9/20 パレルモ近郊(モンレアーレ)。夜行フェリーでナポリへ。
8時起床。昨日CAPO市場で買った葡萄の残りを食べる。そして荷造りをして、9時前にチェックアウト。昨晩干しておいたシャツと下着はすっかり乾いていたが、厚手のタオルは湿ったままだった。宿にザックを置かせてもらい出発。
VICCIRIA市場で今日も朝食を摂ろうと向かったが、閑散としている。今日は日曜日。どうやら店は殆どやっていないようだった。店のない市場をあるいていると、見覚えのある男がタバコをふかしている。一昨日ホステルで同室だった男だった。昨日ベッドが空になっていたので、既にパレルモを去ったものと思っていたが、どうやらホステルを代えただけのようだった。
男と世間話をしているうちにカフェに行くことになった。男がジェラートを食べに行くというので、僕もついていってよいか尋ねた結果だ。男はグラニータを食べた。グラニータはグラスに入っているシャーベットで色々な味がある。一口もらった。砕いたナッツが入っており、桃の味がした。それから男に揚げパン(中にクリームのような軽いチーズとチョコレートが入っていた)をご馳走になった。僕はエスプレッソをご馳走した。
また、男はアランチーノというライスボールを一口くれた。中にはチーズとご飯。それが球状に丸まっていて、表面がカリッと揚げられている。「かぶりつけ」と言われても、人のライスボールに齧り付くのは、少々気が引けた。
シチリアの料理が知りたいと何気なく伝えたのを契機として、かなり親切に色々教えてもらった。PANE CON MILZAという料理が美味しいという。安くて旨い店があるといい、店まで歩いて案内してくれた。PANE CON MILZAと瓶ビールで3ユーロほどだった。「小さい店で、人が並んでいない店を探すのが、安くて旨い店を見つけるコツ」だと言っていた。
PANE CON MILZA。MILZAとは牛の臓器の一つ。薄くスライスして大鍋で煮込んだMILZAを、厚手のバーガーにたくさん挟んで、上に塩とチーズを振りかける。メチャクチャ旨い。MILZAは臭みがない。また、歯で簡単に切れる。硬めの寒天のよう。ただし、少しレバーっぽい味がしないでもない。
食べながら、今日はモンレアーレに行くと話した。男は昨日行ったと言い、また、日曜日の今日に行くのは難しいだろうと言った。そして、モンレアーレへの行き方を色々と調べてくれた。まず、ジェラテリアで隣の客と話した。「日曜日だから、たぶん何本かバスを乗り継ぐ必要がある」とのこと。次にQuattro Qanti辺りで警察に聞いてくれた。「まずPIAZZA INDEPENDENZAへ行き、そこで尋ねなさい。でも、たぶん今日は行けないだろう」とのこと。そしてPIAZZA INDEPENDENZA前の売店のおじさんと話して、モンレアーレへの行き方を調べてくれた。どうやら普通にバスで行けるよう。乗車券は片道1.4ユーロ、そしてNo.389のバスに乗るという。バス停を見ると、丁度No.389のバスが止まっているのが見えた。男が「ここで待っていて」と言って、バスまで行って確かめてくれた。とても親切にしてもらった。男と握手し、別れて、バスに乗った。
バスは30分程でMON REALE(レアーレ山)に着いた。運転手に戻りのバスの時刻を聞いた。一時間に一本はある。崖沿いに山へ登っていく。左側の崖の下には、たくさんの小さな赤い屋根が見える。そして遠くに、パレルモ市街や海が見えた。とても広々とした眺めだ。
モンレアーレは、風が吹き上げていて気持ちがよい。パレルモ市街を歩いていたときは汗だくだったのに、ここでは全く汗をかかない。
有名な回廊を観光した。6ユーロ。50m四方のキオストロ。柱は一本一本デザインが異なっており面白い。石柱が繰り抜かれて、カラフルな石をはめ込んでモザイクになっている。中庭には南国を思わせる植物が生えている。また、一角に噴水がある。全景は、手前の回廊の石柱、その奥に庭と向こう側の回廊、さらにその向こうにレアーレ三が見える、遠近のはっきりとした爽快な景色。1時間ほどスケッチした。
14時過ぎ。回廊を出て山を下ると、丁度帰りのバスが来ていた。再び30分程乗り、PIAZZA INDEPENDENZAに戻ってきた。
PORTA NUOVA近くの小さな料理屋でアランチーノを食べる。旨い。ライスボールは黄色いサフランライスで、中にトマトと挽肉が入っている。それがカリッと揚げられている。朝の男が薦めていた店だ。隣のピザ屋は不味いらしい。
驟雨。青空だったり、白雲だったり、黒雲だったり。風が出てきて涼しい。
MASSIMO劇場のツアーに参加した。豪華な内装に息を呑んだ。ホールは一面黄金で輝いている。そこに真っ赤なソファが並んでいる。壁では、ボックス席の四角い複眼がこちらを見ている。
それからSherbethに行った。昨日と違い勝手が分かっているから、直ぐに3種類のアイスを平らげてしまった。一つ目がBLUMOONのCannella。ニッキ味のバニラアイス。二つ目がGELATERASANELLIのGelati all'azoto liquido。3つ目にGELATO E CIOCCOLATOのUva pizzutello。白葡萄のシャーベット。チケットを使い切ったが、これだけでは満足できず、朝のカフェで男が食べていたグラニータを食べた。レモン味にした。
Your Hostelで荷物を取り、出発。男に教えてもらった店で、アランチーノ2個と、PANE CON MILZA、ビールを買う。これで4ユーロ。またもや安さに驚く。La CalaのたくさんのボートとMONDELLO山を眺めながら、アランチーノ1個とビールを飲む。残りはフェリーで食べる用だ。
19:05。フェリーのチケットブースでチェックイン。窓口のおばさんが「船の名前はSNAV SARDEGNA、このブースを出て左手」と強い口調で言ったことに押されて歩き出したが、左手といっても広いからどの船か分からない。ゲートで警備員に尋ねたところ、フリーの送迎バンを呼んでくれて助かった。
送迎バンの運転手は若めの男。シチリアはどうだったかと聞かれて、フードが最高だと答えた。特にアランチーノが好きだというと、男はうんうんそうだと共感した。また、アランチーノじゃなくてアランチーナだという。イタリア語の男女名詞についての説明。他には何が好きだと聞かれた。「PANE CON MILZA!肉の上に塩とチーズが乗っていて、超ウマイ!」僕が答えると、男が心からの同感を表明した。「乗っているチーズは何だ?」「たぶんパルメザンだった」「ええ?パルメザンだって?」「たぶん…」そして写真を見せた。男は「ああ、これは確かにパルメザンだ。パルメザンを乗せるこのタイプは“マリタータ”って言うんだ」と、フェリーまで車を超低速にして色々教えてくれた
。
SNAV SAEDEGNA 20:30離岸。パレルモの街が離れていく。PORTA FELICE、Quattro Canti、PORTA NUOVAが一直線に見通せた。黄金色の街灯がまるで光の道のようだ。美しい街が遠ざかっていく。感動。
この旅行を計画して本当に良かったと思った。暫く眺めていたが、寒すぎて体調が悪くなった。船内に入っても、どこもガンガンにクーラーが効いている。毛布も何も無いので、新聞を売っていないか歩き回ったがなかった。なんとなく暖かさを感じるところで一眠りした。
最終更新:2015年10月06日 01:32