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崩壊学園wiki

心炎凝結

最終更新:2024年03月10日 19:51

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旅の13日目
朝。

ブブブブブブン——
荒野の風がバイクに吹き付ける。
バイクが唸りをあげている。

寒鉄
どう?

ポポ
ダメ。

——

寒鉄
どう??

ポポ
やっぱりダメ。

——

寒鉄
どう???

ポポ
やっぱりダメ……あ、きた!

寒鉄から渡されたケータイに、ようやく電波を捉えたマークが現れた。
すぐに大量のSMSが届く音が鳴り響いた。

寒鉄
やっとつながったわね。

キィ——
寒鉄はすぐにバイクを止め、ケータイを受け取るとメールボックスを確認した。

寒鉄
うーん……。

ポポ
何か分かった?

寒鉄
少なくとも......人類の政権は今も存在しているみたい。

ポポ
ホッ……。

自分の運命にはまったく関係ないものの、巨大な亀裂から遠く離れた場所に人類の社会的な組織がまだ存在していると聞き、私は思わず安堵の息をついた。

寒鉄
もうちょっと見てみるわ.....うん、これらは一斉送信のメッセージね。このエリアに来ると勝手に受信するみたい。
南方軍団の避難情報、東方軍団の避難情報、東方軍団の避難情報、東方軍団の避難情報.....東方軍団の仲介の広告?東方軍団の募集広告?
広告広告広告ばかり。東方軍団すごいわね、助が必要なときに広告ばかり送って。ライアン・クマレのやつ……。

寒鉄は太陽を指さしながら怒りをあらわにした。

聞くところによると、東方軍団の軍団長ライアン・クマレは地球にはいないらしい。
太陽が彼の宮殿なのだそうだ。

寒鉄
第一軍団の情報は?西方軍と北方軍についてのものもない......インターネットは?ネットも相変わらずつながらないわね。

静かにSMSを見ていた寒鉄は結局、ケータイの電源を切ってため息をついた。

ポポ
それで......どうだったの?この世界は?

寒鉄
なんでもいいから知りたいなら教えてあげる。まず、人類社会は今も存在するわ。少なくとも南方軍団と東方軍団は存在してる。

ポポ
それって......兵団の指揮本部を裏切った反乱勢力だよね?

寒鉄
人類の戦争なんて勝てば官軍よ。情報の正誤は置いておくとして、見たところ、中央を守っていた第一軍団は既に敗北したようね。

そう言うと寒鉄は再び前を向さ、バイクを運転し始めた。荒野の風がまた吹き付けてきた。

寒鉄
避難情報のSMSによると、ルート247を更に進むとSite-16が見えてくるらしいわ。
あそこはまだ南方軍団の実効支配地ではないけど、難民キャンプや各種インフラが開設されているの。
というわけで次の目的地はそこよ。



——
ガヤガヤ——

寒鉄
着いたわ。

ヤマアラシを町の外に止め、寒鉄と私はバイクでSite-16へと入っていった。
町に入った当初は微かにしか聞こえてこなかった人々の声が、中心部に近づくに連れ次第に大きくなっていった。
物売りの声、議論する声、口論、電子設備のファンの音。様々な音が響き、まるで……

ポポ
まるで町自身が息をし始めたみたい......

寒鉄
町が息をするんだから、人のこと食べちゃうかもよ。町に飲み込まれないよう注意しないとね。

とあるバーのそばにバイクを止め、寒鉄は何本か電話を掛けた。そして紆余曲折の末、彼女が探していたスワンホテルを見つけることができた。
ホテルのレセプションにはひとりの男性がおり、私たちが来たことに気が付いた。

寒鉄
こんにちは、スワンが私について飛ぶのを望む。

男
……え?

寒鉄
もう一度言うよ。スワンが私について飛ぶのを望む。

男
失礼しました!

男性は足早にその場を離れ、厨房の方へと駆けていった。

寒鉄
あれ、こいつら以前よりも随分と礼儀正しくなったみたいね?すごく効率的だし?

ポポ
こいつら?

寒鉄
ああ、なんでもない。そうだポポ、あんた戦乙女のことどう思う?

ポポ
どう思うって、戦乙女は全滅しちゃったんじゃないの?

寒鉄
まあ仮にそうだとして......
待って。確かここではレセプションに男性を雇わないはず。

そう言うと寒鉄は厨房へと駆けていき、しばらくすると戻ってきた。

寒鉄
あいつコソ泥だったみたい。スワンホテルは休業中だわ。

ポポ
休業中だと......何か問題でもあるの?

寒鉄
そういうわけじゃないわ......いずれにしろあんたも年齢的に合わないしね.....。

残念そうな様子の寒鉄は意味不明な言葉を発すると、私を連れてホテルを後にし、先ほどのバ一の近くへと戻ってきた。

寒鉄
…………………………。

寒鉄はしばらく悩み考え込んだ後、意を決したように話し始めた。

寒鉄
さっきこの町の聖ハンターの情報ネットワークに連絡したんだけど、あんたを買いたいっていう筋がふたつほど見つかってね。ひとつは南方聖痕局に属する研究チーム、もうひとつは南方の聖痕軍事貴族よ。

寒鉄
その内、後者の方を選んだわ。それなら.....運がよければあんた、南方軍の聖夜騎士になれるかもしれないし……。
運がよければね。

ポポ
運が悪かったら?

