♪ おてもやん あんたこのごろ 嫁入りしたではないかいな
♪ 嫁入りしたこた したばってん
♪ 御亭どんの ぐじゃっぺだるけん
♪ まぁだ盃ゃ せんだった
♪ 村役 鳶役 肝煎りどん あん人達のおらすけんで
♪ 後はどうなと きゃあなろたい
♪ 川端町っつぁん きゃあ巡ろい
♪ 春日ぼうぶらどん達ゃ 尻ひっぴゃぁで 花盛り花盛り
♪ ピーチクパーチク雲雀の子 玄白なすびのイガイガどん

♪ 一つ山越え も一つ山越え あの山越えて
♪ 私ゃあんたに 惚れとるばい
♪ 惚れとるばってん 言われんたい
♪ 追々彼岸も 近まれば 若者衆も寄らすけん
♪ 熊本(くまんどん)の 夜聴聞(よじょもん)詣りに
♪ ゆるゆる話も きゃあしゅうたい
♪ 男振りには 惚れんばな
♪ 煙草入れの銀金具が それがそもそも 因縁たい
♪ あかちゃかべっちゃか ちゃかちゃかちゃ


「あれ? おてもさん、あなた最近、お嫁にいったんじゃなかったっけ?」
「お嫁に行ったことは行ったんだけど。亭主になるらしい男の人が病み上がりらしくて、まだ式挙げてないのよ。
 世話役も親方も仲人さんもいるから、後は何とかなるでしょう。
 ……ねぇ、川端町の方を廻っていかない?
 春日カボチャみたいな男達が調子に乗って私にすり寄ってくるけど。
 私、ペラペラ喋る野暮な男や、ダサい唐変木はキライなのよ」

 それにしてもあなたは、私みたいな女が近寄れないほど遠い存在なのかしら。
 私は、あなたが好き。
 でも、そんなことは言えないわ。
 ……そうだ。お彼岸が近くなれば、若い男女も不自然じゃなく、聴聞に集まるわよね。

「ねぇ、私、熊本に行くから、夜、あなたの所のお寺にお参りに行かせてよ。
 ありがたいお話を聞きながら、二人でゆっくり語り合いましょう?」

 私、外見だけの男には興味ないの。
 あなたの煙草入れのお洒落な銀金具のセンスとか、そういうところで惚れるのよ?
 ……でもやっぱり、こんな恥ずかしいこと言えるわけないわ。
 アッカンベーの、ベロベロベー!


(熊本県民謡『おてもやん』より・拙訳)


    ♂♀♂♀♂♀♂♀♂♀



くまモン! アナログマ! どうしたのよ、大丈夫?』

 海水の蒸発した平原に、3頭の熊がいる。
 そのうちの一頭であるメロン熊が、その頭部にくっついたメロンを揺らして、地に倒れ伏す2頭の元へ駆け寄っていた。
 残る2頭は、丸みを帯びた黒い体の熊・くまモンと、体に比して大きな頭部に尖った武器の突き刺さる熊・クマーである。
 メロン熊にとっては、くまモンは以前からかなり親交の深い知己だ。
 芸能活動の面でも、戦闘能力の面でも、メロン熊は彼の実力を高く評価している。
 アナログマに関しても、ゆるキャラとしてはメロン熊の大先輩にあたるHIGUMAである。
 彼が死んだという知らせはメロン熊も聞いていたが、ここにいるとなれば、アナログマはその知名度を逆手にとって偽の情報を流し、潜伏していたのかもしれない。

 平原を埋めていた海水は粗方流れたか蒸発したかで消え去っており、そこには煮えて湿った草地が、ただ広く存在していた。
 ワープしてきた先で、そんな同胞たちが意識を失っているというのは大変な異常事態である。
 頭の中を支配していた快楽の甘い感覚は一瞬で吹き飛んで、メロン熊はくまモンたちをどうにか揺り起こそうと試みていた。

 目立った外傷はくまモンにもクマーにも存在していない。
 呼吸も心音も聞こえることを確認して、メロン熊は二頭の肩を叩いて呼びかけていた。


『起きなさいよ、二人とも! ねぇ! あんたたちが気絶するとか、どういうことなのよ!』


 その刺激に、先に目を覚ましたのはクマーであった。
 大きな黒目を見開いて、メロン熊の顔を認識するや、周りを見回しながら喋り始める。

「あ、あんはは俺はひを助へへふへはほは……?」
『アナログマ、釣り針、釣り針……。参加者に怪しまれないように工夫してたわけ? 体張るのねぇ……』

 メロン熊は、クマーの口元に痛々しく突き刺さっていた釣り針を抜いてやり、脇に落ちていた釣竿に糸を纏めながら問いかける。

『あなたまで実験に参加していたとは驚いたけれど、一体何があったの?
 あなたやくまモンともあろうヒグマが気絶に追い込まれるなんて……』
「一体誰と間違えているのか知らないが、俺は穴持たず55。クマーと呼ばれてるヒグマだ。
 この実験には、攫われている幼女を助け出そうと思って参加したんだ……」

