atwiki-logo
  • 新規作成
    • 新規ページ作成
    • 新規ページ作成(その他)
      • このページをコピーして新規ページ作成
      • このウィキ内の別ページをコピーして新規ページ作成
      • このページの子ページを作成
    • 新規ウィキ作成
  • 編集
    • ページ編集
    • ページ編集(簡易版)
    • ページ名変更
    • メニュー非表示でページ編集
    • ページの閲覧/編集権限変更
    • ページの編集モード変更
    • このページにファイルをアップロード
    • メニューを編集
    • 右メニューを編集
  • バージョン管理
    • 最新版変更点(差分)
    • 編集履歴(バックアップ)
    • アップロードファイル履歴
    • ページ操作履歴
  • ページ一覧
    • ページ一覧
    • このウィキのタグ一覧
    • このウィキのタグ(更新順)
    • このページの全コメント一覧
    • このウィキの全コメント一覧
    • おまかせページ移動
  • RSS
    • このウィキの更新情報RSS
    • このウィキ新着ページRSS
  • ヘルプ
    • ご利用ガイド
    • Wiki初心者向けガイド(基本操作)
    • このウィキの管理者に連絡
    • 運営会社に連絡(不具合、障害など)
ページ検索 メニュー
崩壊学園wiki
  • ウィキ募集バナー
  • 目安箱バナー
  • 操作ガイド
  • 新規作成
  • 編集する
  • 全ページ一覧
  • 登録/ログイン
ページ一覧
崩壊学園wiki
  • ウィキ募集バナー
  • 目安箱バナー
  • 操作ガイド
  • 新規作成
  • 編集する
  • 全ページ一覧
  • 登録/ログイン
ページ一覧
崩壊学園wiki
ページ検索 メニュー
  • 新規作成
  • 編集する
  • 登録/ログイン
  • 管理メニュー
管理メニュー
  • 新規作成
    • 新規ページ作成
    • 新規ページ作成(その他)
      • このページをコピーして新規ページ作成
      • このウィキ内の別ページをコピーして新規ページ作成
      • このページの子ページを作成
    • 新規ウィキ作成
  • 編集
    • ページ編集
    • ページ編集(簡易版)
    • ページ名変更
    • メニュー非表示でページ編集
    • ページの閲覧/編集権限変更
    • ページの編集モード変更
    • このページにファイルをアップロード
    • メニューを編集
    • 右メニューを編集
  • バージョン管理
    • 最新版変更点(差分)
    • 編集履歴(バックアップ)
    • アップロードファイル履歴
    • ページ操作履歴
  • ページ一覧
    • このウィキの全ページ一覧
    • このウィキのタグ一覧
    • このウィキのタグ一覧(更新順)
    • このページの全コメント一覧
    • このウィキの全コメント一覧
    • おまかせページ移動
  • RSS
    • このwikiの更新情報RSS
    • このwikiの新着ページRSS
  • ヘルプ
    • ご利用ガイド
    • Wiki初心者向けガイド(基本操作)
    • このウィキの管理者に連絡
    • 運営会社に連絡する(不具合、障害など)
  • atwiki
  • 崩壊学園wiki
  • 2-2 化粧品窃盗

崩壊学園wiki

2-2 化粧品窃盗

最終更新:2024年06月30日 10:21

Bot(ページ名リンク)

- view
管理者のみ編集可
突如発生した「化粧品万引」事件、そして容疑者はバビロン学園の生徒……真相は一体どうなっているのか?



シィル
先輩、この先の大声は……。

ペルセポネー
ええ、私にも聞こえたわ。

「……泥棒!お前だよ!」
「……この目で見たんだからな!」
「……信じないのか?じゃあ、これは何だ!?」
「……一緒に警備室に来てもらう。覚悟しな!」

シィル
……先輩、これって……。

ペルセポネー
店員が泥棒を捕まえたようね。

シィル
うーん……。

彼女たちは前方に目を向けた。そこは充実した品ぞろえのセレクトショップだった。店の入り口を大勢のやじ馬が取り囲んでおり、その中央には不愉快そうな顔をした店員と、冷たい表情をした少女が立っていた。
店員はとても元気なようだが、その表情は怒りに満ちている。
少女の服はしわくちゃになり、髪の毛もボサボサで、だらしなく見える。

シィル
あっ……。

少女の着ている服を見て、シィルは思わず驚きの声をあげた。

シィル
あれはシィルたちの学園の高等部の制服です……まさか、高等部の先輩でしょうか?

???
……あんたの言っていることは、どれもあたしとは無関係だよ。

物証はそろっているのに、まだ言い逃れをするつもりか?

???
……フンッ。

さあ、一緒に警備室に来るんだ!

???
……。

少女はさげすむような表情を見せたが、その両手の指の関節は力を入れすぎて白っぽくなっていた。

シィル
先輩……。

ペルセポネー
私たちも見に行きましょう。

シィルとペルセポネーは2人に近寄った。しかし、店の前まで来たところで、ペルセポネーは、そのセレクトショップの床が少しぬれていることに気づいた。どうやら水が乾いていないようだ。
……

シィル
あの……ここで何があったんですか?

フンッ、見て分からないのか?こいつ、こいつだよ!こいつがうちの店のカウンターの化粧品を万引したんだ!

シィル
け、化粧品を万引?どうしてそんなことを——

???
……あたしは盗んでないよ。

盗んでない?盗んでないなら、どうしてお前の持ち物からうちの店の化粧品が見つかるんだ?
俺がお前のコソコソした動きに気づいて呼び止めなかったら、今頃はショッピングセンターから出ていただろう!

???
……

どうした?何も言えないのか?

シィル
せ、先輩……どうしましょう?彼女は本当に万引犯なんでしょうか?それに、学園の制服を着ています……。

ペルセポネー
……疑問があるなら、しっかり調べてみましょう。

シィル
はい……分かりました!



(シィル)
シィル
ま、まさか今日のお出かけがこんなことになるなんて……。

ペルセポネー
フフ。謎解きの道を歩むと、事件を呼び寄せる体質になりやすいのかもしれないわね。

シィル
えぇ……本当にそんな体質があるんですか?

ペルセポネー
そうね……江戸川、御手洗、メルカトル、刀城、上木……あるいはフィル、ポアロ、マープル、これらの人たちは、みんなそのような体質でしょうね。

シィル
ど、どれも聞いたことのない名前です……。


(店員)
ペルセポネー
こんにちは。今、あなたの声が聞こえたんだけど、この女の子が店の化粧品を盗んだって言っていたわよね?

そうだが、あんたはどこの人だ?

ペルセポネー
わたしはバビロン学園の生徒よ。この子は私たちの学園の制服を着ているから、少し気になって聞いてみようと思ったの。

バビロン学園……どうしてそんな有名なお嬢様学校にこんなヤツがいるんだ?
明らかに万引したくせに認めようとしないなんて、お前たちの学校の先生は笑いものになるぞ!

ペルセポネー
ええ……それで、そちらのあなたは?さっき反論しているように聞こえたけど。

???
……

ペルセポネー
えっ、なんて言っているの?

???
……あんたの名前はなんだって聞いてるんだよ。

ほら見ろ、この態度だ!まったく頭にくる!

ペルセポネー
……私はペルセポネー、バビロン学園高等部の生徒よ。「銀の謎解き人」という称号もあるわ。

???
ペルセポネー……その名前は聞いたことある気がする——いつも学校の部室に引きこもっている探偵だろ?
いいかい……あたしのことに首を突っ込むんじゃないよ。
あんたはバビロン学園の内部進学生だろ?あたしは高校2年のときに転校してきた外部生なんだ。あんたたちとは違うんだよ。
あたしが万引したかどうかに関係なく、これはあたし自身の問題なんだよ!

ペルセポネー
そうなの……分かったわ。

そのとおり。この子は見るからにお前みたいな不良とは違う!さあ、道をあけてくれ。こいつを裏の警備室に連れていってやる。警察が来たら、たっぷりおきゅうを据えてもらうからな!

ペルセポネー
……あの、店員さん。ちょっと聞きたいんだけど、彼女が万引した証拠をどうやってつかんだの?

……えっ?

???
言っただろ?あたしのことに首を——

ペルセポネー
それなら私も言わせてもらうわ。私は真相を突き止めようとしているだけ。あなたの考えがどうであろうと、私には関係ないわ。

???
……チッ!

