昔往きし時プロローグ - 崩壊学園wiki

教科書によると、人類の歴史には短いながらも平和な時代があったらしい。
平和な時代と言っても、人類の間に紛争がまったくなかったことを意味するわけではなく、世界的に見て「意志の統括者」という存在が消滅するまでの間——
人類の間で大規模な衝突は生じなかった。
しかし、当時の映画では宇宙人や地底人、未来人と、人類の間の対立が描かれていた。
そして、対立という概念が存在していることを知りながらも、世界的な大戦が勃発することはないと一途に思い込んでいた。
あの頃の私には、彼らがどうしてそんな荒唐無稽な考えを持っているのか理解できなかった。紛争というものが、歴史上に普遍に存在していることを知らないはずがないのに。
でも今にして思えば、あの時代に生きた私がそういう視点を持っていることは、ある意味未熟だったんだと思う。
人は歴史の中で生きているけれど、多くの人はほとんどの場合、そうした自覚を持っていない。
自らの成長の過程で捉えたあらゆる物事を、世界の運営における当たり前な状態だと認識してしまい——
世界が変化の最中にあることに気が付かない。
時代は死に去り——
そして誕生する——
かって世界を救った英雑たちが開いたのは、巻末ではなく——
新たな時代の1ページだった。

あなたはその後、物語がどうなったかを知りたいと思っているかもしれない。
でも、ここは慌てずにしばらく足を止めてほしい。
私が実際にこの目で見たことをあなたに伝えるから。
物語の主人公ではない私が考える、
あの時代が如何にして死に去ったかを。
新たな秩序はどのようにして誕生したのかを。