 返答するクマーを他所に、メロン熊は、今度はくまモンを懸命に揺り起こす。
 その時、くまモンの黒い胴体から落ちた大ぶりな拳銃に彼女の視線は奪われた。

『これは……』
「そんでもって、このくまモンって奴と出会って話し合おうとしてた矢先、津波に巻き込まれて……。
 その上、真っ黒な鎧を着た参加者に叩きのめされて吹っ飛ばされてきたってわけだ……」
『随分情けないのね……。津波くらいみんな躱してるものだと思ってたわ……』

 クマーが口元を押さえつつ答える経緯に横目で呆れながら、メロン熊はその銃を前脚で転がす。
 間違いない。
 先だって、彼女に襲い掛かってきた水色の服の男が持っていた銃と同じものだ。

 眉を顰めてそれをつまみ上げようとしたとき、くまモンが身じろぎとともに身を起していた。
 クマーがそこに隣から声をかける。


 ――ここは……。あのヒトたちは、一体、どうなったんだモン……。
「ああ、よかったよかった。あの黒い奴に手ひどくやられたみたいだな。動けるか? くまモン」
 ――ボクより、あのヒトたちは……。


 HIGUMA同士でしか聞き取れないであろう、音にならないほどの微かな響きで、くまモンは呟いていた。
 そして視線を上げた彼の眼に映ったのは、自分を怪訝な眼差しで睨みつける、メロン熊の姿だった。


「――……!」
『……くまモン。まさかあなた……、あんな頭の可笑しい人間たちにまで味方してたりするわけ?』



 メロン熊の問い掛けは、くまモンの頭には入ってこなかった。
 彼の眼が捉えていたのは、メロン熊の背中で気を失っている、一人の少女の姿だった。
 茶髪と制服をずぶ濡れにして、息も絶え絶えにしている彼女を見るや、くまモンは即座に立ち上がり、メロン熊に対して身構えていた。


 ――メロン熊! その女の子は、キミがやったのかモン!?
『あん……? ……なんだ、こんなの知らないわよ。それより、私の質問に答えるのが、先』


 メロン熊の背にいたのは、島外から侵入してきた、御坂美琴という少女だった。
 ワープに巻き込まれた際に気絶していた彼女は、そのままメロン熊におぶさるような格好でいたのだが、目の前の事態に集中していたメロン熊はそれを気にも留めていなかった。
 メロン熊は、御坂美琴をお座なりに濡れた草原の上へ振り落とす。
 そして改めてくまモンに向き直ったその時、彼女の頬に大きな破裂音が響いていた。


 パァン……。


 くまモンが、メロン熊の顔を張り手で叩いていた。


 ――ヒトに対して、なんてことをするモン。キミは、ゆるキャラを捨ててしまったのかモン?


 くまモンが呟く。
 メロン熊は、頬を張られた姿勢のまま、動かなかった。
 クマーは、辺りに一瞬で蔓延した剣呑な雰囲気に、ただおろおろと両者を見つめるのみだった。


    ♂♀♂♀♂♀♂♀♂♀


 私はあの時、地元の夕張メロンを切り分けていた。
 普段なら丸のままペロリといくところなのだけれど、折角の御出迎えを頂いたのだからおすそ分けをしないとね。


 ――はい、デビル。糖度は14%。特秀の中の特秀ってとこね。1玉一万円は下らないから有り難く食べなさい。
「ほう、それは役得だ。……だが、折角の果汁が飛ぶから割ったメロンを投げないでくれ」
 ――まぁまぁ、オスはそんな細かいことでピーチクパーチク言わないの。


 クルーザーを運転するデビルが、その大きな体を振り向けて、私の投げたメロンをキャッチしていた。
 私と彼は一口でその瑞々しいオレンジの果肉を頬張り、甘い果汁を堪能する。
 島での実験のために、穴持たず1である彼は使者として、北海道のゆるキャラである私を迎えに来ていたのだった。

 4メートルの巨躯を器用に操舵室に詰めて運転する彼は、晴れた海原を見つめたまま私に話しかけてくる。


「それにしても、お前がすんなりと参加を承諾してくれて良かった。ゴネるようならば、周辺住民を虐殺してでも連れ戻さねばならなかったからな。決闘にならん無駄な争いは好かん」
 ――くまモンならまだしも、それは取り越し苦労だったなぁ。私は割と人間はどうでもいいから。
「ハハハ。明日にはそのくまモンを迎えに行かねばならんからな。先が思いやられるよ……」


 笑みを漏らしたデビルは、横目を私に流して問いかけていた。



「だが、人間が『どうでもいい』のならば、お前は何故実験に参加した?
 お前はメロンを主食にしているようだし……。
 出演番組では、お前はかなり傍若無人に暴れまわっていたようだが、その欲求を発散させるためか?」