ペルセポネー
さあ、店員さん。証拠を見せてちょうだい。

えっ、その……ペルセポネーと言ったかな。証拠ってものは、普通、警察にしか見せないんだ。あんたは……。

ペルセポネー
だけど、彼女を警備室に連れていき、個人の自由を奪うなら、証拠を出せないのもおかしいわよね?
法律的観点から言えば、ある空間に一時的に人を拘束しようにも、警察以外にそんな権限を持っている人はほとんどいないと思うけど。

そっ、それは……。
まぁ、いいだろう。それなら見せてやるよ!ほら——
店員はペルセポネーの前にかばんを置いた。内側のファスナーは開いた状態になっており、かばんの中のものがすべて目に入った。
手鏡、携帯電話、万年筆、明らかに使用済みの化粧品、そして未開封の新しい化粧品が数箱。
そのほかに、学生証もあった。写真の女の子は目の前の少女だ。そして学生証の氏名欄にははっきりと「エーリヴァーガル」と書かれていた。

ペルセポネー
(エーリヴァーガル?これが彼女の名前のようね)

ほら、これだ!
店員は未開封のままになっている数箱の化粧品を指さしながら、ペルセポネーに言った。
さっき、こいつがコソコソと裏から出てきたのを見て、すぐに呼び止めたんだ。そしたら案の定、この中に奥のカウンターの化粧品が入っていたんだよ!
これは我々「シロクダ」が数日前に発売したばかりの新商品なんだ。他の場所で買えるはずはないから、奥のカウンターからこっそり自分のかばんに忍ばせたとしか考えられないだろ?

ペルセポネー
なるほど。

エーリヴァーガル
……チッ。

シィル
……
いいえ。し、シィルはそうじゃないと思います!

エーリヴァーガル
!?

フンッ、お前みたいな子どもに何が分かるんだ?

シィル
あの……シィルは……うーん、よく分かっているわけではないんですが、その先輩はものを盗んだりするような人じゃないと思います——

思うだって?勘に頼っていたら、我々の店は半月もしないうちに、こういう盗っ人にすべて持っていかれてしまうよ——確かな証拠があるのに、そいつの肩を持つのか?

シィル
分かりません……うぅ……でも、彼女の目を見たんですが……。
……あの目は絶対に泥棒の目ではありません。だから彼女を信じます!

エーリヴァーガル
……

チッ、なんてお人よしなんだ。目つきだけで罪を犯したどうか分かるだって?もし本当にそうなら、連続殺人犯は犯行に及ぶ前に捕まってるよ。だから——

ペルセポネー
私も彼女を信じるわ。

シィルの判断を信じる。

ペルセポネー
証拠が「100パーセント」でない以上、最終的な真相を結論づけることはできないわ。
店員さん、物証はあるけど、犯行を証明するにはもっと確実な証拠が必要よ。
だから他に手がかりが見つからないか、もう少し調べたいの——エーリヴァーガルが本当に化粧品を盗んだことが証明されれば、あなたにとっても得があるわ。それに、もし無実が証明されれば、冤罪を避けることができるの。
どう思う?

……お前たち子どもときたら、そういう探偵ごっこが大好きだな。かばんの中から見つかっているのに、まだ「無実」だの、「冤罪」だの抜かして……。

ペルセポネー
自己紹介させてもらうわね。私の名前はペルセポネー、バビロン学園の「銀の謎解き人」よ。名字はグーストン、店員さんもこの名字は聞いたことあるかもしれないわね。

「銀の謎解き人」?いかにも子どものおままごとみたいだ……なにっ?「グーストン」だと!?あの「グーストングループ」のグーストンか!?
分かったよ。少しだけ時間をやろう!だが、店のものを壊すんじゃないぞ!

ペルセポネー
どうもありがとう……それから、あなたの名前を教えてもらえるかしら?

俺の名前?別にそんなことはどうでもいいじゃないか……。

ペルセポネー
ただ聞いているだけよ。別に秘密にするようなことではないと思うけど?

ダイヤモンズ
……俺の名前はダイヤモンズだ。どうした?まさか逃亡犯だとでも思ったのか?

ペルセポネー
もちろん違うわ。教えてくれてありがとう。


(化粧品のカウンター)
シィル
ここがさっき店員さんの言っていたカウンターですね?

ペルセポネー
ええ。エーリヴァーガルのかばんに入っていた化粧品は、このカウンターに並んでいる新商品と一致するわね。

シィル
ということは、エーリヴァーガル先輩は本当にこのカウンターから化粧品を取ったんでしょうか……。

ペルセポネー
今の証拠からすると、その結論が導き出せるわね。

シィル
うぅ……。


(通行人)
ペルセポネー
こんにちは。このセレクトショップなんだけど、さっき何か見なかった?

通行人
万引のこと?

ペルセポネー
……そうよ。

通行人
いやぁ、ここに来たら、彼女が捕まっていたんだよ——まったく、最近の学生ときたら、本当に素行が悪いんだから。私たちの若い頃は……。

ペルセポネー
他に何か気になるようなことはあった?

通行人
気になるようなこと?最近の青少年の精神状態が気になるね。地域のPTAの一員として、前々から今の子どもたちは甘やかされすぎていると思っていて……。

ペルセポネー
OK、分かった。ありがとう。

シィル
エーリヴァーガル先輩に関する手がかりはないのでしょうか……。

ペルセポネー
まぁ、推理の過程ではよくあることよ。

通行人
えっ、あの捕まった子、エーリヴァーガルって名前なの?

ペルセポネー
聞いたことがあるの?

通行人
私はPTAの会員だからね。情報通なんだよ!
その子は札付きのワルだよ。バビロン学園に来て何日もたたないうちに、いろいろなことをやらかしたって聞いたよ——
他の保護者から聞いて、すごくびっくりしたんだから!

ペルセポネー
具体的にはどんなこと?

通行人
すごくたくさんあるけど、他の不良生徒と同じだよ——反抗的だったり、授業に遅刻したりとかは序の口だね。
印象に残った話もいくつかあるよ……。
聞いた話では、あの子はこっそり学校の包装室に忍び込み、放送機材にお笑い番組のカセットテープを入れ、校内放送を一時停止させて全校中にそのお笑い芸人の番組を聞かせたらしいよ。
しかも、放送室で証拠と一緒に捕まっても、強情を貫き通して先生を激怒させ、危うくそのまま退学になるところだったそうだよ。

シィル
……た、たしかに、なぜか校内放送が途中で他の番組に変わったことがあったような気がします……。

通行人
そうでしょう。これは大ごとなんだよ。そのせいで、あなたたちの学校はかなりの損害を被ったらしいよ!

シィル
そ、損害……それはどうしてですか?

ペルセポネー
……学校の運営に影響を及ぼしたから?

通行人
いいえ、そのお笑い番組の著作権を侵害したから。

シィル
うっ……。

ペルセポネー
……。

通行人
他にもあるよ。その子は学園の正門の掲示板に大きな図形を描いて、もともと並べられていた版画を全部ダメにしてしまったらしいよ。

ペルセポネー
……そんなことがあったの?

通行人
それだけじゃないよ!彼女、以前はスラム街の学校に通っていたから、しょっちゅう学校の外でろくでもない連中とつるんでいたんだよ!
生徒だけじゃなく、先生や保護者まで、彼女がそうした連中と学校の外で談笑しているところを見たことがあるんだから。

ペルセポネー
……なるほど。情報を提供してくれて、どうもありがとう。



(やじ馬の生徒)
ペルセポネー
あなたたち二人も……学生のようね?

もちろん。あなたや横のおチビちゃんと同じように、私たちもバビロン学園の生徒よ。
でも、あの不良女とは違って、私たちはバビロン学園の内部進学生なの!彼女とは格が違うわ!

シィル
ふ、不良女……。

もちろんよ。まさか聞いたことないの?あのエーリヴァーガルって子は、学校でも有名な不良なんだよ!
今年転校してきたばかりなのに、もう騒ぎをたくさん起こしていて、生徒会から何度も呼び出しを受けているんだから。彼女たちのせいで、私たちのクラスの評判もガタ落ちよ!

ペルセポネー
私たちのクラス?
ということは、二人は彼女と同じクラスの生徒なの?

……あっ、それは……。
そうよ。私たちが同じクラスだからってどうしたって言うの?まさか同じクラスだから、彼女の罪を隠すとでも思ってるの?

ペルセポネー
うーん……あなたたちの人柄を疑ったりはしないわ。でも、名前を教えてもらえるかしら?

