italy107

9/23 ナポリ市街散策


 6:30起床。歯を磨く。ノブと同室のコロンビアの青年と、3人で世間話をしながら朝食を摂る。「東京での暮らしはどんな感じか?」と聞かれて答えに詰まる。そもそも質問が具体的でないこともあるが、日本の生活に対して、特に外国との比較において、感想を持ったことがなかったためだ。青年は11時の列車でRomaに行くという。またノブは16時の列車でイタリアの南東へ出発する。同室の皆がチェックアウトをするので少し寂しい。

 それからノブと市場を散策した。ノブは食材に詳しいので、様々な野菜について話しながら歩いた。僕がサボテンの実を気になっていると言うと、経験のためにぜひ食べたほうがいいと言った。サボテンの実は、細長い楕円形で、緑や黄、赤い色をしている。そして表面はゴルフボールのように規則的な円模様で覆われている。食べてみると、果肉はまろやかな甘さ。しかし種が果肉の中に点在している。思わず種を吐き出そうとすると、店の主人(ナイフで皮を剥いでくれた)が、種もそのまま食えというジェスチャーをするので、仕方なく食べた。
 また、タラーッリというビスケットを食べた。形はドーナツ状で、アーモンドが練りこまれている。見た目以上にサクサクしていた。そして塩っぱい味付けで、胡椒が利いていた。甘い菓子だと思い込んでいたので、これにはノブも僕も驚いてしまった。ビールが飲みたくなる味だ。

 ノブは食材の他にも服や靴が好きだとのこと。市場の一角、Porta Nolana門の前には暑い日差しを遮るパラソルが所狭しと立てられて、その下には安い服や靴が山積みされている。ノブのレクチャーを受けながら、二人で掘り出し物を探した。ノブが、僕のジーンズのサイズは44だという。しかし僕自身は、手にとって見るとどうにも小さそうに感じていて、48くらいかと思ったが、それぞれの服屋の店主も聞けば皆44というので、正しそうに思えた。見る人が見ると一瞬で分かるものだと感心した。布地のしっかりしたよい服が、3ユーロ~10ユーロほどで売っている。また、靴もイタリアならではのオシャレなものがある。
 散策に出かける前は、全く購買意欲がなかったのだが、ノブのレクチャーを受けるに連れて見るべきポイントが分かってきたこと、またこれと同じものを日本で買うとすると何倍もの値がすることを考えて、だんだん買いたくなってきた。結局本皮のベルトを5ユーロで買った。また、運動用にと古着のユニフォームを2ユーロで買った。ノブはジーンズを8ユーロで買っていた。出店を回って掘り出し物を探し、お腹が減ればナポリ・ピッツァを食べる…ノブがナポリを好きな理由が頷けた。

 13時。宿に荷物を置き再び散策に出発。ノブと別れる。別れはいつも寂しい。facebookを聞こうかとも思ったが、聞いてもどうしようもない(この楽しいひと時はもう戻ってこない)と考え、聞かなかった。一方で、どうでもよいのに連絡先を交換する場合もある。後で考えてみれば、とりあえず聞いておけばよかったのかもしれない。

 さて、まず旧市街とスパッカ・ナポリを散策した。そしてDante広場前の通りを海に向かって歩いた。ここは歩行者天国になっている。そしてGalleria Umbertoに入った。これは十字型をしたオランジェリーであり、天井がガラス張りになっている。十字架の中央の床には星座のモザイクがあった。また、Piazza del PlebiscitoからPalazzo RealeとVesuvio山を眺めた。さらに海岸沿いを歩いてCastel dell'Ovo(卵城)へ到着した。卵城は黄土色の石で作られており、海岸から海に突き出す形で建てられている。幾分四角張った形をしている。卵城からはMergellina側の海岸と、Vesuvio側の両方が見渡せるので、とても爽快な眺めだった。カモメになったような気持ちだ。
 卵城にはBurbonのマリーアントワネットの妹が嫁いだらしい(通りすがりのオーストラリア人情報)。また、古い絵を見ると城の形が今と異なるので、再建されたのかもしれない。

 それから今度はCastel Nuovo(新しい城)へ向かって歩いた。入らなかったが。波止場にはSNAV SARDEGNA号が見えた。僕を降ろして、再びPalermoまで往復してきたのだ。再度Galleriaを通り越し、ケーブルカーに乗って丘に登った。
 丘の上からナポリ市街が一望できた。素晴らしい眺めだった。
 18:30となると、日が暮れてきた。階段で市街へと降りる。下についたときには既に暗闇に覆われていた。暗いと方向がまるで分からない。この辺りはスペイン地区という、治安の悪い地区があるので、立ち入らないか不安だった。明かりの少ない中、危なっかしいスクーターがひっきりなしに通り過ぎる。
 遠くに明るい通りが見えたので、それを目指して歩き、漸く人通りの多い商店街に出た。それはCarita広場に続く道で、初日に歩いた道だった、と後で気づき驚いた。暗いと土地勘が働かないものだ。

 昨日の安いピッツェリアでパスタを固めたケーキをまた食べる。そしてPeroniビール66dcl。これで3.5ユーロは安い。
 市場には既に店はなく、薄暗く、閑散としていた。宿に戻る。
 宿に戻ると、同室に日本人の男が新たに増えていた。フロントで韓国人の女性とドイツ人の女性と出会ったので、4人でコモンスペースにて一時間ほど話した。ドイツ人女性はアンネという名前で、22歳。透き通るような肌が美しかった。また気が強そうな顔で、実際話していてもそうだった。ドイツ人的な顔立ちだと思った。
 同室の日本人の男は東大阪出身で、海運関係の仕事だという。海運は元々ヤクザから始まっていることから、未だに社内にそういった繋がりがあるという。また、男の母親は韓国人だから、ハーフだという。そして高校を中退して大学から編入しているという。ステータスで人を判断するのはよくないが、あまり気の合わなそうな男だと感じた。男は外国語大卒で僕より英語ができたから、4人で話していても僕は理解できない部分もあった(それでもアンネを楽しませられたし上出来だった)。時間が過ぎ、解散した後、男が「少し二人で話そう」というから一体なんだろうと思ったら、英語の勉強方法についてのレクチャーをし始めた。なぜこんなことをするのだろう?と考えると、そこには認めて欲しいという欲求と、自分の立場を上に持っていきたいという意図があるような気がしたので、とにかく「すごい!」というふりをしてあげた。

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最終更新:2015年11月03日 10:48