得たり
自由へと至る、更なる力とならん…

シュパァァ!!ザンッ!!!RANKUP!
コープのランクが4に上がった!
紗季が「警察の追い打ち」・「現実トーク」をしてくれるようになった。

「よし。それじゃあ、行きましょうか」
(九朗君…無事でいてね…やだ、未練…ね)
私は九郎君(元彼)のことを気にかけつつも杏子との同行を選択したーーーーー

☆彡 ☆彡 ☆彡

「あれはッ!?」
負け犬公園を離れ、数刻、集団を見つけた。
どうやら、杏子の知り合いがいたらしく、彼女は集団に駆け寄る。

「紗季さん。私たちも急ぎましょう」
「ええ。……情報収集……ね」
私も杏子に遅れぬよう駆け抜けるーーーーー
選んだ気持ちを後悔しないために。

【C-3/平野/一日目 黎明】

【弓原紗季@虚構推理】
[状態]:疲労(小)
[装備]:モバイル律
[道具]:不明支給品1~2、ジュース@現地調達(スメルグレイビー@ペルソナ5)
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いの破綻
1:杏子をほおっておけないため見滝原中学へ同行する
2:可能であれば九朗君、岩永さんとの合流
3:美樹さやかに警戒(巴マミの存在も僅かに警戒)
4:魔法少女にモバイル律……別の世界か……

※鋼人七瀬を倒す作戦、実行直後の参戦です
※十中八九、六花が関わってると推測してます
※杏子から断片的ですが魔法少女に関する情報を得ました
※モバイル律からE組生徒の情報及び別の世界があるという可能性を得ました。
※杏子とのコープが4になりました。以下のスキルを身に付けました。
「警察の追い打ち」杏子の攻撃で相手をダウンできなかった場合、追撃する。
「現実トーク」相手との会話交渉が決裂した時に、人間であれば、交渉をやり直せる

【支給品紹介】

【モバイル律@暗殺教室】
弓原沙希に支給されたスマホ。律の意識(データ)が登録されている。姫神の手により首輪へのハッキング機能などロワの破綻に繋がる機能を制限するためウイルスが埋め込まれている。機械に詳しい参加者ならば、あるいは駆除できるかもしれない……?
現在、モバイル律にどのような機能があるのかは後続の書き手様に委ねます。

【スルメグレイビー@ペルソナ5】
杏子が八つ当たりで側面がひしゃげた自動販売機から手に入れたジュース。
飲んだ者の体力を(小)回復
攻撃低下&命中・回避上昇の効果付き。

【佐倉杏子@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:姫神に対するストレス、魔法少女の状態
[装備]:なし
[道具]:不明支給品1~3 ジュース@現地調達(中身はマッスルドリンコ@ペルソナ5)
[思考・状況]
基本行動方針:とりあえず姫神を殴らないと気が済まない
1:紗季と見滝原中学へ向かう
2:鋼人七瀬に要警戒
3:さやかに会ったら…
4:あれは、まどかッ!?

※魔女化したさやかと交戦中の時の参戦です
※最初の場のやり取りを大雑把にしか把握していませんが、
 大まかな話は紗季から聞いています
※紗季から怪異、妖怪と九朗、岩永の情報を断片的に得ました
※モバイル律からE組生徒の情報及び別の世界があるという可能性を得ました。
※さやかは魔女化した状態と思ってます
※パレスの中では、鋼人七瀬が弱体化してる可能性は仮説であるため、
 実際に彼女が本当に弱体化してるかどうかは分かりません

【マッスルドリンコ@ペルソナ5】
杏子が八つ当たりで側面がひしゃげた自動販売機から手に入れたジュース。
飲んだ者の体力を(小)回復
防御低下&攻撃上昇の効果付き。

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033:不調和 ~カビ問題~ 時系列順 035:Get ready, dig your anger up!
投下順
006:非情の中の神の祝福 佐倉杏子 046:Turning Points
弓原紗季
最終更新:2021年09月19日 18:53