 デビルの頓珍漢な問いに、私は噴き出していた。
 目を丸くしてデビルは私の様子を見守るが、彼はその理由を焦って問いかけようとはせず、私が落ち着くのを待ってくれた。


 ――フフ……。バカねぇ。あんな暴れ方は演技に決まってるじゃない。プロの仕事なら、人間を適度に怖がらせられる按配くらい解るものよ。
「……なるほど。ならば尚のこと理由が解らん。お前も誰かと決闘したいのか?」
『……どこかの決闘中毒のヒグマと一緒にしないで貰える?』


 思わず唸り声も大きくなってしまう。
 配慮が出来ていると思えばこの朴念仁ぶりである。まったくもって私の周りには碌なオスがいなくて困る。


『……会いたいヤツがいるのよ。私みたいに仕事してると、なかなか会えないからさぁ。
 実験に出すか出さないかはともかく、外部のHIGUMAも全員集めるんでしょ?
 ちょうどいい機会だから参加しただけよ。実験はついで』
「ははあ、よくわかった。お前たち以外にも実力のあるヒグマは増えたからな。
 穴持たず59などは中々見どころがあるぞ。ヤツが出先から帰ってきたら相手してみるといい」
『あなたって本当に決闘のことしか頭にないのね』
「なんなら私でも構わないが」
『くどいオスは嫌いよ』


 溜息をついて、私は声を落とす。
 いくらデビルとはいえ、ここまで無粋な話を続けられるとイライラしてくる。
 ゆるキャラの中には、これ以上にイライラさせられるヤツがいたけれど。
 あいつは、ゆるキャラとしてのやり方を真っ向から無視して活動してくる邪道なヤツだ。
 仕事上の共演でなければ何度食い殺してやろうと思ったか知れない。


 ――なんにしても、私の話はこれでおしまい。島まで後は静かに海風でも楽しみましょう?
「……ん? なんだ? 急に声を潜めなくともいいだろう。聞き取りづらいのだ」


 水平線に眼をやった私に、デビルはとぼけた顔で、そう振り向いてきた。
 私の中で、何かの繊維が千切れる音がした。


『うるっさいわねぇ!! 無粋にも程があるってのよ先輩にしても!!
 あのふなっしーとやらのウザさを更新するわよ!! くまモンを見習いなさいくまモンを!!』
「ああ、くまモンか。私も常々ヤツは見習うべきだと思っている。あいつの格闘センスは……」
『ふざっけんなこの決闘厨!! 何が“熊界最強の決闘者”よ!! 人間の中学生かおのれは!!』
「あたっ!? 痛いぞ!? 蹴るな!! 操舵が乱れるだろう、後ろから尻を蹴るのはやめろ!! 私が何をしたというのだ!? 意味が分からん!!」
『ゆるキャラに相対するなら、声を出さずに喋れるようになってから来いッつうのよ、バカ!!』


 そんなやりとりをしながら、私はあの日、島に帰っていった。


 ねえ、くまモン。
 私はあなたに訊きたい。
 ダサくてウザくてわからずやな上に、所構わず喚き散らすような無粋な輩に、守る価値なんてある?
 人間だろうとヒグマだろうと、そんなヤツらに、私は価値なんてないと思う。
 仕事以外の場所でそんなヤツらが突っかかって来るなら、私は迷わずそのウザったい喚きを止めてやるわ。


 だって、そんなに叫ばれたら、聞こえないじゃない。
 耳を澄まさなければ解らない声。
 私たちだけにしか聴こえない、あの素敵な音が――。

 ……でも、言えるわけないわよね。
 その素敵なあなたと語り合うために、この島に来たなんて。


    ♂♀♂♀♂♀♂♀♂♀



 ――ゆる、キャラ、ねぇ……。


 メロン熊は、口元を動かすことなくそう呟く。
 ゆっくりと正面のくまモンに向き直った眼差しは、暗い濁りを湛えていた。


『本当、あなたはどこまでもご立派なゆるキャラなのね。もう、訊かずともわかったわ』
 ――キミもゆるキャラだモン、メロン熊!
『私たちは、ゆるキャラでありヒグマである以前に、一匹の生き物なのよ!!』

 激昂したメロン熊の唸りが、草原に響き渡る。
 びりびりと毛先を震わせるような気迫に、くまモンは固めた拳を強く顔の前に引き寄せた。


 ――ボクは、ヒトに危害を加えるヒグマは、この実験で一匹残らず殺滅するモン。もう、人間の世の中に禍根を残したくはないモン。
『ゆるキャラとして頭が下がるわ、ヒトヒトヒトヒトって……。
 ヒグマがいなくても禍根を生み続ける無粋な唐変木にまで尽くす気なんだから、あなたは』
 ――キミなら、一緒にゆるキャラをしていたキミなら、まだ戻れるはずだモン!! そのはずだモン!!
『私は、あなたほどゆるくはなれないわ!!』