寒鉄
別の研究対象になるかな。

ポポ
そう……。

寒鉄
今からだけど、あんたはここに居て。危ない事になったらバイクに乗ってすぐに逃げるのよ。
ここは崩壊エネルギーの千法がなくてリモートコマンドがすべて有効だから、私にも状況がすぐ伝わるし。
私、これからあんたの買い手と接触してくるから。

そう言うと彼女は私の言葉を待たずに、人の波の中へと溶けこんでいった。

ポポ
…………
………………?

訳が分からない。
これって、私に彼女のもとから逃げろって言ってるのと同じじゃない。
ただ、逃げるにしても、知り合いも身を寄せる所もない、無一文の私が一体どこに逃げればいいの?
逃げなかったら既に決まった結末に行き着くだけだけど、逃げたらどんな恐ろしい事が起きるか分かったものじゃない....それなら逃げる理由なんてないじゃない。
それにしても意味不明なのは彼女よ。随分迷っているように見えたけど、私の事を逃がしたいならそう言って逃がせばいいだけなのに。

ポポ
一体......何を考えてるの?



どいてどいてどいて!

ポポ
うっ!

突然、後ろから人がぶつかってきた。振り向くと、そこには元気のなさそうな顔をした中年の女性がいた。

ポポ
どうかしたんですか——

その女性はお構いなしとばかりに私のことを押し続けた。彼女の後ろには多くの人が続いていた。古びた着衣に身を包んだ彼らはひとつの方向へと突き進み、その波に飲まれた私は、倒され踏みつけられないようにするためにも、人々の流れに身を任せるしかなかった。

ポポ
これは一体——

???
どけ!早く俺の手に掴まれ。

何者かが大声で声をかけてきた。それに答える間もなく、私はその人につかまれ濁流から引っ張り出された。

???
以降、気を付けるんだな。

そう言い残すとその人は去っていった。

ポポ
ありが.....とう?それにしても、さっきのはなんだったの?

人々の波の方を振り向くと、彼らはもう前進するのをやめていた。やや開けた広場に集まった彼らは突然跪いた。
そしてブツブツと祈りを捧げ始めた。

ポポ
い......一体何をしているの?

ただの愚か者どもさ。

近くにいた人がそう答えた。振り向くと、ボロ切れを身に纏う人が角にうずくまり、彼らの方を冷めた目で眺めていた。

ならず者
数か月前頃からある噂が広がり始めたんだ。南方のSite-01で奇跡が起きたって、まことしやかに言いふらす奴らが現れて。

ポポ
奇跡?

ならず者
そうだ、奇跡さ。巨大な聖碑が天から舞い降り、デッドゾーンの拡大を押しとどめたって言うんだよ。

ポポ
デッドゾーン?それって崩壊の亀裂のことですか?

ならず者
お嬢さん、賢いね。奴らはすべての聖痕使いや世の中の人々が旅に出て、Site-01の聖碑のもとに集まれば救われるだなんて触れ回っている。

ポポ
すべての聖痕使いが……
みんな救われる?

ならず者
所詮ただの噂さ。愚か者どもは「真の奇跡」を知らないからな。

ポポ
真の奇跡......。つまりその噂は間違った情報ということですか?

ならず者
そりゃそうさ。俺が信じているのは真の神だけ。その神は既に遠くへ行ってしまったが、今もその神は孤独で苦しい時を乗り越えるだけの勇気を俺に与えてくれているのさ。

ポポ
あなたの言っている神とは.....科学のことですか?

ならず者
何を寝ぼけた事言ってんだ。俺の神は意志の統括者だよ。意志の統活者が再びこの世に降臨し、あらゆる罪業を洗い流してくれることを俺は願ってるのさ。
今の災禍だって、人類が意志の統括者に逆らったから起きたことじゃないか。

男の突拍子もない論理を聞いて私は悪寒を感じ、すぐにその場を後にした。

ポポ
そんなバカな事……。

魔境のようなその場を私は足早に離れた。

——

ポポ
……。
……。
うん、スワンホテルが見える所まで戻ってこれた。よかった、危うく迷子になる所だったよ。
この先の角を曲がればバイクが止めてあるバーが......あれ?

???
……。

先ほど人込みから引っ張り出してくれた人が、近くの店の店内で商品を見ながら考え込んでいるのに気が付いた。

ポポ
……。
(話しかけてお礼を言っておこうかな?)

