italy108

9/24 ナポリから鉄道でローマへ


 8時起床。歯を磨いて日記を書く。昨晩は土砂降りの雨だった。ズボンを洗濯したのは全く失敗だった。降り出してすぐ部屋に引き上げたのだが、ずぶ濡れで、今朝になっても乾いていない。漸く日が射してきたので、チェックアウトまでの短い時間だけでもと思い再度テラスに干した。
 朝食を食べながら日記を書く。アンネが「日本語の文字は私にはとてもおかしく見える」と言った。

 チェックアウトをした。Romaへ行く前に、もう一度ナポリの市場を散策する。そのつもりで外に出ると、また雨がポツポツ降り出していた。なので市場の出店もあまり出ていなかった。本革のベルトをもう一本くらい買いたいと思っていたのだが。

 レストラン「Giovanni」に再び足を運ぶ。スパゲッティ・ポモドーロを食べた。普段自分がよく食べる1.2mmの麺よりもだいぶ太い麺で、アルデンテに茹で上がっていた。酸味のあるミニトマト(煮詰めてあるのか、塩気が効いていた)、炒めたバジル、その上に生のバジルの葉とパルメザンチーズがかけてある。大変美味しい!昨日は予想外に値が張りがっかりしたが、今日は5ユーロで済んだし、また来てよかったと思った。

 スパゲッティを食べていると、いよいよ雨足が強くなり、ついには驟雨となった。日本の夏の夕立のような激しい雨だ。通りでは人々が逃げ惑っている。レストランの軒先で雨宿りする者もある。スパゲッティを食べ終わることにはほぼ止んだ。店から出ると、あちこちに水溜りができており、モップで水を捌けている人々。ベルトの店は出店準備を始めていた。お目当てのベルトを5ユーロで買い、満足してナポリ中央駅へ向かった。

 駅は混雑していた。チケットオフィスも長蛇の列だ。なので自販機(結構な数が設置されている)にチャレンジしてみた。意外にも迷わず切符が買えた。カードが使えたのもよかった。26ユーロ。切符をみて、どうやらIntercity(IC)の切符を買ったらしいと判明した。一昨日、Reggionale(R)が普通列車で値が安く、Intercity(IC)は高級で早い列車だとノブが言っていたことを思い出した。

 列車に乗る。社内は清潔で、椅子は柔らかく、ゆったりとしている。日本の新幹線みたいだ。ちょっと良過ぎる列車に乗ってしまったかなと思った。

 Roma Termini駅には20分ほど遅れて、14:50頃到着した。Romaへ一歩踏み出して、ここは大都会だと思った。交通量の多さ、人の多さ、客引きの多さ、怪しそうな店の多さ。まずはGPSを頼りに、予約していたRio Hostelへ向かう。ホステル周辺をうろついていると、男が寄ってきた。ホステルの主人だった。
 チェックインを済ませる。問題が2つあった。
  1. 税の他に「市税」がかかること。三泊税込み57ユーロのつもりだったが、市税が一泊あたり3.5ユーロかかるという。確かに予約票を確認すると、「市税別」とあり、やられたと思った。これは仕方ない。
  2. 予約票にはカード払い可能とあったのに、主人はカード払いは不可という。こちらも感嘆には食い下がらない。話を聞くと、どうやら何者かがカード払いを何度も失敗したため、キャッシングマシーンを銀行に止められてしまい、銀行からの電話を待っているのだという。本当かと疑ったが、結局は現金で払うしかなさそうな流れである。今は手持ちが無いので、両替して払うが、明日以降にしてくれと伝えた。
 部屋はとても清潔だった。難点といえば、トイレが共有の一つしかなく、また便座が着いていないことくらいだ。
 荷物を置いて、夕方のRoma市街散策へ出発した。