 互いの主張がすれ違ったまま、言葉は風に流れてゆく。
 叫んだ後にメロン熊は、嗚咽を漏らすように前脚を口に当てて、笑った。
 大きく肩を揺らして、再び上げた顔には、大きな拳銃――ガブリボルバーが咥えられていた。
 メロン熊は、それを音を立てて噛み砕きながらくまモンに呼びかける。


『残念だけど、私はもう人間食べたから。手首だけだけどね。この銃は、そのクソオヤジが使ってた銃と同じヤツよ。
 あのふなっしーとかいう、ゆるキャラの風上にも置けない三枚目も喰ってやったわ。
 私、TPOも弁えずべらべら喋りまくったり、話も聞かずに相手の心逆撫でするようなヤツは、大っ嫌いなのよ。食い殺してやりたいくらいねぇ』
 ――メロン熊……。
『だからちょうどいいわねぇ。お互いにお互いを殺す理由が出来たわ。……殺されろ、くまモン』


 メロン熊は、言うや否や、口内に残っていた金属片を飲み込み、くまモンに向けて爪を振りかぶる。
 上段から振り下ろされたそれを、くまモンは身を捌いて躱し、潜り込んだ彼女の大腿へ強烈な膝蹴りを打ち込んでいた。


 ――『もんず』。

『ガアアッ!?』


 左の腿から大腿骨に響くほどに蹴り込まれた衝撃で、メロン熊はたたらを踏んだ後に尻餅をついて草原に転げた。


 『もんず』とは、熊本弁で、『ももかつ』または『ちゃらんぼ』のことである。
 相手の太腿を外側から抉る膝蹴りのことであり、打ち所が正確であれば相手に激痛をもたらすことができる。

 メロン熊は立ち上がろうと試みるものの、膝を入れられた左脚は、痺れたように引き攣れて、激痛とともに動かなくなってしまっていた。


 ――『からすまがり』だモン。暫くは動けないはずだモン。


 『からすまがり』とは、熊本弁で、『こむらがえり』または『筋痙攣』のことである。
 筋肉の持続的な有痛性強直性収縮のことであり、普段は随意に収縮と弛緩を行うことのできる筋肉が、様々な原因により、突然収縮をし続けて動かなくなってしまうことを言う。

 くまモンは『もんず』の瞬間、メロン熊の大腿筋膜張筋腱に過伸展を加え、反射的な収縮を誘発していた。
 その上で、挫滅させた筋繊維から漏出する電解質が筋層内のイオン勾配を攪乱しており、その筋収縮は『からすまがり』に至ってしまったのだ。


 自分を見下ろすくまモンに向けて、メロン熊はぎりぎりと歯噛みをして叫ぶ。


『おだつ(調子に乗る)んじゃないよ……! この、たくらんけ(バカ野郎)ェッ!!』


 叫びと共に開いた口に、緑色の光がわだかまっていた。
 獣電ブレイブフィニッシュ。
 その攻撃は、くまモンにとって初めて見るものである。
 もしや、その光が砲撃のように発射されるのではないか――。
 そう思い至った時には、もう回避行動は間に合わなかった。

 メロン色の光に、くまモンの視界は埋め尽くされていた。


    ♂♀♂♀♂♀♂♀♂♀




「――なぁ、もう止めようぜ……。ゆっくり話し合えば、どうにか、解り合えるだろ……?」


 思わず目を閉じていたくまモンの耳に、そんな声が届いていた。
 体に、衝撃は感じられなかった。
 恐る恐る開けた視界に入ってきたのは、自分の目の前に仁王立ちをする、クマーの姿であった。


『アナログ……いや、クマーだったかしら。本当に体を張るのね、あなたは』
「……平面に押しつぶされたり、輪郭だけにされたこともあったし……。これくらいなら、普通に活動できる、かな……。
 まぁ、女の子からの攻撃は、半分ご褒美みたいなもんだし……。あんただって、この少女を傷つけたくは、ないだろう?」


 途切れ途切れに呟くクマーの胴体は、丸く焼け焦げた跡が残っていた。
 背骨に至るまでの胴部が獣電ブレイブフィニッシュにより半球形に抉られ、今にも上下半身が折れそうになっている。
 くまモンと共に、気を失った御坂美琴をも、クマーは守る形で立ちはだかっていた。

「あれ……。傷が塞がらない……。しょうがないな。しけた釣竿だけど、背骨がないよりましクマー……」

 彼は、先ほどまで自分の口を釣っていた釣竿を背中から胴体に押し込んで脊柱を補強した。
 前に開いた穴は、周辺の毛皮を寄せ集めて、血が漏れないように釣り糸で縛って止める。