店の扉にあった説明を見てみた。この店は各種品物を南方軍の実効支配地で流通している通貨に換えることのできる、質屋のような店らしい。店内には機械式時計やネックレスなどのアクセサリーが並んでいる。

ポポ
やっぱりやめておこう。

???
そこのお嬢さん、すまないがちょっといいかな。

ポポ
えっ!?わ......私ですか?

???
ああ、すまないが少しだけ時間あるかな?

ちょっと怖かったが、周囲にはたくさん人もいるし、たとえ何かあったとしても身を隠して逃げればいいと考えることにした。

ポポ
何かご用ですか?

店へと近づいたが、何かあったときにすぐ逃げられるよう、少し距離をおいた。

ポポ
なんですか?

???
ああ。

その人はネックレスをふたつ、私に見せてきた。

???
君のような年代の女性だと、どちらのネックレスの方を気に入るものなのかな?

プレゼントを何にするか迷っていたのね、ビックリした。
日常生活にすごく近い話題のはずだったが、しばらくの間、なぜか実感が湧かなかった。

ポポ
これ......どういう人に贈るんですか?

???
仕事の同僚......いや、正確には家の若い世代の子かな。

同僚の子供かな?

ポポ
そうですね......私なら......そこにあるやつとかでもいいんですか?

私は別の所に掛けてあったネックレスを指さした。エメラルドのついた銀色のネックレスだ。

???
なるほど、女性はこういうネックレスを好むものなんだね。

ポポ
(いえ、あなたが選んだふたつが変なだけです......。子供のおもちゃみたいなのと、拷問道具みたいなの。)

???
分かった。ありがとう。

その口下手で冷たそうな男性は私が勧めたネックレスを手に取ると、レジの方へと歩いていった。
そういえばこの人の出で立ち、どこかで.....。

「お〜い——ポポ——!」

寒鉄の声が店の外から聞こえてきた。振り向くと、通りの向こう側から彼女が呼んでいるのが見えた。

ポポ
……戻ったのね。

——

寒鉄
何か買いたいものでもあった?

ポポ
いえ。

寒鉄
じゃあ、とりあえず腹ごしらえにでも行こう。

しばらく歩き、バイクが止めてあるバーへと戻ってきた——
扉を開けて入ると、中はにぎやかな声と食べ物の香りに包まれていた。寒鉄はポケットに手を入れ、南方軍が発行している紙幣を2枚差し出した。町で情報収集するのにかなりお金を使い、最後に残ったお金だろうか。
バーテンダーが飲み物2杯とパンを一皿差し出した。私たちはテレビのすぐそばに座った。

寒鉄
手持ちで買えるのはこれしかないからね。食べよう。

そう言われ、彼女が注文したのは私ひとり分の食事だということに気が付いた.....間もなく売り飛ばされる私への最後の食事ということだろうか?それにしてはちょっと貧相だ。

ポポ
(パンか.....。私、パンはそれほど好きじゃないんだけどな......。)

しかし一口食べてみると、予想に反してそのパンはとてもおいしかった。本当においしかった。こんなにおいしいパンがあるとは知らなかった。

ポポ
(今思えば......ちゃんと調理された物を前回食べたのって......もう半年以上前だよね.....。)

なんだか不思議。半年ちょっと前まで準高校生で、エアコンの効いた部屋にずっといて、こんなことになるなんて少しも思っていなかったのに……。
それが今じゃ、普通のパンすらすごくおいしいと感じるようになるだなんて。

ポポ
寒鉄......あなたも少し食べて——

そう言って顔をあげると、彼女はテレビの内容に集中していた。

テレビの声
—— [今日は世界建設兵団、東方軍団の報道官であるトーマス・ケイン氏をお招きし話をお聞きします。お聞きしたいのですが]——

どうやらゲストを招いての対談番組のようだ。南方軍出身の司会者が矢継ぎ早に敏感な問題を質問し、ゲストが時折、難しそうな表情を浮かべている。

テレビのゲスト
——[既に述べたように、それぞれのグループ同士、それに第一軍団との件もそうですが、各種条約は自由市場をベースとしたトレードアクションであって、それ自体が東方軍団自体の態度を表しているわけではありません。]——

テレビの司会者
——[ここで言うトレードアクションには、東方軍の防衛を第一軍団が引き継ぐことを認めることも含まれるわけですか?]——

テレビのゲスト
——[それは......状況をそうやって完全に切り分けることはできませんし、一律に論ずることもできないと思います。東方軍団の防衛問題は長い間取りざたされていますし、慎重に討論しなければならないと思います.......]——

