その1
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homuhomu_tabetai
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華やかに色ずく街、クリスマス・イブ。
その隅でひっそりと蠢く影が三つ。
大きな赤リボンに白いドレス――りぼほむ・白まど・仔りぼほむの家族である。
自慢の翼や羽はとうに破れ、全身傷だらけ。
弓矢もどこかへなくしてしまい、長いこと手入れされなかった髪は脂でベタベタだ。
破けたほむ服からは黒ずんだ肌が覗いている。いずれも後期のほむほむ病である。
それでも一度人間の食事の味を覚えてしまったが為に、彼らはなお人里を離れることができず、今日も大都市の真ん中で残飯漁りに励んでいるのであった。
「ホミィ…」グゥゥゥ…
「ホム、ホムッ」「マドマドンッ」
空腹を訴える仔供を諌める親ほむまど。かくいう自分たちも、もう何日も食事を口にしていない。
すると、
♪クーリスマスガコトシモヤッテクル~♪
人間の音楽が聞こえてきた。
親りぼほむはその音楽に聞き覚えがあった。
有名なフライドほむチェーンの店先でこの季節、繰り返し流されている音楽だった。
きっと、残飯も大量に廃棄されているはずだ。
仲間の肉を食べるのは気が引けるけれど……
「おっ、あんたらもフライドほむにされたいのかい? いま食材がちょっと足りなくてねぇ」ニヤリ
「「ホ、ホンビャァァァァァァァァァァァァッァァァァァァッ!!!」」スタコラサッサー
「くーかい…って、おいコラ待て!!」
所詮、甘い考えだった。
都市部では最近、野良化したほむ種による生ゴミ漁りが大きな社会問題となっていたのだ。
当然このような大チェーンがその対策を取らないはずはない。
生傷は増え、腹は余計に空き、挙句餌は取れず、と散々だ。
「ホミィィィィィ…ホミィィィィィ…」シクシク
「マドォォ…ホムラチャーン…」ポロポロ ギュッ
「マドカ…コドモ……」ギュゥ
一体どうしてこうなってしまったのだろう…りぼほむは記憶を辿っていく。
■
…
……
………
ご主人に飼われていた頃のあの日々。優しい人だった。
そう、去年のこの日だって、とっておきのご馳走を振舞ってくれた。
七面鳥やローストビーフ、サラダにミートローフ……
ほむほむサイズのビュッシュ・ド・ノエルには白まどを模した可愛らしいチョコ人形が載せられていた。
「ホムムッ、ホムッ」モグモグ
「お前のためにきっと可愛い白まどを見つけてきてやるからな」
「ホムッ!? マドカァ~♪」
「俺も来年こそ絶対彼女作らないとな~!」
「ホムゥ?」キョトン
不満など抱く方が贅沢な日々だった。
そう――、
「お前は見ない方がいい」
「ホムゥ! ホムゥ!!」イヤイヤ
「そうか……」
散歩の途中、道端で惨たらしく死に絶えている仲間を幾度となく目にしてきた。
野良あんさやに襲われる者、犬猫にオモチャにされる者、人間に虐待される者、飢えに苦しむ者…………
そう、彼らと比べれば自分など十分すぎるほど恵まれている。
リーダーとしての血であろうか。
だからそれが許せなかった。
翼を持つ稀少種にとって、人家からの脱走など朝飯前だ。
ペットショップで売約成立後に翼を除去するのはそのためだ。
それは可哀想だと、自慢の翼を残しておいてくれたのはご主人だった。
その判断に、りぼほむは強く感謝した。
そして同じような境遇の白まどと出遭う。
彼女は自分の理想に強く賛同し、力を貸すと約束してくれた。
その日の内にふたりはつがいとなり、念願だった仔供も授かった。
「ホッ…ホムゥゥゥゥゥゥッ!!!」グヌヌ…
「ホムラチャン! ガンバッテ!!」
ポコッ…ポコッ…
「「ホミャァ~ ミャロォ~」」ピコピコ
「ホッ…ホムゥゥゥゥゥゥ…コドモォ////」ポロポロ
「マドォ…ホムラチャーン…////」ポロポロ スリスリ
何もかもが順調だった。
「テンコーセー!!」ブンブン
「クーカイ!!」ダダダッ
「マギャァァァァァァァッ!!!」ダレカーッ!
「ホビャァァァァァァァッ!!!」オタスケーッ!
「ホムンッ!」ヒュンヒュン
「マドォッ!」ヒュンヒュン
「ホミィッ!」ピュンピュン
「ミャロンッ!」ピッピッ
ザシュッ! ザシュシュッ!!
「「アンギャァァァァァァッ!! サギャァァァァァァァァアッ!!!」」オボエテロヨーッ!!!
「ホム!ホムゥ!!」アリガトウ!
「マドマドッ!!」タスカリマシタ!!
「ホムッ」ファサァ
「マドンッ」スリスリ
「ホミュッ」ファチャッ
「ミャロォ」ピョンピョン
この家族と一緒ならどんな困難だって乗り越えられる、そう確信した。もう何も怖くない。
しかしそれはどうしようもないくらいに、幼稚な錯覚だった。