 アナログマから引き継ぐクマーの特性に、その『機能維持力』があった。
 皮だけにされたり、毛だけの福笑いにされても、生きた組織がある限りは、それなりの時間と養分は必要なものの元に戻ることができるし、行動もできる。
 頭にアンテナや宝具が刺さったり、しょっちゅう針で口を釣られたりすることを彼が気にも止めずにすむのは、その能力に由来している。
 くまモンも、先だってその能力をアテにしてバーサーカーへの飛び道具として彼を扱っていたのだ。


「……ン、よし、完了。それでだ二人とも。相手の話はお互いに聞こうぜ? メロン熊だっけ? 彼女は俺やお前を助けてくれたわけだしさ……。
 この少女だって、恐らく気絶してたのをおぶって助けてただけだろう。そうだろ? そう言ってくれ。ツンデレと百合の高度な合わせ技なんだろ?」


 血管から漏れ出した血液でタポタポと音のする腹部を揺らしながら、クマーは対峙する二頭のクマを交互に見やって話しかける。
 しかし、くまモンもメロン熊も、張り詰めた緊張を解かない。
 くまモンは表情を変えぬまま今一度構えを取り、メロン熊はふらつく後ろ脚を庇いながら再び立ち上がっていた。
 そしてメロン熊はそのまま、淡々とした口調で、投げ捨てるようにクマーへ語り掛けていた。


『悪いけど、私はそこのゆるキャラみたいにゆるくはないから。話し合ったところでもう無意味よ。
 あんたたちがHIGUMAを全滅させるっつうなら頑張ってやってみれば? 私はいつでも受けて立つから』
 ――メロン熊、ボクもできるならそうはしたくないモン。だから、一緒にヒトを守るモン!!
『そこのゆるキャラがなんかほざいてるけど、私は、ウザい奴らはヒトだろうがなんだろうが殺してやるわ。その方が世のためよ。
 だから、私が我慢できなくなる前にあんたたちはさっさと消えなさいよ。今度こそ骨も残さず殺してやるわよ』
「いやぁ、そうカリカリしなさんなって……。カルシウム足りてないんじゃ……?」
『くどいッ!!』


 必死に呼びかけてくる二者の言葉を、メロン熊は一唸りで撥ねつけていた。
 こむら返りで脱力してしまった左脚に活を入れながら、メロン熊は踵を返して街の方へ歩き去っていく。
 くまモンは、その後ろ姿に駆け寄りながら、大きく声をかけてしまっていた。


『戻ってくるモン、メロン熊!! キミは、キミはやっぱり、ゆるキャラのまま――』
『騒ぐんじゃあない、たくらんけ(バカ野郎)!! 声を出した時点で、そこの女の子を放っておいた時点で、ゆるキャラは失格よ!!
 私をぼっかける(追いかける)暇があったら、自分ののたまう、ゆるキャラらしく振舞いやがれ、バカ!!』


 振り向きざま、メロン熊は裏拳でその爪を振り抜いていた。
 牽制として、くまモンを追い払おうとしただけの動きだった。
 しかし彼女の腕には、確かな手ごたえが感じられていた。



 ――すまないモン。メロン熊。ボクも、キミの話を聞くモン。だから、またゆるキャラとして、働くモン。


 くまモンは、左頬にメロン熊の爪を受けたまま、下半身を踏ん張って耐えていた。
 そしてメロン熊の腕を掴み、今度こそ立ち去らせまいと引き寄せる。


 ――実験が終わって帰ったら、熊本に来るモン。美味しいものもいっぱいあるモン。
 ――ボクと一緒に、来て欲しいモン。まだ人間を殺していないキミは、きっとまた、戻れるはずだモン!


 顔を近づけて訴えかけるくまモンの言葉に、暫しメロン熊は、呆然と聞き入っていた。
 そして、ふと顔を落とすと、再び肩を震わせて笑い始める。

『ああ――。そりゃ良いわねぇ。ふなっしーを喰った私が、まだゆるキャラと認めて貰えるんならね。
 この島じゃ碌なもの喰ってないし、熊本の名産品も食べに行こうかしら。
 ……あなたの墓前にメロンを供えに行くついでにね』

 その返答にくまモンが驚いた瞬間、彼はメロン熊に張り倒されていた。
 地面を転がった彼が起き上がろうとした時、その体は馬乗りになったメロン熊に押さえつけられる。


『……何が“全てのヒグマを殺滅する”よ。ここであなたは死ぬじゃない。
 私は昔っから、“凶暴”で“ゆるくない”ゆるキャラで通ってるんだから。
 油断も手加減もせずに、一撃で息の根を止めるつもりで掛からなきゃ駄目じゃない!!
 アハハハハハハハッ!!』


 彼女は狂ったような哄笑と共に、唾液を吹き散らしながら爪を振りかぶっていた。
 身動きのできぬくまモンのつぶらな瞳が、鏡のようにメロン熊の姿を映し出している。
 そして、彼女は一切の迷いもなく、くまモンの首筋に向けて、その腕を振り下ろしていた。


