WORLD'S END UMBRELLA

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WORLD'S END UMBRELLA - (2018/08/24 (金) 19:54:10) のソース

作詞:[[ハチ]]
作曲:[[ハチ]]
編曲:[[ハチ]]
唄:初音ミク

&font(#999999){地を覆う大きな傘。}
&font(#999999){中央に塔が一本建ち、それが機械の塊を支えている。}
&font(#999999){当然 真下にある集落には陽が当たらず、機械の隙間から漏れる「雨」に苛まれている。}
&font(#999999){人々は疑わない。}
&font(#999999){それが当たり前だったから。}
&font(#999999){何て事はない。}
&font(#999999){ただの「掟」なのだから。}

あの傘が騙した日 空が泣いていた
街は盲目で 疑わない
君はその傘に 向けて唾を吐き
雨に沈んでく サイレンと

誰の声も聞かずに
彼は雨を掴み
私の手をとりあの傘へ
走るの

二人きりの約束をした
「絵本の中に見つけた空を見に行こう」
刹那雨さえも引き裂いて
もう悲しむ事も忘れたまま


&font(#999999){降り頻る雨と共に、二人は傘の塔へとたどり着いた。}
&font(#999999){閉ざされていた両開きの扉は、押せば呆気なく開き、二人を拒みはしない。}
&font(#999999){誰も入ろうとはしないのだ。}
&font(#999999){鍵などあってもなくても同じだろう。}
&font(#999999){その扉の向こうの、}


崩れ出し何処へ行く螺旋階段は
煤けて響いた滴り雨
泣きそうな私を そっと慰める様に
君は優しく 私の手を

白い影に追われて
逃げた先に檻の群
理由を探す暇も無く
気も無く

震えた手を 君が支えて
私はそんな背中を ただ見守るの
闇に溶けた 歯車は笑う
ホラ微かに風が頬を撫でる


&font(#999999){「風が、流れてるわ」}

&font(#999999){女の子は言った。}
&font(#999999){男の子は小さく相槌を打った。}
&font(#999999){足を止める事はなかった。}
&font(#999999){とても遠くまで来た様な、或いはまだ走り始めて間もない様な。}
&font(#999999){絶望的に小さな二人を、誰が見つける事も無かった。}
&font(#999999){誰が見つける事も無かった。}


白い影はもう追ってこなくて
とても悲しそうに消えた
錆びた匂いも煤けた黒さえも
やがて色を淡く変え
何処からか声が聞こえた様な
気がした様な 忘れた様な
螺旋階段の突き当たりには
とても小さな扉が
埃を纏い待っていた


&font(#999999){「開けるよ」}

&font(#999999){「うん」}


そこには何もかもがある様に見えた
色とりどりに咲いた花 深い青空
滲んだ世界に二人きり
もう何もいらないわ

絵本の中 とじ込んだ空を
在るべき場所に返した 忘れない様に
君がくれた 拙い花束を
笑いながら そっと肩を寄せた

世界の最後に傘を差す
ずっとこんな世界ならば よかったのに

悲しくないわ 君の側で...


花の咲いたその傘の上には
とても幸せそうな顔で

小さく眠る二人がいた