パンを食べながら番組を聞いていた私は、これまでの経緯をなんとなく掴むことができた。
テレビの内容によると、第一軍団が世界の内戦で敗れたのは確かなようだった。
ただその過程は、第一軍団が衰退の一途を辿り、最後にやられるという単純なものではなかったようだ。
あの崩壊の亀裂——今ではデッドゾーンと言われているエリアが拡大し始めて間もない頃、第一軍団は反論の余地のないほど、全面的かつ徹底的な勝利を収めていた。
そのため、第一軍団と敵対関係にあった南方軍の上層部は部隊を分けてゲリラ戦を展開しようとしたが、
一方の東方軍は敗北を認め、降参しようとしていた。
しかしその後、どういう理由かはわからないが戦争の局面が短期間で一気に逆転し、敵対姿勢を買いていた南方軍が第一軍団の実効支配する中枢部で、世界の首都でもあるヘルマンまで攻め入った。
結果的に、降参することを計画していた東方軍は、完全にピエロと化してしまった。
こうして東方軍の報道官たちは、このテレビ番組で受け身にならざるを得なかったのだ。今後、ネットが復旧でもしたら、名の掲示板に人々があれこれと嘲笑の書き込みをするのは火を見るよりも明らかだった。

ポポ
(でもこの番組、面白いしエンタメ性が結構あるね。)

番組を見ながらパンを取ろうと手を伸ばしたところ、そこには何もなかった。いつの間にか食べ終わっていたのだ。
寒鉄はもう少し番組を見ているつもりのようだ。彼女にとって現在の情勢の把握はとても重要なのだろう。

ポポ
(ドリンクを少しずつ飲んで時間をつぶそう。)

「バーテンダーさん、Bセットひとつ頼む。」

ポポ
(この声、聞き覚えがあるような?)

???
その若さでそんな少ししか食べないなんてよくないぞ。俺が注文したから食べるといい。

ポポ
(さっきのネックレスを買ってた人だ。)

???
遠慮は要らない。ネックレスを選ぶのを手伝ってくれたお礼とでも思ってくれ。

寒鉄
ポポ、この人誰?

ポポ
お店で居合せた人。

???
プレゼントを選んでる時にこの子に助言をもらってね。多少なりともお礼になればいいのだが。

寒鉄
そうなんだ.....食べなきゃ損だし、好きにしたら。

寒鉄は一瞬ふたりに目線を向けると、またテレビ番組を見始めた。

ポポ
そうね。

ほどなくして、牛肉と付け合わせのブロッコリー、パスタが乗せられた鉄板が運ばれてきた。
上にソースがたっぷりとかけられ、香ばしい肉の香りと熱気が伝わってきた。

ポポ
(これくらい豪勢だとそれっぽいね——最後の食事として。)

きっとこのおじさんにはわからないであろう感激を胸に、私はナイフとフォークを動かした。

ポポ
(うっ!この食感——きっと合成肉ね.......それでもおいしい!)

私は思わず、むさぼるように食べてしまった。

???
店長、Bセットあとふたつ頼むよ。
喉に詰まらせないでくれよ、ただの食事なんだしさ。支払いは任せてくれ。

このおじさん.....実は優しかったのね.......。
おじさん、私と寒鉄がどういう間柄なのか、きっと気づいてないよね。それも無理ないか。私たち、どこからどう見ても人身売買をする側とされる側には見えないしね。
でも......もし私が助けを求めたら、助けてくれるかな?

???
どうかしたかい、何か言いたい事でもあるのかな?

ポポ
私……。

寒鉄
うん?

寒鉄が怪しむような声をあげたため、私はビックリしてしまった。彼女に何か悟られただろうか?

テレビの声
——[テレビをご覧の皆さん、番組の放送を一時中断し、今から実況中継を行います。]——
——[世界建設兵団の第五代目総司令官がお話されます。]——

五代目の総司令官?敗北した第一軍団の現行の団長って四代目だったんじゃ?

寒鉄
……!

テレビの声
——[世界建設兵団の五代目総司令官であり、世界兵団第一元帥兼南方軍団団長のラヴィニア・アヴィニョンがここに宣言する。]——

ポポ
?

寒鉄
寒鉄がやや前のめりになった。話の内容に非常に注目している様子がうかがえる。

テレビの声
——[兵団の指揮本部は今日、憲章の内容の変更案を可決した。本日より——]——
——[第一軍団を語り、行動する個人及び組織はすべて「反人類]の輩と見なされる。また第一軍団に協力する個人及び組織はすべて....]——
——[世界建設兵回に反対する、反人類の輩と見做され、憲章が認める生存権がはく奪され、直ちに射殺してよいものとする。]——

どういう事?
私は困惑した表情で寒鉄の方を見た。寒鉄は沈黙したままテレビの画面を見つめていた。

店主
はい、Bセットふたつね。

ポポ
あっ、すみません。

牛肉のセットが更にふたつ並べられた。ひとつめの皿のパスタもまだ食べ終わっておらず、ものすごく贅沢な感じがした。

ポポ
(おじさんにお礼を言わないといけないね.....。)

頭をあげておじさんのを方を見ると——
彼が寒鉄の方を見つめている事に気が付いた。どうしたんだろう……。

???
ああ、済まないね。お嬢さん。実はまだ用事があってね。気にせず食べてくれ。

私の視線に気が付いたのか、彼は寒鉄から目をそらし、立ち上がった。

???
先に失礼するよ。

ポポ
うん......はい。

おじさんは立ち上がり、お金をカウンターに置くとドアの方へと歩いていった。

店員
お客さん、待ってください。上着をお忘れですよ。

彼がバーから出ようとした時、店員のひとりが上着を持って彼のことを呼び止めた。
するとおじさんはすごく驚いたような表情を見せた。
その瞬間、時間が過ぎるのがものすごくゆっくりになったような気がした。
彼が腰に手を伸ばした———!!!
ドン!!!!