アイエルガー
フンッ……私はアイエルガーよ。

ブリカ
私はアイエルガーの友達、ブリカ。

アイエルガー
私たちの名前を知ってどうするの?あなた、私たちのことばかり聞いてくるけど、どういうつもり!?エーリヴァーガルのことを聞くんじゃなかったの?
あなたもバビロンの内部進学生でしょ。あの外部生をまったく疑おうとしていないみたいだけど、どうしてなの!?

ブリカ
そうよ。私たちのことばかり聞かないでよ!

ペルセポネー
それは誤解よ。私はただどんな小さなことも見逃したくないだけなの。

アイエルガー
フンッ……。



シィル
先輩、今回の事件……。

ペルセポネー
……。
確かに楽観できないみたいね。

シィル
放送室に忍び込んだり、正門の掲示板に落書きしたりするなんて。まさか、エーリヴァーガル先輩が本当に盗んだんじゃ……。

ペルセポネー
シィル、まだ彼女を信じてる?

シィル
シィルは……。
——エーリヴァーガル先輩を信じたいです。

ペルセポネー
……信じたい?

シィル
以前、先輩が話してくれたのと同じです——
先輩はシィルの「心」を信じて、シィルが答えを見つけられると信じてくれました。だから……あたしも自分の「心」を信じて、エーリヴァーガル先輩は化粧品を万引していないと信じます!

ペルセポネー
……フッ。
信じたいと思うなら、このまま調べ続けましょう。
現時点でも、集まった証拠は行き詰まるほどでもないし、他の可能性もまだ残っているわ。

シィル
他の可能性……先輩、それはなんですか?

ペルセポネー
うーん……私の推測にすぎないわ。
その推測を確かめるためには、電話を1本かけないとね。

シィル
えっ……あっ、はい。

シィルはペルセポネーの姿が遠ざかっているのを見ていた。そして、彼女は携帯電話を取りだし、電話の相手に何かを話した。
しばらくすると、ペルセポネーが戻ってきた。

シィル
どうですか?先輩の推測は答えが出ましたか?

ペルセポネー
今はまだ出ていないわ。
でも、私の求めている答えはいずれ到着するわ。
さあ、引き続き調べましょう。もっと役に立つ手がかりが見つかるかもしれないわよ。



(シィル)
ペルセポネー
行くわよ。もっとたくさんの手がかりがないか、探してみましょう。

シィル
はい、し、シィルも頑張ります!


(化粧品のカウンター)
シィル
この場所はさっき見たような気がしますけど……。
先輩、まさかまた何か見つけたんですか?

ペルセポネー
ええ。今回はこれまでとは違う情報が得られるかもしれないわね。

シィル
これまでと違う?でも、ここは何も変わっていないみたいですけど?

ペルセポネー
同じ物事であっても、見る時間が違えば、浮かび上がってくる細部も異なるの。
これも推理の秘訣のひとつよ。

シィル
そうなんですか。うーん……やっぱり推理って不思議ですね……

ペルセポネーは化粧品のカウンターを入念に調べている。

ペルセポネー
やっぱり聞いた話と同じね。ここに並んでいる化粧品はほとんどが安物の商品よ。
しかも……。

ペルセポネーは急に話をやめ、何か悟ったような表情を浮かべた。

シィル
せ、先輩、どうしたんですか?

ペルセポネー
ここを見て。

シィルはペルセポネーが指し示す方に目を向けた。そこは化粧品カウンター内のスペースで、商品がぎっしりと詰まっていた。

シィル
えっ、その場所がどうしたんですか?

ペルセポネー
この化粧品はエーリヴァーガルのかばんに入っていたものと完全に一致するわ。
でも、この部分はこの化粧品がいっぱいに並べられている。そして、他の化粧品もそれぞれの位置に並んでいる。

シィル
それはつまり……あっ!

ペルセポネー
そう。それなら、エーリヴァーガルのかばんに入っていた化粧品はどこから取ったものなの?
さっきまでの手がかりと説明によると、エーリヴァーガルがこっそりカウンターから化粧品を取った時、店員は彼女に気づいていたはずよ。それなら、彼女を捕まえた後、この場所は隙間が空いているはずでしょ。
でも今、この部分の化粧品は何一つ欠けていないわ。それじゃあ、エーリヴァーガルのかばんの中にあった化粧品は、一体どこから来たの?

シィル
あっ、それじゃあ……。

ペルセポネー
それに……。

ペルセポネーは化粧品の下にある値札をめくった。価格が記された札の他に、「売り切れ、再入荷待ち  11月5日」と書かれた紙があった。

ペルセポネー
……やっぱりね。

ペルセポネーはぶつぶつ言いながら、化粧品の箱の下側を指さした。

ペルセポネー
見て、ここの丸印がかばんに入っていた化粧品よりもひとつ多いわ。

シィル
ほ、本当ですね……。
ですが、これは何を意味しているのでしょうか……

ペルセポネー
フッ、考えは浮かんだけど、でも……とりあえず、次の場所に行きましょう。


(更衣室)
ペルセポネーとシィルは化粧品コーナー横のドアの前にやってきた。

シィル
……先輩、この更衣室の外側のドアノブ……少し緩いような気がします。

ペルセポネー
ええ。見て、ドアノブの表面にこすったような痕跡があるわ。

シィル
本当ですね。どうしてでしょうか?

ペルセポネー
……開けてみれば何か分かるかもしれないわよ。

ペルセポネーが答えると同時に、ドアが簡単に開いた。ギイッという音とともに、じっとりとした湿気が押し寄せてきた。

シィル
……あっ!

ダイヤモンズ
おいお前たち、何を見ているんだ?

ペルセポネー
ここに他の手がかりがないか調べて見たかっただけよ。ちょっと聞くけど……更衣室の中はどうしてこんなに湿っぽいの?

ダイヤモンズ
……別に理由なんてないさ。さっき俺が掃除をしたとき、モップの水をしぼっていなかったんだろう。
ほらほら、更衣室には何もないし、お前たちも服を着替える必要はないんだから、早く出ていってくれ!

ダイヤモンズという名前の店員が走ってきて、渋い顔をしながらドアを閉めた。
彼がドアを閉めるとき、ペルセポネーは、ドアの内側にはっきりと目に見える跡がついているのに気がついた。それはドアノブにあった跡とは異なり、何かがぶつかったような跡だった。

ペルセポネー
(……やっぱり)
(これで推理のパズルに、またピースが1つ増えたわ)


(通行人)
通行人
エーリヴァーガルといえば、ふと別のことを思い出したよ。
彼女の母親は以前、ホステスをしていて、人の恨みを買ってしまったことがあるんだよ。そのせいで、誰かが彼女たちの家に赤いペンキを塗る騒ぎがあってね……それで母親と再婚した金持ちは、彼女たち母娘に少し不満を抱いているようだよ。

ペルセポネー
なるほど……それは本当に驚くべき情報ね。
それにしても、あなたの情報量は本当にすごいわね。驚かされるわ。

通行人
フンッ、さっき私がなんと言ったか忘れてしまったのかい?

ペルセポネー
……何かしら?

通行人
私はPTAの会員なんだよ。すごく情報通なんだから!
地域の教育環境を脅かす可能性のあるリスクは、どんなことでもしっかり記憶しているんだよ!

ペルセポネー
なるほど。それがPTAの力なのね。分かったわ。
もう1つ聞くけど、あなたは本当にエーリヴァーガルが化粧品を万引したと思う?

通行人
間違いないさ!まさか、他の可能性があるとでも?
他の女の子だったら、変だと思うかもしれないけどね——ブランド品を身につけておきながら、どうして安物の化粧品なんて盗むのかってね。でも、あの子なら疑う余地はないよ!

ペルセポネー
ブランド品?

通行人
もちろん。気づかなかったの?あの子のコートは「ド・ラ・レンタ」だし、持っていたかばんは「グーチ」でしょ?どちらも最高級のブランドだよ!ここ最近ブランディングを始めたばかりのシロクダのような大衆ブランドとは比べものにならないほど高いよ!
でも、それがエーリヴァーガルなら、ブランド品を身につけて化粧品を盗んだ理由も合点がいくよ——心理学でいう「盗癖」ってやつでしょ?
明らかにお金をたくさん持っているのに、スーパーでカップ麺を万引するホワイトカラーと同じだよ。心の病気の分野だから、よく分かるんだよ!

ペルセポネー
……。
なるほど。情報を提供してくれて、本当にありがとう。
今の情報は役に立つと思うわ。


(アイエルガー)
アイエルガー
ちょっとあなたたち、さっきからずっとあちこち回ってるけど、何か役に立つ手がかりは得られたの?