 まずPiazza Vittorio EmanueleⅡを目指して歩く。長方形の広場があり、周囲には安い洋服や小物の出店が出ている。値段を見るに、Napoliよりも高めだと感じた。ファストフード店でマルゲリータを食べて腹ごしらえをして、西へ向かう。
 やってきたのはSaint Pietro in Vincoli寺院。ここにはミケランジェロ作のモーセの坐像がある。この像は顔の大きさの割りに手足が大きいと本で読んだが、それほど違和感を感じなかった。このことに気付くのは、並々ならぬ観察眼によるのだと思った。
 Cavour通りをTermini駅へ向かって歩き、Santa Maria Maggiore教会に来た。折角なので入ってみた。中は広々としていて、豪華な装飾。外観も壮観だった。
 それから北上するとTerme di Diocleziano(ディオクレティアヌス帝の浴場跡)に出た。外から眺めるだけだったが。明日か明後日、時間があれば再び訪れたいと思う。
 隣のSanta Maria degli Angeli教会に入ってみた。Maggioreに比べると大変小さい教会だが、最も僕の好みに近い教会だった。外観は至ってシンプルなレンガ造り。しかし、扉には人像が一体化しているように浮き出ている。内装もシンプルで、四角いステインドグラスの微妙な色彩の窓が美しかった。人気がなかったのもとてもよかった。19時になり外に追い出された。

 それから、トレビの泉を見に行った。泉は現在工事中であり、枯れていて、周囲にはバリケードが張り巡らされていて立ち入ることはできなかった。それにも関わらず、大変に混雑していた。工事中であることは知人づてに聞いていたが、それでも落胆した。ただ隙間から覗き込んだだけだった。

 それからスペイン階段へ行った。なんと、スペイン階段の最上に立っている建物(スペイン大使館?)も工事中であり、ハリボテの上に巨大な広告が架かっていた。非常にショックだった。「ローマの休日」で見たよりもちんまりとした印象だった。ポツポツと降り出した雨は、徐々に強さを増し、そして突然豪雨となった。僕はスペイン階段の壁にピッタリと張り付いて雨宿りをした。雨の中、階段で抱き合ってキスをしているカップルを眺めると、益々気持ちが沈んだ。

 雨は直ぐに止んだ。帰りはSpagnaからメトロで戻る。スリが多いと皆言うので気をつけなければ。
 切符を買うときに面白いことがあった。券売機は4台あるのだが、内2台が故障しており、使用可能な2台に長蛇の列ができていた。その片方に並ぶ。ところが少し経つと、僕が並んでいる券売機が突然動かなくなり、「out if service」となってしまった!僕の前の何人かは去っていき、もう一台の券売機へと並びなおした。僕もどうしようか迷ったが、とりあえず並び続けることにしたところ、何分か経つと券売機は再び始動した。なぜだか分からないがよかった。
 しかし、5人くらい先で男が発券しようとするが、なぜか20ユーロ札を受け付けなくなってしまった。その男は20ユーロ札しか持っていない。絶体絶命だ。「誰か!この20ユーロを両替できないか?」後ろの女が5ユーロ札で両替してあげて、男は無事に発券することができた。僕自身は細かい紙幣を持っているか不安だったが、5ユーロ札を持っていて安堵した。
 僕の前にはあと2人。漸く終わりが見えてきたぞ、と思った矢先、突然女が割り込んできて、「飛行機に乗り遅れてしまうので、先に買わせてくれないか?」と言う。2人の夫妻は少し顔を見合わせた後、喜んで先を譲った。変わりに券売機の操作を女に教えてもらっていた。僕もじっくりと操作方法を覚えた。
 そしてやっと僕の番が来た!果たして突然故障しないか、5ユーロ札が取り込めるか、とても心配だったけれど、問題なく買えてホッとした。かれこれ切符を買うまでに15分もかかってしまった。

 ホステルの周辺でレストランを探す。ホステルの主人がcheapと言っていたレストランに行ってみると、ただの高級なレストランだったので、諦めてファストフードで済ませた。店にはビールを置いていないとのことで、寂しい夕食となった。Romaではまだまともな物を食べていない。PalermoからNapoliにやってきたときに物価の上昇に驚いたが、Romaでは食事するのも決意が必要なほどだ。こうしてみるとNapoliはいい所だったなと感じた。宿に帰り就寝。

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最終更新:2015年11月06日 20:36