3-1 別れの日 - 崩壊学園wiki

ペルセポネーがいなくなったことは、シィルの心に影を落とした。しかし、それと同時に、彼女も新しい道を歩み始めたのだった……。

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少女の記憶が次々によみがえってきた。
初対面のときのこと、自己紹介のときのこと、お互いを知ったときのこと、後を追いかけていたときのこと、彼女と次々に謎を解いていたときのこと。
それはこの上なく幸せであると同時に、とても悲しくなる時間でもあった。
経験している時は幸せだが、思い出すときは胸が締めつけられる。
しかし、記憶は進み続け、最初の出会いのときから一歩ずつ……現在までやって来た。
そして、ついにたどり着いた。
あの——別れのときに。
……
屋上にいる少女は、前方のすらりとした人影を見つめながら、弱々しい表情を浮かべていた。
それほど遠くない場所に立っているはずの彼女だが、このときは、とても遠くにいるように見えた。
「……どうして……」
「……どうしていなくなってしまうんですか……先輩」
その人は優しい笑顔で彼女を見つめていた。
「……人はいずれ自分だけで成長しなければならないの」
「……でも……」
「……あなたも自分の道を歩みなさい。ずっと私の後を追いかけているだけでは、あたなの才能を伸ばせないわよ……」
「……でも、そんなの嫌です……」
「……さようなら……これも『銀の謎解き人』の一部よ……」
「……シィル……」
「……先輩……」
記憶はそこで途切れた。
少女は布団を抱きしめた。その体は悲しみで震え続けていた。
……。

バビロン学園。

シィル
……はぁ。

シィルは疲れたようにため息をついた。
昨夜はどうしても眠れなかったため、今の彼女は眠気がピークに達していたのだ。
それでも、ある事実を思い浮かべると、シィルの心の中には重苦しい気持ちが広がっていった。

シィル
……思いもしなかった。ペルセポネー先輩が、まさか……。

???
……やっほー、シィルちゃ～ん。

背後からよく知っている声が聞こえてきて、気落ちした足取りで歩いていたシィルはよろめいた。

シィル
あっ、うわ——

エーリヴァーガル
シィル、どうしたの？朝から全然元気ないみたいだけど？
まさかペルセポネーがいなくなったことが影響してるの？
やっぱりあたしみたいな弱っちいキャラじゃ、あんたの心にいるペルセポネーにはかなわないんだね。シクシク……。

わざとらしく涙を拭くエーリヴァーガルを見たシィルは、慌てながら言った。

シィル
そ、そうじゃないんです……エーリヴァーガル先輩……その、あの……。

エーリヴァーガル
本当？あたしはあんたの心の中のペルセポネーより高いポジションにいるの？

シィル
えっ、そ、そういうわけじゃ……。

エーリヴァーガル
じゃあ、やっぱりあたしはペルセポネーにかなわないんだね。あたしみたいな陰キャは、本当の心を掴めない運命なんだ。シクシクシク……。

シィル
その……あの……そんなこと言ってないです……よ。……でも、あんなこと言うのもおかしいし……一体どう言えば……。

シィルが困り果てて頭から煙が出そうになっているのを見て、エーリヴァーガルはわざとらしい演技をやめた。

エーリヴァーガル
ハハッ、ただの冗談だよ。シィルちゃん、そんなに焦らないでよ——シィルの気持ちは分かってるってば。

シィル
……まったく、エーリヴァーガルったら。

エーリヴァーガル
でも、ずっとそんなに落ち込んだままでいても仕方ないでしょ？
ペルセポネーはいなくなってしまったけど、シィルは、ただ彼女のダンス相手としてバビロンで日々を過ごしていたわけではないでしょ？

シィル
……シィルにも分かりません。
これまで、いつも先輩と一緒に時間を過ごしてきました……先輩と一緒に依頼を受け、事件を解決して……でも、今のシィルはひとりです。自分ひとりでは何もできない気がします……。

エーリヴァーガル
あたしはそう思わないけどな。

シィル
——えっ？

エーリヴァーガル
あんたは「自信が足りない」という短所を除けば、他はすべて長所だと思うよ。
あんたにはとてつもなく大きなエネルギーが眠っているように思えるんだ。たとえペルセポネーがいなくなっても、自分の力だけでやっていけるよ。

シィル
……でも……シィルは……。

エーリヴァーガル
シィル、自分だけで依頼をやり遂げてみたらどう？

シィル
えっ？自分だけで依頼をやり遂げる？でも、できるはずないですよ……。

エーリヴァーガル
あたしはあんたを信じてるよ。
ペルセポネーと一緒にいる間、彼女の助手としてたくさんの事件を解決したでしょ？

シィル
でも、どれも先輩が一目で見抜いたものです……シィルは全然役に立っていません……。

エーリヴァーガル
そんなことないってば。
少なくともあたしは、あの日、「シロクダ」の店の前で堂々と話していたあんたを見た瞬間衝撃を受けたよ。
あのときのあんたの姿、すごくカッコよかったと思うよ。
え、エーリヴァーガル先輩……。

エーリヴァーガル
シィル、あんたならきっとペルセポネーに負けない輝きを放てるはずだよ。
「銀の謎解き人」は学園からいなくなったけど、あんたはまだここにいる。そうでしょ？

シィル
あたしは……。

エーリヴァーガル
それに、そのときが訪れ、まぶしい輝きを放つようになったシィルちゃんは、今のあんたとペルセポネーの良さを足したよりも、もっとおいしい果実になっているはずだよ。思わずヨダレが出ちゃう……デヘヘ……。

シィル
エーリヴァーガル先輩ったら、また冗談言って……。

……。
「ねぇ、聞いた？ペルセポネーが学園からいなくなったんだって——」
「本当？じゃあ、もう『銀の謎解き人』に依頼できなくなっちゃうの？困ったなぁ。真夜中に校内で裸を散歩しているのが誰か調べてもらおうと思っていたのに！」
「ペルセポネーはいなくなっちゃうし、アガサティーは『探偵コンテストスト』に出場するために海外に行っているし、生徒会に頼るしかないのかしら？」
「慌てることないよ。ペルセポネーはいなくなったけど、工作部に依頼を引き受けてくれる人がいるよ！」
「誰なの——」
「工作部部長のシィルだよ。彼女は工作部の入口に『助けが必要な人は、遭遇した謎をここに書いてください！」って書いた掲示板を設置したらしいよ」