ブリカ
フフン。外部生のためにそこまでしておいて、結局彼女の犯行を証明するだけだったら、とんだ恥さらしよ!

アイエルガー
そうよ!忠告しておくわ。私たち内部進学生の恥となるようなことはやめなさい。「正統派バビロン学園生」として、エーリヴァーガルみたいな不良とは距離を置くべきよ。
エーリヴァーガル、あなたも自分みたいな人はバビロンに相応しくないって、毎日引け目を感じているでしょう?

エーリヴァーガル
……チッ。

ペルセポネー
「正統派バビロン学園生」か……そんな概念があるとは知らなかったわ。
でも、「家の血筋などを誇りにする人ほど、個人の才能は薄っぺらい」という言葉を聞いたことがあるわ。

アイエルガー
……フンッ。ペルセポネー、あなただって、グーストン家の一員だから、ここで偉そうなことを言ってられるんでしょ!
あなたのことは知ってるわよ。あなたのようにだらしないヤツは、学園の理事をしているおばさんのハデスがいなければ、とっくに退学になっていたでしょうね!

ペルセポネー
あら、あなたが私の家のことをそこまで知っているとは思わなかったわ。

ペルセポネーはまったく感情のこもっていない視線をアイエルガーとブリカに向けた。アイエルガーとブリカは明らかに体を震わせたが、こらえながらペルセポネーの目を真っ直ぐに見つめた。その姿は驚いた2匹のうさぎのようだった。

シィル
せ、先輩……。

シィルも、これまでとは違うペルセポネーのオーラを感じ、ビクビクしながら縮こまったが、何かを思い出したかのように一歩前に出た。

シィル
あの……二人とも!
あなたたちはどうしてエーリヴァーガル先輩にそんな態度を取るんですか?せ、先輩が外部生だからですか?でも、外部生も内部進学生も変わらないと思います。みんなバビロンの一員ですから……。

ブリカ
中等部の生徒に何が分かるの?
私たちのバビロン学園が長空市、さらには周辺地区で屈指のお嬢様学校でいられるのは、学校自体の条件だけでなく、私たち生徒の家庭や個人の資質も高いからなのよ。
どんなヤツでも私たちの学校に入れるようになってしまったら、学校の「エリート」性はどうなってしまうの?

アイエルガー
そうよ!
それにエーリヴァーガルの母親はホステスで、金持ちを引っかけて貧困から抜け出し、ついでに四流学校に通っていたこの不良娘をバビロン学園に送り込んだのよ。
フンッ、こんなヤツが堂々と私たちの学校に入って、しかも同じクラスにいると思うだけで、嫌な臭いがプンプン漂ってくる気がする!

エーリヴァーガル
……。

彼女たちの非難を聞いていたエーリヴァーガルは、意外にも一言も反論せず、顔色は真っ青になっていた。

シィル
エーリヴァーガルせ、先輩……。

エーリヴァーガル
……先輩なんて呼ばないで。
だから言ったでしょ。あたしはあんたたちとは違うんだって。

シィル
うぅ……。

ペルセポネー
……。
関係ないわ。

アイエルガー
なんですって?

ペルセポネー
エーリヴァーガルの家庭環境がどうであろうと、今、私たちが明らかにしようとしていることとは関係ないわ。
結局のところ、問題は1つだけ——すなわち、エーリヴァーガルは本当に化粧品を万引したかどうかということだけでしょ?

アイエルガー
まさかまだ……いいわ。こんな退屈な探偵ごっこを続けたいなら勝手にしてちょうだい。いつまでやれるか見させてもらうわ!

シィル
先輩……。

ペルセポネー
事件はまだ解決していないわよ。調べ続けましょう。
エーリヴァーガルをはり付けにする十字架が見つかるのか……それとも彼女を救う武器が見つかるのか、どちらになるのでしょうね。


(シフト表)
シィル
先輩……これって、この店のシフト表みたいですね。

ペルセポネー
そうよ。

シィル
えっ、まさかここにも事件に関する手がかりがあるんですか?

ペルセポネー
あるかもしれないし、ないかもしれないわ。だけど、使える情報があるかもしれないわよ。

シィル
うぅ、難しいです……。
それなら、シィルも見てみます——

「シロクダ、毎日の出勤時間 早番:7:00~16:00、遅番:16:00~1:00」
「11.1、早番:ビローシャ、遅番:クーリン」
「11.2、早番:ダイヤモンズ、遅番:クーリン」
「11.3、早番:ダイヤモンズ、遅番:ビローシャ」
「11.4、早番:クーリン、遅番:ビローシャ」
「11.5、早番:クーリン、遅番:ダイヤモンズ」
「11.6、早番:ダイヤモンズ、遅番:ビローシャ」
「11.7、早番:クーリン、遅番:ビローシャ」
「……」

シィル
ダイヤモンズ……さっき会った、あの店員の名前ですね。

ペルセポネー
そうよ。
どう?シィル、このシフト表から何か分かる?

シィル
……。

シィルはつま先立ちになり、目を凝らして見つめたが、結局、がっかりしながら首を横に振った。

シィル
いいえ。やっぱり何もわかりません……。
……あの、先輩は何が分かったんですか?

ペルセポネー
昨日と今日のシフトに注目して。

シィル
えっ?

ペルセポネー
昨日の遅番と今日の早番は同じ人よ。
遅番は午前1時まで続き、早番は7時から出勤する。途中の準備時間を考慮すると、前日の遅番と次の日の早番が連続した場合、その間はせいぜい3時間から5時間の休憩時間しかないでしょうね。
お金を稼ぐためであっても……早番2回、または遅番2回の方が休みももっと充実するわ。
たとえ1日の間に早番と遅番が連続することになったとしても、仕事の連続性を利用して、1日をフルに仕事に充てる方がいいと思う——その方がしっかり休めるし、翌日の休みを楽しめるでしょう。

シィル
じゃあ……これは何を意味しているんですか?

ペルセポネー
これはまさしく、ダイヤモンズさん自身が今回の事件と無関係ではないことの証しだと思うわ。

シィル
……ええっ!?

ペルセポネー
これは重要な手がかりね。もう一度ダイヤモンズさんと話しをする必要があるわ。


(ダイヤモンズ)
ダイヤモンズ
おい、グーストン家のお嬢様、さっきからいろいろな人に質問したり、店の中を調べ回ったり、店をめちゃくちゃにしてくれたが、ようやく一段落したようだな。
どうだ?お前の推理ゲームとやらの結論は出たのか?

ペルセポネー
具体的な推理のパズルはまだ少し欠けているけど、大筋の結論は出たわ。

ダイヤモンズ
ハッハッハ。こいつが犯人だってことが明らかになっただろ?

ペルセポネー
その逆よ。エーリヴァーガルはカウンターの化粧品を盗んでいないと思うわ。

エーリヴァーガル
!?

ダイヤモンズ
……。

通行人
えっ?

シィル
先輩……。

アイエルガー
何を言ってるの?こいつが化粧品を盗んでないわけないでしょ!?

ブリカ
彼女のかばんに何が入っていたか見てなかったの?

ペルセポネー
あの化粧品は確かにエーリヴァーガルのかばんに入っていて、しかも、すべてカウンターの化粧品と同じ物だった。でも、だからといって、その化粧品はエーリヴァーガルがカウンターから取ったものだという説明にはならないわ。

ダイヤモンズ
ど、どうしてなんだ!?
何を根拠にそんなこと言ってるんだ!?こいつのだらしない格好を見れば、貧乏で盗みを繰り返しているヤツだってことは一目瞭然だろ!

ペルセポネー
フッ……本当にそうかしら?
シィル、私の代わりに、この人の誤りを指摘できるわよね?

……シィル、頑張ってみます!

(エーリヴァーガルの成績。)
ダイヤモンズ
こいつの成績?何の関係があるんだ?
まさか、こいつが品行も成績も素晴らしい優等生だから盗みはしないとでも言いたいのか?だが、こいつの不良みたいな見た目を見ても、何も分からないだろう?

シィル
うぅ……間違っていたみたい。

(エーリヴァーガルの服装。)
ダイヤモンズ
こいつの服装?
こいつの副葬なんて、貧乏人の格好だろ!?

シィル
で、でも、エーリヴァーガル先輩のコートにしても、かばんにしても、どれも高価なブランド品なんです……。

ダイヤモンズ
……な、なんだと!?
ブランド品!?

ペルセポネー
そうよ。だからエーリヴァーガルが貧しさを理由に、化粧品を盗むなんてありえないの。

ダイヤモンズ
し、しかし……それじゃあ……。

通行人
待って!

