その3
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homuhomu_tabetai
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そしてクリスマス・イブ。
ほむほむ病はもはや手の施しようも無いほどに進行していた。
栄養失調も深刻だった。それが病の進行をさらに早めていた。
白まどが言った。
「マドォ…コドモ……ホムラチャン……」ワタシヲ…タベテ
腐っても稀少種の肉なのだから、今の私たちには精一杯のご馳走でしょう。
だから私を食べて。
そう白まどは言った。
「ホムゥゥ…マドカァァァァ……」ダメダヨォ… シクシク
「ホミィィィィィ…ホミィィィィィ…」オカァサンシンジャイヤ… ポロポロ
悟りきったような表情の白まどが細い首筋にその手をかける……
「マドカァァァァァァァァァァッ!!!」イヤァァァァァアァッ!!!
そこへ、
「……こっちはなぁ!! クリスマスに独りだってのに、イチャイチャしやがって!!」
一閃。雨傘が禍々しい軌跡を描き、闇を裂く。
「ホムラチャン!!」アブナイ!!
「ホミィィィッ!!」オカーサン!!
「ホ!?」
「「ビャッ!!!」」パァン!
「ホ…ホムァ……」プルプル…
「チィッ……一匹残ったか……」ギロリ
雨傘の切先からは――ふたりのほむエキスが、臓物が、滴っていた。
「ホビャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!」
りぼほむは二人の死骸(とは呼べない程に半壊したソレ)を連れて逃げ出した。
幸か不幸か、今日はクリスマス・イブ。
往来はカップルや家族連れで賑わっており、上手く追手の目をくらますことができた。
道を行き交う人間たちは誰もこちらなど気にしない。
自分たちの幸せで一杯なのだろう。
裏道へと逃げ込む。
「マッ…マドカアアァッアアッァァアッ……ゴッゴゴドモッォオオォッォォォォォォォオオッッッ…」エグッ…エグッ……
かつて最愛の家族だったソレを前にして、声を押し殺して泣き喚く。
大粒の涙が次から次へと溢れ出て、頬をなぞる。
仲間も、家族も、大事なものを何一つ守れなかった自分。
どうしようもないくらい無力な自分。
「ホッホ、ングゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ…………」ゴメンネェェェェェェェ……
そして、ソレを口へと運ぶ。
今度こそ、守ってみせる。
しんしんと、浮つく街に降り積もる白いパウダー・スノー。
「ホワイトクリスマスだね……」、道行く誰かがそう言った。
あれから何時間経ったのだろう?
頭のリボンは途中で取れてしまったようだ。よく覚えていない。
大事な大事な赤いリボン。
まどかのリボン、なくしちゃダメなのに。
もう、何も分からない。
思考は繋がらず、渦巻いては四散する。
崩れゆく自我の中、りぼほむは想う。
いつか……ご主人が言っていたよね……
今日は…良い子にしていれば、ねが、いをかなえてく、れるひだと、
いまなに、かひと、つねがいを、かな、えてくれ、るとい、うの、なら、じぶんは…じ、ぶ、ん、は、――――
「ホビャッ……」ブチュッ
「あっ、いけねぇ野良ほむ踏んじまったよ~」トントン
「じゃあ、クリスマスプレゼントに新しい靴買ってあげるね♪」
「え、マジ? やった~~♪」
(今の悲鳴……りぼほむ? ――――まさか、気のせいだよな)
………
……
…
翌日。
感心なボランティアの手によって道端に転がる野良ほむの死骸は片付けられた。
この季節、こうして道端で飢え死ぬ野良は珍しくなく、老人たちの毎朝の日課であった。
後には、聖なる日の余熱だけが残された。
『Merry Christmas!!』
おしまい