The World is Yours!


「今回の実験はHIGUMAを使おうと思うんだ」

ゲームが始まる少し前、会場を設置した場所である北国のとある有名なラーメン屋で
異世界から来た少女、黒騎れいに名物の味噌ラーメンを御馳走しながら有富は告げた。

「……なんでヒグマ?」

味噌のうま味と麺のコシを追求した濃厚な味わいに感動しながられいは質問する。

「おっと、キミが想像しているようなただのヒグマじゃないぞ。
 僕らが造った穴持たずはいわば人間の恐怖心の具現化。
 どんなヤツが参戦しても絶対に勝てる、出鱈目な強さを有した無慈悲な処理装置さ」
「ふぅん」
「今度は能力者だけじゃないぞ。クロスゲートを利用してあらゆる世界から強者を
 呼び出して殺し合いをさせる。勿論、簡単には乗ってくれないだろうね。
 そこでHIGUMA達を当て馬に使うんだよ。彼らの絶望的な強さに
 連れてこられた連中も刃向う気を失うだろうね。そしてゲームが成立した時、
 僕達の正義が証明される。人間の知性こそが最強であるという証明がね!」
「うん。で、私の世界を取り戻す件については?」
「あぁ、勿論約束するよ。今回のゲームで得た技術を流用すれば容易い筈さ。
 まあ、穴持たずは会場中に10匹位配備しておけば十分だろうけど、
 もしもの時は君の力を借りることになるだろうね。
 あれ、もうラーメン食べ終わったのかい?え?おかわり?
 ……まぁ、いいよ、今日は僕のおごりだからね!」

◆ ◆ ◆

「……何が起こってるの?」

ビルの屋上から路上でぼんやりしているヒグマ、穴持たず00を見下ろす
尻にピッタリフィットしたホットパンツを履いた少女、れいは思わず呟いた。
あの男、有富が自信満々で会場に送り込んだHIGUMAの一匹が早速無力化されてあの様とは。
一体、どんな目に遭わされたというのか?

「色々想定外の事が起こっているようですね。
 れい、まさかこんなに早くあなたの出番が来るなんて」

喋るカラスが彼女のディバッグから頭だけひょっこり出して語りかける。

「大体、ヒグマは10匹しかいない筈じゃなかったの?随分増えてるみたいだけど」
「HIGUMAというのは、もともとあの男ごときが制御できる代物じゃなかったのでしょうね。
 ……まあいいでしょう、あなたはあなたの仕事をするだけですよ」

れいは呆けている穴持たず00を見る。その表情は無慈悲な処理装置と呼ばれた
HIGUMAの一匹とは思えない程、幸せな雰囲気に満ちていたまるで女を知った雌のような。

「もうあの娘はそっとしておいてあげてもいいんじゃないかな?」
「あれを御覧なさい。」

しばらく待っていると、路上で呆けている穴持たず00に何者かがゆっくりと近づくのが見えた。

「制裁ヒグマ……」
「戦えなくなったヒグマは処分されるだけ。当然でしょう。れい、彼女を救ってあげなさい」
「ええ……そうね」

少し躊躇いながら、れいは弓を構え、これから知性を消すことになるだろう穴持たず00に矢を向けた。

「さようなら、No.00」

れいは光の矢を射り、ヒグマの額に見事命中させる。穴持たず00は赤い光に包まれ―――

「……え?」

れいの表情が、驚愕に包まれた。

悟空殺しを退けたカズマはシェルブリッドを解除した右手を握りしめる。

「まだだ……俺のアルターにはまだ先がある」

結果的に勝利?したものの、己の全力を尽くしても倒すことはできなかった。
だが、あくまで今の自分の全力だ。力が足りないならここで強くなればいい。

「俺はもう負けねぇ!!劉鳳!!ヒグマ!!待ってろよ!!」
「それはいいんだけどさ、とっととここから離れた方がいいんじゃないかカズマ?」

杏子に肩を叩かれたカズマが、彼女の指さす方を見ると、
先ほど自分たちが赤石の力で噴火させた火山があった。
爆発が収まったとはいえ、その噴火口から火山灰と共に大量の溶岩流が静かに流れ出している。