アイエルガー
待って!

通行人
貧しくなければ物を盗まないというわけでもないでしょう?

アイエルガー
あなた、一体誰……。

通行人
私が長年教育学と心理学に没頭してきた結果によれば、裕福な家庭の子どもであっても、心の闇によって犯罪に手を染める可能性はあるよ。
ましてや、そのエーリヴァーガルという子はスラムの出身だし、これまでの十数年の人生の中で、貧困が理由となって、ある種の悪の根源を生み出した可能性は大いにある……。
新しい環境に身を置いたことで、そのような悪の部分が完全に解き放たれ、次第に爆発し始める……。

アイエルガー
あなたが誰なのか知らないけど、とても理屈が通っていると思うわ!しっかりした大人にしか、そのような高度な説明はできないでしょうね——

通行人
フフン、私はPTAの会員で、常に基礎教育に根差し、長空市の学生の心の健康のために生涯頑張り続ける覚悟なんだよ!

アイエルガー
よく分からない点はいろいろあるけど、あなたをシロクダ教育グループの顧問として採用することに決めたわ!

通行人
えっ……えええ、顧問!?
あなたは一体??

アイエルガー
私はシロクダグループ理事長の娘、シロクダグループ唯一の跡継ぎ、正真正銘の名家の娘——アイエルガー・シロクダよ。オホホホ!

通行人
お、お嬢様!これからはあなた様に忠実にお仕えします!

ダイヤモンズ
……ハ、ハハ。見ただろ。教育の専門家もああ言っているんだ。盗みを働くことと金の有無は関係ない。
だから!
やっぱりこのエーリヴァーガルが化粧品を盗んだに違いないんだ!

ペルセポネー
その「教育の専門家」という肩書はあまり認めたくないけど、私もそのことだけで事件を解決しようとは思ってないわ。

ダイヤモンズ
……まさか、まだ他の証拠があるのか!?

シィル、私たちが先ほど手に入れた情報の中で、エーリヴァーガルが化粧品を盗んでいないと証明できるものはあると思う?

(化粧品の香り。)
ダイヤモンズ
香り?この化粧品はどれも開けていないのに、どうやって香りを嗅いだんだ?

ペルセポネー
うーん、それはさっき見つけたものと違うみたいね。もう少し考えてみる?

シィル
も、もう少し考えてみます……。

(カウンターの色。)
ダイヤモンズ
カウンターの色……それが一体なんだ?

ペルセポネー
……もう少し考えてみる?

シィル
うぅ、もう1度やってみます……。

(カウンターの化粧品の配置。)
ダイヤモンズ
カウンターの化粧品の配置……それは……。

ペルセポネー
さっき気づいたのだけれど、かばんに入っていた化粧品のひとつと同じものが新商品のカウンターにあったわ。隙間なくぎっしりとね。
エーリヴァーガルが本当にその場所から化粧品を盗ったのなら、誰がカウンターの隙間に商品を補充したの?
おかしいわね。ダイヤモンズさんは、エーリヴァーガルがコソコソと出てくるなり、すぐに彼女を呼び止めたんでしょう?
その間に、商品を補充するなんて無理よね?
それなら、どうしてカウンターのあそこの化粧品は隙間なく並べられているの?

ダイヤモンズ
そ、それは……いや、それでも何も証明できないぞ……万が一、その中の化粧品を別の所にも置いていて、彼女がたまたまそこの化粧品を手に取ったら……。
……何しろそれは今回の新商品の中でも主力の品だからな。すぐに売り切れてしまうから、別の所にも置いていた可能性だってある……。

ペルセポネー
へぇ……そうなの?でも、残念ながら、それはあり得ないわ。

ダイヤモンズ
……何を根拠にあり得ないなんて言うんだ!?

それなら、証拠を見せてあげましょう。

(値札の裏の紙)
ダイヤモンズ
それは……。

ペルセポネー
これは昨日の注記で、それが売り切れになっていたことを示しているわ。
しかし、今日はここに新しく商品が追加されている。ということは、新たに商品が運ばれてきたことは明らかよね。
だけど……かばんに入っていた化粧品とカウンターの化粧品を比べてみると、両者の間には明確な違いがあるの。
——それは、カウンターの化粧品の丸印が、かばんに入っていたものよりひとつ多い点よ。
セレクトショップの店員なら、それが何を意味するか分かるはずよね?

ダイヤモンズ
……それは、工場からの出荷時間が異なる……別のロットの商品だ。

ペルセポネー
そのとおり。
しかも、今あなたが言ったように、この化粧品は主力の品で、発売と同時に売れ筋になった——ということは、どのロットの商品もすぐに売れるでしょうね?
前のロットの商品が売り切れたら、次のロットの商品を急いで追加しないといけない。両者の間にはたった1日の差しかない……。
だから、今のカウンターに並んでいるものが、丸印が付け加えられた新しいロットで生産された化粧品であるなら、エーリヴァーガルのかばんに入っていた、丸印の少ない化粧品は、昨日「売り切れ」と書かれたロットのものということになるわ。
ダイヤモンズさん、そうだとすると、エーリヴァーガルが今日盗んだとされている化粧品の中に、昨日売り切れたロットの商品があるのはどうしてなの?

ダイヤモンズ
そ……そ……それは……。

アイエルガー
……

ブリカ
……

通行人
……

エーリヴァーガル
……

シィル
さすが先輩……。

アイエルガー
待って——そうだとしても、それでも彼女が化粧品を盗んでいないことを証明する証拠にはならないでしょ!
そんなの全部あなたの推測と想像でしかないわ!
アハハハハ……そんなことで逃げられると思わないでよね!エーリヴァーガル……この卑劣なヤツめ……。

ペルセポネー
……
ごめんなさい。この事件に関して、あなたは最初から勘違いしていることがあるわ。

アイエルガー
……なんですって?

ペルセポネー
刑法の基本原則は「疑わしきは罰せず」よ。だから、私はこの事件の怪しい点を見つけるだけでいいの。
それとは反対に、原告側であるあなたたちは、エーリヴァーガルをとことん追い詰めるための決定的な証拠を出さなければいけない。
それに……ずっと気になっていたことがあったの。ただ、わざわざ聞く必要もないと思っていたわ。
なぜなら、その疑問が頭に浮かんだとき、うっすらと答えを推測できたからよ。
でも、あなたたち——ダイヤモンズさん、アイエルガー……そしてブリカの3人を前にした今、その疑問をあなたたちにぶつける必要があると思い直した。
——この店の防犯カメラの映像はどこにあるの?

ダイヤモンズ
……!

ブリカ
……!

アイエルガー
……!!

通行人
そ、それはどういうこと?

シィル
先輩、シィルもそのことを聞こうと思っていました……。

エーリヴァーガル
……フッ。

ペルセポネー
これほど上品に装飾されたセレクトショップに防犯カメラがないとは思えないわ。だから、そこに残された映像が事件の真相を明らかにする最大の武器になるはずでしょ?
したがって、エーリヴァーガルが店に入ってから捕まるまでの間の映像を出してくれれば、すべてが証明されると思うわ。
それで、防犯カメラの映像はどこにあるの?

ダイヤモンズ
ぼ、防犯カメラは、今日は壊れているんだ……。

ペルセポネー
それは本当に残念ね。
今日は壊れているなら、昨日の夜は大丈夫だったのかしら?それなら、昨日の夜の映像を見せてもらえる?
ついでに、できれば、このショッピングセンターの昨日の夜の防犯カメラ映像も見たいわ——特に地下駐車場からエレベーター入口までの間の映像をね。

ダイヤモンズ
!!!

ブリカ
!!!

アイエルガー
!!!!!!
あなた……一体どこまで知ってるの……?

ペルセポネー
私が知っていることはあなたより多くはないけど、少なくもないかもね。

ピピピ……。
着信音が鳴り響いた。ペルセポネーは下を向き、リラックスした表情で携帯電話を取り出した。

ペルセポネー
ごめんなさい、さっき家の者に調べ物を頼んだの。その結果が出たんだと思うわ。少し席を外させてもらうわね。



シィル
……先輩。
どう……でした?電話は終わりましたか?

ペルセポネー
ええ、終わったわ。ついでに調べてもらったものもメールで私に送ってもらったわ。

シィル
……
……本当に不思議です。今、あの人たちの前で——先輩は手品のように、最初の結論をひとつずつ覆していったんですから。
化粧品カウンターの問題はともかく、防犯カメラ映像に触れたとき……店員さんも、あのバビロンの生徒の2人も、みんな一瞬で顔色を変えましたよ。

ペルセポネー
それじゃあ、彼女たちが顔色を変えた理由が一体何なのか、シィルは分かる?