ポポ
!!!!!!!!!

おじさんが音と共に倒れた——
何、どうしたの、何があったの?

寒鉄
行くよ!

誰かに服をつかまれ、引っ張られるのを感じた。カウンター、倒れたおじさん、そして鉄板の上のステーキが私からあっという間に離れていった——
イスやテーブルが倒れる音に続き、窓ガラスが割れる音が聞こえた。そして風を切る音が鳴った——

寒鉄
バイク、始動して——!

一体何があったんだろう?
風が吹きすさび、バーの姿がどんどん小さくなっていった。私は頭の中がすごく混乱し、何が起きたのか必死に考えようとしていた。
上着......上着に気が付いたおじさん、銃に手を伸ばして、でも寒鉄の方がもっと速くて......上着.......上着!上着——
あれって南方軍の人の上着?
でもそれになんの意味があるの?南方軍の人を見かけたからって、どうして撃つの?そうじゃなくて、おじさんが何かに気づいたから?でもどこで?いつ?まさか寒鉄がニュースを見ている時に?
だけどニュースがなんだって言うの?第一軍団のニュース?寒鉄が第一軍団に関係しているとか?もしそうならどういう関係なの?
ドン!!!

???
——

バーの壁が強く外側に押されるように傾き、レンガが飛び散り音を立てて割れた。南方軍のその男性は無表情であたりを見回し、方向を見定めると私と寒鉄をすごい勢いで追いかけてきた。

寒鉄
運が悪いわね。まさか猟兵に出くわすだなんて——

ポポ
猟兵?

体が宙に浮くのを感じた。寒鉄が私のことを走るバイクに投げるようにして乗せたのだ。彼女は走ったまま飛び上がり、バイクのハンドルを握るとアクセルを全開にした。バイクはうなり声をあげて町の外へと走っていった——

寒鉄
崩壊の猟兵は南方軍の精鋭でね。ひとりいれば、近くに5、6人は居るのよ.....
あいつらはグループで聖痕使いを殺害する任務を遂行する、特殊部隊なの。

ドン!!

寒鉄
——

ポポ
!!!

バイクが轟音をあげながら道路を離れ、荒野を進んでいった。
キイ——!

寒鉄
ダメだわ。猟兵は特殊な乗り物に乗っていて、一般的な軍事車両なんかよりもものすごく速く移動できるから、逃げ切れるわけがない。

ポポ
じゃあ、どうするの?

寒鉄
待ち構えて戦うしかない。
……。

寒鉄が深く息をした。

寒鉄
聖痕の無い今の私が勝つのは難しいかもしれない。私が負けたらあんたは投降するのよ。そうすれば生き延びられる可能性がまだあるかもしれないわ。

猟犬01
この先の林で待ち伏せるつもりか.....焔影、加速だ。哨戒モ一卜に変更。

——[了解。]——
猟兵専用の兵器を操りながら、俺は通信回線をオンにした。

猟犬01
猟犬01から猟犬小隊へ連絡。第一軍団の残党らしき者を発見し現在追跡中。座標を送信したのですぐに集合されたし。

猟犬03
——[ラジャ〜]——

猟犬07
——[ま、また任務?]——

猟犬09
——[私と嵐音姉さんもすぐに向かいます。]——

猟犬01
相手は15式と思われる聖痕移植体基座を持っている。時代遅れの代物だが、エネルギーレベルだけ見ればトップクラスだ。どういう聖痕の能力に対応しているのかは不明だが、恐らく今は聖痕移植体を装備していない模様だ。
とは言え彼女は......とにかく油断は禁物だ。
オーバー。こちらは引き続き獲物を追跡する。

焔影が高速で移動し、木々があっという間に後方に消えていく。もうすぐ追いつくはずだ。バーでの反応の速さ.....相手も切れ者だろう。あのバイクでは猟兵専用の車両から逃げきれない事を知っているに違いない。

猟犬01
だから待ち伏せて奇襲を仕掛けてくるに違いない。俺を倒そうと——

遠くに光が見えた。この光が見えれば十分だ。俺は銃声が響く前に反応することができる——
ドン!

猟犬01
斬!

大剣を振るうと弾丸がいとも簡単に真っ二つになった。後ろの林に2本の弾道をはっきりと見て取ることができた。

猟犬01
奇襲を仕掛けるのに実弾を使うとは。やはり聖痕の移植体を持っていないようだな——!

寒鉄
当たり!

猟犬01
!?

ドン!
——

さかのぼること1分前。

ポポ
このまま身を隠すの?