「……あれがここまで来るのも時間の問題だな」
「勝ちたいのはわかるけど、とりあえず生き延びねぇとな!……ん?」

一匹のヒグマが二人が佇む道路を上を全力疾走で駆け出し、こちらへ向かって来る

「ヒグマ!またかよ!」
「さっきのデカいヤツじゃねぇ!けっ、いいぜ!相手になってやる!」
「おい、無茶だ!さっき全力で戦ったばっかじゃねぇか!」
「うるせぇ!俺はもう負けるわけにはいかねぇんだ―――」

ヒグマは猛るカズマを無視して真横を通り過ぎ、そのまま二人から離れて何処かへ行ってしまった。

「……は?」

ピンチは脱したものの拍子抜けするカズマ。今のはなんだったのか。
あのヒグマが、まるで何かから逃げるように―――

「あ?あいつは―――!?」

次にビルとビルの間をスパイダーマンのようにワイヤーを引っ掛けながら現れたのは、
妙にエロい恰好をした暁美ほむらだった。知り合いに会った安堵感からか杏子は彼女に喋りかける。

「ほむら!あんたも連れてこられてたのかよ!?」
「――――死にたくなかったら早くここから逃げて!!」
「え?」

その黒髪の少女(よく見るとほむらとは別人?)は、こちらをちらりと見た後そう告げ、
さっきのヒグマと同じように二人から離れていく。

「ふはっ!ふははははっ!!!素晴らしい!素晴らしい!!!
 あれがNo.00の!!原初のHIGUMAの真の力ッッッ!!!!!」

彼女の肩に乗っているカラスがハイテンションに叫んでいる。
ほむら似の少女はすぐに見えなくなり、再びその場にはカズマと杏子だけが残された。

「なぁ、何が起こってるんだ?」
「わかんねぇ。でもよ、今の状況だと普通真っ先に火山から逃げるよな?」

二人はヒグマと黒髪の少女が逃げてきた市街地の方向を同時に見る。
すると、激しい爆音と共に、ビルの一つが吹き飛んだ。

「な、なにぃぃぃぃ!!!!?」
「なんだあいつは!!?」


――――――ヴオォォォォォォォォォォ!!!!!!


全長数十メートルはあるような巨大な生物が、街に立ち並ぶビルを次々となぎ倒しながら移動している。
両手足に鋭い爪を持つ分厚い毛皮に覆われた外見は二人がよく知るヒグマに似ているが、
その生物は鼻や口など顔面もすべて毛で覆われており、どういう顔をしているのかよく判らない。

「……なぁ、あれもヒグマなのか?」
「いやぁ、怪獣だろ。ったく、空を飛ぶやつの次はアレかよ!」

幸いこちらにはまだ気づいていないようだが、先ほどから何発か火山から噴出したマグマが
直撃してても特に動じていないのをみるとあの怪獣は図体がデカいだけという訳でもなさそうだ。

「自然災害のオンパレードだな……絶対まともに殺し合いさせる気ねーだろ主催者!」
「で、戦うのかい?」
「そうだな―――とりあえず、逃げるぞ!」
「あぁ、分かった!」

カズマと杏子も、ほむら似の少女が逃げていった方へ駆け出して行った。

「……さやか……」
「え?」
「……いや、何でもない。気にすんな!」

ふいに脳裏に浮かんだ一人の魔法少女の名前を呟いた杏子は、手を強く握り占める。

「あたしはずっと一人だった。大切なモノがなくなっちまうのが怖くてさ。
 ……でもさ、大切なもんってのは、いつの間にか勝手に出来ちまうものなんだよな。
 今は逃げるけどよ、あたしも一緒に強くなるぜ、カズマ!もう二度と失わねぇように!」