シィル
分かるような……分からないような……。

ペルセポネー
大丈夫。もうすぐすべて分かるわ。

シィル
ん……あっ、そうだ。先輩、さっきは何を調べたんですか?

ペルセポネー
最初はエーリヴァーガルが掲示板に一体どんなマークを描いたのか調べたの。
それから、放送室事件の情報もね。
その後、さらなる手がかりが得られてから、今度はエーリヴァーガルの家の玄関に赤いペンキをまいた人のことを調べたわ。

シィル
えっ……そ、それで結果はどうだったんですか……。

ペルセポネー
ひとつずつ説明するわね。まずはこれ——エーリヴァーガルが版画に描いた落書きよ。

ペルセポネーは携帯電話をシィルに見せた。画面に表示されていたのは、赤、黄、青の三食が入り乱れた奇妙な線画で、版画全体を覆っていた。

シィル
これは……これはなんですか……?

ペルセポネー
よく見て。何かおかしな点に気づかない?

シィル
……うーん……。

携帯電話の画面を1分以上見つめていたシィルは、ようやく糸口をつかんだ。

シィル
この線……どの色も3本しかありません!

ペルセポネー
そうよ。ひとかたまりのように見えるけど、実はどの色も3本の線しかないの。よく見れば気づくわ。
しかも、それだけじゃないわ。赤と青の線は明らかに短く、真ん中の黄色の線が長くなっていることも分かるわ。

シィル
これは、これは……あっ、分かりました!

ペルセポネー
短いのが3本、長いのが3本、短いのが3本……。
……これはモールス信号のSOSよ。

シィル
……!
それはつまり……。

ペルセポネー
それはつまり、エーリヴァーガルは、版画を台無しにしているように見えるけど、彼女が落書きをしているとき、実は何かしらの苦境に立たされていたことを物語っているわ——その苦境を誰かに直接言うこともできず、このような方法で暗に示すしかないほどね。

シィル
……うぅ。

ペルセポネー
次は2つ目の調査結果よ。

ペルセポネーが携帯電話の画面を次のページに切り替えると、今度は調査ファイルが表示された。

ペルセポネー
放送室事件に関しては、表向きはエーリヴァーガルが勝手に放送に接続し、お笑い番組を流したことになっている。
だけど、その事件のことを聞いたとき、すぐさまある疑問が頭に浮かんだの——それは、エーリヴァーガルはどうして放送室で捕まったのかということよ。

シィル
……えっ?

ペルセポネー
彼女が騒ぎを起こしたいと思っていたかどうかに関わらず、放送室でカセットテープを入れ替えたとしたら、真っ先に放送室から出ていくはずでしょう?どうして放送室の中で捕まったの?
まさか、彼女はそうやって、度胸があるところを先生に見せつけたかったの?
でも、それなら、「強情を貫き通して先生を激怒させ、危うくそのまま退学になるところだった」という説明と矛盾するわ。
そこで、調べてもらったところ、ある事実が分かったわ。他の生徒や先生が放送に気づいて駆けつけたとき、現場の放送室のドアには鍵がかけられていたの。
私たちの学園の放送室は、安全を考慮して、外からしか鍵がかからないようになっているわ。
だから、ドアに鍵をかけた人物は、絶対にエーリヴァーガルではないわ。

シィル
じゃ、じゃあ、まさか……。

ペルセポネー
それから、これが3つ目の調査結果よ。

ペルセポネーは次のファイルを表示させた。

ペルセポネー
この調査結果は単純なものよ。エーリヴァーガルの新しい家のドアにペンキをまいたのが誰なのか、家の人にお願いして調べてもらっただけ。
ごろつきを見つけ出して話を聞いたところ、彼らは借金の取り立てのためにやったのではなく、ある人に雇われてやっただけだと話したそうよ。
彼らの話によれば……彼らを雇った人物は、「シロクダ」グループの者だと名乗ったそうよ。
どう?これらの手がかりから、シィルも今回の事件の裏に潜む真相が分かったでしょう?

シィル
……。
……わ、分かりました……でも、どうしてそこまでするのでしょうか……。
エーリヴァーガル先輩……。

シィルは落胆した表情を浮かべたが、それと同時に、ペルセポネーの携帯電話にはまだ開かれていないファイルがひとつ残っていることに気がついた。

シィル
セ、先輩、調査結果のファイルがまだ残っているみたいですけど……。

ペルセポネー
あっ、これね……。

自分の錯覚かどうかは分からないが、シィルはペルセポネーの目つきが急にとても恐ろしくなったように思えた。
しかし、次の瞬間、ペルセポネーは元の目つきに戻り、シィルはただの錯覚だったのだろうと納得した。

ペルセポネー
……これはどうでもいいわ。
さぁ、シィル、行きましょう。これから最後のどんでん返しをするわよ。



ペルセポネー
皆さん、お待たせしたわね。私が戻ってきたことを喜んでいるのか分からないけど、物事はちゃんと解決しないとね。

ダイヤモンズ
こ……これ以上、何を解決するんだ……。

ブリカ
そ、そうよ……。

アイエルガー
フンッ、ちょっと考えてみたんだけど、この人の言うことは筋が通っていると認めるわ。たしかに「疑わしきは罰せず」よね。それなら、今日はここまでにしましょう。
エーリヴァーガルは化粧品を盗んでいなかったという事にして、お互いに引き下がりましょう。もう警察に通報する必要もないわ。どうかしら?

ダイヤモンズ
ああ……うん、いいと思う!

ブリカ
私も賛成!

通行人
お嬢様がどうしてそうおっしゃるのか、一体何が起こったのか分かりませんが、私はお嬢様の言葉を無条件で支持しますよ!

笑い声が起こり、ほとんどの人たちの表情が明るくなった。
しかし、ペルセポネーの表情は落ち着いたままで、エーリヴァーガルの顔は青ざめたままだった。
そしてシィルの顔には、徐々にこれまで見せた事のないような怒りが浮かび上がってきた。

シィル
こ……この……恥知らず!

笑っていた人たちの顔が急に凍りついた。アイエルガーは顔をしかめながら、こちらに目を向けた。

アイエルガー
ちょっと、あなた、急に何を言うの?

シィル
し、シィルは……。

問いただされたシィルの表情は、再び気弱なものになった。

ブリカ
そうよそうよ。中等部のチビのくせに、私たちに当たり散らすつもり!?

ダイヤモンズ
まだ小さいのに素行が悪いとは、親の顔が見てみたいな!

通行人
やれやれ。この子は物語が悪くて適当に言っているのでしょう。PTA会員として正確に分析すると、これは家庭に以下のような問題があると考えられるね。ひとつ目は……。

嘲笑と罵倒を受け、シィルの顔は徐々に青ざめていった。彼女の体はよろめき、今にも倒れてしまいそうだった。しかしそのとき、ペルセポネーが彼女を支えた。

ペルセポネー
大丈夫。言いたいことを言いなさい。
私があなたのそばについているから。

ペルセポネーの手のぬくもりとともに勇気が伝わってきて、シィルは真っすぐ姿勢をただした。
唇を強くかみしめると、シィルは再び力が湧いてくるのを感じた。

シィル
シィルは……。
シィルは——アイエルガー先輩、ブリカ先輩、そしてダイヤモンズさんが恥知らずだって言ったんです!
だって……だって、あなたたちはずっとエーリヴァーガル先輩をいじめて、罪を着せて、不良のレッテルを貼って……危うく退学になるところまで追い込んだじゃないですか!

アイエルガー
なんですって!?

アイエルガーは殺気のこもった視線を向けてきた。名前を出された他の2人も似たような反応だった。

アイエルガー
何の証拠があって、そんなことを言うの!?

証拠……。

(エーリヴァーガルが掲示板に描いた線。)

アイエルガー
笑わせないでよ。それで何が証明できるの!?

シィル
この……この絵には全部で3つの色が使われ、どの色も線を3本描いています。
それぞれ短い線、長い線、短い線です。これはモールス信号のSOSです——

ブリカ
S……OS……。

アイエルガー
……モールス信号?
冗談言わないで。それだけで何が説明できるの!?