『――さよなら』


    ♂♀♂♀♂♀♂♀♂♀


 その唸り声を聞いた瞬間、くまモンは体にかかっていた重みが消え去っていることに気付く。
 いつの間にか、腕を振り下ろそうとしていたメロン熊の姿は、霞のように消え去っていた。


「おおぉい!! 大丈夫か、くまモン!!」


 クマーが、気絶したままの御坂美琴を抱え上げて、倒れたくまモンのもとに駆け寄ってくる。
 くまモンが身を起して周りを見回しても、メロン熊の姿は影も形もなかった。

 ただ、『さよなら』という唸りの悲しげな響きだけが、くまモンの耳に残っていた。


「……参ったね。もう少し落ち着いてくれてもよかっただろうに……」
 ――いや、メロン熊は……、ボクたちのことを慮ってくれたんだモン。でも、彼女にもきっと、曲げられない信念が、あった……。


 くまモンは、ため息をついて立ち上がった。
 改めて周りの状況を確認してみれば、辺りの草原は海水が一瞬で蒸発したかのように、塩の結晶とにがりで白く湿っている。
 木剣を使う黒い狂戦士と会戦した場所からは、どうもかなり吹き飛ばされてもいるようだ。
 どのくらいの時間気絶していたのかはわからないが、あの状況で生き残っていた残り二人の人間が、今もあの狂戦士の手を逃れて生きているとは、考えづらかった。



 ――とにかく、今は目の前で守れるヒトのことを考えるしかないみたいだモン。
「その通りだ。こんな可愛い娘さんを放っておくわけにはいかない。……にしても気付いたか? この子、参加者じゃないぞ」

 抱えた女子の首元を指すクマーに、くまモンも視線を送る。
 御坂美琴の首筋には、首輪がついていなかった。

「俺は研究所で、ロリの参加者は全員しっかりと覚えていたからな。間違いない。この女の子は実験が始まってから島に入り込んできたんだ」
 ――あんまり褒めたくもない行動だけど、よくやってくれたモン。
「とりあえず、この子を手当てして話を聞き、一緒に島の幼女を助け出そう。
 あのメロン熊ちゃんも協力してくれるなら、話は早かったんだが……」


 クマーは、御坂美琴をくまモンに渡した後、耳の中から丸めた写真の束を取り出してきた。

「これが、参加者のうち、俺が調べ上げたロリ全員だ。残念ながら間に合わず死んでしまった子も多いが……」
 ――見る限り、ほとんど女性参加者全員じゃないのかモン? 一体ロリータって何なんだモン……?
「失敬な。ロリババアという言葉を知らんのか。体が若ければ実年齢は何歳でもいいのだ。研究所でも布束さん桜井さん辺りは余裕で守備範囲だったぞ」


 扇のように、クマーは顔写真を広げて見せてゆく。


 ソーニャ折部やすな、フランドル、円亜久里、古明地さとり源静香

 これらの少女たちは、既に第一回放送で名前を呼ばれてしまった人物たちだ。
 しかし、まだまだ生存していると思しき少女の写真は残っている。
 クマーは一人ずつ、その顔写真の女性の名前を読み上げてゆく。

 巴マミ暁美ほむら、佐倉杏子、球磨、天龍、佐天涙子、初春飾利、星空凛、黒木智子、纏流子、夢原のぞみ呉キリカ黒騎れい


「俺たちが助けるべき幼女たちは、まだこれだけいる。一人でも多く助け出そうじゃないか、くまモン!!」
 ――老若男女を差別せず助け出そうという考えにはならないのかモン?
「男は二の次だ! まず、生殖の要を担う若い雌性体を生き残らせないでどうするつもりだ! そもそもロリペドというのは……」
 ――そっち方面の生々しい話なんか聞きたくないモン……。


 クマーの語気が荒くなってきたその時、くまモンの腕の中で、少女が微かに呻いた。
 身じろぎと共にうっすらと眼を開けて、夢うつつに聞いた友人の名を反芻する。


「佐天……さん、初春さん……。助けるから……。必ず……ッ!」


 朦朧としていた意識を確保し、疲弊した頭脳に鞭打って、御坂美琴はくまモンの腕の中に身を起こす。
 その目が瞬かれて、彼女の視界は、はっきりと周りに立つ二名の顔を捉えていた。
 クマーが、眼を覚ました少女の顔を覗き込むようにして笑いかける。