【F-5/市街地/早朝】

【カズマ@スクライド】
状態: 石と意思の共鳴による究極のアルター、疲労(中)
装備: :基本支給品、ランダム支給品×0~1
道具:エイジャの赤石@ジョジョの奇妙な冒険
基本思考:主催者をボコって劉鳳と決着を。
1:今度熊を見つけたら必ずボコす。
【備考】
※参戦時期は最終回で夢を見ている時期

佐倉杏子@魔法少女まどか☆マギカ】
状態: 石と意思の共鳴による究極の魔法少女
装備: :基本支給品、ランダム支給品×0~1
道具:
基本思考:元の場所へ帰る――主催者をボコってから。
1:カズマと共に怪しい奴をボコす。
2:ほむら似の少女(黒騎れい)が気になる
【備考】
※参戦時期は本編世界改変後以降。もしかしたら叛逆の可能性も……?

【黒騎れい@ビビッドレッド・オペレーション】
状態:健康
装備:光の矢(6/8)、カラス@ビビッドレッド・オペレーション
道具:基本支給品、ランダム支給品1~2
基本思考:ゲームを成立させて元の世界を取り戻す
0:ヒグマを陰でサポートする
1:穴持たず00(ヒグマドン)から離れる
※アローンを強化する光の矢をヒグマに当てると野生化させたり魔改造したり出来るようです
※ジョーカーですが、有富が死んだことは知りません

【制裁ヒグマ】
状態:あんまり書かれてないキャラの背後を狙う。
  けど背後だけじゃなくてたまには上から狙うし下から狙うし横から狙うし
装備:なし
道具:なし
基本思考:書かれてないキャラはいねがあ
1:リレーされてないキャラはちょくちょく、でかした!とばかりに食べる
※ニンジャ@現地調達系アイテムはどっかにいるんじゃないでしょうか
 でも描写されずに死んじゃってるかもしれませんね
※気が向いたら埋葬して墓石も準備してくれるようですよ
※40話以上リレーされてないキャラは対象になる確率がグッと上がるのかもしれない。
 でも中には運良く生き延びるキャラも居るのかもしれませんし
 先を越されるかもしれないですね。



何処かの時間軸の20世紀末の日本。
二大モンスターが日本全土を震撼させていた。
残虐非道な二人組のテロリスト、トシモン。
規格外の巨大なモンスター、ヒグマドン。
連続爆破、警察署襲撃、殺人代行といった無差別な殺戮を繰り返しながら北海道を
目指して移動する二人と、次々と住民を巻き添えにしながら北海道から津軽海峡を
渡って移動する謎の巨大生物を巡る騒動はやがて全世界を巻き込む悲劇へと発展していった。

――――――ヴオォォォォォォォォォォ!!!!!!

その騒動の中心にいた怪物と同じ姿をした穴持たず00は街で暴れながら特に意味もなく咆哮する。
人間に造られた兵器でも、一匹の雌でもなく、世界を滅ぼす怪物として。


【G-5/市街地/早朝】

【ヒグマドン@ザ・ワールド・イズ・マイン】
状態:―――――
装備:
道具:
思考:ヴォォォォォォォォォォ!!!!!!
0:進撃する
1:鷹取迅を殺す
[備考]
※黒騎れいの放った光の矢が刺さった穴持たず00が進化しました。元の人格は消滅したようです
※制限が掛かっていないため、状況に応じて全長が20m~∞mに変化します
※参加者・ヒグマ問わず進行ルート上に居る者を虐殺します
※何処へ向かっているかは不明です


No.079:魔法少女/スカイステージ 本編SS目次・投下順 No.081:のこりギリギリ
本編SS目次・時系列順 No.083:羆 - 野生の闘牌
No.059:最強との遭遇 カズマ No.100:死のない男
佐倉杏子
No.077:獲物を屠る狩人 黒騎れい
No.067:その男、逸脱者につき 穴持たず00 No.095:FGG

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最終更新:2015年02月07日 15:13