シィル
ほ、他にも証拠があります……。

他の証拠……。

(放送室のドアに鍵がかけられていたこと。)

シィル
え、エーリヴァーガル先輩が捕まったのは放送室の中です。そして放送室のドアは外側からしか鍵をかけられません……つまり、誰かがエーリヴァーガル先輩を中に閉じ込めたということです!
そして、その人こそ、放送番組をすり替え、さらに先輩を罪を着せた真犯人なんです!

ブリカ
……なんでそのことを知って……あっ、なんでもないわ——

自分が口を滑らせたことに気づいたブリカは口を押え、ブルブル震え始めた。血走った目で彼女をにらみつけたアイエルガーは顔を横に向け、シィルをにらんだ。

アイエルガー
それも何の説明にもなっていないわよ!
一体どこの誰がこっそりドアに鍵をかけたか分かってるの?
百歩譲って、こいつが本当にいじめられていたとしても、言葉を話せないわけじゃないでしょ。どうして自分の口でそのことを話さなかったの?
彼女はバカなの?
ほら、なんとか言ってみなさいよ。説明できるかどうか見させてもらうわ!さあ!話してみなさい!

アイエルガーの目は極度に充血して膨れていたが、このとき、彼女を真っすぐみつめるシィルの心の中には、何の不安もなかった。
彼女は怒りに支えられながら、アイエルガーの目をしっかりと見つめた。

シィル
そのことは説明できます……。

エーリヴァーガルの行動をどう説明する?

(ごろつきの供述。)
シィル
ごろつきたちが供述したように……彼らは「シロクダ」グループの人に雇われていたんです。
そして、あなたはシロクダの跡継ぎですよね——アイエルガー先輩!
あなたがごろつきに指示して、エーリヴァーガル先輩の家の玄関に赤いペンキを塗らせ、彼女の家の平和をぶち壊したんです。
これを脅しに使い、エーリヴァーガル先輩をいじめ続けた……もしエーリヴァーガル先輩が抵抗したり、本当のことを口にしたりすれば、あなたは彼女の家族にもっと危害を加えるでしょう!
そしてエーリヴァーガル先輩の過程は、築き直されたばかりだったからこそ、母娘に対するお父さんの感情も不安定だったはずです……。エーリヴァーガル先輩は自分のお母さんのことを心配し、お母さんに影響が及ぶことを恐れたのです。だから、だからずっとあなたにいじめられながらも黙っていた……。

シィルは歯を食いしばりながら、やっとのことで一言ずつ話し終えた。
そして、その場は静寂に包まれた。
アイエルガー、ブリカ、そしてダイヤモンズ、全員が魂の抜けたような表情をしていた。
一方、エーリヴァーガルは、いつの間にか目をぎゅっと閉じていた。

アイエルガー
でも……そうだとしても……。

アイエルガーはしどろもどろになりながらも、かたくなに抵抗しようとしていた。

アイエルガー
これはただの窃盗事件よ……。
あなたがそんなにたくさん言っても、誰も、誰も信じないわ……。

シィル
シィルは……。

ペルセポネー
まだ幻想を抱いているの?それじゃあ、私がとどめを刺してあげましょうか。

ペルセポネー急に一歩前に進み出た。
全員の視線が彼女に向けられた。

ペルセポネー
実は、私は最初から、このいわゆる「窃盗事件」に疑問を抱いていたの。
そして、そのきっかけは店の床の水が乾いていなかったことよ。

シィル
み……水?

ペルセポネー
まず考えるべきは、その水がいつ残されたのかということよ。
もちろん、答えは——開店前の掃除のときに決まっているわ。
通常、このようなセレクトショップでは、掃除で客の迷惑にならないようにするから、水が残るとしたら、開店前に床全体を掃除するときよ。
それなら、床に残っていた水は、どのような結論を示しているかしら?
簡単なことよ。素直に考えれば、最もシンプルな答えは——「この店は開店したばかりだった」ということ。
でも、今は午後。普通に考えれば、「シロクダ」は昼の12時くらいに開店したことになるはずよね。セレクトショップがそんなに遅い時間に店を開けるのはなぜかしら?それが最初に抱いた疑問よ。
そして、今度はシフト表から、「シロクダ」の毎日の営業時間は朝7時から深夜1時までだと分かった。これが最初に抱いた疑問の裏付けになったわ。
それと同時に、あることに気がついたの。それはダイヤモンズさん、あなたは昨日、遅番をした後、今日は早番に出勤しているわ。その間はせいぜい数時間足らずしか休めていないはず。

ダイヤモンズ
そ、それがどうしたんだ……。

ペルセポネー
別にどうもしてないわ。ただ、どう考えてみても、それは最も効率の悪い選択だということだけ。そして……もし本当にそんなに長い事仕事をしているなら、あなたは今、どうしてそんなに元気なの?

ダイヤモンズ
ああっ……。

ペルセポネー
つまり、これは同時にふたつのことを証明しているわ——ひとつ目は、この店はたしかに12時に開店したということ。ふたつ目は、あなたには遅番の後に、また早番で出勤しなければいけない理由があったということ。
そして、あなたの説明にも疑問を抱いたわ。
どんな店でも——商品を万引されたら、真っ先に考えることは、防犯カメラ映像の確認であるはず。なぜそうせず、彼女を警備室に連れていくことしか頭になかったの?
だから、最初にあなたに探偵として真相を突き止めたいと話した時から、探りを入れていたの。
私がお願いしたとき、店の中を調べさせるのではなく、防犯カメラ映像をそのまま私に見せるのが普通の行動でしょう。
何しろ、どんなに優れた推理であっても、防犯カメラ映像のような確実な証拠にはかなうはずないのだから。
あなたは私の要求にあれこれ文句を言いながらも、最終的には承諾させられた。しかし、防犯カメラのことを一言も口にしなかったとき、私の疑念の種は確実なものになっていったわ。

ダイヤモンズ
ま、まさかあのときからもう……

ペルセポネー
そして、最後の1つ、決定的な事実があるわ——
それは更衣室のドアよ。

ダイヤモンズ
……ドア。

ペルセポネー
更衣室のドアノブにこすれたような跡があり、ドアの内側には何かがぶつかったような跡があるのはどうして?
更衣室の中があんなに湿っぽいのはどうして?
さっき、ダイヤモンズさんはすごく慌てていたけど、中に入って調べられたくなかったの?
それはおそらく——あそこがアイエルガーとブリカが昨日の夜、エーリヴァーガルをいじめた場所だからでしょうね。
ドアの外のこすれた跡は、外側から鍵をかけるチェーンを引っかけ、衝撃を受けたときについたのでしょう。ドアの内側のぶつかった跡は、更衣室の中にいたエーリヴァーガルがドアをたたいたときに残ったものよ。
更衣室の中の湿気は、おそらくアイエルガーとブリカがドアの上から水を入れ、エーリヴァーガルの反応を面白がっていた産物でしょうね。
このドアノブとチェーンを使って鍵をかけるやり方は、彼女たちが「校内放送」事件からヒントを得たのかもしれないわね。

ダイヤモンズ
……。
……そうだ。そのとおりだ。

アイエルガー
!?
あなた、私を売る気!?

ダイヤモンズ
お嬢様……俺……俺はもう耐えられません!
あなたは俺に車で彼女を運ぶよう強要しただけでなく、倉庫を使い……さらにはこの女の子に暴力を振るうように迫った。俺が断ると、今度は俺に彼女が万引したという偽りの訴えをさせた!
俺は……俺は……ただ誘惑されただけなんだ。店長になりたいだけの普通の人間なんだ。犯罪者なんかになりたくない!

アイエルガー
このバカ!
私はシロクダグループの跡継ぎよ。そうやって私に盾突く気なら……あなたをトイレ掃除係にするわよ!

ダイヤモンズ
知ったことか!
こんな仕事、今日でおさらばだ!