「おお、じゃじゃ馬な眠り姫様がお目覚めか。どうやら、お友達を助けるって目的は、一緒なんじゃないの?」
 ――うん。一緒に助けられるなら、それが良いモン。


 声もなく頷くくまモンと、剽軽な顔を見せるクマーを交互に見やって、御坂美琴は、今の状況を理解できずに首を傾げていた。



【C-7 塩茹でされた草原/午前】


【くまモン@ゆるキャラ、穴持たず】
状態:疲労(小)、頬に傷
装備:なし
道具:基本支給品、ランダム支給品0~1、スレッジハンマー@現実
基本思考:この会場にいる自分以外の全ての『ヒグマ』、特に『穴持たず』を全て殺す
1:この女の子と話をして、会場のヒトを助ける算段を立てたいモン……。
2:メロン熊……、キミの真意を、理解したいモン……。
3:ニンゲンを殺している者は、とりあえず発見し次第殺す
4:会場のニンゲン、引いてはこの国に、生き残ってほしい。
5:なぜか自分にも参加者と同じく支給品が渡されたので、参加者に紛れてみる
6:ボクも結局『ヒグマ』ではあるんだモンなぁ……。どぎゃんしよう……。
7:あの少女、黒木智子ちゃんは無事かな……。
8:バーサーカー許さないモン
[備考]
※ヒグマです。
※左の頬に、ヒグマ細胞破壊プログラムの爪で癒えない傷をつけられました。


【クマー(穴持たず55)@穴持たず】
状態:アンテナ、腹部と胃と背骨の一部が蒸発(止血・被覆済み)、腹の中が血の海
装備:背骨を補強している釣竿@現実、ロリ参加者(守備範囲広し)の顔写真、アンテナになっている宝具
道具:無し
基本思考:この会場にいる幼女たちを、身を挺してでも救い出す
1:この女の子の名前は何かな? 涙子ちゃんと飾利ちゃんの友達なのかな?
2:死んだ子を悔やんでも仕方ない! ネクロフィリアの趣味はないからな!
3:あのメロン熊ちゃんも見つけ出して、話をしよう!
[備考]
※鳴き声は「クマー」です
※見た目が面白いです(AA参照)
※頭に宝具が刺さりました。
※ペドベアーです
※実はカナヅチでした
※とりあえず体の一部でも残っていれば動ける能力を持っています。
※ヒグマ細胞破壊プログラムで受けた傷は壊死しており、受傷箇所を取り除いてからでないと再生できません。


【御坂美琴@とある科学の超電磁砲】
状態:ずぶ濡れ、能力低下
装備:なし
道具:なし
[思考・状況]
基本思考:友達を救出する
0:なに、この、クマたちは……? どっかで見たことある気はするけど……。
1:佐天さんと初春さんは無事かな……?
2:津波って、どうなったんだろう?
3:あの『何気に宇宙によく来る』らしい相田マナって子も、無事に戻って来てるといいけど。
4:今の私に残った体力で、このまま救出に動けるかしら……?
[備考]
※超出力のレールガン、大気圏突入、津波内での生存、そこからの脱出で、疲労により演算能力が大幅に低下しています。


    ♂♀♂♀♂♀♂♀♂♀



 ガァン……!


 振り下ろした腕が、金属の屋根の上を叩いて凹ませる。
 私は、どこか工場と思しき建物の上にワープしてきていた。


「ガアアアアッ!! ガルルッ、ガフルルルウウウッ……!!」


 くまモンに馬乗りになっていた時と同じ体勢のまま、銀色の光沢を帯びたタンクか配管か屋根か何かしらの上を、私は滅茶苦茶に叩いた。
 叫んで叫んで、普段まったく動かしたことのない声帯を震わせて慟哭した。
 もう、頭の中に溜まっていた恍惚とした感覚は、すっかり消え失せていた。


 ――私が、ゆるキャラに戻れるわけないでしょう。


 何分そうしていたかわからない。
 暫く経ってから、私はべこべこにひしゃげた大きな金属塔の上で、そう思いながら空を仰いでいた。

 元々、私の気性が荒いのは自分でもよく分かっている。
 くまモンに会いに来ただけのこの実験会場で、私はふなっしーを見かけた時の激情を抑えられなかった。
 普段、ゆるキャラとして節度を持って振る舞っている時の自分には、なりきれなかった。
 抑えの利くヒトや仲間がいなければすぐこれだ。
 あの喚き散らすばかりのクソオヤジにも、一回灸を据えてやらにゃあ気が済まなかった。
 そんな私は、きっとゆるキャラ界から引責辞任しなければならない。


 ――だけど、あなたたちのことは、心から応援するわ。人間にそこまで尽くし、身を挺してでも守ろうとする姿は、きっとゆるキャラとして正しい姿なのよ。


 だから私は最期まで、あなたたちの前では正しく『メロン熊』として振る舞おう。
 夕張のメロンを食い荒らして変異した、恐ろしい野生の凶暴なヒグマを、演じ切ろう。
 今度会った時に、あなたが私を遠慮なく殺せるように。
 最後まで『悪役』であり続けることが、ゆるキャラとしての私に課せられた使命。
 『正義の味方』であるあなたたちの活躍の礎になることが、プロとしての役目だから……。