寒鉄
そうよ。

寒鉄はライフルを構え、こちらを見ることなくそう指示した。ライフルのスコープの中心部のマークで猟兵をずっと捉えているのだろう。
ドン!
弾が発射された——さすがは聖痕使いを殺すことのできる精鋭だ。剣を一振りするだけで弾が真っ二つになった。

ポポ
引っかかった。

確かにすごい相手だけど、罠にかけることができた。
あの弾丸は私たちが撃ったものではなく、逆の方向に目立たない形で止められたヤマアラシから撃たれたものだ。
そして猟兵から見えない死角では、私の能力で姿の見えなくなった07式崩壊エネルギーライフルの充填が終わり、満を持して発射されたのだった。
ドン!!
猟兵がまるで大きな金づちの直撃を受けたかのように、体全体が後ろに傾いた。

寒鉄
当たり!

ポポ
倒せた!?

私は一瞬、猟兵のことが少し心配になった。
いや.....おかしい。体が後ろに傾きはしたけど何か変。あの人、あのバイクみたいな乗り物からどうして落ちないの?
それにあの乗り物、私たちの方にずっと走ってきてる!?

寒鉄
おかしいわね?この能力は一体......まさか——いや、だってあの聖夜はまだ解析が完了してなかったはずよね?

その男性は......ちょうどサビを歌っているロックスターか何かのように見えた——

片足をバイクの前の部分にのせ、体はというと不自然なほど後ろに傾いていたのだ——
あり得なかった。物理の慣性を考えればその姿勢で転げ落ちないわけがなかった。どのようにしてバイクの上に立ち続けているのだろう?
既に息絶えているのだろうか?既に死んでいて、足がバイクのどこかに引っかかっているのだろうか?
いや......違う——!
あの人、そもそもバイクの上に立ってなんかいなくて、宙に浮いてるのよ。あの人が持っている大剣が火を噴いていて.......その推進力で移動してるんだわ——猟兵専用の車両よりも推進力が強くて、速度も速いだなんて.....。それで——
私たちのバイクにこんな短時間で追いついたのね?

ポポ
あ、あの人——火を操って飛んでるの?

寒鉄
冗談じゃない......あんな事する必要ある......!?

バイクも大剣も轟音を轟かせ、猛烈な速度で近づいてくる。バイクに立つようにしていた男性は次第にゆっくりと体を起こし、剣を肩に添えた——

猟犬01
狙いは悪くなかったが、相手が悪かったな。

寒鉄
炎の聖痕の使い手だったのね。

ドン!
猟兵が剣を引きずるようにすると、剣の刀が推力偏向エンジンのように自在に炎を吐き、巨大な推力を発生させた。そして剣の持ち主を一瞬で上へと飛ばした——

寒鉄
!

そのまま——勢いよく剣を振り下ろしてきた!

キン!

寒鉄
クソッ……!

この距離でライフルを使って大剣を防ぐことは難しかったため、寒鉄は磨き上げられた反射神経を使い斬撃を探した。

猟犬01
遅い!!

ドン!
寒鉄は猟兵を空に蹴り飛ばし、短管散弾銃を抜いて男の胸に向かって引き金を引いた。
しかし猟兵の動きの方が彼女よりも速かった。彼の行動は普通の格闘家とはまったく異なっていた。炎の聖痕の力を使って体のどの部位でも瞬時に加速し、優位な状況を確保した上で距離を詰めてくるのだ。

ポポ
うう……。

客観的に見て、寒鉄が勝つ確率は極めて低そうだ。唯一勝てる可能性が残されているのは——

寒鉄
肉弾戦ならどう!?

そうよ。あのどうしようもなく速い大剣を振り回せない距離まで近づくしかない。寒鉄が武器の扱いに長けているとしても、今勝てるとしたらそれしか方法がない。
シュン!

猟犬01
なんだ?

ふたりが接近した瞬間、寒鉄が猟兵の前から姿を消した。寒鉄からの指示がなかったにも関わらず、私は無意識の内に能力を使い寒鉄の姿を消していたのだ。

寒鉄
隙だらけだ!

寒鉄が猟兵の首をつかんだ。勝利は目前だ——

猟犬01
身の程知らずが。

ポポ
!?

一体何が起きたのかわからなかった。首をつかみ勝利を手にしようとしていた寒鉄の右手が、突如力なく折れ曲がったのだ。

寒鉄
うっ!

あの瞬間、猟兵は関節技を使って寒鉄の右手を折っていた。

猟犬01
俺が武器としている炎の聖は接近戦も得意としていてな。空中にいながら二段加速でき、戦場を炎で制圧することはもちろん、相手との距離を一瞬で詰めることもできるのだよ。

そう言いながら、彼は素早く寒鉄の左腕を捉えると、そのままへし折った。

猟犬01
俺は軍人だ。その俺が自分の作戦体系に隙を作ると思うかい?