ブリカ
ああっ……。

通行人
こ、これは一体どういうことなの……私の「教育顧問」はまだ望みがあるの……

ペルセポネーは内輪もめする彼らの醜態を冷ややかな目で見ながら、ゆっくりと首を横に振った。
彼女は深呼吸すると、法廷の裁判官が判決を下すように、最後の言葉を言った。

ペルセポネー
さあ、ダイヤモンズさん、それから、アイエルガー、ブリカ——もしかすると、今日から私たちは学友ではなくなるかもしれないわね。
さっき、私が推理をしていた時、電話で録音して警察にすべてを伝えていたの。
今頃こちらに向かっているでしょうね。
そして——二人の学校でのいじめは罪に問われないかもしれないけれど、不法監禁、傷害の罪は言い逃れできないわよ。
犯罪として起訴されれば、あなたたちの家がどんあに名家であっても、バビロン学園に残り続けることは不可能でしょうね。それどころか、長空市にもあなたたちの悪事が広まり、二人にとっては居心地の悪い場所になるでしょう。
だから、これからしばらくは、刑務所の中で悔やみ続けるのね。
なぜなら……あなたたちにできることは、それしかないかもしれないから。

すべての説明が終わったペルセポネーは、いっそう激しい罵倒、哀願、そして内輪もめをする彼らに目もくれようとしなかった。



(通行人)
通行人
いやはや……まさかこんなことになるとは思いもしなかった。
どうやらPTA会員の私でも、まだまだ勉強しなきゃいけないことがたくさんあるようね。

(アイエルガー)
アイエルガー
そ、そんなバカな……どうして私がここに……。

ブリカ
すべてアイエルガーが悪いの。私まで巻き添えにするなんて——

アイエルガー
バカ、あんたってヤツは、最後はすべての罪を私になすりつけるつもり!?

ブリカ
うぅ、私は最初からやりたくなかったのよ……。

……

シィル
ついに……この事件を完全に解決できましたね。
す、すごいです。先輩……先輩?先輩?

シィルが何度か呼びかけ、ペルセポネーはようやく夢から覚めたかのようにわれに返った。

ペルセポネー
……えっ?

シィル
先輩、何を考えていたんですか?まだ解決できていない疑問が残っているかのようでしたけど……。

ペルセポネー
……いえ、きっとただの錯覚よ。

シィル
えっ、それならいいんですが……。
そうだ、先輩。エーリヴァーガル先輩は無実が証明されて、これまでずっと汚名を着せられてきたわけですから、今までよりももっと楽しい学園生活を送れるはずですよね?

ペルセポネー
きっと……そのはずよね。

シィル
じゃ、じゃあ、エーリヴァーガル先輩と友達になりましょうよ。あんなにひどい目に遭ったんですから、きっと誰か慰める人が必要です。
行きましょう、先輩——

ペルセポネー
……

無邪気な笑みを浮かべるシィルは前に向かって歩き出し、エーリヴァーガルとモゴモゴと何かを話している。エーリヴァーガルは雪が解けたかのような涙を目に浮かべ、やがて明るい笑顔を見せた。
シィルは明らかに慌てており、むしろエーリヴァーガルの方がシィルを慰め始めた。二人は不器用そうに互いを慰め、やがて二人そろって笑顔を浮かべた。そしてうれしそうにペルセポネーの方に歩いてきた——
ペルセポネーの心にぬくもりがゆっくりと広がった。
しかし……彼女の目にはかすかな陰りが潜んでいた。
「2-2 化粧品窃盗」をウィキ内検索
LINE
シェア
Tweet
崩壊学園wiki
記事メニュー

総合

  • トップページ
  • 現在募集中の情報・画像

崩壊学園

キャラ一覧

  • プレイアブルキャラ一覧
  • ボス一覧
  • モブ・エネミー一覧
  • 神格キャラ・従魔等一覧
  • ストーリー登場キャラ一覧
  • キャラ誕生日一覧
  • キャラプロフィール比較表

装備・素材

  • 武器一覧
  • 服装一覧
  • 勲章一覧
  • 従魔一覧
  • 従魔の欠片一覧

ストーリー関連

  • ストーリー一覧

イラスト

  • 看板娘・立ち絵一覧
  • 壁紙・挿絵等一覧

その他

  • スキン一覧
  • フキダシ・スタンプ一覧
  • アイコン一覧
  • 萌章一覧

コミュニティ

  • 雑談掲示板
  • 崩壊学園戦友募集掲示板

関連サイト

【hoyoverse公式】: https://www.hoyoverse.com/ja-jp
【miHoYo株式会社公式】:http://corp.mihoyo.co.jp/
【miHoYo公式問い合わせ】:http://corp.mihoyo.co.jp/inquiry


ここを編集
記事メニュー2

更新履歴

取得中です。


ここを編集
人気記事ランキング
  1. ケビン・カスラナ(崩壊学園)
  2. シン・マール(崩壊学園)
  3. キャラプロフィール比較表
  4. 神格キャラ・従魔等一覧
  5. 火を追う蛾
  6. リタ・ロスヴァイセ(崩壊学園)
  7. モブ・エネミー一覧
  8. カムクライズル
  9. 永遠の子供1-2
  10. 蓬莱寺九霄
もっと見る
最近更新されたページ
  • 24日前

    壁紙・挿絵等一覧
  • 24日前

    看板娘・立ち絵一覧
  • 61日前

    スキン一覧
  • 63日前

    アザトース
  • 64日前

    キャラプロフィール比較表
  • 64日前

    武器一覧
  • 65日前

    俗世の狩場
  • 65日前

    雑談掲示板
  • 66日前

    出会い-ブローニャ
  • 66日前

    芽衣・浮力万全
もっと見る
人気タグ「モブ」関連ページ
  • 荒廃の幼体
  • 剣道娘
  • 応援娘
  • 機甲召喚娘
  • 炎妖精
もっと見る
人気記事ランキング
  1. ケビン・カスラナ(崩壊学園)
  2. シン・マール(崩壊学園)
  3. キャラプロフィール比較表
  4. 神格キャラ・従魔等一覧
  5. 火を追う蛾
  6. リタ・ロスヴァイセ(崩壊学園)
  7. モブ・エネミー一覧
  8. カムクライズル
  9. 永遠の子供1-2
  10. 蓬莱寺九霄
もっと見る
最近更新されたページ
  • 24日前

    壁紙・挿絵等一覧
  • 24日前

    看板娘・立ち絵一覧
  • 61日前

    スキン一覧
  • 63日前

    アザトース
  • 64日前

    キャラプロフィール比較表
  • 64日前

    武器一覧
  • 65日前

    俗世の狩場
  • 65日前

    雑談掲示板
  • 66日前

    出会い-ブローニャ
  • 66日前

    芽衣・浮力万全
もっと見る
ウィキ募集バナー
新規Wikiランキング

最近作成されたWikiのアクセスランキングです。見るだけでなく加筆してみよう!

  1. 機動戦士ガンダム EXTREME VS.2 INFINITEBOOST wiki
  2. MadTown GTA (Beta) まとめウィキ
  3. R.E.P.O. 日本語解説Wiki
  4. シュガードール情報まとめウィキ
  5. ソードランページ @ 非公式wiki
  6. AviUtl2のWiki
  7. Dark War Survival攻略
  8. シミュグラ2Wiki(Simulation Of Grand2)GTARP
  9. ヒカマーWiki
  10. 星飼いの詩@ ウィキ
もっと見る
人気Wikiランキング

atwikiでよく見られているWikiのランキングです。新しい情報を発見してみよう!

  1. アニヲタWiki(仮)
  2. ストグラ まとめ @ウィキ
  3. ゲームカタログ@Wiki ~名作からクソゲーまで~
  4. 機動戦士ガンダム EXTREME VS.2 INFINITEBOOST wiki
  5. 初音ミク Wiki
  6. 発車メロディーwiki
  7. 検索してはいけない言葉 @ ウィキ
  8. 機動戦士ガンダム バトルオペレーション2攻略Wiki 3rd Season
  9. Grand Theft Auto V(グランドセフトオート5)GTA5 & GTAオンライン 情報・攻略wiki
  10. オレカバトル アプリ版 @ ウィキ
もっと見る
全体ページランキング

最近アクセスの多かったページランキングです。話題のページを見に行こう!

  1. 参加者一覧 - ストグラ まとめ @ウィキ
  2. 魔獣トゲイラ - バトルロイヤルR+α ファンフィクション(二次創作など)総合wiki
  3. ガンダム・エアリアル(改修型) - 機動戦士ガンダム EXTREME VS.2 INFINITEBOOST wiki
  4. 機体一覧 - 機動戦士ガンダム EXTREME VS.2 INFINITEBOOST wiki
  5. 鬼レンチャン(レベル順) - 鬼レンチャンWiki
  6. hantasma - ストグラ まとめ @ウィキ
  7. ミゲル・セルベート - アニヲタWiki(仮)
  8. 危険度7 - 検索してはいけない言葉 @ ウィキ
  9. ドンキーコング バナンザ - アニヲタWiki(仮)
  10. 豊和工業株式会社 - アニヲタWiki(仮)
もっと見る

  • このWikiのTOPへ
  • 全ページ一覧
  • アットウィキTOP
  • 利用規約
  • プライバシーポリシー

2019 AtWiki, Inc.