 そう思って見下ろした視界に、私は一頭のヒグマが、二足歩行で街道を歩いているのに気が付いた。
 両脇に、何やら重火器のようなものを背負った少女二人を侍らせて悠然と歩を進めている。
 先程までそこは津波が埋めていた地だというのに、そんなことはお構いなしに、彼は両隣の少女と気ままにしゃべくっているようだった。


 ――なに、この異様な光景は。


 そのヒグマは、頭に白い帽子を被って格好をつけているが、明らかに島の研究所で作られた『穴持たず』であろう。
 一般的なヒグマの、猛獣らしい容姿をしているにも関わらず、両隣の茶髪と銀髪の少女は、彼を恐れないどころか慕っているようにすら見える。
 彼は他者が見ていないと思っているのか、堂々と少女の腰や胸に爪を這わせ、鼻の下を伸ばしている。
 少女たちが恥ずかしがりながらも頬を染めて彼に応対している姿は、人間で言えば『ヒモに心酔して貢いでいる純情な乙女』のようにも見えた。
 その少女たちの精神も十分おかしいとは思えたが、問題はその二人を両手に華として抱えているオスの方だ。


 ――野暮とか唐変木だとか通り越して、カスだわこいつ。


 長らく老若男女に舞台や街中で触れ合ってきたメロン熊の感覚は、この帽子を被ったヒグマが間違いなくド外道であると結論付けていた。
 『会社の金を着服してキャバクラに通っている新入社員』のような様相と臭い。
 自分の仲間や、ことによれば自分を慕っている女の子たちでさえ平然と切り捨てて自分の欲だけを満たそうとするオスであろう。
 そもそも、ヒグマの身で人間の少女に欲情するなど、あさましいことだとは思わないのだろうか。



 ――ここから撃ち殺してやろうかしら……?


 そう思ったものの、近場のビルの喫茶店に入り込んだヒグマたちを見て思いとどまる。
 ぶち殺すのは、こいつが本当に殺すべき外道だと判明してからでも遅くはない。
 ゆるキャラとして振る舞うことを決心したさっきの今で、激情に駆られるのはよろしくない。
 プロのゆるキャラなら、いつでも立ち居振る舞いには気を付けるべきだ。

 メロン色の光線砲で狙撃できるのに良い位置を工場の屋根で探しながら、私は彼と二人の女の子がいる喫茶店を見つめていた。


 ――あいつが、ドテカボチャや腐れモロコシにも劣る、女心を弄ぶカスなら……。
 ――きっとそれは、あなたと私にとって、共通の敵じゃない? くまモン?


 メスというものは、オスの見た目には惚れないものよ。
 オスの中からふとした拍子に、その内実のセンスが漏れ出した時。
 百年の恋だって一瞬で醒める。
 メスはあなたたちが思うよりずっと注意深く、オスの様子を観察しているものなんだから。


 ――さて、あそこの女心たちは、裏切られないで済むかしら?


 ま、既に一夫多妻で男尊女卑な彼の雰囲気からして、無理そうだけれど。
 本当に彼女たちを思っているのなら、それは、声に出さなくても伝わるもの。
 私たちゆるキャラの意志疎通や、クマーが見せた漢気のようにね。
 私たちの世界が『緩い』と思ったら大間違い。
 北海道弁で言う通り、特に男女の世界は、全然『ゆるくない(大変だ、苦労だ)』のよ。


 下手すると、私が手を下すまでもなく、彼は恐ろしい恋の恨みに、遭ってしまうかも……ね?


【D-6 擬似メルトダウナー工場/午前】


【メロン熊】
状態:愚鈍なオスに対しての苛立ち、左大腿にこむら返りの名残り
装備:なし
道具:なし
[思考・状況]
基本思考:ただ獣性に従って生きる演技を続ける
0:帽子を被ったヒグマ(ヒグマ提督)の動向を見守る。
1:女の敵の、野暮なヒグマなら、くまモンと私の共通の敵よねぇ……?
2:くまモンが相変わらず、立派過ぎるゆるキャラとして振る舞っていて感動するわ、泣きたいくらいにね。
3:今度くまモンと会った時は、ゆるキャラ失格な分、正しく『悪役』として、彼らの礎になるわ……。
4:なんで私の周りのオスの大半は、あんなに無粋でウザくてイライラさせられるのかしら?
[備考]
鷹取迅に開発されたメスとしての悦びは、オスに対しての苛立ちで霧散しました。
※「メロン」「鎧」「ワープ」「獣電池」「ガブリボルバー」「ヒグマ細胞破壊プログラム」の性質を吸収している。
※何かを食べたり融合すると、その性質を吸収する。


No.124:ゆめをみていました 本編SS目次・投下順 No.126:獣の施し
本編SS目次・時系列順
No.115:羆帝国の劣等生 メロン熊 No.133:Phantom Sniper Portable
御坂美琴 No.143:ヒグマウォーカー]
くまモン
クマー

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最終更新:2017年02月25日 15:03