寒鉄
うっ……。

両腕の骨を折られた寒鉄はバランスを崩し、ヨロヨロと倒れそうになった。猟兵が無表情で手のひらを上へと向けると、手から炎が噴出し、その勢いで一瞬で低い姿勢となり、そのまま彼は寒鉄の両足をとりにいった........。

猟犬01
諦めるんだな——

そして寒鉄は両足も折られてしまった。

猟犬01
ここまでだ。

バタッ。

ポポ
寒鉄......寒鉄の......両手両足が全部折られてしまったの!?

驚く私のことを気にする様子もなく、彼は剣を背中にしまうと、寒鉄の顎先に回し蹴りを食らわせ気絶させてしまった。

猟犬01
崩壊エネルギーを操れる敵には、こうするのが基本だからな。

これが......崩壊の猟兵がもつ作戦遂行能力なの?

猟犬01
フゥ……。
猟犬01から小隊へ。ターゲットを排除した。事後の収拾のため早く来られたし。オーバー。

私......殺されるの?

ポポ
私......どうなっちゃうの?

猟兵は私の方を一瞥したが、その問いには答えなかった。すると彼は何やらボタンを押し誰かと連絡を取り始め、画面が彼の前に現れた。

南方軍幹部
…………今は会議中だが、何事だね?

猟犬01
第一軍団のVIPと思われる人物を捕らえました。最高出力の基座を持っていますが、聖痕の移植体は装備しておりません。また未成年の女が同行しておりました。

南方軍幹部
師団長クラスの基座ということだな?まさかまだそんな輩がいるとは.......。
いや、いてもおかしくはないかもしれないな。分かった。その者は直ちに処刑するんだ。

猟犬01
では一緒にいる未成年の女はどうされますか?

南方軍幹部
その女とは【プリンセス】か?

猟犬01
……。
身長、髪の色、体格も違うため、VIPのターゲットではないはずです。

南方軍幹部
……未成年……。
いいか、よく聞くんだ。第一軍団の残党の中には人の見た目を変えることのできる聖痕使いが居たり、そういうテクノロジーを持った奴がいるかもしれない。ここは万全を期してその娘も直ちに処刑するんだ。そして死体を持ち帰り、目立ぬ形で処理するように。

猟犬01
お待ちください。まず確認してからにすることは——

南方軍幹部
命令に従いなさい。
考えてみるんだ。君がつまらぬ情に左右され、万が一【プリンセス】を逃してしまいでもしたら、一体どれほどの人間が死ぬことになるかを。
今回の件、しっかりやれば君にとっても大きな功績になるのだ。命令には逆らわないようにな。では切るぞ。

猟犬01
……。

猟兵が電話を切った。
そしてうつむき気味に私の方を見た。
氷のようにヒヤリとした感覚が一瞬で私を包んだ。

猟犬01
………………………
これも軍人として果たさなければならぬ責務。
俺には搭間に苦しむ姿を見て愉しむ趣味はない。お嬢さん、済まないが脆いて両手で頭を抱え、目を閉じてくれ。

ポポ
私、死ぬのね?

猟犬01
…………軍人として、上官の命令は絶対だ。脆いてくれ。

ああ、その時がついに来たのね。思っていたのとは大分違うけど、いずれにしても......こうなる運命だったんだね。
そう思いながら、私は指示に従った。目の前は崖になっていて、日差しが私の顔を照らした。
そして私は目を閉じた。
後ろから足音が聞こえてきた。猟兵が私の後ろに立った。
……。
私の旅はこれで終わるんだね。
死ぬように命令されるところから始まって、終わる時も死ぬよう命令されるのね。

猟犬01
……。
すまん。俺が送ってなどいるから逆に怖い思いをさせてしまったな。約束しよう、痛みを感じることはないから。

安全装置を外す音が聞こえた。
真っ暗、目の前が真っ暗だ。目を閉じれば、どこもかしこも真っ暗なのは当たり前だけど。
今頃......お母さんはどうしてるかな?まだ生きてるかな?
私ったら変だよね。今の私にお母さんを懐かしむ資格なんてないのに。
私、死をこんなに恐れてたんだ?
お母さん……

ポポ
お母さん……。

ドン!

…………
………………

寒鉄
うっ……。

ここは……。
煙っていて周囲がはっきりと見えない.......。
私......眠っていたの?
それなりの歳になると、お昼時ともなるとすぐに眠くなるのよね。これじゃあ午後2時の授業に遅れちゃうかもしれない。
頭がまだすっきりしないけど、しなければならない事があるのは覚えてる。私は立ち上がり、事務室を出ようとした。
ふと人々のぼやっとした影が目に映った。その人たちはドアの外から私の方を見つめている。
彼らは誰だっけ?そもそも私は誰?
あっ、そうか。思い出した。彼らは私の友達や生徒、それに同僚よ……私……。

寒鉄
彼らを止めないと……。

夢の中のこだま
先生、私たち先生に会いに来たわけじゃないよ。

寒鉄
私.....あなたたちの計画に反対だからね。

夢の中のこだま
どうして?先生にも分かるよね。もし私たちが失敗したらどうなるのか。

寒鉄
でもその勝利が、罪のない人たちをひとりでも犠牲にしなければ成り立たないものだったとしたら、その事業は正義だと言えるの?

夢の中のこだま
……先生、全然変わってないね。
実際には先生の見えない所で、私たち既にすごくたくさんの罪なき人々を犠牲にしてるんだよ。それを知らないフリ、しないでほしいな。
今さら目の前にいる子どもひとりのために迷って、流された血を無意味にしてしまう事の方が、私たちは偽善で卑劣だと思うけどな。

寒鉄
……。

夢の中のこだま
まあいいや。先生に会いに学校に来たわけじゃないし、先生も十分苦しんだわけだしね。それにあの方.....私たちの統師がすべてを理解し、軍団を率いて下さるのだから。

寒鉄
待って......ちょっと——

私は彼らのことを止め、抱きしめ、耳を引っ張ってしかりつけ、道を踏み外すのを阻止したいと思った。私は結婚もしてこなかったし子どももいない。だからあの子たちが.....とても大切だった。

寒鉄
待って......私.......。

しかし、私は墨がかけられたような混沌とした空間へと飛び込んでしまい、あたり一面がぼやけ、はっきりと声を出すことができなくなってしまった——
気持ちの混乱が私の感覚を塞ぎ、暗く、汚くて悲しい沼の中で……

私は誰かが「お母さん」と叫ぶのを聞いた。

——

ドン!

猟犬01
!

ポポ
!

——その瞬間は訪れなかった。驚いて見上げると、拳銃が蹴り上げられ目を舞うのが見えた。

寒鉄
まだ——終わってないよ!

猟犬01
なぜまだ動ける!?お前の手足は既に——ほう、なるほど。
お前が身に着けているその装甲、余波戦争時代の人造筋肉の技術を活用しているな。それがお前の骨格の代わりに機能しているということか——

寒鉄が猟兵をきつく締めあげ、ふたりが膠着状態となった。

猟犬01
残された唯一の奇襲のチャンスを無駄にしたな。接近戦ではお前など俺の敵ではない。業火に焼かれるがいい!

寒鉄
そう来ると思ってたよ。

猟兵が剣を抜こうと手を伸ばすと、その手も寒鉄につかまれ動かせなくなった。
不思議な事に、彼はその状態から彼女のことを炎で攻撃しようとしなかった。

猟犬01
うっ——

寒鉄
炎の聖痕の研究は、まだ大きなプレークスルーは起きていなかったはずよ。思った通り、まだ小型化にはこぎつけていないようね——つまり聖痕の移植体の構造の大部分は、その剣の中にあると言う事でしょう!

寒鉄
だからあんたは——剣に触れなければ炎の聖痕の能力を操ることができない。

猟犬01
聖痕の力が無くても構わんさ。この状況ではお前も俺に攻撃することはできないし、こうしてカ比べをすれば人造筋肉もあっという間に電力を使い果たすに決まっている。こんな体力、忍耐力勝負の遅れたテクノロジーで、改造を受けたレシピエントの猟兵に勝てるはずなどないのだ。

寒鉄
じゃあ.....力勝負はやめようかな——ポポ!

ポポ
わ、私!?

寒鉄
あんたと決めた内容、まだ覚えてる?光の帳を使って。頭を使うのよ!

ポポ
光の帳......わかった!

拳銃を手に取り、私は震えながら弾を込めた。

ポポ
よし——

ドドドドドン——

猟犬01
ただの実弾ではないか。取っ組み合いをしている仲間に当たるのが怖くないのか?

よし、バレてない。

ポポ
私......私だって銃くらい撃てるよ!

猟犬01
その銃が光の帳というのか?いや違う、向こうか?この音はなんだ?

ポポ
この一撃は、きっとあなたをペシャンコにするくらいすごいよ。

猟犬01
そんなのハッタリだろう......なんだこれは!?

——[ブイン!」——

猟兵は崖の前にいる私ではなく、音の方向に目をやったがそこには何もなかった。その瞬間、寒鉄がつかんでいた手を放した。

寒鉄
轢かれろ!!!

ドン!!
ぶつかった直後、巨大な先進歩兵戦闘車が光によって隠されていたその姿を表した。そう、フルパワーで突っ込んできたヤマアラシが猟兵に激突したのだ——
そして両者はそのまま崖の下へと真っ逆さまに落ちていった。

……。

寒鉄
勝った......ね.....。

バタン!
寒鉄が地面に倒れた。

ポポ
寒鉄、大丈夫?

寒鉄
これくらいなら.....死にはしないわ。私をバイクに括り付けて、あいつの仲間がすぐに来るだろうから.....早く行かないと。

ポポ
あっ……そうだね。

寒鉄
そうだ、ゴメン。

ポポ
?

寒鉄
あんたとの約束、白紙にさせて。——ちょっと聖痕局につないでくれる?
あんたの事、売るのやめた。
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